ドラえもん のび太の僕たちだけがいない街    作:雛月 加代

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第五章:のび太はもうおしまいだね

「あの子よ。ほら、連続殺人鬼。」

 

「幼馴染を殺したんでしょ?」

 

「最初は近所の犬とかだったらしいんだけど、それに飽き足らなくなって幼馴染を・・・。」

 

「さして今度は放火。」

 

「信じられないわ・・・・。」

 

「ああいう普段大人しい子が怖いのよねぇ。」

 

「どうして警察は捕まえてくれないのかしら?」

 

「ほんとよ!証拠不十分とかなんとか言って。」

 

「裏ずけ捜査はしてるらしいけど・・・。」

 

「あれからもう二週間よ!」

 

「もし次の事件が起こったらどうすんのよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

幼馴染み、親友、そして今度は住まいを失った。幸い両親はあのとき家を空けていたので、火災に巻き込まれずに済んだ。自分の家が建っていた場所に立ち呆然とするのび太。すると

 

「のび太!」

 

「加代ちゃん、何してんのこんなところで?」

 

「それ、私のセリフでしよ。」

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

「・・・・のび太。」

 

「・・・・・・・。」

 

のび太は加代に背を向けたまま答えない。加代はのび太の横に並び、そのまま会話を続ける。

 

「まだのび太にちゃんと言ってなかったことがあるんだ。」

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

「・・・・・とう。あたしを・・・・・・・・・してくれて。」

 

加代は会話を続けるが今ののび太には馬の耳に念仏。何を言っても聞いてもらえない。

 

「もう嫌だ!もう一歩も動けない。」

 

たまらずグチをこぼすのび太。

 

「・・・・・・・・・。」

 

「無理なんだよ、ドラえもんなしの大冒険なんて!!」

 

「バカなの?」

 

「???」

 

「世の中はなにか欲しいと思ったら、そのためにそれなりの努力をしないといけない。

誰かを当てにして、ただ待っているだけじゃダメなんだよ。」

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

「人にできて、のび太にできないなんてことはない。一番いけないのは、自分なんかだめだと思い込むことだよ。」

 

過去に自分が言ったセリフをそのまま返されるのび太。

 

「ほっといて!!もう、何がどうなったって。僕は知らない。」

 

「子どもみたい・・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「のび太はもうおしまいだね。」

 

「なんだと!?」

 

「だって、私が三年前あって、憧れていたのび太と大違いなんだもん!!」

 

「憧れてた?」

 

初めて見る怒った加代に驚くのび太。

 

「私だけじゃないよ。悟も、謙也も、お母さんも、あの時あの場にいた全員がのび太を尊敬しているんだべさ。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「あたしの知ってるのび太は明るい性格でゆとりがあって、温厚で優しく、他人を深く思いやる心を持っている。臆病者だけど正義感は強く、誰かを助けるために勇気を振り絞って危険に立ち向い、自分に降りかかった問題や困難などを自力で解決するべく諦めずに奮闘する人。」

 

「・・・・・・・・・。」

 

「今ののび太は私と一緒でニセモノだべさ。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「ドラえもんも今ののび太をみたらがっかりするよ。」

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・・。」

 

「分かっているんだよ。このままじゃいけないってことは・・・・。しかし何度決心しても、ズルズルと元へもどっちゃうんだよな・・・・・。でもやっぱり努力はしなくちゃいけないいんだよな。あきらめずにな。」

 

「うん、毎日の小さな努力のつみ重ねが、歴史を作っていくんだべさ。」

 

元気を取り戻したのび太に笑みを浮かべる加代。

 

するとのび太はドラえもんの押入れがあった場所の真下に立った。

 

「僕があそこを覗くといつも怒られたっけ。『プライバシーの侵害だー!!』って。」

 

ドラえもんと一緒に暮らしていた日々を懐かしがるのび太。

 

「・・・・・・・・・・・・・。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・。」

 

「あっ。」

 

加代は自分のハンドバックの中に手を入れると、ある物を取り出す。それは火災の中でのび太が大切に持っていた包みである。

 

「ちゃんとわかってるのにね。足下には四次元くずかごだろ、枕の下にはさぁ・・・・」

 

すると突然のび太の顔色が変わる。

 

「のび太、遅くなったけど・・・。」

 

「枕の下には!!!」

 

「???」

 

包みの中の存在を今更思い出すのび太。

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