ダンジョンをとあるチート持ちが攻略するのは間違っているのだろうか   作:しろちゃん

2 / 52
主人公の身長はベルの頭一個分ぐらい上


第2話 ダンジョン

目の前に蟻みたいなモンスターがいた。

 

隣の少年にどんなモンスターなのかを聞くと名前は《キラーアント》、硬い硬殻のモンスターで硬殻の隙間の柔らかい肉を狙えばいいとのこと。

 

なるほど、と言い、俺は一歩一歩蟻みたいなモンスターに慎重に近づいていく

 

『ギギッギギッ』

 

それは嘲笑、モンスターは笑っているのだ。

 

近づいてくるそいつは明らかにレベルが足りていない、自身の硬殻に傷一つ付けられないことは本能的に分かっていた。

 

分かっていた筈だった。

 

「シッ!」

 

その少年が消えた、黒髪黒目黒の制服という格好をしている少年は《キラーアント》の視界から消える程のスピードを持っていたということなのだろうか。

 

それとも洞窟の暗闇に紛れているだけか。

 

それでも《キラーアント》の硬殻には傷一つ付けられない。

 

それが普通の少年だったのなら。

 

「ベクトルパンチ!」

 

『ギギッ!?』

 

場所は《キラーアント》の上

 

頭上からかけられた声に振り向く間もなくその硬い硬殻は黒い少年の拳によって粉砕される。

 

 

 

 

 

 

 

「おかしい!絶対おかしい!」

 

そう言ってくる白髪の少年、ベル・クラネルに俺こと黒鐘 色(くろがね しき)は困ったようにダンジョンの真ん中で「どうどう」と言いながらベルをなだめていた・・・

 

【ヘスティア・ファミリア】に入った次の日俺とベルは『ギルド』に行くことになった。

 

なんでも住民登録やら冒険者登録やらをしなければいけないらしく、観光がてら色々見ながら歩いていく。

 

「はー、やっぱ本当に異世界なんだなぁ」

 

「やっぱりそう思うんだ、えっと・・・(しき)?」

 

「はは、何で疑問形なんだよ?」

 

「いや、うん・・・色」

 

そう言いながら真っ直ぐ俺を見てくる赤い瞳はついさっきまでの「年上の人を呼び捨てにするなんて」とか言ってた少年なのだろうか?まぁヘスティアに「せっかく家族(ファミリア)になったんだから、細かいことは言いっこ無しと行こうではないか、ベル君!色君!」と言われて渋々了承していたからどうなるかと思ったけど、大丈夫そうでよかった。

 

因みに「そういうもんなのか?、それじゃあよろしくなベル、ヘスティア」

 

と俺がいうと「「ボク(神様)を呼び捨て!?」」とまた二人でシンクロしてるのは面白かったな。

 

「たしか色の世界には沢山の『びる』って呼ばれる鉄の建物があるんだよね?」

 

「そうだぞ、それに獣人もいないな、いるのは皆人間(ヒューマン)だ」

 

「へー、でもモンスターは?みんなヒューマンが倒してるの?」

 

「俺の世界にモンスターはいないんだよなぁ」

 

「え!?でもそれだったら魔石はどうするの?光も何もないんじゃ」

 

「いや、それは電気を使ってだな・・・」

 

他愛ない話をしていると大きい建物が見えてきた、おそらくあれが『ギルド』だろうか?

 

中に入ると広い空間になっていた。市役所の受付見たいものだろうか、早朝の為か人はあまり居なかったが。

 

「すいませーん、エイナさんいますかー?」

 

ベルが受付の人に名指しで誰か呼んでいた、どうやらいつもの事らしく受付の人は「直ぐ呼んで来ますね」といって事務所らしき所へ行っていた。

 

「エイナさんって?」

 

「僕のアドバイザーで色々面倒を見てくれてるんだ」

 

「へー、アドバイザーね」

 

そう言いながら腕を組みしばらく待つことに。やることがないので昨日の【ステイタス】に関して少し考えてみようと思う。

 

《スキル》

 

一方通行(アクセラレータ)

 

これを見た時変な声を出した俺は悪くないだろう、ヘスティアやベルは「中々使えそうなスキルだねー」とか「凄いよ色!」とか言ってたけど、はっきり言ってチートです、はい。

 

試しに使ってみたが、ベルの軽いパンチなどは普通に反射で返せた事から本当にあのベクトル操作が出来ているみたいだ、本物との違いは演算が要らなくイメージにより発動するスキルなので解析等は出来なかった事くらいか。

 

因みに《魔法》ではなく《スキル》なので魔力は使用しなくてもいいんだとか。

 

どう考えてもチートですね、ありがとうございました。

 

しばらくすると桃色の髪色が特徴的な女性が出てきた。

 

この人がエイナさんだろうか?

 

「ごめんね、今エイナは出かけていて居ないんだよ」

 

「あ、そうなんですか、えっとミィシャさん?」

 

「そうなんですよ、愛しのエイナさんが居なくて残念だった?」

 

「い、いと!?そ、そんなんじゃ・・・」

 

うわぁ、ベルの奴すげぇからかわれる、しばらくベルとミィシャと呼ばれた女性のやり取りを見ていると、不意にミィシャさんから声をかけられた。

 

「えーと、新しい冒険者さんでいいですよね。これが登録書です、ここの項目に名前とそれと・・・」

 

続きを言おうとした彼女を遮るように腕を前に出し待ったをかける。

 

ここで一つ重要な問題に直面した。

 

「俺、字読めないんですけど、どうしたらいいすかね?」

 

「えっ?」

 

言った言葉に彼女はしばらく固まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんな、結局ベルに全部書かせて」

 

「しょうがないよ、色が来たのは昨日だもん」

 

まぁ、確かにしょうがない、何故か【ステイタス】に書かれている内容は読めるのに他の文字がサッパリなのだ。

 

これには皆驚いていた、俺も驚いた。

 

「さっ着いたよ、ここがダンジョン1階層」

 

「おー、それっぽい」

 

言いながら目の前の光景を見た。

 

そこは迷路みたいな入り組んだ道だった、これから待ち受けているだろうモンスターとの戦闘に思いを馳せていた俺に薄い青色の壁や通路は、気を引き締めろ、と言っているみたいだ。

 

だけどこれはお試しだ。「少しダンジョンを見てみたい」と言った俺にベルが「少しだけなら」と来ただけで全く装備も何も持っていない、すぐ来て直ぐ帰る、それをルールに俺達はここに来ていた。

 

「ちょっと進んで見てもいいか?」

 

「うんいいよ、どうせならモンスターも見てみる?」

 

そう言いながら俺たち二人は奥に進んでいった、ベルも歩き馴れているらしくここのモンスターについて説明しながら歩いている。

 

「で、そのコボルトの群れに遭遇した時は焦ったよ」

 

「成程な、モンスターも群れを作るのか」

 

「コボルトが群れを作るのは稀なんだけどね」

 

しばらく進むとそいつが現れた。

 

『ガァァ』

 

成程、犬頭に鋭い牙や爪、ベルの言っていた特徴に一致するあいつは間違いなくコボルトだろう。

 

「なぁベル、コボルトが群れを作るのって稀なんだよな?」

 

「う、うん稀だよ、稀なんだけどなぁ・・・」

 

『『『『『『『ガァァァァァァ』』』』』』』

 

目の前にコボルトがいた、数は10匹だろうか。

 

全然稀じゃないじゃん。

 

隣を見るとベルが苦笑いをしながら文字が刻んである特徴的なナイフを構えていた。

 

「大丈夫、僕が色を守るよ」

 

そんなかっこいい台詞を言いながら目の前のコボルトにナイフを向けるベル。

 

このままベルに任せても良かったのだがせっかくチート能力があるのだ、やっぱり使ってみたいので前に出たベルの肩を叩いた。

 

「いや、その言葉は女の子に言えよ、俺じゃなくて・・・さっ!」

 

そう言いながら一歩前へ出て拾った大量の小石を目の前のコボルトに投げつける。

 

ベクトル操作で威力が格段に上がった小石は、さながらショットガン見たいにコボルトの群れに炸裂した。

 

『『『『『『『ギィャァァァァァ!!!!』』』』』』』

 

「・・・はぁ!?」

 

一撃、一撃である。

 

素っ頓狂な声を上げるベルに向かって「さっ次行こうぜ」と声をかけながら足を前に進めた。

 

 

 

 

 

「えっ嘘!?ダンジョン・リザードの群れ!?」

 

シュッ!

 

『『『『『『『ギィャァァァァァァ』』』』』』』

 

「フロック・シューターの群れ!?」

 

シュッ!

 

『『『『『『『ギィャァァァァァァ』』』』』』』

 

「ウォーシャドウの・・・」

 

シュッ!

 

『『『『『『『ギィャァァァァァァ』』』』』』』

 

「・・・」

 

シュッ!

 

『『『『『『『ギィャァァァァァァ』』』』』』』

 

よーし次はどんなモンスターの群れが出るのかなー、と思いながらポケットに弾丸(小石)を補充していると、隣を歩いているベルに「ちょっと待った!」と言われた。

 

「ん?どうしたんだよベル?」

 

ベルの様子がおかしい、少し俯き加減のまま俺のことを見ている赤い瞳は見事なまでに「納得いってません」という感じにジト目である。

 

「それ、ズルい」

 

言いながら俺の持っている小石を指さしてきた。

 

「いや、ズルいって言っても今の俺はこれ(小石)が主戦力だしなぁ」

 

小石を弄びながら隣のベルに言うと「むむむむむ」と昨日のヘスティアみたいな声を上げた。

 

「でも、あれだよ、そんなんじゃこの先やって行けないよ、例えばほら、そこにいる《キラーアント》とかには効かないかもだし」

 

「ん?キラー・・・なんだって?」

 

《ギギギッ!!》

 

そう言いながら前を向くと赤い蟻みたいなモンスターがいた。

 

そして冒頭に戻るわけで・・・

 

「ははは、拗ねんなって、お前が苦戦したキラーアントを一撃で倒したのは謝るからさ」

 

「拗ねてない!神様が待ってるから早く帰るよ!」

 

調子に乗って七階層まで言った俺達はしばらくした後、全速力でヘスティアの待つ協会に向かっていた。

 

結論から言おう、ベクトル操作チート乙www

 

硬い殻の《キラーアント》もベクトル操作により力を一点に集めれば簡単に粉砕できたのがその証拠だろう。

 

そして今、ベルの【ステイタス】は敏捷が一番高いにも拘わらず楽々並走して、ベクトル操作で人にぶつかってもすり抜けるように移動できるのだからこの《スキル》がどれだけチートなのかを改めて実感した。

 

 

「はいゴール!」

 

隣にいるベルを見ると「ぜぇ、ぜぇ」と言いながら息を切らしていた。

 

因みに俺は少し疲れた程度である。

 

重力などもコントロールしていたからだろうか?今は羽の様に体が軽かった。

 

「やっぱずるいよ、そのスキル」

 

「はっはっはっはっ」

 

ベルの言葉に笑うことしか出来ない俺はそのまま協会の奥へ、扉を開けて中に入った。

 

「ただいま帰りました、神様」

 

「帰ったぞ、ヘスティア」

 

「おっ意外と遅かったじゃないか、さてはダンジョンに行ってたなぁ?」

 

したり顔でヘスティアは「ボクをほったらかしにするなんて酷いじゃないか」と言いながらベルの腕を突いている

 

「い、いや、そんなつもりじゃ・・・」

 

と言いながらベルは苦笑い・・・イチャイチャしやがって。

 

「っと、まぁいいや、それより手伝ってくれないかな?」

 

「手伝う?何をだ?」

 

「もちろんっ!」

 

そう言ったヘスティアはチラチラとベルの方に視線を送る。

 

ベルもその意味が解っていたらしく二人合わせて「「せーのっ!」」とタイミングを合わせ

 

「「もちろん色君(しき)の歓迎会の準備さ」」

 

と二人合わせて仲良く俺に言ってきたのだった。

 

・・・自分の歓迎会の準備を自分でするのか。

 

細かいことは考えないようにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく経ち大量のじゃが丸君と言うコロッケっぽい何かを食べ終えた頃、ヘスティアの「それじゃ、【ステイタス】を更新しようじゃないか」と言う言葉に従い上半身を脱ぎベットに寝転がった。

 

ヘスティアが上に乗りしばらくすると狭い部屋に絶叫が木霊した。

 

「なんじゃこりゃぁぁぁ!!」

 

「ど、どうしたんですか!?神様!?」

 

「どうした?ヘスティア?」

 

背中に目を向けると【ステイタス】の書かれた紙を見ながらヘスティアはワナワナと震えていた。

 

「べべべべベル君?今日は色君と一緒にどどどどの階層まで行ったんだい!?」

 

バッ!とベルの方に首を向けたヘスティアに対してベルはサッと首を逸らした。

 

「・・・階層までです」

 

「え?もう一回言ってくれないかな?」

 

「・・・七階層までです」

 

「なぁなぁかぁいぃそぉおぉ!!!!!!!!」

 

言うな否やベルの肩を掴み激しく揺らし始めた。

 

「色君は初めてダンジョンに潜るのにどうしてそんな所まで行ったんだぁ!さすがに今回はボクも怒るよ!」

 

「ごごごごめんなさいぃぃ!」

 

説教を始めたヘスティアが落とした紙に目をやるとそこにはこう書かれていた。

 

 

 

 

 黒鐘 色

 

 Lv.1

 

 力:I10→I83

 

 耐久:I10→I55

 

 器用:I10→G208

 

 敏捷:I10→E301

 

 魔力:I0

 

 《魔法》

 

【】

 

《スキル》

 

一方通行(アクセラレータ)

 

・範囲内の向き(ベクトル)を自在に操れる

 

・自身のステイタスにより能力増大

 

 

全アビリティ熟練度、初上昇値トータル600オーバー、これがどれだけ凄いのか分からないまま色はヘスティアの説教が終わるのをため息をつきながらじっと見ていた。

 

 

 

 

 

 

それにしても、前もそうだったんだが【ステイタス】の下の方ビリビリに破れてんだよなぁ・・・癖か?

 

 

幻想御手(レベルアッパー)

 

・レベルアップまでの最適化

 

・レベルアップ時の【ステイタス】のブースト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。