ダンジョンをとあるチート持ちが攻略するのは間違っているのだろうか   作:しろちゃん

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もしかして一番苦労してるのはミィシャさんかもしれない



わーい!UAが10万越えた!!ありがとうございます!!


第24話 はたらく女神さま!

彼女の朝は早い

 

鳥の囀ずりが聞こえてくるより前に起床し、可愛らしい水玉模様のパジャマを脱ぎ、何時ものホルターネックの白いワンピースに着替えていく。

 

大きな胸の下から体に巻き付けるように青い紐を通し、綺麗な黒髪をツインテールに結い、純黒と白銀、二対四つの小さな(ベル)をその両方に括り着ける。

 

図書室の一角に作られた寝室から出て、大きく延びをし、最後に自身の両頬をパンッ!と勢いよく叩き・・・

 

「さぁ、今日も頑張ろう!!」

 

ロリ巨乳の女神様は今日も元気よく仕事を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気合いを入れたヘスティアが向かった先は鐘楼の館一階の厨房だ。黒の少年に買って貰った黒色のエプロンを身に纏い、釜戸に火を付け手際よく眷属(ファミリア)全員の朝食を用意していく。

 

トントントン、と小気味良いリズムでまな板を鳴らしていると上の方から人影が

 

「おはようございます、ヘスティア様」

 

「おはよう命君、どうだい?眠気覚ましに一杯」

 

そう言ってヘスティアは眠たそうに目尻を擦っている命に緑の液体が入っている湯呑みをズイッと差し出した。

 

「これは・・・緑茶ですか?」

 

「うんそうだよ、確かに命君の故郷のお茶だったよね。この前見かけたから買っといたんだぜ!」

 

受け取った湯飲みを命は真剣な面持ちで見つめた。

 

「そうねすか。では一口」

 

・・・ズズ

 

「・・・」

 

「どうだい?命君」

 

「ヘスティア様」

 

「うん?」

 

「夕食はお茶漬けがしたいです!!!」

 

「お、お茶漬け?」

 

コップを置き、勢いよく両手を握られる。しかしヘスティアは聞いたことの無いワードに困惑しながら聞き返した。その様子に若干興奮気味の命は気づかずに巻くしてていく。

 

「そうです!お茶漬けです!ヘスティア様、夕食はお米を炊いて下さいね!!」

 

「あ、あぁ。任せてくれよ」

 

「任せました!!さて、こうしては居られません。自分はタケミカヅチ様の所に梅干しや塩こぶを別けて貰いに行ってまいります!!!」

 

命は最後に「早朝訓練が始まる頃には帰ってきます!!」と言い残し、物凄い速さで鐘楼の館から出ていった。唖然としていると、玄関から入れ違いに赤い髪を揺らした青年が入ってくる。

 

「何だったんだあいつ?あ、ヘスティア様おはようございます」

 

「おはようヴェルフ君。おっと、そのまま動かないでくれよ?」

 

挨拶をするや否やヘスティアは頭の鐘を小さく鳴らしてヴェルフの元まで駆けていき、人差し指を突きつける。

 

「まぁた工房で寝てたなぁ。家に居る時ぐらい寝る時はしっかりベットで寝ないと駄目って言ってるだろ?」

 

「す、すいません」

 

「ほら、お風呂沸かしてあるから入ってくるんだ。さっぱりするぜ」

 

「え?いや、いいっすよ。早朝訓練の後に入るんで」

 

そのまま横を通り過ぎて自室に戻ろうとするヴェルフの腕をヘスティアはパッと掴んだ

 

「こーら!そんなんじゃ女の子にモテないぜ。いいからその煤だらけの体を綺麗なお湯で流してくるんだ!!」

 

「ウィッス」

 

反省したように頭を掻き、風呂場に向かっていくヴェルフを微笑みながら見送ると、厨房に向かい料理を再開する。

 

鍋に先程切った材料を入れ、炊いていると上からまた人影が

 

「色様続きは!続きは本当に無いのですか!?あの後二人は無事にうさみみ空賊団になったのですか!?」

 

「だからあの話で終わりだって。ちょっ!?終わりって言ってるだろ!!ポケットの中に手を突っ込むな! ?スマホを取ろうとするなッ!!!」

 

「嘘ですね!!(わたくし)、続きらしき画像をチラッとみたんですよ。色様のイジワル!!」

 

「イジワルってなんだよ!?じゃいいよ!見せてやるよ!?ほれ!!」

 

「あふん」

 

「おはよう二人とも。朝から元気だね」

 

軽い言い争いをしながら降りてきた色と春姫に手が離せないので視線だけを送り挨拶をする。さっきまで声を張り上げていた春姫は泡を吹いて気絶しているが。

 

「はよー。ヘスティア、コーヒー頂戴。春ちゃんには水で」

 

「また二人で朝まで夜更かしかい?ていうか春姫君に何見せたんだい?」

 

「あー、えっと・・・ちょっと同人誌を」

 

「どうじんし?」

 

と聞いたことの無い単語に首を掲げながら、手早くコーヒーと冷水をコップに入れて色に渡した。

 

「春ちゃん起きろー水だぞー」

 

「う~ん・・・むにゃむにゃ」

 

「せっかくだし、もう少し寝かして上げたらどうだい?早朝訓練までまだ時間があるし、ダンジョンに寝不足で向かっても危ないだけだろ?」

 

「確かに、それじゃさっきの記憶の改竄も今の内にや」

 

「こらこら、そんな事で家族(ファミリア)呪詛(カース)を使うんじゃない」

 

リモコンに手を掛ける色を嗜めると、「へーい」という気の抜けた返事を返し、春姫を近くのソファーに寝かせる。

 

「あ、そうだ色君。命君が緑茶を飲んでお茶漬けが食べたいって言ってたんだけど何かわかるかい?」

 

「お茶漬け?たまに食べたくなる時があるけど、そんな難しいもんじゃねぇぞ?」

 

そこから暫くダイニングに料理の音と二人の会話を響かしていると、小さな人影が大きな欠伸をしながら二階から降りてきた

 

「ふぁ~、ヘスティア様、色さん、おはようございます。春姫さんは・・・どうしたのですか?」

 

「おはようリリ君」

 

「おはよーリリ。春ちゃんは耐性が足りなかったのだ」

 

色はソファーに寝かしている春姫の尻尾を弄りながらリリにそう返した。時折ピクッと動くのが気に入ったらしい。

 

「耐性?あ、ヘスティア様、手伝いましょうか?」

 

「ありがとうリリ君!でももうすぐ終わるから気持ちだけ受け取っておくよ。それより鐘を鳴らして来てくれないかな?」

 

お玉を頭上にかざしたヘスティアにリリは片手を上げて「わかりました~」と眠そうに目を擦りながら階段をまた上がっていった。

 

それを見送ると色も春姫を起こしに掛かり、ヘスティアも弁当用のタッパの中に食材を次々と放り込んでいく。

 

そして朝にやることが終わった頃、最後の足音が階段を降りてくる。

 

「おはようございます。神様」

 

「ベェェェゥルクゥゥゥゥン!!!!」

 

「わっ!!か、神様!?」

 

【ヘスティア・ファミリア】最後の一人にヘスティアは勢いよく抱き着き

 

鐘楼の館の二つの鐘がオラリオに鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな平和な日の夜、皆が夕食を終えて各部屋で寛いでいる頃、ボクは自室で色君とテーブルを挟んで向かい合っていた。

 

「それじゃあ、今までよく働いてくれたヘスティアに給料を渡します」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ボクは思う。

 

おかしい

 

「えっと色君?確かにヘファイストスの所を辞めて、本拠(ここ)で家政婦の真似事をして給料を貰う事にしたけど、なんだいこれは?」

 

「なんだいって給料だよ給料」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

テーブルに置かれた物をジッと見つめる

 

やっぱりおかしい

 

「もう一回聞くよ?なんだいコレは?」

 

「おいおい大丈夫か?給料だぞ」

 

さも当然かの様に色君は大きな袋に入っているソレを指差して言った

 

「大体二千万ヴァリスあるぜ」

 

「馬鹿かキミはぁぁあああああああああああ!!!!!!!!」

 

大絶叫が部屋の中に木霊するが、図書室には防音設備が整えられており、その中に作られた彼女の部屋からは一切の音を外部に漏らさない。

 

「確かにボクは言ったよ!?ヘファイストスの所よりも給料上げてくれって冗談混じりに言ったよ!?でもね?流石にこんな大金貰えるわけないだるぉ!?」

 

「大丈夫、俺のポケットマネーだから」

 

「余計ダメだよ!?なんちゃって家政婦に二千万ヴァリスなんて採算まったく合ってないからね!!これじゃボクはヒモ同然じゃないか!?」

 

「あっはっはっ、自分の紐とヒモをかけてんの?ウケるー」

 

「ぶっとばすよ!?」

 

色君に掴み掛からんと身を乗り出したボクは、そのまま視線をテーブルの大金に移し

 

「大体こんな大金ボクはいらな・・・い?」

 

まさか・・・と急いで部屋の中に置いてある小さな戸棚に飛び付きガサゴソと漁り始めた。次第に冷や汗が吹き出してくる

 

「えっと・・・色君?もしかして」

 

「探してるのこれか?」

 

目を移した彼の指の間に一枚の紙がヒラヒラと挟まっている。自身の名前が書かれている借金契約書が・・・

 

「あ・・・・ああ・・・・・」

 

「それにしても二億ヴァリスって一体何の借金だ?」

 

「ああ・・・ああああ・・・・・」

 

「まぁ安心しろ。実は二億ヴァリス稼げて次いでに団員(ファミリア)を超強化出来る案考えたんだよね」

 

「ああああ・・・・・ああああああ・・・・・・」

 

「ほれ。まだ中途半端にしか出来てないけど、コレを実行すれば、あっという間に二億ヴァリス返せるぜ」

 

そう言いながら色君は一枚の紙を取り出した。

 

「ああああああああああああーっ!!」

 

グシャッと握り潰す

 

「あぁ!!せっかく書いたのに!?」

 

「駄目だ駄目だ!!コレはボクが勝手に作った借金だ!それを子供に立て替えさせるような事は絶対にしないぞ!!」

 

「お、落ち着けって。この金は俺が立て替えたんじゃなくて、お前が働いて稼いだ金だぞ?」

 

「まだその屁理屈をこねる気かい!?大体何処で見つけたんだそんなもの!!」

 

「え?普通に図書室に落としてたぞ?」

 

「ボクの馬鹿!!!」

 

頭を抱えて天を仰いだ。そうだ、確か昨日は明日が給料日だから浮かれて、ついつい夜中に調子に乗って契約書を取り出して、借金返済の舞いを・・・・・今思えば昨日のボクは一体何をやってたんだ・・・

 

 

「でも、やっぱり駄目だ。いいか?これは主神命令だ、君はボクの借金に一切の金をださないでくれ」

 

「はぁ!?馬鹿かお前!!いいか?借金なんて物は一刻も早く無くすべきなんだよ、いいから受けとれ!!」

 

「いやだ!!やめっ・・・ヤメロォー!」

 

無理やり金を押し付けてくる色君に目を閉じ拒絶する。プニプニの頬が金の入った袋で潰された。すこし、気持ちいいかも・・・って誘惑に負けるな、ボク!!

「むー!むー!」

 

「この、強情ロリ巨乳が!!だったら俺が直接ヘファイストスの所に行って金を渡して来てやる!」

 

「えぇ!?駄目だよ!!ま、待つんだ!!」

 

そこから激しいデットヒートが行われた。階段を蛇のように駆け降りる色に小さな体で小回りを生かし追随するヘスティア。普通なら恩智(ファルナ)がある色が負ける筈はないのだが、この時ばかりは神の意地が人間を上回った。

 

「お・い・つ・い・たぁ!!!」

 

「甘いなぁ!!ベクトルスルー!」

 

「なにぃ!?」

 

しかし、飛び付かれた色は一方通行(アクセラレータ)を使い、抱き着いてきた向き(ベクトル)を操り、すり抜けるように回避、そのまま玄関まで爆走していく。

 

「ふはははははは!!!お前の借金なんて俺が勝手に返してやんよ!!!」

 

「やめてくれぇ!!その借金は・・・その借金はボクの借金だぞ!!」

 

※大声を出している二人ですが、音声はベクトル操作により他の家族(ファミリア)に聞こえないようになっております。

 

「ばぁああああい!!」

 

ガチャ

 

「あ、会いたかったよ色君」

 

バタン!

 

「ヘスティア引けぇ!?ピンクの悪魔に飲み込まれるぞ!!!!」

 

ガチャ!!

 

「私は○ービィじゃ無いよぉ!?」

 

※大声を出していr

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鐘楼の館に現れた○ービィ、もといミィシャに二人が連れてこられたのはギルドだった。夜中なので殆ど人が居ないにも関わらず、応接間に案内された色とヘスティアはハンドシグナルでバレないように会話をする。

 

(ね、ねぇ色君?君、何かしたのかい?)

 

(し、知らねぇ)

 

(だったら何でこんな所にボク達が来てるんだい!?)

 

(俺は何もしてねぇよ!?)

 

緊張する二人にミィシャはニッコリと笑顔を向けた。しかし目が全く笑って無い、て言うより死んでるような気がするのは気のせいなのだろうか?

 

「それじゃあ手短に用件を話しますね~」

 

「「は、はい」」

 

「【ヘスティア・ファミリア】はダンジョンに行くの禁止」

 

「「・・・・・・・・は?」」

 

ビシッ、と固まる二人にミィシャは尚も変わらない笑顔を向けていた。

 

「な、なんで!?冗談だよね!ミィシャさん!!!

 

「ミィシャ君!!流石にダンジョン禁止は凄く困るぜ!?」

 

「安心して下さい。もう直ぐオラリオはラキア王国と戦争するので、それが終わるまでですから」

 

「戦争ぉ!?ヤベェじゃん!!」

 

「あ、なんだ。じゃあ安心だね」

 

「なにが!?」

 

戦争と言う単語に慌てふためく色を他所にヘスティアは安堵に大きな胸を下ろした。訳がわからない色は説明を求めようとるすが、その前にミィシャに肩を捕まれる。

 

「いい色君。絶対にぜぇったいにダンジョンには行かないでね!!戦争中は冒険者の数が少なくなって、もし怪物進撃(デス・パレード)に巻き込まれた人がいた場合救助に行く人手が足りないからね!!」

 

「お、俺も戦争に出た方が」

 

「駄目に決まってるじゃん!?これ以上私の仕事を増やさないで下さい!お願いします!!!」

 

「俺ミィシャさんになんかしました!?」

 

頭を下げて懇願してくるミィシャに色はたじろぎながらも了承する。一般常識を持ちながら常に色の情報を集め、怪物進撃(デス・パレード)の相手をしてきた彼女はよくわかっていた。

 

人手の足りない今、こいつら(ヘスティアファミリア)を何もせずに放って置いたら、絶対にとんでもないことをやらかすと。

 

そして自分の仕事量もそれに比例してとんでもないことになると。

 

故に彼女は一計を案じたのだ。

 

「こほん。とりあえず、ラキアとの戦争中に【ヘスティア・ファミリア】はダンジョンに行かない事。これ、ギルドからの強制任務(ミッション)ですから」

 

「そこまでするのかい!?」

 

驚愕するヘスティアにミィシャはビシッ!と指を突きつける。

 

「勿論大人しくしていてくれたら報酬は出ますし、破った場合はそれ相応の罰則があります。わかりましたか~?」

 

「「わ、わかりました」」

 

その返事を聞き、満足げに頷いた彼女は二人に退出の許可を出すのであった。

 

出ていった二人を見送ったミィシャは大きく息を吐き、応接間の高級ソファーに深く腰を下ろす

 

「いや~最初はラキア王国との戦争に情報屋を殆ど持っていかれて、どうなるかと思ったけど。この方法だったら手の届かない所(ダンジョン)から色君を遠ざけられるし、怪物進撃(デス・パレード)が持ってくる面倒事も無いだろうし、まさに一石二鳥。一応自分でも休みを入れて監視するつもりだけど、流石にギルドからの強制任務(ミッション)を破るなんて事しないよね~。これもしかして久々にゆっくり休めるんじゃないの?私ってあったま良い~!!」

 

と、言うわけで【ヘスティア・ファミリア】は大形休息に入った訳だが、その数日後・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グランカジノを潰すってどういう事よぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

彼女が想像を絶する程の仕事が舞い込む事になるのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミィシャさん落ち着けって!!」

 

朝、【ヘスティア・ファミリア】本拠(ホーム)(つんざ)くような女性の絶叫が響き渡った。家の掃除をしていたボクはその声を聞き、ドアを壊す勢いで入ってきて色君に詰め寄る人物、ミィシャ君に駆け寄り、話を聞くことにする。

 

「おいおい、一体どうしたんだい?カジノがどうとか聞こえたけど?」

 

「そうなんですよ!!聞いて下さい!!!色君がカジ・・・ムグ!?んー!!んー!!!!」

 

「本当黙って!?何で知ってるのか知らないけど今は黙って!!!」

 

必死に口元を塞ぐ色に抵抗するように両手をバタバタと動かすミィシャ。その様子に困惑しながらも、さっきミィシャが漏らした言葉についてヘスティアは考えた

 

ミィシャ君はカジノって言ってたよね?カジノ・・・・・・カジノ!?

 

「あ、ヘスティア様、出掛けてきますね」

 

「今日は自分達は帰らないかも知れませんので夕食は要りませんから」

 

「そ、それじゃあ、いってまいります」

 

「へ?あ、うん」

 

バタバタしている色君達の後ろから、そそくさとリリ君達が出ていく。あれ?春姫君が後ろ手で隠しているのって色君の帽子のような・・・ってそれ所じゃない!?

 

「色君!!まさかカジノに行ってメンタ・・・ムグ!?んー!!んー!!」

 

「お前も何言おうとしてんの!?」

 

ミィシャ君同様口元を塞がれるが、暴れつづける。もし食蜂操祈(メンタルアウト)を悪事に使おうとしているのなら主神として絶対に止めなくちゃいけない!!

 

「「んー!!んー!!」」

 

「暴れんなっつうの!?二人とも話を聞け!!」

 

「俺出掛けるから・・・て何してんだ?」

 

三人のドタバタは小さな箱を持ったヴェルフが声をかけるまで続けられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミィシャ君に席を外してもらい、色君とボクは何時かのように図書室の部屋で向かい合っている。粗方説明を受けたボクはジト目で色君を見つめる。

 

「悪徳カジノを潰すんだって。悪気とかは一切ないから」

 

「へぇ~じゃあどうしてボクに隠す必要があったんだい?昨日のコソコソ皆に聞き回ってたのはこの事だろ?」

 

「いや、ほら、それは・・・・」

 

右往左往する色君に少し呆れながら確信であろう言葉を口にした

 

「まだボクの借金の事諦めてなかったのかい?」

 

「・・・借金の事は誰にも言ってないし」

 

頭を押さえる。いや、これはボクが悪いのだろう、借金を作った事もそうだが・・・

 

「あのさ?確かに借金は悪い事かもしれないよ?でもボクには返す目処があるし、自分自身で返すって決めてるんだ。だから君には手伝って欲しくない」

 

「ダメだ。まぁいいから俺に任せろって、二億ヴァリスぐらい簡単に返してやるから」

「・・・はぁ」

 

まさか色君がここまで自分が決めた事を曲げない性格だとは思わなかった。この頑固者め………

 

このままでは話が平行線になると思ったボクは話題を変えることにする。

 

「大体なんでカジノから一気に二億ヴァリス稼ごうと思ったんだい?前みたいに給料で渡せばいいじゃないか」

 

それはそれでボクは受け取る気はないんだけどね

 

「いやだって、戦争中はダンジョンに行けないんだろ?だったら早めに返しとかなきゃ。もし借金を理由に脅されたり戦争に強制参加とかになったら怖いじゃん?」

 

「・・・うん?」

 

何かボクと色君の認識に齟齬があるような?

 

「あのね色君。まず、ヘファイストスがボクを脅す何て事はあり得ないし。それにラキアとの戦争なんて10日あれば終わるよ?」

 

「はぁ!?戦争が10日で終わる!!!俺の世界じゃ戦争なんかしたら年単位で戦ってんぞ!!長いものでも百年戦争とかあるんだけど・・・マジで?」

 

「マジで。ていうか最長で10日だからね?早くて一週間ぐらいだぜ」

 

「ゴールデンウィークかよ!?戦争って言えば大体のラノベでも一大イベントだぞ?どうなってんだよ、この世界・・・」

 

項垂れる色君の肩を叩いた。あれだね、ジェネレーションギャップってやつだね、ドンマイ

 

「カジノの件はもう止められそうにないのかい?」

 

「あ~、実は外部から協力するって言ってきた人がいてさ、その人がLv.3以上だったら【食蜂操祈(メンタルアウト)】で誤魔化しきれないし。それにオッサンの娘さんは助けてやりたいなって思う」

 

う~ん、もうしょうがないか。ボクも覚悟を決める事にしよう

 

「よし、それじゃあ協力するぜ。それだとボクも稼ぎの何割かを報酬として貰えるだろ?」

 

そう言うと色君は歯を見せて笑ってくれた。ふふふ、さて、やるからには確実に悪いカジノを潰さないといけないね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある程度作戦を練った後に色君達と別れたボクが向かった先は歓楽街の一角、女主の神娼殿(ベーレト・バビリ)だ。色君とミィシャ君は家にいると私用で出掛けたベル君が帰って来たら不味いという理由で、外で作戦の調整をしに出掛けている。

 

町並みを歩いていると様々な種族の娼婦から声を掛けられ、それに手を振り答えていく。

 

「ヘスティア様!!○ンドーム買っていくかい!」

 

「ヘスティア様!!新しいバ○ブ入荷したけど、どうですか!!」

 

「ヘスティア様!!処女○破る時はかなり痛いから気をつけて!!!」

 

「うるさいよ!?」

 

時折叫び返しながら進んでいくと、人を掻き分け、一際強そうな女戦士(アマゾネス)が一人此方に歩いてきた。どうやら案内役が来たみたいだ。

 

「ヘスティア様、歓楽街へよくきたね。私達【イシュタル・ファミリア】一同、歓迎するよ」

 

「ありがとう、君はアイシャ君だったね。春姫君からよくお世話になったって話を聞たぜ」

 

「へぇそうかい、春姫の奴は元気にしているかい?」

 

そっけなさそうに返しているが顔を見ると嬉しそうだ。春姫君が言っていた通り、悪い子じゃないみたいだね。

 

「元気も元気さ!最近は命君と訓練したり、色君と朝まで色々な話をしていたり、毎日楽しそうだぜ」

 

「・・・ほぅ」

 

う、うん?何か雰囲気が変わったような・・・ まぁ色君だったら大丈夫だよね!

 

その後も春姫君の話だったりファミリアの話だったりしながら歩いていると大きな扉が目の前に。どうやらイシュタルの部屋までついたらしい。

 

「こっから先はヘスティア様一人でいっておくれ」

 

「あぁ、最初からそうするつもりさ。ありがとうアイシャ君」

 

そう言うと彼女は片手を振りながら廊下を歩いていく。その後ろ姿を見送ると、大きな取っ手を掴み、勢いよく扉を開けた。

 

「来たよ!!イシュタル!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん・・・ふっ・・・ふあ・・・・きぃ・・ひぐぅ・・しきぃぃぃぃ!!!!!」

 

バタンッ!!

 

「・・・・・・」

 

この時ヘスティアは誓った

 

今後ドアを開けるときは絶対にノックをしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果を言うとヘスティアがイシュタルに協力してくれるように頼みに来た件については成功した。

 

後は簡単だ、中に潜入している色の合図に合わせて、ミィシャが配置したギルド局員と【イシュタル・ファミリア】の戦闘娼婦(バーベラ)が突入。

 

その混乱の隙に色とフリュネの高Lv.&チートの二人で金目のものをゴッソリ頂き、何処かの大泥棒よろしく逃げるだけだ。

 

そして【ヘスティア・ファミリア】と、その傘下【イシュタル・ファミリア】の二つのファミリアは莫大な金を山分けし、借金も余裕で返せる額も集まり、悪徳カジノも潰れ、めでたしめでたし。

 

ただ一つ問題があるとすれば・・・

 

「・・・ギルドに報告書出してくる」

 

まさかベル君も協力していたとは。勿論色君はベル君にボクの借金の事は隠して、「目的は悪徳カジノを潰すため、その為にギャンブルで勝ちまくってくれ」と最初は言っていたらしい。

 

しかしベル君は何故かそれを嘘だと看破し、色君に本当の目的を問い詰めたそうだ。

 

その結果、借金の存在がバレて、次いでに借金がベル君のナイフの金だと判明し、そのままフラフラと出ていってしまった。

 

と、いうのがボクがお風呂掃除をしている時に起きた出来事でした。

 

「うん、とりあえず。どうして色君はボクの借金がベル君のナイフの物だとわかったんだい?」

 

「え?ミィシャさんに教えてもらったんだけど、ヘスティアが話したんじゃないのか?」

 

「話してないよ!?カジノの件といい何者なんだい、あの子、口止め料として稼ぎの何割かを渡しておいて正解だったかもね・・・それにしても」

 

うぅ、今すぐベル君を追いかけたいけど、先ずはヘファイストスに借金を返して来ないと・・・

 

決してベル君にどう言い訳すればいいか解らなかった訳ではない。

 

「それじゃあボクも行ってくるよ」

 

「おう、行ってらっしゃい」

 

二億ヴァリスの小切手が入った封筒を大事に鞄にしまい、靴を履き、色君に挨拶をして家を出掛けた。

 

そのあと確か、ヘファイストスは『オセロの森林』にさっき出掛けたって聞いて、今からなら追いつけると思い、追いかけていったら・・・確か・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだ、アレスの奴に誘拐されたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

深い眠りから覚めたヘスティアの目の前に、その光景は広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕の神様に何をしたぁぁああああ!!!!!!

 

数々のクレーター

 

「てめェらぶっ殺してやるから覚悟しやがれェ!!!」

 

吹き飛ぶ将軍達

 

「消し飛べぇ!!!魔砲【フレイム・ブラスト】!!!」

 

消し炭になる山地

 

「何処にも逃げられませんよぉぉおおおおお!!!!」

 

押し潰される鎧

 

「いいですか?リリがこの手を離せば貴方は潰れてしまいます。それが嫌なら今すぐ二億ヴァリスを用意しなさい」

 

鼻先で大槌(ハンマー)を止められているアレス。

 

「あ、ヘスティア様、大丈夫ですか?(わたくし)達が来たからには、もう安心してください」

 

そして、見たことのある帽子を被っている彼女の後ろには

 

「うぉぉおおおお!!帽子姫様!!」

 

「帽子姫様、最高です!!!」

 

「帽子姫様バンザーイ!!!」

 

何故かラキア兵が歓喜の声を上げている

 

「・・・・・・・・・・・・寝よ」

 

頭の処理が追い付かないロリ巨乳の女神様は取り敢えず、もう一度瞳を閉じるのであった。

 

 




そりゃ、このヘスティア・ファミリアを怒らしたらこうなりますわ~
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