ダンジョンをとあるチート持ちが攻略するのは間違っているのだろうか   作:しろちゃん

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すみません、長くなりました。


第42話 とあるファミリアの嬋媛なる一日

小鳥の囀ずりが心地よく聞こえる早朝、とある館の一室からベットの軋む音と共に少女の甘えるような声が溢れる

 

「いっしょに………イク?」

 

「いや、お前一人でイケよ」

 

男に跨がった少女は耳元でそう言い、面倒臭そうな声が返された。

 

「でも私、色と……いっしょにイキたい」

 

「………はぁ、全く」

 

その後、何度かモゾモゾと衣擦れの音が部屋の中に響き―――ガチャ

 

「で、何で俺の部屋にコイツを居れたんだよ、ヘスティア」

 

「ヒッ!?」

 

扉の前で聞き耳を立てていたヘスティアは、聴いた事もない眷族の冷たい声に赤くなった顔を真っ青にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、色君とヴァレ………アイズ君が仲良くなったらいいなぁって思っただけなんだよ」

 

「余計なお世話だっつうの!!【ロキ・ファミリア】に居た時ならいざ知らず、何で自分の家でまでコイツと一緒に居なきゃならんのだ!」

 

「またまたぁ、アイズ君が傍にいてくれたから余計な事を深く考えずに助かったって言ってたじゃないか」

 

「それは、そう言う事じゃねぇって、何度も説明しただろうが!!!」

 

「色、一緒にダンジョン行こ?」

 

「行かねぇよ!!どこまでマイペースなんだお前は!!!」

 

アイズに突っ込んだ色は、最近恒例になりつつあるやり取りに、頭を押さえた。

 

切っ掛けは、色が【ヘスティア・ファミリア】に戻った翌日、【ステイタス】を更新した日だ。

 

色の背中に跨がったヘスティアは【ステイタス】を更新しながら、色々あってそれまで聞けなかった【ロキ・ファミリア】での生活の話を切り出した。

 

その時、色はアイズとの変化した関係をポロっと話してしまい、ヘスティアは盛大に勘違い。

 

翌日から色をダンジョンに誘いにきたアイズを、息子に出来た彼女を快く招き入れる母親よろしく、館に普通に入らせてお茶まで出すようになり。

 

とうとう、部屋には入れるな、と張っていた最終防衛ラインも普通に破って来たのだから、色にとってたまったものじゃなかった。

 

「おはようございます、アイズさん」

 

「おはよう、リリ」

 

「色さんは朝から騒がしいですよ。いい加減慣れたらどうですか?」

 

「うっせぇ」

 

因みに、アイズが鐘楼の館に出入りしている事は、既に殆どの団員にとって当たり前になっていた。これは、日々の異常事態で感覚が麻痺している事も関係しているのだが………

 

「それで、今日はどこまで進展したのですか?」

 

「ベットの中までは入ったらしいんだけどね。何もなかったみたいだ」

 

「そうですか、まぁ色さんはその時の欲情に流されるタイプでは無いですからね。仕方ありません、とりあえず今日もベル様とは一番離れた位置に座ってもらいましょう」

 

「了解した。誘導は任せておくれ」

 

恋する乙女の嗅覚により、余計な虫(一番の強敵)をベルから遠ざける為の苦渋の決断により実行された作戦の賜物だったりする。

 

人はそれを生け贄、または人柱と言う。

 

「それじゃあ皆、手を合わせて。いただきます」

 

「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」

 

アイズを合わせた計8人が、ヘスティアの合図と共に食事を始めた。ある者は味噌汁を啜りながら、ある者は金色の少女に緊張しながら、ある者は漬物に舌鼓を打ちながら、朝の食卓に会話という花を咲かせる

 

「今日ボクは神会(デナトゥス)に行くんだけど、夜の調整をするから他の皆の予定を聴かせてくれないかな?」

 

「予定ですか?僕は遠征の為に青の薬舗にポーション類を買いに行こうと思ってますけど―――あの、その、良ければアイズさんも……」

 

「ベル様はリ・リ・と・行くんですよね!!!随分前から約束してましたからね!!!」

 

「ベル、どうかした?はい色、お醤油」

 

「ん、あんがとよ」

 

「な、何でもありません、あはは………はぁ」

 

「自分は色殿と一緒に入団試験ですね。今回こそ新しい団員が入ってくれればいいのですが……」

 

「どうなるかねぇ。別に厳しすぎる試験って訳じゃねぇと思うんだけど」

 

「色、私もその試験見に行って良い?」

 

「どうせ拒否っても着いてくるんだから、勝手にしろよ」

 

「うん、着いてく」

「俺は春姫と新武器の試し撃ちだな、食べ終わったら工房前でいいか?」

 

「はい、わかりました。ヴェルフ様が(わたくし)の為に作って下さった武器。今から楽しみで御座います」

 

「ウィーネ君はどうするんだい?色君に着いていくかい?」

 

「ううん、わたし神様に付いていく!!」

 

「ボクにかい?うーん、まぁいいか、それじゃあ一緒に神会(デュミナス)に行こう」

 

「うん!!」

 

それぞれの予定が決まった所で朝食の中身は殆ど空になっており、【ヘスティア・ファミリア】の一日が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は館前の大きめの庭、少し大きめの台に乗った色は眼下に広がる大勢の亜人種(デミ・ヒューマン)に声を掛ける

 

「えぇ、皆さん。本日はお集まり下さってありがとうございます。それでは早速、【ヘスティア・ファミリア】入団試験を始めようと思います」

 

音の向き(ベクトル)を操り響かせた声に、庭に集まった大量の冒険者は少しだけざわついたが、そんな者を気にせず色は試験内容の説明に移った

 

「まずは簡単な体力テスト、その後に面接ですね。合格された方は後々報告に行きますので、出来るだけ住所は変えないで下さい、それと………」

 

「わかったから早く始めろ!!!」

 

「俺はもう三日前からこの時を待ってたんだ!!!」

 

かなり義務的な声で色は話していたのだが、【ロキ・ファミリア】と良い勝負まで持ち込んだ新参ファミリア、というネームバリューを聞きつけて、オラリオの外からやって来た腕自慢のならず者達には、その違和感に気付ける筈も無く。

 

「まったく、これだから野蛮な種族は。体力テストと面接なんて簡単な試験で、万が一アイツらと一緒のファミリアになったらゾッとするな」

 

「ほんとねぇ。でも私達みたいな高貴な種族と、あんなのとを一緒に合格させるなんて思わないけど?」

 

また、遠い異国からやって来たエルフ等は他種族を卑下することに頭を使っており、同じく何度も説明して疲れた様な機械的な声に全く気付けなかった。

 

「はい、それでは説明終わりましたので、体力テストを始めます」

 

程無くして説明が終わり、やっとか、と殆ど話を聞いていなかった亜人種(デミ・ヒューマン)達は意気込んだ

 

「それじゃあ、一時間以内にあそこまでたどり着いて下さい」

 

「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」

 

色が指さしたのは、彼等が居る所から100(メドル)付近の所。入団希望者達は一瞬呆気に取られた。本来ならここは馬鹿にされている、と憤る所だろう、しかし色の次の言葉にそんな余裕は消滅する

 

そう、彼らは知らないのだ。この体力テストに合格した人類が、今まで繰り広げられた入団テストで一人も居ないという事を………

 

「それじゃあ、命ちゃん。よろしくね」

「わかりました――――【フツノミタマ】!!」

 

「「「「「「「「「グギャ!?」」」」」」」」」

 

ずっと溜められてた《魔法》が解放され、入団希望者達からカエルが潰れたような声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、今日はどれぐらい残ると思いますか?」

 

「0」

 

「ですよねぇ」

 

眼下に広がる地獄絵図を見た二人は淡白な会話をする。勿論、命は全力を出しておらず、100(メドル)という距離も、最初の試験よりかなり妥協した結果の距離だ。

 

しかし、《魔導》が発現した命の【フツノミタマ】は、例え手加減していても平均的なLv.2の冒険者が身動き取れなくなる程の威力を誇っていた

 

「あ、あの、色に命……さん?あの人……気絶してると思うんだけど、大丈……夫?」

 

「そうですね………あれぐらいなら後で高等回復薬(ハイ・ポーション)掛けとけば大丈夫ですよ」

 

「おい、あんまり他のファミリアの入団試験に口出すなよ」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「まぁまぁ、色殿も最初はアイズ殿と同じ様に、入団希望者の方々を心配なされて―――」

 

「ちょっと命ちゃん!?余計なこと言わないで!!」

 

因みに、この入団試験がやり過ぎだと【ヘスティア・ファミリア】が気付くのは、もう少し先の話だったりする。

 

「おぉ、ヴェル吉の言う通りおったな。久方ぶりじゃのう色に【剣姫】、防具を届けに来てやったぞ!!」

 

「お久しぶりです椿さん」

 

「お久し……ぶりです」

 

談笑している三人に声を掛けて来たのは、【ヘファイストス・ファミリア】の団長、椿・コルブランドだ。長身の彼女は色を見かけた後、直ぐに入団試験の有様に気付き頬を引きつらせる、しかし一団長として他ファミリアの入団試験に関わる訳にもいかず、見なかった事にした。

 

決して泡を吹いたり、白目を向いている人間を見捨てた訳では無い

 

「遂に完成ですか。丁度、もう直ぐ遠征だったので助かります」

 

「そうかそうか、間に合って何よりじゃ。それじゃあ早速着けてみてくれ」

 

「ち、ちょっと待って下さい。あの、この方は?」

 

事情を把握していなかった命に色は一連の経緯を説明した

 

「えぇ!?あの椿・コルブランドを専属鍛冶師(スミス)にしたぁ!?」

 

「いや、いうて防具専門だけどな」

 

「それでもオラリオ一の鍛冶師(スミス)ですよぉ!?うぅ、何と羨ましい」

 

「はっはっはっ、そのオラリオ一の鍛冶師(スミス)の専属を、こやつは一回蹴っておるのだ」

 

「はぁ!?」

 

「ちょっと椿さん!!そんな事より防具の説明をお願いします!!!」

 

色は冷や汗を掻きながら椿に防具の説明を促した。理由は、ヴェルフに椿の防具を使っていいか聞いた時に、冒険者が質の良い防具を使うのは当たり前の事だ、だからいらん気を使うんじゃない。と、泣きそうになるぐらいこっぴどく説教されたからだ。それ以来、色にとって専属鍛冶師(スミス)を蹴った話は思い出したくない記憶(トラウマ)になっていた。

 

「うむ、まずはこれが新しい防具じゃ」

 

色の前に差し出されたものは、黒籠手(デスガメ)とほぼ同じデザインのガントレットだった。受け取って上下ひっくり返してみるも、変わった所は手首の部分に散りばめられていた石が一つの大きな石になっている事ぐらいしか無い

 

「とりあえず、前のより丈夫なのは何と無く解りますね。同じ最硬金属(オリハルコン)でも鍛冶師の腕だけでここまで違うもんなんですか?」

 

「当たり前じゃ。料理とて一級品の食品を使っても料理人の腕がぞんざいじゃったら、大したもんも出来んじゃろ?それと同じじゃ」

 

「なるほど、一理ありますね。それで、丈夫になっただけじゃないんでしょ?」

 

「ほぅ、よくわかったの」

 

「まぁ、その瞳は見慣れていますから」

 

新作を作る度に、ギラギラと瞳を輝かせる鍛冶師を思い出した色は、苦笑いしながらそう言った。

 

「まずは雷を発生させてくれんか?」

 

「分かりました」

 

椿に言われた通り、色は《魔法》を発動させる。バチィッという効果音と共に、周囲に影響が及ばない程の微弱な電気を周りに纏った

 

「よし、そのまま《スキル》を使って全部の電をガントレットに持っていけ」

 

「ウッス」

 

アイズと命が見守る中、返事をした色が雷を集めてくと、ボゥと小さな雷の槍が掌に出現した。

 

「え、なにこれ?」

 

「………これって」

 

「なんとも面妖な」

 

「ふっふっふっ、成功じゃな。それじゃあ、打ち出してみろ」

 

色が雷槍をベクトル操作で空に打ち出すと、バシュという効果音と共に物凄い速度で上に上がっていき、数秒でアイズも黙視できない高さまで打ち上げられた

 

「え、本当なにこれ?」

 

色は戸惑った。何故なら、あの小さな槍は明らかに超電磁砲(レールガン)以上の威力が出てたからだ。

 

「その籠手の名前は《雷霆(ライテイ)》、お主の雷に形を与える防具じゃ」

 

三人の説明を求める瞳が一点に集まり、単眼の鍛冶師(スミス)は大いに口元を歪めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャー!!なにこれ!?触ってもいいかしら!?」

 

「いいですけど、あまり動かさないでくださいね」

 

何時もなら、鉄を打つ音と少しの喋り声ぐらいしか出て来ない【ヘスティア・ファミリア】の工房に、珍しく女性の黄色い声が鳴り響いた。

 

「すごい、凄いわヴェルフ。これも魔剣、あれも魔剣、こんなのも魔剣なの!?」

 

「あの、ヘファイストス様?本当に触るだけにして下さいね?間違って発動でもしたら、この工房吹き飛ぶんで」

 

様々な形の魔剣を観て、まるで子供の様にはしゃぐ鍛冶神を、ヴェルフはずっと心配そうに見守っており

 

「ふふふ、ヴェルフったら心配性ね。私は鍛冶神よ?大丈夫に決まって―――グピャ!?」

 

「ヘファイストス様!?」

 

遂に誤って重力魔剣に触れ、重力に潰されたヘファイストスをヴェルフは慌てて助け出した。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「え、えぇ……大丈夫よ。そう、これが重力を操る魔剣なのね」

 

一回痛い目を見て冷静になったヘファイストスは、今度は直接触れずに『鈍刀・重』をジッと見つめた後、ゆっくりと向き直り

 

「………今日、私が来た理由はね。その魔剣の鞘を作らせて欲しいの」

 

と、ヴェルフが背負っている一本の大剣を指さしながらそう言った。

 

「コイツのですか?」

 

そう言いながら背負っていた魔剣をヘファイストスの前に持って行き、厳重に巻かれていた布を解いて行く。まるで封印から解放されたかのように現れたのは、黒い刀身に星座の様に広がる幾何学な赤模様、柄にも特徴的な紅い宝石が填めてあるバスターソード並みの大きさの魔剣だった。

 

それを見たヘファイストスの頬が吊り上がる

 

「何時見ても素晴らしいわね。この”完成された魔剣”は」

 

「止めて下さいヘファイストス様、前にも説明しましたが、これはまだ完成してないですから」

 

「そういえばそうだったわね。でも名前ぐらい決めたら?」

 

「いや、完成してない武器に名前なんて付けられません。それより、この鞘を本当に作ってくれるんですか?」

 

「えぇ、ちゃんとした鞘を用意してあげるわ。代金は良い物を見せて貰ったって事でチャラにしてあげる」

 

ウインクを飛ばしてくるヘファイストスにヴェルフは苦笑いしながら、代金はしっかり払いますよ、と流石に遠慮してしまう。

 

しかし、ヘファイストスも良い物を見せて貰ったのから鞘代をタダにする、と一度言ったからには引き下がる訳にはいかず、詰め寄ろうとした時

 

ガチャと扉を開けて、見惚れるほど綺麗に手入れされている金色を携えた少女が一人、慌てた様子で入って来た。

 

「すみません、ヴェルフ様!!遅れてしまいました!!」

 

「ん?春姫か、あまり待ってないから気にするな。えっと、やっぱり鞘代は払いますよ、ヘファイストス様?」

 

「いえ、その事は後でいいわ。それより、彼女は?」

 

「え?あぁ、こいつは同じ眷族(ファミリア)の春姫です」

 

「は、はじめまして!!(わたくし)、春姫と申します。話には存じております、ヴェルフ様の前の主神様のヘファイスト様ですよね?」

 

「えぇそうよ。私がヘスティアの前にヴェルフの主神だったヘファイストス、よろしくね」

 

「は、はい。よろしくお願いします」

 

ヘファイストスに差し出された手を春姫は緊張の面持ちで握り返す。それを見ていたヴェルフは微妙に居心地が悪くなり、話を切り出した。

 

「これから新しい武器の実験をしようと思うんですけど、ヘファイストス様も来ますか?」

 

その提案にヘファイストスは春姫の手を握りながら笑顔で答える

 

「それよりも、ヴェルフ」

 

「なんですか?」

 

「この子は貴方の何なのかしら?」

 

「は?」

 

鍛冶師のなんとも間抜けな声が工房を僅かに震わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェルフ達が向かった先は屋敷の裏庭だった。そこそこ広い広場は、普段から武器の実験に使われているにもかかわらず、とある異世界人によって常に整備されていたりする。

 

「それじゃあ早速だが、お前の武器の説明をするぞ」

 

そう言ったヴェルフは工房から持ったて来たアタッシュケースを地面に置き、不思議そうにのぞき込んで来る二人に見えるようにゆっくりと開けた

 

「これは?」

 

中に入っていた九つ武器の見たヘファイストスは困惑する。彼女はその中の一つだけ知っていたが、他の八つがあまりにも形状が違いすぎるからた。

 

しかし、色にほぼ毎日異界の物語を聴きに行っていた春姫は、その武器の名前を知っていた。

 

「銃で御座いますか!?」

 

特徴的なグリップと引き金、黒色の銃身には白い狐のマークが彫られてあるそれは、色の世界において絶対的な力の象徴だ。

 

スマホの画像でしか見たことのないその一つを、春姫は少しだけ興奮しながら持ち上げた。

 

「凄い!!本物、本物ですよヴェルフ様!!」

 

「いや、色の話を聞いたら結構足りないところがあってな。そこん所は他の物で代用してあるから本物とは違うぞ」

 

「そんな事よりヴェルフ様!!試し撃ちしてもよろしいでしょうか!?」

 

「お、おう、そのために裏庭に来たんだからな。向こうに的を用意してるから撃ってみろ」

 

「流石はヴェルフ様、素敵です!!」

 

「そりゃどうも。ていうか、お前今日はヤケにテンション高いな」

 

「最近緋弾のアリアと言う物語を色様に聴かせて貰ったんですけど――――」

 

ゴホンッ

 

「その話は後にして今はヴェルフからその武器の説明を聞きたいんだけどいいかしら、春姫さん?」

 

「え…あ、はい。その、舞い上がってしまい、申し訳ありません、ヘファイストス様」

 

「わかってくれれば良いのよ?」

 

「ヒッ!?」

 

無意識にヴェルフに迫っていた春姫は、鍛冶神にニッコリと笑われながらそう言われ、小さい悲鳴と共に全身の毛を逆立てた。

 

その後ヘファイストスに視線で先を促されたヴェルフは、冷や汗をかきながら武器の説明に移る。

 

「と、とりあえず、これはヘファイストス様も知ってますね」

 

ヴェルフが指差したのはヘファイストスが唯一知っていた銃、『炎刀・虚空』だった。首を縦に降ったヘファイストスに今度は細長い銃を持ち上げたヴェルフが説明を始める

 

「虚空は大型の魔弾を打ち出す銃何ですけど、これは鉛弾を打ち出す銃何ですよ」

 

「鉛弾?」

 

「まぁ実際見た方が分かりやすいと思うんで一発撃ってみますね。春姫」

 

「畏まりました!!」

 

他の銃を見ていた春姫は長銃を受け取り、一本の木に標準を合わせ引き金を引いた。

 

バンッ!!

 

あまりの銃声にヘファイストスの瞳が見開かれた。一瞬の沈黙の後、木の中心には見事に穴が空けられ、銃口から煙が出ているのを確認したヴェルフの口から

 

「この九つの銃の名前は『炎刀シリーズ』と言いまして………」

 

後の世に《伝説の武器(レジェンド・ウエポン)》と呼ばれる武器の説明が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある薬舗まで向かう大通り

 

そこには、人目を一身に引き付ける大きな影と小さな影がその歩みをゆっくりと進めていた

 

「それで買い物リストには、ちゃっかり超硬金属(アダマンタイト)が書かれていたの?」

 

小さな影は、白髪赤目の何処か兎を連想させる少年、ベル・クラネルだ。彼は隣を歩く大きな影の持ち主が持っているメモ用紙に視線を落した

 

「そうなんですよ。人造迷宮(ダイダロス)から盗んだ資材を使い込んだからって、ヴェルフさんにはもう少し財政の事を考えて欲しいもんですね」

 

その影の持ち主は背中に巨大な槌(ビック・ハンマー)を背負っている小柄な少女、小人族(パルゥム)のリリである。自身の五倍ほどもある槌を軽々と背負っている彼女は、難しい顔をしながら鉄籠手に挟まれているメモ用紙を凝視していた

 

「まぁまぁ、ヴェルフのお陰でその武器も完成したんだし、今回ぐらい多めに見てあげたら?」

 

「それはそれ、これはこれですよ、ベル様。【ヘスティア・ファミリア】は今回の戦争遊戯(ウォーゲーム)のお陰で絶賛財政難なのですから、出費は出来るだけ抑えないといけません」

 

「で、でもイザとなったら、お金の事は任せろってイシュタル様が―――」

 

「幾ら従属神だからってお金の貸し借りはもっと考えないと駄目ですよ!!」

 

「す、すみません」

 

その鋭い指摘にベルは縮こまる。リリがここまできつく言う理由は、ひとえに【ヘスティア・ファミリア】の莫大な出費と激減した稼ぎにあった。少し前までは、まだ中層で荒稼ぎした金で何とかなっていた。と、言うよりも稼ぎ過ぎていたぐらいだ。それは異常なモンスターの大量発生を完璧に処理し、近くに換金出来る街(リヴィラ)がある事が主な要素だったのだが、つい先日ダンジョンに潜った所、中層以上の階層の大量発生がピタリと無くなったのだ。

 

それは正しく【ヘスティア・ファミリア】にとって―――いや、その稼ぎを計算に入れていたリリルカ・アーデにとって青天の霹靂とも言える異常事態だった。

 

幸い、下層からはいつも通り『怪物の宴(モンスター・パーティー)』の連続発生が起こったのだが、馬鹿みたいな数の閃燕(イグアス)が飛び交うような所で手に入れた魔石を守りきれず、結果的に37階層の階層主(ウダイオス)の魔石と他のモンスターの魔石合わせて数千万ヴァリスしか稼げなかったのだ。

 

これは大量の武器素材と回復(ポーション)系統を常日頃浪費する【ヘスティア・ファミリア】には由々しき事態である。

 

「全く、ベル様も色さんもヴェルフさんに甘いんですよ。確かにい良い武器を作ってくれるのは感謝しているんですけど、それだけ出費が重なるって事も理解して欲しいもんですね」

 

「はい、ごめんなさい。反省します」

 

つらつらと流れるように滑り出した小言(マシンガントーク)にベルの頭は上がらない。そのまま歩きながら謝罪し続けなければならないのか、ベルがそう覚悟したその時、思わぬ所から救いの手が差し伸べられた

 

「やぁリリ、こんな所で会うなんて奇遇だね」

 

黄金色の髪に、リリと同じぐらい低い身の丈。子供のような外見にかかわらず、大人の貫禄を纏った小人族(パルゥム)、【ロキ・ファミリア】の首領、フィン・ディムナ

 

並みの冒険者なら出会っただけで動揺するであろう第一級冒険者の登場に声を掛けられた張本人はというと

 

「また貴方ですか、勇者様」

 

溜息を吐きだしそうな程、心底面倒臭そうな瞳で対応するのであった。

 

「ははは、随分辛辣だね。でもここで会ったのも何かの縁だ、良かったら一緒にお茶でもどうかな?」

 

「はぁ?これで五回目なのに偶然って言い張るんですか?【勇者(ブレイバー)】なんて呼ばれてるわりには随分小賢しいんですね、勇者様?」

 

「は、ははは、手厳しいね」

 

(リリィいいいいいいいいい!?)

 

いくら戦ったとはいえ、オラリオの有名人に対する容赦のない毒舌にベルの胃が締め付けられる。

 

「それで、良かったらお茶でも」

 

「行く訳無いじゃないですか。これまで四回とも同じ返答なの覚えてないんですか?勇者様?」

 

そう、リリの言う通りフィン・ディムナは色が本拠(ホーム)に帰ってから計四回こうやって偶然を装いリリを誘っていた。それは彼が掲げる一族の再興に彼女が必要だと判断したからであり、その事情をある程度解っていたリリも最初はここまで塩対応はしていなかったのだが、とある事情により関係は最悪な物になりつつあった。

 

「そうか、すまない。またころ合いを見て――――」

 

「来なくていいですから!!馬鹿なんですか貴方は!?いい加減にしてください、リリはですね!!」

 

「リ、リリ落ち着いて!?ほら、あまり騒ぎ大きくするとあの人が来るよ!!」

 

「わかっていますよ!!でもしょうがないじゃないですか!!この腐れ勇者様はそれが狙いなんですよ!!!」

 

叫ぶリリはもう手遅れだと感じていた。何故なら、今までしつこく食い下がってた男が忽然と姿を消したからだ。代わりに鳴り響く地響きとうなり声、大通りにひしめく群衆をかき分け、とある少女が怒りの形相で向かってくる

 

「リィリィルゥカァアァアアアアアデェェェェエエエエエエエエエエエエエエ!!!」

 

そのアマゾネス名はティオネ・ヒリュテ。黒い正気を漂わせた彼女は、ドドドドドドドドドッと地鳴りを起こしながら突き進み、リリの前で停止した。今にも殺しそうなほどの殺気を放っている凶戦士(バーサーカー)に対し、小さな小人族(パルゥム)の少女は

 

「ちょっと顔が近いんですけど離れて貰えませんかねぇ、ヒリュテさん?」

 

一歩も引かずに真っ向から鬼のような形相で睨み返した

 

「おいヤベェよ、ヤベェよ」

 

「ひぃぃぃい、神様お助け!!」

 

「黒金が最近やらねぇと思ったら今度はあいつ等かよ!?勘弁してくれ!!」

 

周りの人間は被害が及ばない範囲に脱兎のごとく逃げていく。最後に残った兎は冷や汗をかきながら、これから始まる勝負を見届ける為に僅かに身構えた

 

「全く、毎回毎回面倒臭いですねぇ。いいでしょう、せっかくのデートを邪魔されてイライラしてる所ですし今回の勝負はリリの一撃を100(メドル)まで耐えられたら勝ちにしてあげますよ」

 

「小娘が粋がりやがって!!上等だ、どこからでも掛かってきやがれ!!!」

 

その場でドカッと胡坐を掻き完全な待ちの態勢に入ったアマゾネスに、リリは容赦なく背中の巨大な槌(ビック・ハンマー)を持ち上げた。すると鉄籠手から雷が生じ、瞬く間に巨大な槌に絡みつき、瞬間リリの足元がその重量に耐え切れずひび割れる。

 

「言っときますけど、この『観醉屡爾鏤(ミョルニル)』はリリが持った最重の鎚です。生半可な覚悟じゃ――――死にますよ?」

 

その光景を遠目から見ていた民衆は、顔を真っ青にしており、流石の【怒蛇(ヨルムガンド)】もゴクリと生唾を飲み込む。しかし闘気は衰えず、更なる覚悟を持った目で睨んで来る凶戦士(ティオネ)(リリ)は犬歯を見せて獰猛に嗤う

 

「いいでしょう。そこまでの覚悟がおありなら、リリも全力を見せましょうか」

 

ブワッ

 

そう言ったリリルカ・アーデの体から、突如白い霧が発生した。

 

その瞬間ティオネは目の前の小人族(パルゥム)が何倍にも膨れ上がったような感覚に陥る。勿論、それはティオネが作り出した幻覚で実際にリリが大きくなった訳ではないのだが、この霧に包まれた人間全てが、小人族(パルゥム)の少女が巨人に見える錯覚に陥っていたのだ

 

誰一人動行けない空間の中で

 

ただ一人、白髪の少年だけは声を荒げる

 

「リリッ!!白い霧は駄目だよ!!!!」

 

しかし、その声が届くのはあまりにも遅すぎる

 

(嘘………でしょ)

 

―――死ぬ

 

アマゾネスの凶戦士は振りかぶられた大槌に数秒後にある自身の結末を視た

 

あれは耐えられるなんて次元の物ではない

 

あれは防ぎきるなんて次元のものではない

 

あれは生き残るなんて次元のものではない

 

確実な死、引き伸ばされる時間

 

しかし、しかしだ

 

この一撃を堪え切れたら愛しき人と一夜を過ごせる

 

走馬燈に映る自身の思い人がティオネを心の底から奮い立たせた

 

(負けて堪るか!!!!)

 

両腕をクロスさせ、頭を低くする

 

完全な守りの態勢、覚悟を決めたに、鬼の一撃が襲い掛かった

 

ドンッッ!!

 

「な!?」

 

「あぁ」

 

「へ?」

 

しかし少女は成す統べなく100(メドル)以上吹き飛ばされる

 

「えっと、リリ?」

 

槌を持っている逆の手に持たれている風の魔剣によって………

 

「てんめぇぇえええええ!!!糞小人族(パルゥム)がぁぁぁあああ!!どうしてその槌で攻撃してこねぇ!!!」

 

「いや、本気でやる訳無いじゃないですか。さ、今回の勝負もリリの勝ちだったんですからとっととお家(ホーム)に帰って下さい」

 

「んだとぉ!!!」

 

100(メドル)以上の距離をひとっ飛びで無くしたティオネに、リリは先ほどの威圧感が嘘だったかのような笑顔でこう答えた。

 

「いいんですか破って?貴方と勇者様の大事な大事な契約ですよね?」

 

満面の笑みで言い切った小人族(パルゥム)にティオネは若干涙目になりながら

 

「ううぅぅ、わかったわよ!!次は勝ってやるんだから首洗って待ってなさい!!」

 

捨てセリフを残しながら大人しく退散し

 

「いや、どっちかっていうと貴方が待っているのでは?」

 

「リリも大変だね」

 

「「はぁ………」」

 

後に残された【ヘスティア・ファミリア】の二人は大きく肩を落とすのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オラリオ中心にそびえ立つ摩天楼施設『バベル』

 

その三十階層の大広間は、いつにない喧騒に包まれていた。

 

神会(デナトゥス)』である。

 

暇を持て余した老若男女の神々がこぞって出席し、何時もは名ばかりの諮問機関を開催しているのだが。今回は異色の一人の少女が神々を沸かせていた

 

「はいはーい!!わたしは『桃饅頭(ハピ☆ナス)』がいいと思います!!」

 

「おおおおおお!!流石ウィーネちゃんだ!!」

 

「ナイス二つ名!!」

 

「いやー、こんな可愛い子に命名して貰って、その子供も幸せだな!!!」

 

「ねぇねぇ、わたし凄い?」

 

「「「「「「「「「「「凄い!!凄い!」」」」」」」」」」」

 

「えへへー」

 

進行は滞りなく進み、二つ名を決める命名式で竜女(ヴィーヴル)の眩しい笑顔が神々に炸裂。するとまるで孫を持った爺婆並みに神達は破顔した。

 

「「「「「「「ウィーネたん超かわいい!!!!」」」」」」

 

「やめてくれぇえええええええええええええええ!!」

 

たった一柱、痛い名前を付けられた子供の親という犠牲者を除けば………

 

「くふふ、ウィーネちゃんなかなか良いセンスしとるやんか。アレはドチビの仕込みか?」

 

「な訳ないだろ。アレはボクの眷属(こども)の入れ知恵だよ。はぁ、あれだけ純粋だったウィーネ君が、まさかあんな言葉を覚えるなんてね」

 

「入れ知恵?ウィーネが真似するという事は、やはり色か。ふむふむ、あのネーミングセンス。ふふふ、いくら力が強かろうと色もまだまだ子供という訳か」

 

「あ~イシュタル?言っとくけど色君は神々(ボクら)よりのセンスだから、あれは色君から学んだわけじゃないからね?ああっと、でも誰からの仕込みかは聞かないで欲しい、あの子の名誉の為にね」

 

ヘスティア、ロキ、イシュタルの三神は、異端児(ゼノス)を含めた異例の『神会(デナトゥス)』であるにも関わらず、自分の眷属(ファミリア)以外の事は関係無いとばかりに身内ネタに花を咲かせる。それは正しく強者の余裕と言うやつだ。

 

実際、【ロキ・ファミリア】と【ヘスティア・ファミリア】の戦争遊戯(ウォーゲーム)を間近で見た神々は、推定A等級(ランク)に届きうる規格外のファミリアを約半年で育て上げ、あのイシュタルを従属神に下したヘスティアに戦々恐々としていた。異端児(ウィーネ)を連れて来ても、特に何も言われなかったのだから、その影響力は、隣にいるロキとそう変わらない程に肥大化している

 

「さて、それじゃあ次は貴方の眷属(こども)の二つ名を決めましょうか、ヘスティア」

 

しかし、そのヘスティアを挑発的に見る女神が一柱。珍しく今回の『神会(デナトゥス)』の進行役を買って出たフレイヤだ。部屋の片隅で本来の進行役だった大衆の神がいじけているが気にしてはいけない

 

「あぁ、そうしようか。フレイヤ」

 

ヘスティアの声を聞いた他の神々が、予め配られているギルド作成の資料をパラパラめくる。多くの神々はその最後の数ページを見て頬を引きつらせた。

 

「お、おいこれマジかよ」

 

「いやいやいやいや、流石にこれは………」

 

昇格(ランクアップ)した冒険者の数、六人。てか全員ってなんだよ………」

 

「しかも、前回の神会(デナトゥス)から2回【ランクアップ】してる子が一人居るぅぅううう!?」

 

予想以上の事態に円卓から大きなどよめきの声が広がる。流石に不正をしているのでは?と、次第に視線はロリ巨乳の女神様に向けられるが、何を勘違いしたのか当の本()は、どうだと言わんばかりにムフー!と鼻息を荒げていた。

 

「なぁドチビ?一応聞くけど神の力(アルカナム)使ってへんやろな?」

 

「はぁ!?使っている訳無いだろう!!これは、あの子達の血と汗と努力の結果だよ!!」

 

「わかったわかった。耳元で騒ぐなボケ」

 

(たく、不正疑われてんのをフォローしたろ思ったんがわからんのか。この能天気ドチビが!!)

 

と、言いたげに眉間に皺を寄せたロキがヘスティアから視線を外し隣を見ると――――――

 

「どうだウィーネ、そのお菓子は。最近外国から取り寄せたんだが美味いか?」

 

「うん!イシュタル様は甘ーいお菓子いっぱいくれるから大好き!!」

 

「そうかそうか、それは良かった。まだいっぱい取り寄せているから今度本拠(ホーム)まで来なさい。出来れば()と一緒にな」

 

「はーい!!」

 

命名式を一通り終えたウィーネを膝の上に乗せたイシュタルが外堀を埋めようと餌付けしている最中だった。

 

「ちょぉまて、イシュタル!!おどれなにウィーネちゃんから篭絡しようとしとんねん!?」

 

「ふん、悔しかったらお前もしてみたらどうだ?この貧乳神め」

 

「なぁんやぁとぉ!!その余裕ブッこいた顔、直ぐに吠え面かかせたるわ!!―――――なぁウィーネちゃん、ウチの所には、そこの腹黒女神より甘ーくて蕩ける様なお菓子い~ぱい置いてんねんけど、色君と一緒に」

 

「いかない」

 

「な、なんでや!?」

 

「わたし、ロキ嫌い」

 

「ガーン!!」

 

ここに勝者と敗者が決定した。まぁ、大好きな家族をボコボコにしたファミリアの主神という時点で、本来の作戦を聞かされていないウィーネはロキを悪者だと断定している結果なのだが……

 

「じゃあ、リリルカ・アーデの二つ名は【小さな賢者(クレバー)】で決まりになるけど、いいわねヘスティア?」

 

「勿論、それは本人の申告だから文句なんてある訳無いよ。皆も文句ないだろ?」

 

「「「「「「は、はい」」」」」」

 

ロキ、イシュタルがとある眷属の事で揉めている間に、小人族(パルゥム)の二つ名まで決まったらしい。普通なら本人の申告なんて通る訳無いのだが、ロキがフィンの二つ名を【勇者(ブレイバー)】にした時と同じく、力ある神の言葉に他の神々は逆らず、ただ首を縦に振る事しか出来なかった。

 

因みにヴェルフの二つ名は、ヘファイストスが神会(デナトゥス)をサボるぐらいヴェルフにお熱だからという理由で【不冷(イグニス)】と付けられていたりする。

 

「さて、次はこの子の番ね」

 

ざわ………

 

その名前を呼ばれた瞬間、室内の空気がガラリと変わる。ヘスティアはツインテールを揺らめかせ、先ほど落ち込んでいたロキは薄目を開き、ウィーネを優しく膝から下ろしたイシュタルは腕を組む

 

そして、唯一この三柱に真っ向から対立出来る美神が口元を歪めた

 

他の神々は、その空気が何時もの戦争(イザコザ)の規模とは違う事を漠然と感じる

 

すなわち、終末戦争(ラグナロク)が始まると

 

「そうね、【滅雷の神風(カタストロフィライトニングゴットブレス)超新星(ビックバン)究極の一撃(アルティメット)】なんてどうかしら?」

 

「却下だ!!!」

 

「駄目に決まってるやろ!!!」

 

「今度と言う今度は容認するもんか!!!」

 

「あら、お気に召さない?だったら【滅雷の神風(カタストロフィライトニングゴットブレス)超新星(ビックバン)絶望的な究極の一撃(デスペレイション・アルティメット)】なんてのは」

 

「増えとるやんけ!?」

 

「何で増やした!?」

 

「どうしてこうも色君に容赦がないんだ!?」

 

他の神々は天を仰ぎながらこう思った

 

今日は長くなりそうだな―、と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ色君完全復帰&全員【ランクアップ】おめでとうパーティ、はっじめっるるよぉおおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」」」」

 

かくして、それぞれの日常が終わり迎え

 

「聞いてくださいアイズさん!!色と僕の二つ名がカッコいいんですよ!!」

 

「そうなの?」

 

「何喋ろうとしてんの!?恥ずかしいからコイツには言うなっつうの!!!」

 

「別に減るもんじゃないんですから、いいじゃないですか」

 

「そうだぞ色。俺だって【不冷(イグニス)】って二つ名を誇りに思ってるんだ。むしろかっこいい二つ名を付けて下さったヘスティア様に感謝すべきだぞ」

 

「そそそそうだね!!――――不味い、ヴェルフ君の二つ名の由来がアレだって事、どう説明しよう………」

 

「ふふふ、可愛さでは(わたくし)の二つ名が一番ですね。なんたってウィーネちゃんが付けてくれたのですから!!」

 

「えへへ~褒められちゃった♪」

 

「良かっタデスね、ウィーネ」

 

「うへへぇ、ラーニェ殿はまだ飲んでないんですかァ、ほら折角の宴なんですから飲まなきゃ損ですよぉ」

 

「お、おいまて命、お前もう酔ったのか!?ちょっ、無理矢理呑まそうとするな!?」

 

「今ハ我々ノ奢リダタラフク食べテクレ」

 

「おいおい、そう言いながら俺っちの肉に手を出してんじゃねぇよグロス!! 」

 

異端児(ゼノス)達が自らが崇める神との約束を守る為に、自分で稼いだ金で行われる宴が始まったのだが

 

「随分煩い店だな。本当にここで合ってるのか?バーチェ」

 

「ティオナが言うにはここで合ってる筈だが……さて、少々あそこの騒がしいのを黙らせるか」

 

数舜後、宴の会場のとあるお店が戦場に変わってしまうのはまた別のお話である

 

 

 




今回はヘスティア・ファミリアの大幅なテコ入れ回ですね。次はもっと速く書けるとイイナ―
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