気が付くと、変な場所に一人でいた。
とりあえず、自分がフリーザに殺されたことを理解したので、頭の上に手をやる。
案の定、光の輪っかがのっかっていた。
「…はーーー。ダメだったか…」
さっきのは妄想で、実はフリーザと一緒に超元気玉で死んだ可能性もあったが、この場に死んだフリーザがいない点で、それはないだろう。
とりあえず、死後の世界に来た以上、後はドラゴンボールによる復活を待つだけだ。
と、後ろで声がした。
「ここでよい。あとは、自分で行くからな」
振り返ると、見知らぬ人とよく知った人がいた。
見知らぬ方は本当に見たことない、卵っぽいメタボな人だ。身長は小さく小人のようにも見える。
知らない人の詳しい描写の意味は現実逃避です。あの世で現実から逃避ってのも変な話だが。まあ、だれしも逃げたくなる時がある。
で、よく知ってる人は、オレの天敵(?)ツーノ長老だった。
「見違えたぞ」
実際外見は変わってないんですけどね。戦闘型でも。
気まずさと、気恥ずかしさで、とりあえずそっぽを向いておく。
しばらく、それを見ていたツーノ長老が、オレの横に座る。
「…その様子では、無理だったか。ワシのせいでい苦労を掛けたな」
「あんたのせいじゃない。オレがそう望んだだけだ」
「そうか。しかし、残念だ。そこまで強くなっても原作改変とやらはできなかったか」
…………………………え?
ツーノの爆弾発言に、オレが驚く。なんで、原作を知っているの!?
いやいや、よくよく考えてみれば、なんでオレの目的とか知っているのさ?
驚く俺をみて、ツーノ長老はニヤリと笑う。
「バカモン。最長老様が心を読める事を知っていながら、なぜワシができないと思った?」
「え?じゃ、じゃあ…」
「お前が、がむしゃらに強くなろうとしている事に疑問を持ってな。さすがに驚いたよ。ナメック星人は稀に不思議な力を持つ事はあるが、お前は特別不思議な力を持っているようだな」
「…」
「ありがとうな」
「…うん」
長老の言葉と頭に置かれた手に、視界をにじませながらオレは頷いた。
「よし。これで心残りはなくなった。さっさと、死後の裁きを受けるとしよう」
「え?でもドラゴンボール…」
「バカモン。生き返るのはフリーザ一味に殺されたナメック星人だけじゃ。サイヤ人に殺されたワシらは復活できん」
そういえば、そうだった。じゃあ、ベジータに虐殺された村ってオレ達の村かよ。
「そんな顔をするな。確かに、生に未練がないわけではない。だが、死を受けいれる覚悟もある。ドラゴンボールによる復活は奇跡だが、永遠に生きられるわけではない。あるべきものを受け入れる事も大事な事だ」
そういうと、ツーノ長老はオレの両手を取った。
「かつて、ワシの兄弟にお前の名を持つ者がいたという話は覚えているか?」
オレと同じ名を持ち殺されたナメック星人。
「あいつの、そしてワシからの最後の言葉だ」
オレの顔を見てツーノ長老はしわくちゃな顔で笑った。
何一つ憂いのない顔で。
「後を頼むぞ」
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「フリーザ一味に殺された者たちを生き返らせてくれ!」
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ドラゴンボールにより奇跡が起こった。
もし、この世に森羅万象というものがあるのなら。かの転生者は、それ原作と呼ぶのだろう。しかし、この森羅万象には一つのヒズミがある。
森羅万象を知る者が、必死の私欲で作り出した一つのヒズミ。
そして、あるべくして奇跡は起こった。
故に、希望は消えてはいない。
しかし、同時に消えるべき別のものもまた、残ることとなる。
物語は続く。ヒズミを残したまま。