ダンジョンをとあるチート持ちが攻略するのは間違っているのだろうか 作:しろちゃん
もしかして俺って最強じゃね?
それが、初めて【ランクアップ】した時の感想だ
だってしょうがないだろ?推奨Lv.4の巨人をLv.1の俺が一人で倒して更に【ランクアップ】までしたんだから。
そんなの誰だって多少の全能感に包まれると思うし、それに加えて俺には【
ちょっとぐらい調子に乗るだろ、普通?
それに、あの時の俺はこの世界の強さの常識をあんまり実感してなかったし、たとえあの巨人よりも強そうな
そう思えば、あの事が無かったら俺はここまで強さに固執して無かったのかもしんねぇな。
Lv.3になった時だって、わざわざ危険な37階層に突っ込んで行かなくてもベート君に対人戦をちょこっと教えて貰うだけで【アポロン・ファミリア】なんて軽く捻れただろうし。
探知速度を上げるレーダーだって、Lv.2の団員より遥かに格上を想定して考えたものだし
あの早朝訓練だって考えも付かなかっただろうし
フリュネ師匠にだって出会って無かった筈だ
だからまぁ
人生で初めて心の底からキライになった女だが
天狗の鼻を折ってくれた事だけは、少しだけ感謝してやるよ
(あれ?俺は何を………痛ッ)
痛みで意識が覚醒する。眼下に映った金髪が、気絶したエルフの少女を丁重に部屋の外まで運んでいるのを見て、何が起きたのか思い出した
(そうか………俺は)
魔法は全て切り裂かれた。
用意した魔剣は当たらなかった。
イケロスの所から押収した
この時の為に練っていた【ロキ・ファミリア】を操ったコンビネーションは無意味だった。
途中から体力が無くなるのを覚悟で参戦したが、一分も持たなかった。
そしてこの現状は、つまり
(――――負けたのか)
それも現状の俺が考えうる限りの
”どんな手でも”使った上での完全敗北だ。
「………ははっ………ふふふ………くくっ……くはははははははははっはっはっはっはっ!!!」
もう笑うしかねぇわ
ラスボスっていうよりバグだろ、コイツ。どうやったら倒せんの?ゲームで言ったら絶対に倒せないエネミーだぜ、絶対。ていうか【
「《チート》持ち舐めんじゃねぇぞ、糞女」
眼下で睨み付けてくる金髪を盛大に嘲笑ってやりながら、痛みで動かし難い右腕をポケットの中に突っ込んだ。
【イケロス・ファミリア】と戦った時から心の隅でずっと考えてた事がある。それは、暴走した
考察していくと、俺の『魔法』は根本的におかしい。
まず、誰にも『魔力』が感知出来ない。
それは、街の人間を操ったり、【
次に、【ステイタス】に記入されている名前や効果だ。
【
・電気を自在に発生させる事ができる。
どうして使用者の名前が使われているのか?
この場合『
効果の方も、ベルの『速攻魔法』やリリの『変身魔法』みたいに、『――魔法』って付いてない。ヘスティア曰く、『魔法』の詳細情報には必ず付いている物らしい。しかし俺の『魔法』には、電気を自在に発生させる事ができる、という一文だけ。
そして最後の疑問、俺の『魔法』は成長していない。
命ちゃんやベルの『魔法』は【ステイタス】の『魔力』が伸びる度に威力が上がっていってるのに、【
結論を言おう
つまり、【
それじゃあなんなんだって?そりゃ勿論、『超能力』だ。
俺の仮説はこうだ、【
だかこそ、初めて『魔法』を使った時も、黒い『ゴライアス』を吹き飛ばす程の威力を出せたし。『
もし、この仮説が正しければ、面白い事が出来る
「「…………」」
金髪と睨み合いながら、リモコンを頭に押し当てた
操るのは、オラリオの八割に【
ホストは俺に設定し、共感覚性を利用して使用者の『脳波に合わせて調律する』
そうする事で複数の人間の脳を繋げ、擬似的な『
大丈夫、俺の考え通りに行けば、そういう状況を用意するだけで能力が勝手に進化していく筈だ。
共感覚性をさせる為の音声ファイルの代わりは、あれでいいか。
さて、準備は整った。
いくぜ――――――アイズ・ヴァレンシュタイン
今度こそブッ飛ばしてやる
【イシュタル・ファミリア】の
「嘘………色くんが」
「しょうがないよ、だって相手はあの【剣姫】だもん」
「でも……でも!!あの色くんだよ!?こんな簡単にッ」
「狼狽えるな!!」
「「「!?」」」
娼婦達は声の主の方向を向いた。そこには、玉座に座る己の主神の姿が――――
「私の見込んだ男だ、あの程度でやられる訳が無いだろう」
威風堂々と言い放った美神に
「あのさ、イシュタル様」
「なんだ」
「そこまで言うんなら、さっきから握っている私の手を離してくれるかい?」
「………もう少しだけ」
先程とは違い、震えた声で小さく言う美神。アイシャは小さなため息を付き、空いている方の手で額を押さえた
「ねぇねぇアイシャ」
「ん?なんだいレナ?」
そんなアイシャに声を掛けたのは、さっきから懇意にしている
「さっきから変な音しない?」
「変な音?」
「うん、なんていうか――――大きな鐘の音が聞こえるんだよね」
その疑問に対する答えは、声援がより大きな歓声に変わった事により、かき消される
(なに………あれ)
アイズ・ヴァレンシュタインは今まで憎らしく思っていた黒の少年に、初めて困惑の視線を向ける。
否、そこにいるのは最早、黒の少年等ではない
アイズは見た、黒の少年がよく分からない物を頭に押し当てた瞬間、正体不明の黒い力が少年を包み込む所を
そして、少年が人間から怪物、更に上の存在に姿を変える所を
(翼と……角?)
そこに居るのは怪物でも人間でもない
物質化したAIMと電熱融解した
頭上に生えた一本の巻き角
完全に黒に染まり切った瞳
全身を隙間なく覆う雷
雷神
「ッ!?」
雷を司る神の様な存在感を放つそれは、呆然と見上げる【剣姫】に無動作で雷の
「【
バックステップ
咄嗟に風を纏いながら後ろに飛んだアイズは、一瞬前に自分がいた場所が雷により破壊されている事に途方もない危機感を感じた
「【
雷の翼が横凪ぎに払われ、屈んだ際に触れた自分の髪先が雷に触れた事により消滅する。足を止める訳にはいかない、そう感じた【剣姫】の頭の中に、今までに無い程の警鐘が鳴り響く
「ivsf飛wq」
気付いた時には、雷と同等の速さで目の前まで迫っていた雷神が、異界の言語を呟きながら、雷化した自身の
「【
咄嗟に唱えた三度目の
ゴオッ!!!バシュッ!!!
大部屋の中心で音が弾ける
吹き飛ばされたのは力負けしたアイズの方だ。後ろに飛んだ身体を何とか風で制御し、着地した瞬間放たれた雷砲を転がりながらギリギリ避ける。
彼女は思う、このままでは勝てないと
(それじゃダメ)
彼女は想う、あの人に勝ちたいと
(それでもダメ)
彼女は
(うん、それでいいよ)
「ちょっと強くなったからって、私に勝てると思わないで」
(さぁ、速く。目の前にいる
「ゴミ虫」
黒金色に染められた瞳の奥には燃えるような
(貴方ノ全テヲアノ人ニブツケテキテ)
いつの間にか隣に居た、漆黒のドレスを着ている幼い
「【
その呪文を唱えた瞬間、アイズは身体中の魔力が外側に放出される実感と共に、迫り来る雷神を打倒出来るだけの力を手に入れた快感を得る。
小さな
「………行く」
「――――yjrp悪qw」
そして
それは神話に刻まれるレベルの激闘
雷翼が風の鎧と接触する度に耳を
途中から雷神の力が更に強まり、体が異形に変化し、それに呼応するように風神も五度目の魔法を唱える。
風の鎧を通常の攻撃では突破出来ないと察した雷神は、剣、槍、斧、弓矢、様々な武器を具現化し雷速で射出するようになり、風神はその尽くを風の閃光を纏う一本の剣で切り払った。
「あああああああああああああああああああああああッ!!!!!」
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」
声になら無い雄叫びを上げながら、アイズは自身の
「――――――――ッ!!!!」
「クッ!?」
突如後ろから振るわれる雷爪、眼前の雷剣や雷槍を切り伏せていたアイズは、咄嗟に身体を捻り、剣を横凪ぎに振るう
バゴゥッ!!!
光と音に支配される空間の中、アイズは更に剣を真下に叩きつけるように振り下ろす
バジンッ!!!
下からかち上げられた雷斧を叩き折った彼女は、更に背後を突き刺す
ズンッ!!!!
様々な武器と自身の爪を雷速で振るう
常に全力、常に全開、考える事すら無駄とばかりに
「GAAAAAAAAAAAAA!!!!!!」
「はぁッ!!!!」
そして、その時がやって来た。二人の間に奇跡的に空いた10
疾風迅雷
裂けたのは、雷神の爪。
「…………クッ!?」
そして、風神の脇腹
「――――ッァアアアアアアアアアアアアア!!!」
雷神はこの時、勝機を見出だし、駆けた。雷の軌道のようにジグザグに動き回りながら、血が流れる脇腹を押さえている風神に容赦ない雷蹴を浴びせる
「――――シッ!!!」
しかし、それは囮だ。
少女は自分の窮地に、何時か誰かに教わり、また教えた事を断片的に思い出していた
止めの一撃は、油断に最も近い
「ウッ!?」
雷神の脚から、風神が流した同じ量の血液が噴出する。普通ならこれで決着が付いている筈だ、本来なら脚を失った人間は動けないのだから。しかし、この戦いは人間の戦いの範疇には収まらない、故に、まともに動けない二人が取った行動は
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」
防御を捨てた死闘
腕を振るう度に血を飛ばし
脚がブレる度に肉が削れ
身体を動かす度に命を燃やす
この時点で意識を飛ばしながら闘っている二人は、お互いの事しか考えていない
異端児の事も忘れ
仲間の事も忘れ
家族の事も忘れ
自分の
ただ目の前の存在を殺す事だけは忘れずに
そして
遂に決着の時が来た
それは隙だ、風神の僅かに出来た隙。しかし先ほどの事で学習した雷神は飛び付かず、身体を宙に踊らせる
「「………」」
一瞬だけ絡まった視線
覚醒する意識
煮え滾る想い
「
「リル・ラファーガ!!!!」
今までの数倍強力になっている、お互いの必殺が放たれた。上から落とされた黒雷と下から跳んだ神風は、部屋の中央で爆発に変わり。
閃光と破壊に包まれた空間で色は唯一動かせる左腕を振り絞った。
(てめぇにだけは、二度と見下されねぇッ!!!!)
見下ろしてくる
だから少年は手を伸ばす
自分の奥に秘められた力に手を伸ばす
「うぉおおおおおおおおおおおおお!!!!」
雷翼が黒翼に変わり
「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
黒翼が白翼に変貌した
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!」
「エェェアァァリィィアァァルゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!」
拳と剣、二つの
色とアイズは白い光に包まれた
――――貴方は誰?
真っ白な空間の中、大人の
(貴方は私)
――――――――違う
明確な否定、大人の
(私を殺すの?)
――――貴方はいらない
否定、銀閃が
――――純黒を纏ったアイズが三日月の笑みを浮かべた
(本当にいいのかよ?お姫様)
気づけば、幼いアイズは何処にも居なくなっていて
(今の戦いはアンタだって悪くなかっただろ?)
代わりに居るのは――――何かだ
(だってよ、この一戦だけでアンタの【ステイタス】は劇的に延びている筈だぜ?)
何かは、やけに愉しそうにアイズに語りかけてくる
(今までは確かに、こっちが一方的に楽させて貰ったけど?こっからはお互いWin-Winの関係ってやつだ。だから仲良くしていかないか?)
その言葉の羅列にピクリとも耳を貸さず、アイズは銀剣を振り上げた
(チッ黙りかよ。糞っタレのアビリティが、何処までも俺の邪魔をしやがって。あーあ、せっかく相性抜群の混じり者を見つけたってのに勿体ない)
一閃――――アイズの中に居た、何かは、これ以上喋らせたくないかの様に、容赦なく切り捨てられる
(まぁいい、方法は幾らでもある。止まっている暇はないぜ――――)
ご主人様
そして、
「……………ぁ……」
溢れてくる記憶は過去の自分
「ぁぁ…………」
何時も何時も、彼の姿を見かけては攻撃していた自分
「んあっ…あぁ……あああああ……ああああああああああッッ!!!」
激しい雨の中、常に彼の命を散らそうとしている自分
「わたしっ…わたしっ……なんてことを………」
限界越えた力を使い、全力で彼と殺し合う自分
「わたしっ………私なんて事をッ!!!!!」
そして、ボロ布の様に墜ちていく彼と、それを見上げる自分
「あああああ…!!!あぁ…!!あぁあああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
溢れてくる涙、喉から絞り出される叫換、絶え間ない後悔
少女は顔を涙でぐちゃぐちゃにさせながら、全力で風を纏い彼の元へ駆け抜けた。
――――速くッ
――――もっと速くッ!!!
――――もっともっと速くッ!!!!
産まれて初めて叩き出した最速のスピードは、少年が地面に落ちる前に追い付いた。しかしそこで魔力が切れたのだろう、体の制御が効かなくなった少女は、傷だらけの少年をしっかりと抱き締め、その勢いのまま
「……う……ぐっ………死な……ないで……」
先程の戦いと、ぶつかった衝撃で意識を朦朧とさせながらも、決して放さなかった腕の中の少年にアイズは言葉を掛けた
「死なないで………死なないでッ!!!」
何度も掛ける言葉とは裏腹に、色の心音は徐々に小さくなっていく。その事に顔を青ざめさせたアイズは回りを見渡すが、あるのは瓦礫と破壊の傷跡だけ
(なにか………なにかないのッ…………あ!?)
思い出した、確かあの時彼は!!
アイズは色の衣服を脱がし初めた、ボロボロになっている制服だが一ヶ所だけ無事な所がある。それは心臓の部分、手を伸ばすのはそこの内ポケット。
(………あった!!…………ッ!?)
そこには三本の試験管が入っていた。うち二本はアイズの目論み通り
(
考えずとも理解できる。
どこまでも優しい彼はきっと、ずっとあんな態度を取っていた自分ですら救う手段を用意していたのだ。
溢れた涙が止まらない
(………これでッ!!)
傷が塞がった彼の容態が、少しも好転していない事に
「なんでッ!!!なんでッ!?」
アイズは知らない、黒鐘 色は限界をとうに越え過ぎていた。【
故に、外傷は完治出来たとしても、内蔵は取り返しの付かない事態になっている
「死なないでッ!!生きてッ!!色ッ!!!」
それは咄嗟の判断
試験管に半分ほど残っていた
血を垂れ流す少年の唇に、自身の唇を押し当てた
(お願い………生きて…………色…………死なない………で………)
――――あなたも素敵な
――――いつか、お前だけの英雄に巡り会えるといいな
二人の言葉に、純白の衣服を着込んだ幼い
『うん、会えたよ。でも私ね、その人にいっぱい酷いことしちゃった。だから今度は………』
数秒後、アイズはずっと自分と戦ってくれた
場面は移り変わる
「なんでですか………」
白の少年は自分に立ち塞がる存在に声を震わせた
「やれやれ、死ぬところじゃったわい」
「聖衣が無ければ危なかったぞ」
それは氷像から自力で解き放たれたドワーフとハイエルフ――――ではなく
「君の勇気、見せてもらったよ」
大爆発の中、小さな少女を守り切った
「なんで…………どうしてッ!?」
漆黒の体皮、紅色の角、片手に持った
「どうしてですかッ!?アステリオスさんッ!!!!」
あと少しで
「悪いけど彼は」
勇者は錯乱する兎に、絶望的な一言を投げ掛けた
「すでに『
ベル・クラネルの死闘が始まる
「オオオオオオオオオオオオオッッ!!!」
「ッ!?」
歴史に刻まれる死闘が
リリルカ・アーデ
Lv.2
力:A870
耐久:D541
器用:I83
敏捷:G206
魔力:I28
狩人:H
《魔法》
【シンダー・エラ】
・変身魔法
・変身後は詠唱時のイメージ依存。具体性欠如の際は
・模倣推奨
・詠唱式【貴方の刻印(きず)は私のもの。私の刻印(きず)は私のもの】
・解呪式【響く十二時のお告げ】
《スキル》
【
・一定以上の装備加重時における補正。
・能力補正は重量に比例。
【
・装備加重時における倍率補正。
・能力補正は重量に比例し上昇。
・力値限定。
ふはは、誰もアイズが色とチューするとは思ってなかっただろう。
ベルとアイズのフラグをバッキバキに折っていたのは殆ど、この為だったんだぜ。
【ロキ・ファミリア】との戦いの行方と
これからの色とアイズの関係の変化をお楽しみに