ダンジョンをとあるチート持ちが攻略するのは間違っているのだろうか 作:しろちゃん
黒髪黒目黒の制服黒のガントレットという格好の少年は現在中層のルームで一人、モンスターの群れと戦っていた
『オボォ!』
「うーんやっぱり此処じゃ全然足りねえ。はぁ、もういいや、帰ろ」
『『『『『『グギャァァアアアア!!!』』』』』』
牛頭の化け物、『ミノタウロス』の胴体に黒のガントレットで穴を開け、ついでに周りにいるモンスターを鬱陶しそうに電撃で一掃する。
「一人で37階層まで行くわけにはいかねぇしな・・クソッ!」
少年は苛立ち混じりにサッカーボールを蹴る様に地面を力強く蹴った。しかし、たったそれだけで地面は捲り上がり、中層のルームの地形が変わる
「あぁもう!マジでムカつくあの糞女ぁぁぁ!!!」
思い浮かべるのは金眼金髪の少女
「何が【剣姫】だ!何がオラリオ最強の女剣士だ!あんなのただの暴力女じゃねぇか!!!!」
それは今までため込んでいた怒りだった。わざわざ休息日に訓練をするために中層まで足を運んだ少年は吠える。
「いつか絶対にぶっ潰してやるからなぁ!!覚悟しておけよ!アイズ・ヴァレンシュタインイィィィィィィン!!!!!」
少年の声は、怒りは、中層のルームに反射して広がっていく。
「はぁ、はぁ・・・あーすっきりした、帰ろ帰ろ」
「ちょっと待ちなァ」
「はい?」
少年はそのまま帰ろうとすると、不意に誰も居ない筈のルームから声を掛けられた。
「アンタ中々いいことを言うじゃ無いかァ」
黒の少年、
まだ人が疎らな早朝のギルド本部に、桃色の髪が特徴的な女性の挨拶が響いた。
「おはようございま~す」
「おはよう、ミィシャさん今日も早いね」
ミィシャ・フロットの朝は早い、ほんの少し前までは遅刻ギリギリに出勤してきた彼女が此処まで朝早くに出勤するのには理由があった。
「どれどれ~、うわっまたいっぱいある」
自分専用のデスク机の引き出しを開けると、そこには大量の資料が乱雑に放り込まれている
「全く、毎日毎日どうしてあのファミリアは異常が起こるのよぉ」
その資料の殆どに記されているファミリア名は【ヘスティア・ファミリア】。ある日ミィシャが監視を命じられた、とある少年の所属するファミリアだ。
「うへぇ、何これ?モンスターがスクラムを作って突撃してきた?信憑性に欠けるけど、前回のゴライアス5体同時討伐は本当だったしなぁ」
監視といってもミィシャ本人が監視をするのではなく。複数の情報屋を雇い、それぞれ別の時間帯に情報を集めさせていた
「う~んこれとこれは昨日聞いた話と一致するし、流石にこれはただの噂かなぁ」
どんな小さな噂でも拾う様に、それが彼女が情報屋と交わした契約だ、その莫大な情報の中から丁重に素早く真実か虚偽かを纏めていく
「うぅ、情報屋をこんなに雇うんじゃ無かった」
しかし、何も考えずに情報屋20人を一気に雇ってしまい、朝早くに来なければ捌ききれない量になっていた。
「もう辞めたい、でもやめたら多分・・・」
殺されちゃう
思い浮かべるのは一回だけ適当に纏めた資料をウラノスに送った時の事だ、その次の日ミィシャの背後に黒衣の人物が唐突に現れた
「ミィシャ・フロット、今回君が持って来た資料は少し雑過ぎではないか?」
「ひっ!?あ、あなたは?」
「私はウラノスの使いの者だ、ミィシャ・フロット、君に一つだけ忠告しよう、もう少し自分の体を大事にすることだ」
「えっと、そ、それって?」
その言葉だけを残し、瞬きの間に黒衣の人物は忽然と消えていた。しかし、言葉の意味は嫌という程に分かるだろう、今度適当な資料を渡して来たら殺す、つまりはそう言う事だ
「はぁ、今日は鐘が鳴らないから休息日かぁ、いいなぁ私も休みたい」
適当な情報を提出して殺されない為、その日からミィシャは殆ど休まずにギルドに顔を出し、より精確な情報の整理をしていた、必死である
「ん~?むむむむ」
「おい、ミィシャ・フロット」
真剣に資料を見ている彼女の背後から声を掛けた人物が居た、ロイマン・マルディール、このギルドの事実上のトップである。基本的に他のギルド員には高圧的な態度を取る腹の出たエルフの顔は、ミィシャの前では困り顔だった
「その、何だ・・・そろそろ休んだらどうだ?」
「・・・・・」
その言葉はもう何度目か解らない程かけて来た言葉だ、最初は休まない彼女に対して、中々仕事熱心じゃないか、と言っていた彼だったが、流石に何日も休まず働き続ける彼女に対して何も言わない訳にはいかなくなり、こうして殆ど毎日休む様に言ってるのだが、全く休む気配が無くほとほと困り果てていた
「なぁミィシャ、頼むから休んでくれないか?何度も言っているが君は働き過ぎだ、て言うより他のギルド員も君を休ませるように私に言い寄ってくるのだ、そろそろ休んでくれないか?」
バンッ!!!
「!?」
「解りました、私休みます!!ではっ!!」
「お、おう」
行き成り机を叩いて立ち上がり、走り去っていく彼女をロイマンは頬を引きつらせながら見送った
ミィシャ・フロットが向かっているのは、都市南東『歓楽街』であった
「もぅ、ほんっとうに信じられない!」
怒鳴る彼女の手に持っている複数の資料にはこう書かれている
『黒鐘 色は最近『歓楽街』に入り浸っている』
「色君の阿保!馬鹿!おたんこなす!エロ助!!」
「フロットさん、私に掴まってください。貴方を抱きかかえて走った方が早い」
「あ、はい」
それが本当かどうか自分で調べる為、彼女はわざわざ自分の足を『歓楽街』に向けていた、なぜか途中で合流した覆面のエルフと共に。そうして一気に『歓楽街』まで来た彼女たち二人は見つけたのだ、黒髪黒目黒の制服黒のガントレットを装備している男、黒鐘 色を
「本当にいたぁ!?」
「貴方は!どうしてこんな所にいる!ここは貴方がいるべき場所ではない筈です!!」
「ちょっ!?ミィシャさんにリオンさんどうしたの?」
「「どうしたのじゃない!!」」
詰め寄る彼女たちに色は苦笑いしながら後ずさった、そしてポフッと、背後にいる人物にぶつかる
「あらぁ、かわいい子達ね、色ちゃんの彼女?」
「おっとすいません、て違いますよ、この人達は前に世話になった人たちで」
「わぁ、本当かっわいい!!」
「アンタも隅に置けないねぇ」
「ねぇ、彼女?彼女?」
「ちょっ、からかわないで下さいよ!」
色の後ろから現れたのはエルフ、アマゾネス、
「まって話を、ておい!何処触ってんだ!?離れろっつうの!!」
「「「「「「きゃ~色ちゃんが怒った~」」」」」」
「リオンさん、どうしますぅあれ?」
「・・・処刑で」
因みにその二人は極寒の如し瞳で少年を睨みつけていた。しかしその気配に全く気付かず、色はもみくちゃにされている。そんな色に詰め寄ろうとした二人だが、間から割って入ってきた巨躯に止められた
「何してるんだいアンタはァ」
「え?あ、すいませんこれから向かおうとしていた所を捕まってしまって」
「言い訳はいいから早く来なァ」
「おふっ!」
「色君!?」
「色さん!?」
巨大なアマゾネスにガシッと首根っこを掴まれて連れ去られて行く色を二人は慌てて追いかけて行った。
もう何度目になるだろう、向かって来た戦斧を縦に横に、縦横無尽に避けまくる
「どうしたどうしたァ!!避けてばっかじゃ死んじまうよォ!!」
「ッ!?」
戦斧の横っ面でブッ叩かれ、跳ね飛ばされ、民家の壁にブチ当てられながらも、俺は
「ゲゲゲゲッ!!効かないねェ!」
「クッソォ!!」
飛ばした瓦礫は褐色の肌に傷一つ付けることは無く叩き落され、突進してきた勢いのまま頭を掴まれ、そのまま勢いよく地面に叩きつけられる
「何度もッ!言ってるだろォ!もっと頭を使いなァ!!!!」
ガンガンガンガン、何度も何度も頭を地面に叩きつけられ朦朧となる意識の中、初めてこのアマゾネスと戦った時の事を思い出した・・・
「はぁ、はぁ、はぁ」
「ゲゲゲゲゲゲッ!!中々やるねェ、でもまだまだアタイには敵わないよォ」
「フリュネさん強すぎっすよ」
俺の言葉にゲゲゲゲゲゲッ!!と豪快に笑うアマゾネス、フリュネ・ジャミールさんに中層で出会った俺は、何故かそのまま稽古を付けて貰う事になり、手も足も出せずに負け床に倒れこんでいた
「お前が単純すぎるのさァ」
「えぇ、これでも結構フェイントとか織り交ぜて工夫してるんすよ?」
「アタイが言ってるのは技術面の事じゃなくて戦い方の方さァ」
「戦い方?」
「そうさァ、何処で覚えたのか知らないが、お前の戦い方は避けるか攻撃するかのどっちかだけだろ?そんなもん動きを読んでくれって言ってるようなもんじゃないかァ」
その言葉に俺はウッと言葉を詰まらせた、フリュネさんの言葉は正しい、実際にさっきの稽古も拳は愚か雷まで避けられて、こちらに的確に攻撃され惨敗した、その理由はやはり
「圧倒的に対人戦の経験不足だねェ」
「す、すいません」
そう対人戦の経験不足だ、【アポロン・ファミリア】と戦って得られた技術は確かに生かしているのだが、目の前の第一級冒険者には児戯に等しいようで、そのこと如くを叩き潰された
「対人戦てのはねェ、ペースの掴み合いなのさァ」
「ペースの掴み合い?」
下から見上げる俺にフリュネさんは双方のギョロついた目玉を俺に向けてくる
「要は相手より自分が優位に立つ状況を作ればいいんだよォ、脚が早い奴が相手なら足を折っちまえばいい、エルフが相手なら詠唱をさせなければいい、自分より実力が上の相手なら罠に嵌めればいい、そういうもんさァ」
顔を近づけてくるフリュネさんに思わず後ずざる・・・しかし
「『剣姫』を倒したいならそれこそ”どんな手でも”使わないといけない、そう思わないかい黒鐘 色ィ」
その言葉に、俺の心は酷くざわついた
「・・・・・・フリュネさん」
「なんだァい?」
「俺を鍛えて貰っていいですか?」
「いいのかい?アタイの二つ名は【
「望むところです」
「ゲ、ゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲッ!!!、いいねェ久々に骨のある雄じゃないかァ、精々壊れない様に頑張りなァ」
それから、俺は時間があればフリュネ師匠と訓練していた
「オラオラどうしたァ、こんなもんかい馬鹿弟子ィ!!!!」
「クッ・・・アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
頭を掴んでいる剛腕を掴み返し、体内の
「またこれかいィ?芸が無いんだよォ!!!」
「それじゃあこんなのはどうっすか?」
「なにィ!?」
それでも全く意味が無いわけではなく、掴んでいた剛腕から一瞬だけ力が抜けたことが解った俺はその手を放し地面に叩きつける、ベクトル操作で極限まで威力を高めた両手は地面を砕き、地形を変える程の威力を発揮する。その際に発生せた衝撃のベクトルをさらに操り、力づくでフリュネ師匠の剛腕から脱出した
「ゲゲゲゲゲェ!!考えたねェ馬鹿弟子ィ!」
「はぁ、はぁ・・・」
「でもねェ、休む暇なんて与えないよォ!!」
「マジかよッ!!!」
投げつけてくるのは大戦斧、ギュルギュル回転しながら真っ直ぐに向かってくるそれは、回避不可能、防御不可能な必中の攻撃、あれが体に当たったら反射など軽く突破されて真っ二つになるだろう
「ウッ・・・ォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
必要なのはタイミングだった、高速で回転して地面を削りながら突っ込んでくる大戦斧の弱点部分、横っ面をぎりぎりの所で右手で触れ、瞬間にベクトルを操作する
「返しますよ!フリュネ師匠!!」
体を斧を軸に円盤投げの様に回転させ、さらに加速させた斧とは思えない音を出しているそれをフリュネ師匠に投げ返した
「ゲゲゲゲッ!!そんなもん投げ返す暇があるなら雷で攻撃した方がまだ当たるよォ!!」
受け止められないと判断したフリュネ師匠は横っ飛びで躱し、勢いを付けて俺に突撃してきた、まるで砲弾の様に突っ込んでくる来る巨躯を前に頬を吊り上げる
「掛かりましたねっ!!」
「ッ!?」
俺は向かってくるフリュネ師匠の足元にある、戦いの中でバレない様にばら撒いていた砂鉄を操った、ヴェルフに態々作って貰ったそれは磁力で高速回転され、フリュネ師匠を飲み込む
「これでどうだぁ!!」
・・・しかし
「解って来たじゃないか馬鹿弟子ィ、でもまだ甘いよォ!!」
「嘘だろ!?」
フリュネ師匠がとった行動は単純だった、砂鉄の檻を無理矢理ぶち壊し、ただ突っ込んでいく、それだけだ。しかしその行動は磁力を操りレーダーを使えない俺にとっては最悪の事態だった
「歯ァ食いしばりなァ!!!」
「ちょっ、待っ!?」
一瞬で詰められる距離、反応できない俺の片足を掴んだフリュネ師匠は巨大な体を軸に回転し、俺が何かする暇を与えずにそのまま思い切り地面に叩きつけた。
「がはぁ!」
そのまま俺の体を無茶苦茶に地面や壁にぶつけまくる
「グッ、ブフッ、ゴッ!」
「もう終わりかいィ!!、そんなんじゃ、何時まで経っても『剣姫』の足元にも及ばないねェ!!!」
・・・ぁあ?今何て言った?
ギリィ、歯を食い縛る、『剣姫』の足元にも及ばない、それは今の俺にとって逆鱗に触れる言葉だ
「ナメんなぁぁぁあああああ!!!!!」
「なんだい、まだまだ行けるじゃないかァ!!」
巨躯のアマゾネスと黒の少年の戦いは、日没まで延々と続いていく
「うわぁ、痛そう」
「色さんも相変わらず無茶しますね」
色から事情を聴いたミィシャとリオンはその過激すぎる訓練の風景をボーと眺めていた、その後ろから一人の娼婦が声を掛けてくる
「えっと貴方達、色ちゃんのお友達なのよね?あれを見て何とも思わないの?」
「何とも思わない、とはどういう事ですか?」
「それは、止めなきゃ、とか死んじゃうんじゃないか、とか」
「「全然思いません」」
「そ、そう」
引きつった笑みを浮かべるヒューマンの娼婦に二人は首を傾げた。何故なら、ミィシャとリオンの記憶に刻まれている37階層の激闘が、黒鐘 色がこの程度の事で死ぬことが無いという絶対の自信に繋がっているからだ。
「それにしても色君人気だよねぇ、此処に居る
「そうだよ、此処に居る皆は色君ファンクラブの会員なんだ!」
そう言ってくるアマゾネスの少女を筆頭に十数人の娼婦たちはバッと一枚のカードを取り出した、そこには会員番号と黒鐘 色きゅんファンクラブという文字が複数のハートマークと共に書かれている。それを見たリオンは少しだけ眉を寄せた、その表情の変化を見た同族の娼婦が声を掛けてくる
「なぁに覆面のエルフさん、もしかして貴方も入りたいの?」
「え!?い、いえ、違います・・・ただ」
「ただ?」
言いづらそうに、リオンは視線を外し声を小さくしながら言った
「貴方達娼婦にはあまり色さんに近づいて貰いたくないだけです」
「「「「・・・・」」」」
その一言に
「「「「「「ぷっ、あははははははは」」」」」」
笑いの渦に包まれた
「な、何が可笑しいのですか!?」
「あははははは!!安心しな、此処に居る皆は色君の事食おうなんてこれっぽっちも思っちゃいないさ」
「本当にぃ?だって色君結構カッコいいよ?」
ミィシャの一言に今度は
「「「「「あの
「最初からぶっ飛んでたからねぇあの子」
「ほんとほんと、ヒキガエルに何度も地面に叩きつけられて投げ飛ばされてもケロッとして帰って来るの」
「しかもその後も普通に動き回ってたものね」
「化け物みたいなあの動き見た?」
「あんなの相手にしたらこっちの身がもたないよ」
「まぁそれでも、あの強さに魅せられたから、こうして私たちはファンになったのよ」
「えっと、つまり貴方達は色さんにそう言う事はするつもりは無いと?」
「「「「「これっぽっちもありません」」」」」
揃って言われた言葉に二人とも微妙な顔をする。その後しばらく他愛のない話をしていると、訓練が終わったのか、ボロボロになった色がこっちに走って来た
「お待たせしました、リオンさん、ミィシャさん、今日はもう終わりらしいので夜ご飯一緒に食べに行きますか?」
「頑張れ、色君!」
「ファイトです色さん!」
「何かいきなり慰められた!?」
ゴォン、ゴォン
鐘の音が鳴り響き、複数の冒険者が慌てふためいたその数分後、ダンジョンの入り口に数人の男女が立っていた【ヘスティア・ファミリア】である
「さぁ、今日も元気にダンジョンに潜っていこう!!」
「「「「・・・・」」」」
「おい、どうした?最近皆元気ねぇな、今日は報酬が美味しい
俺の言葉にまた無言になるベル達に疑問符を浮かべる、ていうかベルが凄い睨んできて怖い
「気合入れろよ、じゃないよ!!いつもいつも朝早くから夜遅くまでどこ行ってるのさ!!」
「えっ・・・べ、別にどこだっていいだろ?」
俺は言葉を濁した、フリュネ師匠との特訓は秘密にしておきたかったのだ。しかし今日のベルは何故かイラついた様子で俺に食いついて来る
「よくないよ!!全く、何で肝心な時に色はいないのさ!!」
「はぁ!?なんでお前にそこまで言われなきゃいけないんだよ!!お前だって朝帰りしたせいで謹慎くらってただろうが!」
「それはこの前謝っただろ!僕が言ってるのは色の事!論点をすり替えないでよ!」
「んだとぉ!!」
「まぁまぁお二人とも、こんな所で喧嘩しないでください」
「そうだ、クロもベルも落ち着け」
「はぁ、はぁ・・・なぁ命ちゃん、何なのコイツ?何かあったの?」
「・・・」
「命ちゃん?」
「ハッ!?い、いえなんでしょうか色殿」
えぇ、命ちゃんもなんかおかしいんだけど、やっぱり何かあったのか?こういうのって聞いといた方がいいよな
「なぁお前ら、本当に何があったんだよ?説明してくれなきゃわかんねぇだろ?」
「「「「・・・」」」」
沈黙が痛い、確かに最近はあまり
・・・記憶を読もう
ポケットに手を突っ込む、そこにある【
「・・・意味無かったんだ」
「は?」
「いくらお金を積んでも意味が無かったんだよ!!この
「おい、ベル!?」
「ベル様!?」
「ベル殿!?」
ダンジョンとは反対方向に走り去っていくベルを慌てて追いかけようとすると、後ろからヴェルフに肩を掴まれた
「すまねぇ、後で事情を話すから今はそっとしておいてくれ」
「おい、それってどういう」
俺の言葉を聞かずにヴェルフもベルを追いかけていく。俺は釈然としない気持ちのまま立ち尽くしているしかなった
「見つけたわよ」
青髪眼鏡の女性、アスフィさんに声を掛けられるまでは・・・
「あの、何のようですか?」
場所は何時かロキさんと来たカフェ。立ち尽くしていた俺を連れて来たアスフィさんは神妙な面持ちでこちらの事を見ていた
「手短に用件を話します」
「は、はい」
その真剣な表情に俺は思わず背筋を伸ばす
「リオンに聞いたのですが、37階層に行かれたんですよね?その時の話を聞きたいのですがよろしいですか?」
「いいですよ」
「いいのですか!?」
何故か驚くアスフィさんに若干驚いたが、まぁ別に減るものでもないし、素直に37階層の事を話すことにした
「ギルド職員もついて来たぁ!?」
「えぇ!?
「ウダイオスと戦ったぁ!!」
「それで、無事戻ってきた俺は【アポロン・ファミリア】と戦う事になるのですが、アスフィさん大丈夫ですか?」
「はぁ、はぁ・・・大丈夫です、しかし、全部本当の話なんですよね?」
「はい、そうですが」
「無茶苦茶すぎる・・・」
俺の話を聞き終えて、そのまましばらく下を向いていたアスフィさんは、ズレていた眼鏡を掛け直しながら、真っ黒な帽子を渡して来た
「えっと、これは?」
「これはキュクロプスの羽帽子、私が作った
「
渡された帽子を引っ張ったり、ひっくり返したりしてみたが、その
「その羽帽子の効果は被った人物の認識阻害です」
「認識阻害?」
「はい、実際に見てみる方が早いでしょう」
そう言いながらアスフィさんがキュクロプスの羽帽子を被ると、途端にアスフィさんの顔が誰だか解らなくなった
「おぉ、凄いですね。でもいいんですか?
「さっきも言いましたが、これは貴方へのプレゼントです。それとも気に入りませんでしたか?」
「い、いえいえ、嬉しい、超嬉しいっすよアスフィさん!!」
ありがたく貰っておこう、こういう好意は素直に受け取っとくべきだ
「もうこんな時間でしたか、それじゃあ私はこれで」
アスフィさんの視線を辿ると夕日が沈もうとしていた、随分長い事話し込んでいたようだ。今頃ベル達はどうしているのだろうか?早く帰って事情を聞こう
「この帽子ありがとうございました」
「いえ、それでは・・・また」
店の前で帰っていくアスフィさんに手を振っていると、後ろから慌てた声を投げかけられる
「い、いたぁ、色君!!大変、大変なんだよぉ!!」
「ミィシャさん?」
声の主はミィシャさんだった、なぜだか凄く慌てている、なにかあったのだろうか?
「はぁはぁ・・・お、落ち着いて聞いてね、これ、ついさっき偶然聞いた話なんだけどね!」
「あの、ミィシャさんがいったん落ち着いたらどうですか?」
「落ち着いていられないよぉ!?」
「えぇ・・・」
そのままガシッと俺の肩を掴んだミィシャさんは俺の顔を真っ直ぐ見ながらこう言った
「今夜【フレイヤ・ファミリア】が【イシュタル・フミリア】を襲うって情報が入ったの!!!」
「・・・・は?」
ミィシャさんの言葉に俺は少しの間、頭が真っ白になった
その時にはもう、夕日は沈んでいたのだ
黒鐘 色
Lv.3
力 :G231
耐久:C657
器用:H121
敏捷:G255
魔力:C632
耐異常:I
祝福:I
《魔法》
【
・電気を自在に発生させる事ができる。
《
【
・特定の
・自身のLv以下限定
・人類以外には
《スキル》
【
・範囲内の
・自身のステイタスにより能力増大
【
・レベルアップまでの最適化
・レベルアップ時の【ステイタス】のブースト
実はヒキガエルの師匠化は最初にこうしようと決めていた事の一つだったりする