ドラえもん のび太の僕たちだけがいない街    作:雛月 加代

2 / 20
第一章:友達ってそんなに大切なもの?

夕食を食べ終え、部屋に戻ったのび太たち。

 

「えーと、たしか・・・・このへんに・・・・。」

 

「何探してるの?」

 

「あった、これだ!」

 

のび太は本棚から本を一冊取り出した。それはのび太がまだ北海道にいた時に書いた文集であった。のび太は文集のあるページをドラえもんと一緒に読み始めた。

 

私だけがいない街  雛月加代

 

今よりもっと大きくなって、ひとりでどこでも行けるようになったら、

遠い国へ行ってみたい。遠い島に行ってみたい。

誰もいない島に行ってみたい。辛いことも悲しいこともない島に行ってみたい。

島には大人も子供もクラスメイトも先生もお母さんもいない。

その島で私は、登りたい時に木に登り、泳ぎたい時に海で泳ぎ、

眠りたい時に眠る。

その島で私は、私だけがいなくなった街のことを考える。

子供はいつものように学校に行く。大人はいつものように会社に行く。

お母さんはいつものようにごはんを食べる。

私は私だけがいない街のことを考えると気持ちが軽くなる。

遠く遠くへ行きたい。

 

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「そんなに気になるんだったら、行こうよ!その子に会いに!」

 

「何言ってんだ、昔の話だぞ。」

 

するとドラえもんはポケットに手を入れる。

 

「人生やりなおし機!!!」

 

「何、これ?」

 

「昔の事を思い出してると、『あの時はこうすれば良かった』なんて思うだろう?」

 

「・・・・・・・・・。」

 

「そんなとき昔に戻って、もう一度新しくやり直せる機械なんだよ!」

 

「頭や体の力は今のまんまで?」

 

「勿論!だから同じ失敗を繰り返さない。」

 

のび太はヘッドギアを頭につけ、ドラえもんがスイッチを入れる。

 

 

 

 

 

 

気がつくとのび太は学校のグラウンドに立っていた。

 

「ついた!」

 

二人は辺りを見渡す。

 

「シーンとしてる。」

 

「授業がまだ終わってないんだよ。」

 

学校の校舎に近づき、窓を覗き込む。

 

「いた、いたよ!」

 

「よかったね・・・・(当たり前じゃないか)。」

 

雛月加代、母親と二人暮らしで小学生五年生の少女。

 

「のび太くん。」

 

「え?」

 

「ほら、あれ。」

 

加代の足に打撲傷のような痣があるのを見つけた。

 

「僕、話してくるね。」

 

「あ!」

 

のび太は授業中であることにも関わらず、窓を開けて教室に飛び込んだ。先生と他の生徒たちは何事だと思いのび太に視線を向ける。のび太は大急ぎで加代の机の前に来た。

 

「加代ちゃん、久しぶり。」

 

「誰?」

 

「加代ちゃん、僕だよ。僕。」

 

「・・・・・知らない。」

 

「今は授業中だぞ。君、自分のクラスに戻りなさい!」

 

「誰だ、あいつ?」

 

「雛月の知り合いべか?」

 

「のび太くん!」

 

ドラえもんが大急ぎでクラスに入り、のび太の腕を掴むと、そのまま窓から飛び出していった。

 

「すいません、人違いでした。」

 

「人違いじゃないってば!」

 

「・・・・・・・・・。」

 

「加代、知り合いか?」

 

「いいえ。」

 

首を横に振りながら先生に答える加代。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、何するんだよ!」

 

「バカだな、今は授業中だろう。あんな風に押しかけたら誰だって迷惑するよ!」

 

「あっ、そうか!」

 

先程のことを反省し、別の方法で雛月に接触することにした。

 

「それじゃあ、手紙でも書くかい?」

 

「手紙なんてどう書けばいいの?」

 

「自分の気持ちを素直に書けばいいんだよ。」

 

サラサラサラ

 

「よし、できた!」

 

書き終えたのび太の手紙の内容は・・・。

 

 

 

 

加代ちゃんへ

 

さっきはごめんなさい。友達になってよ。さようなら。

 

野比のび太

 

 

 

 

 

「これだけ!?」

 

「他に何を書けっていうのさ!?」

 

ため息をつきながら、手を四次元ポケットに入れるドラえもん。

 

「もはん手紙ペン!」

 

もはん手紙ペンーどんな文章の下手な人でも、このペンを使えば、目をつぶりながらでも書きたい事をちゃんとした文章にしてくれたり、感動的な手紙が書ける。字も綺麗になる。年齢目盛りがあり、指定した年齢に相応しい表現で書ける。

 

「これって、前に使った・・・・。」

 

「そう、もはん手紙ペン・・・・。」

 

もはん手紙ペンで手紙を書くのび太。

 

「よし、今度こそ出来た!」

 

自分の書いた手紙の内容に惚れ惚れするのび太。すぐさま手紙を雛月の下駄箱に入れるのび太。

 

 

 

 

 

 

 

【放課後】

 

「バカなの?」

 

(ド直球だな。第一声がそれか。)

 

「あの・・・・・加代ちゃん。」

 

「加代って呼ばないで。」

 

加代の態度が冷たい、その理由はのび太が授業中にも関わらずクラスに飛び込んだせい。そのせいで加代は一日中クラスの注目のまとになっていた。

 

「どうしょうドラえもん・・・・・。」

 

「しょうがないな・・・・・。」

 

ドラえもんは四次元ポケットに手を伸ばした。

 

「・・・・・・。」

 

「???」

 

「友だちの輪!!!」

 

友だちの輪ー2m四方ほどの紙に輪が描かれており、これを床や地面に敷いて人や動物が円の中に入ると、入った者同士の間に強い友情が芽生え、親友となる。輪から出ても効果は持続する。

 

「これって、前に使った・・・・。」

 

「そう、友だちの輪・・・・。」

 

「ねえ、雛月さん。」

 

「・・・・・・何?」

 

「あの・・・ちょっと、ここまで来てくれない?」

 

「???」

 

言われるがまま雛月は輪の中に足を踏み入れた。

 

「やったあ!!」

 

輪の中に入ったことを大喜ぶドラえもんとのび太。

 

「雛月さん、僕と友達になってよ。」

 

「ふふふ。」

 

「私なんかのどこをみてそんな事言ってるの?」

 

「へっ!?」

 

「!?」

 

予想外の返答に驚くのび太とドラえもん。

 

「ねえ、雛月さん。何ともない?」

 

「・・・・・・何が?」

 

「・・・・・そんなことって・・・・」

 

唖然とするのび太とドラえもん。

 

「壊れてるんじゃないの、これ?」

 

「そんなはずは・・・・・。」

 

友だちの輪を手にとって調べ始める。そんなのび太達に雛月は、

 

「・・・・・・機械で友だちをつくるなんて、かわいそうな人・・・。」

 

「えっ!?」

 

「いっ!?」

 

「でも、なんか少しわかる野比ってさ、私と一緒で偽物だから。」

 

「「・・・・・・・・・・・・。」」

 

「手紙読んだよ。」

 

「「!?」」

 

「友達ってそんなに大切なもの?」

 

うんと頷くのび太。

 

「そ。」

 

それだけ言うとそのまま立ち去ろうとする雛月。

 

「あっ、雛月さん。僕と友達になってよ。」

 

「友達?・・・・・・・・・じゃあ、私のために人を殺せる?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。