……クックックッ。
――ピッ……
「っく……ひぐっ……ひぐっ……ていとく……ふぇぇ……」
「……大淀!!」
「……!? て、提督……!?」
「ここだと思った……電が遠征に出た時、よくこの演習場で二人で待ってたから……」
「私は、今日の……ぐすっ……外出予定はキャンセルすると、言ったはずです……」
「……」
「て、提督は……何しに来たんですか……」
「お前さんに、許可を貰いに来た」
「ひぐっ……何の……許可ですか……ッ」
「お前さんを幸せにする許可を貰いにきた」
「ふざけないで……ください……あなたは、砲台子鬼さんに指輪を通したじゃないですか……」
「聞いてくれ」
「ケッコンカッコカリ成立したじゃないですか……!!」
「……聞いてくれ大淀ッ!」
「あなたが愛してるのは、私ではなくて砲台子鬼さんじゃ……!?」
「……ッ!!」
「ちょ……やめてくださいこんなところで……ッ!!」
「嫌なら俺を振り払ってくれ。軽巡のお前さんなら出来るはずだ。そしたら俺はもう、お前さんを追わんから」
「できませんよ……嫌なわけないじゃないですか……っ」
「……」
「……」
「……なあ大淀? 聞いてくれるか?」
「……」
「あのケッコン指輪も、もちろんお前に渡そうと思ってた。……でもな。艤装としてだ」
「……」
「あれはケッコン指輪の前に艤装だ。主砲や水上機と同じものだ。第一、司令部から届いたものに、俺の気持ちを乗せるわけには行かない」
「……」
「おれのポッケに手を入れてくれ」
「え……こっち?」
「違う逆」
「す、すみませ……これ、何ですか……?」
「お前さんのもの。お前さんの左手につけてほしい、俺の気持ち」
「え……あの……」
「お前さん、今まで『こいつらを守る』って免罪符の元で、俺がどんなあくどいことをやってきたか……横でずっと見てたよな?」
「はい……ずっとあなたの隣りにいましたから……ずっと……あなたを見てましたから」
「そんな小悪党な俺だから、お前さんの気持ちに気付いても、受け止められる自信がなかった。俺がお前さんを幸せにしてもいいのか……ずっと悩んでいた」
「……」
「……でもな。そんな俺のことを、ヒーローだと言ってくれる奴がいた。こんな俺を待ってる人がいると言ってくれる奴がいた」
「……電さんと集積地さんですか?」
「うん」
「ぷっ……」
「?」
「いや……そんな電さんに嫉妬した時もありましたから……あなたにとって、電さんがヒーローなのは、知ってましたから」
「そっか……」
「……」
「……提督?」
「うん?」
「私は、あなたが好きです」
「うん」
「あなたは? まだ、あなたの気持ちを聞いてません」
「……おっさんにそれ聞く?」
「はい」
「……お前さんは、ずっと俺の隣にいてくれた」
「はい」
「……眩しかった。俺の本性を知ってなお、俺のフォローをしてくれる……そんなお前さんが、ずっと眩しかった。ずっとそばにいて欲しくて……でもずっと俺の横に置いておいてはいけない気もする……そんな人だった」
「……」
「惚れた。俺のすべてを見て、それでもなお笑顔でいてくれる大淀に、心から」
「全然……わからなかったです……」
「おっさんをなめちゃダメ」
「はい……」
「大淀」
「はい」
「俺は……おっさんだ」
「でも好きです」
「そして目が死んでる」
「それでも好きです」
「おまけに小悪党だ」
「それでも好きなんです」
「こんな俺が……お前さんを愛していいか?」
「はい……」
「こんな俺だが、お前さんを幸せにしてもいいか?」
「はい……ぐすっ……幸せに……してくだ……さい……」
「俺も……幸せになっても、いいか?」
「はい……私も、あなたを……幸せにします」
「ありがとう……」
「……」
「……」
「……一つ、わがまま言っていいですか?」
「うん」
「名前を、呼ばせてください。役職ではなくて、あなたの名前で、あなたのことを呼ばせてください」
「……うん。呼んで。大淀の声で、俺の名前を呼んで」
「ありがとう……」
「……」
「……イツキさん」
――ピ
グーゼンですが、こんな音声データを入手しました。恐縮です。クックックッ……
ところで……赤城さん、覚悟はいいですか? 戻りますよ?
……
…………
………………