神を喰らう転生者   作:とんこつラーメン

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やっと原作沿いに戻ります…。

凄く長く感じました…。

前回までは三人称でしたが、今回からまたマユ視点で始まります。

三人称は大変ですね…。











第65話 英雄王

 いきなり会議室全体に広がった、この独特の感覚……。

これは…まさか……

 

咄嗟に壁に掛けられている時計を見てみると、完全に停止していた。

 

「時間の停止……」

『相棒。これはあの半吸血鬼の小僧が持っている神器の効果だ』

「やっぱりか……」

 

だが、ギャスパー君の神器『停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)』は視界に映った存在に対してのみ効果が発揮されるはず。

それなのに、今は少なくとも校舎全体が停止しているような感じだ。

 

「やっぱり来たか…」

「アザゼルさん?」

 

なんか意味深なセリフ。

 

「な…なんなの?」

「不思議な感覚があったと思いましたが……」

 

リアス達も感じたのか。

 

「すぴ~……」

 

で、こんな中でも幼女たちはご就寝というわけですか。

子供ってスゲーわ。

 

「おいマユ……」

「ルシファーさん?」

「……警戒しろ。これから厄介なことになるぞ」

「厄介なこと?」

 

この人がこんな事を言うなんて…。

 

私だけじゃない。

眠っているオーフィスちゃん達以外が全員動揺、または警戒をしている。

 

立ち上がっていつでも動けるように構えていると、突然……

 

「なぁっ!?」

「こ…これはっ!?」

「な…なんなの!?」

 

室内…いや、校舎全体が激しく揺れた。

まるで、何かが落ちてきたかのように。

 

「この感じ……外か!?」

「先輩!?」

 

急いで窓まで行って外を覗く。

裕斗も一緒に隣で覗いている。

 

「あれは……?」

 

外には、真っ黒なローブを纏った人影が複数存在していて、それは空中に出現する魔法陣が現れる度に増加していく。

 

「先輩。あれはきっと『魔術師』です」

「魔術師…ね」

 

どこの連中かは知らないが、ご苦労なことだな。

 

「馬鹿野郎どもが……!」

「全く……」

 

ルシファーさんとヤハウェが小声で毒づいたあと、指をパチンッ!と鳴らした。

すると……

 

「校舎が……」

「結界?」

 

この校舎全体が不可思議なバリアーのようなもので覆われた。

 

「これは…お二人が?」

「当然だ」

「詠唱も呪文も無しで、これほどまでの結界を創造するなんて……」

 

え?ええ?

これって凄いの?

 

『あの二人は、ただ指を鳴らしただけで鉄壁の障壁を生み出したのだ。これほどの結界ならば、例え核兵器が直撃してもビクともすまい。勿論、中にいる者達には何の影響も無しにな』

 

えぇ~……久々のA・U・Oの説明タイムだと思ったら、かなりぶっ飛んだ事を教えられたんですけど……。

 

「凄いです……」

 

アーシアが目を見開いて驚いている。

 

外の魔術師達が校舎に向かって魔力弾のようなものを撃っているが、ビクともしていない。

振動だってこっちに来ない。

 

「しかし、なんで全員が動けるんだ?」

「ったりめーだ。ここには聖書の神がいるんだぞ?ヤハウェがこの場に立っている時点で、ここにいる全員が神の加護を受けているようなもんだ」

 

……聖書の神ってどこまでチートなの…?

 

「ん~…?」

 

あ、幼女組が目を覚ました。

 

「この子達は私たちにお任せを」

「お願いします」

 

あの子達はガブリエルさん達に任せれば大丈夫だろう。

天使と母親の包容力は半端じゃないからな。

あれ?その理論で言うと、レイナーレも母性に溢れてるってこと?

 

「取り敢えず、今は現状把握をした方がいいでしょうね」

 

冷静だな……ミカエルさん。

 

「外で暴れている連中は、所謂『魔法使い』か」

 

いきなりファンタジーな単語が飛び出したんですけど。

 

「なんでその魔法使い達がいきなり強襲してきたんだにゃ?」

「大方、この会議の妨害を図ろうとした……ってところでしょうね…」

 

実に分かりやすい動機だが、それにしてもおかしいな…。

 

「そして、さっき感じた時間停止の感覚は、あのハーフヴァンパイアの小僧の神器だろうな。恐らく、何らかの形で魔力とかを譲渡して、半ば強制的に禁手(バランス・ブレイカー)に至らせたんだろう。本来ならば視界に映ったモノだけを停止されるのに、まさかこれほどの規模と威力があるとはな…。ま、流石に神の加護を突破するほどではないらしいが」

 

これで突破出来たら、逆にヤハウェの立つ瀬がないでしょ。

 

けど、ギャスパー君が奴らに利用されているってことだな…!

あんなか弱い子を……許せない…!

 

「つまり、今ギャスパーはあいつ等に道具にされているってことね…!一体何処でギャスパーの情報を入手したかは知らないけど、私の大事な眷属を大切な会議を邪魔するために利用するなんて……絶対に許せないわ!!」

 

リアスが激高する気持ちも分かる。

実際、私の腹の中も煮えくりたってる。

 

「校舎を守護している筈の部下達と連絡が取れない。お前らはどうだ?」

「こちらもダメですね。一切の交信が取れません。サーゼクスはどうですか?」

「いや……ダメだ。多分、三大勢力の軍勢全てが停止しているんだろう。彼の潜在能力はそれなりに把握しているつもりだったが、まさかこれ程だったとは予想外だった」

 

つまり、今動けるのはここにいる皆だけってことか。

 

『おい…雑種』

「ギル?」

 

いきなりどうした?

 

『我は今……意味不明な怒りに満ちている』

「え?」

 

お…怒っているのか?

 

『あのような視界に入れる事すらも不愉快な雑種共が我等を襲うなど……万死に値する!!』

 

あぁ……マジ切れしてますがな…。

ギルが本気でキレているところなんて初めて見た…。

 

『今、この学園は結界に覆われている。にも拘らず、彼奴らはここに現れた。恐らく、この学園の敷地内に結界の外に繋がっている転移用の魔法陣のようなものがあり、それを操っている者がいるということだ。ヤハウェの加護の影響で停止される心配はないが、連中は明らかに物量で攻めてきている。ならば、ここは我の出番であろう』

「ギルの…?」

 

ギルの能力……それは……

 

『以前にも言われたが……我の力は戦争そのものだ。ある意味、歴代で最も一対多数に特化しているだろうよ』

 

確かに。

その気になればたった一人で国を相手に出来る戦力だしな。

 

『だからこそ言わせてもらおう。雑種……いや、我がマスター…マユよ。今こそ我の力を使え!!』

「分かった」

 

どうなるのか心配だけど……今はギルの事を信じよう!!

 

私は赤龍帝の籠手を出して、力を込めた。

 

「お姉ちゃん…?」

「君は何を……」

 

さて…やるか!

 

【Gilgamesh!】

 

籠手から音声が鳴ると、毎度の如く私の体に変化が訪れた。

 

髪が金髪に染まり、耳には金色の四角い耳飾りが装着された。

そして、体には赤い線が幾つも浮かび上がった。

最後に目が真っ赤になった。

 

「これが噂に聞いた、歴代の能力を発現させたマユさんですか……」

「へぇ~…。近くで見ると、凄まじいわね…」

 

これは凄い…!

他の歴代とは明らかに違う!

体の底から力と自信が沸き出てくる!!

 

『手始めに、まずは外にいるゴミ共を片付けるぞ!』

「おう!」

 

意識を外に向けると、魔術師たちの近くの空間にいきなり波紋が現れ、そこから夥しい数のあらゆる武器が射出された。

 

「あれはっ!?」

「なんだありゃ!?」

 

魔術師たちは当然のように防御結界を張ろうとするが、そのようなお粗末な代物でギルガメッシュの『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』は防げない。

 

紙の盾でビームライフルを防ぐようなものだ。

まさしく無意味。

 

射出された無数の宝具は魔術師たちの結界を意図も簡単に貫通し、奴らを引き裂いた。

 

『ふん…。あのような奴らに我が宝物庫の宝具を使用するなど……』

「それは仕方ない。ギルの宝物庫に入っている武器は全てが原初の宝具なのだから」

 

勿体ないって気持ちは分かるけどね。

 

「す…凄いにゃ……」

「あれが原初の英雄王の力……」

「次元が違うわね……」

 

残念だが、まだこれはギルの能力の一端に過ぎない。

本気はもっと凄い。

 

「単体戦力であるにも拘らず、他を圧倒する程の物量…。貴女はどこまで……」

 

ヴァーリがこっちを見ながら顔を歪ませている。

心なしか、汗も掻いているように見える。

 

『おい、アザゼルよ』

「なんだ?英雄王」

『このタイミングといい、襲撃の手法といい、余りにも手際が良すぎる。貴様の考えを聞かせよ』

「考えたくはねぇが……内通者がいるって考えるのが普通だろうな。なんせ、この場所で会議が行われることを知っているのは、俺やサーゼクスを初めとしたトップの連中やマユの嬢ちゃんの周りにいる奴らだけだ」

『やはり、その考えに至るか…』

 

内通者……か。

 

あんまり思い出したくない事を思い出すな…。

 

「まずはこの状況をなんとかしましょう」

「じゃあ、嬢ちゃんはどうするべきだと思う?ある意味、嬢ちゃんはこの場で最も実戦経験豊富だ。お前さんの意見を聞かせてくれ、リーダー」

 

それを言いますか。

『リーダー』って言われたら、引くわけにはいかないでしょ。

 

「外部には結界を解除しなければ出られない。しかし、結界を解いてしまえば外の町に被害が出る可能性が非常に高い。しかも、誘い出された先になんらかのトラップが仕掛けられている事も考えられる。ならば、まずはこの場にて籠城をして、この襲撃の首謀者にこっちに来てもらう方がいいだろう。そうして時間を稼いでいる間にギャスパー君を救出する……で、いかがでしょうか?」

 

頭の中に思い浮かんだことを言ってみたけど、これでよかったかな…?

 

「ふむ…妥当な判断だね。この短時間でそこまで考えるとは…流石だよ」

「いえ……」

 

殆どズルみたいなものだし。

 

「そうと決まれば、まずは誰がギャー君を助けに行くか…ですね」

「僕達首脳陣はここを迂闊に動けないし、あまり大人数を割くわけにもいかない。行動がしにくくなるしね」

「ならば、私が行きます!」

 

リアス……。

 

「そう言うと思っていたよ。しかし、どうやって救出するつもりだい?」

「『キャスリング』を使用します」

 

キャスリング?

 

『キャスリングとは、チェスにおいて『王』の駒と『戦車』の駒を入れ替えることの出来る特殊ルールの事だ。悪魔の駒にも同じルールが適用されるのだろう』

「彼の言うとおりです。旧校舎の部室には未使用の戦車の駒が保管されています。それを利用すれば……」

「奴らの目を盗んで侵入できる…」

 

まさか、こんな方法で救出に来るなんて、奴らも予想もしないだろうな。

 

「決定だね。だが、流石にリアス一人で行くには少々無謀が過ぎる。せめてもう一人ぐらい連れて行った方がいい」

「しかし、キャスリングで転移出来るのは基本的に一名のみです」

 

ですよね~。

 

「じゃあ、俺の力で複数人転移可能にしてやるよ」

 

ルシファーさんがさっきと同じように指を鳴らすと、床に見た事のない魔法陣が出現した。

 

「これなら、二人と言わず、もう少し多めに転移出来るぞ」

「じゃあ、僕が行きます」

「私も行きますわ」

 

グレモリー眷属総出撃か。

ま、捕らわれているのもギャスパー君もリアスの『僧侶』だしな。

 

なら、こっちはこっちでやりますか。

 

「アザゼルさん。少しだけヴァーリを借りてもいいですか?」

「おう。好きなだけ使え」

 

はい、了解を得ました。

 

「何をする気かしら?」

「私と君とで奴らを迎撃する。私達『二天龍』が出ていけば、こっちに目が行ってリアス達が行動しやすくなるかもしれないし、もしかしたら『首謀者』を誘き出すこともできるかもしれない」

「私達で囮をするってこと?」

「嫌か?」

「いえ、面白いじゃない。貴女と共闘するのも悪くは無いわ」

 

あら、意外と聞き分けがいいこと。

 

『だと言っているが、お前はどう思っている?白いの』

『ふっ…。偶にはいいだろう。愚かな連中に我等『二天龍』の真の力を見せつけるいい機会やもしれぬ』

 

こっちでも意気投合…と。

 

「でも、いいのかしら?私たちがここにいることは向こうも承知していると思うけど」

「それでも、まさかキャスリングで転移してくるとは向こうも考えもしないだろう。二人が行くことは大きな陽動になると思うが?」

「あら、言うじゃない。教会の聖剣使い」

 

意外と考えてるんだな……ゼノヴィア。

 

「いっそのこと、旧校舎ごと人質を吹き飛ばした方が手っ取り早いと思うけど」

「それを私がさせると思うか?」

「………冗談よ(なんて殺気……。この私が完全に圧倒されるなんて……!)」

 

全く……冗談でも言わないでほしい。

 

「言っておくが、それは最悪の場合だ。助けられる可能性があるうちは助けた方がいいに決まってるだろうが」

 

いいこと言うな~…アザゼルさんは。

少しはヴァーリも見習えよ。

 

「はいはい。わかってますよ~」

 

まるで駄々をこねる子供だな…。

 

「じゃあ、行くぞ」

「ええ」

 

ヴァーリの背中から骨格が白く、透き通った翼が現れた。

 

【Vanisnig Dragon Balanse Bleaker!】

 

音声と共に、ヴァーリの体が初めて見た時と同じように丸みを帯びた純白の鎧に覆われた。

 

「それじゃ、お先に失礼」

 

あ……行ってしまった。

窓から飛び出していったけど、壁をぶち破って行かなかっただけマシか。

 

「なら、私も行きます」

「頼んだよ」

「はい。……皆を頼みます」

「任せときな。お前さんの『家族』は俺達が体を張って守ってやるよ」

「お願いします」

 

ヴァーリが出て行った窓に手を掛けて、リアス達を方を見る。

 

「私が行った直後に転移してくれ。気を付けろよ」

「お姉ちゃんもね」

「うん」

 

じゃあ……こっちも行こうかな!

 

「行こう……ギル」

『フッ……』

 

外で魔法使い達を蹂躙しているヴァーリを見ながら、私も外へと飛び出した。

 

さぁて……二天龍の力を奴等に見せつけてやりますかね!!

 

 

 

 

 

 




早くもマユとヴァーリの共闘が実現。

増々ヴァーリの裏切りフラグが無くなったような気が……。

ここからどうしていこう……。

頭がパンクしそうです…。
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