「フン!ハッ!」
相手の攻撃を後ろに下がって避ける。オレが下がった分、相手は前に出て攻撃する。勢いのついた攻撃を腕で受け流す。向こうが前に出た分威力は増すが、捌ききれないほどではない。回避から一転、攻撃を受け流した事でタイミングをずらし、その隙をついて、こっちから踏み込んでひじ打ちを入れる。
オレの反撃の一撃に相手は悶絶する。こいつはこれで終わりだ。
と、一人倒しても油断はできない。突然カカト落としが降ってくるので、これも後ろに下がる。追い打ちの様に連続蹴りが繰り出されるが、連続故に雑になった一撃を、避けながら踏み込んで懐に入り、蹴りで不安定になった体を掴んで持ち上げると、胸板に手を当て、そのまま地面にたたきつけて終わらせる。
最後の一人は、気を練り始めているが、そんな時間を稼がせてやるつもりはない。一気にに飛び込んで右手を振るう。
しかし、3人目の相手は、横に跳ぶとオレの一撃をよけ、ジグザグに飛びながらこちらを翻弄すると同時に距離を取り始める。
「(させるかよ!)」
練った気で一撃を狙うつもりなのだろう。飛ぶスピードを予測し、予測地点に突っ込む。
飛び下がった3人目は、ちょうど俺の予測通りの場所へ。
「もらった!」
と、勝利を確信した時、三人目が振り上げた両手に練られた気が集まっていた。
「くらえ!」
「うをおおお!!」
とどめの一撃のために、大きく飛び込んだオレはそれを避けきれずに、まともに食らう。
チュドーン!
爆発の煙が晴れると、そこにはひっくり返った俺がいた。
「やられたー」
「よし、勝った」
ガッツポーズをとる三人目のナメック星人の若者。倒れていた二人も、起き上がると3人目に近づき勝利を祝う。
あれから、ムーリ長老の所の若者三人と修行仲間となった。この三人もなかなか手こずるようになって、1対3でも楽勝とはいかなくなっている。まあ、三人相手じゃないと戦いにならないが、逆に言うと三人相手なら十分な修行になる。そんな感じに楽しい修行ライフである。
でもって、クールダウンを兼ねての村へ戻りながらの反省会。
「あの短時間によくもあれだけ気を開放できたな」
「まあな。そこは修練によるものさ。それに、他の二人のおかげでもある」
「というと?」
「この二人が前後に移動しつつ攻撃する。その感覚に慣れたところで、オレが横移動で下がりながら誘う。で、間合いが曖昧になって、踏み込んできたところをドカンだ」
自慢げにそう話す3人目。他の2人も結果に満足げだ。
「うわ~。なにからなにまで、全部お前らの想定内かよ」
「ははは。お前がいない間もこっちは修練を欠かさないからな」
「追い抜かれないように頑張らないとな」
「まだまだ、お前を超える事はできんさ」
フフン。仲間との実力差にちょっと気分がよくなる。まあ、修行始めた時間が絶対的に違うからな。ただ、ぶっちゃけ気のコントロールに関して、彼らにオレが教えられることはない。というか元々そんなになかった。
おれは、自己流で気を増やしてそれを抑え込む方法だったのに対し、彼らはムーリ長老の元、コントロールできる気を増やす修練方法を取っている。どう見ても向こうの方が正解です。本当にありがとうございました。
ムーリ長老の指導力の高さが憎い。
そんな感じで、村へと戻る。
「長老はまだ帰ってきていないか」
また、気のコントロールについて指導してもらいたかったんだが。
「最長老様の所だから、帰ってくるのは夕方だろう」
「それじゃあ、しかたな…」
と、空を一条の光が通り過ぎる。
「流れ星?」
村の住民も顔を上げる。
…ズズンッ
「落ちたな…」
流星は大気圏で燃え尽きるのだが、稀に燃え尽きずに落ちるものもある。
流星の大きさと落ちた音から大したものではないが、被害状況の確認はしておいた方がいいかもしれない。
「そうか、一応見にいくか」
「いや、オレが行くよ。そう何度も村を抜け出したら、他の住民に呆れられるぞ」
「お前はどうなんだよ」
友人の言葉に、笑って答える。
「もう、諦められてるよ」
海から顔を出す小島を、飛び地の様に使いながら、移動する。
「ここら辺のはず…」
視界の隅に、煙が上がっている。
「あったあった」
良かった、地上に落ちていた。海に落ちたら潜らなきゃならない上に、探すのに手間がかかるところだった。
まあ、被害を受けるという意味では海中の方が、相対的に被害は少ないんだがな。
島に着くと、見慣れないものが転がっていた。
湾曲した金属製の板だ。
「人工物?」
明らかに人の手に入ったものを拾い上げ、いまだ煙を上げる山の残骸を見る。
ビビーーー!!
突如、煙の向こうから紫色の光線が俺を襲う。警戒していた為、簡単によけられる。
「なんの真似だ?」
声をかけるが返事はない。
瓦礫がガラガラと崩れ、なかから一体の機械が現れる。つぶれた楕円形の頭から触手の様に機械のアームが伸びている。クラゲのような姿だ、どんなか科学力かその体は宙に浮いている。
「勘違いの遭難者ってわけじゃないよな」
その機械は、もう一つのアームをこちらに向けると、銃口なのだろう穴の開いたアームの先端がこちらを向く。
「敵対行動ってわけだ」
敵対行動をとる相手だが、構えるまでもない。さっきのビーム攻撃もよける必要すらないようなチンケな攻撃だ。
「ハッ!」
ダダダダダダ!
警告音もなく黄色い光弾がばらまかれる。だが、その時既にオレはそこにいない。
相手の攻撃前に機先を制し、すでに機械の後ろを取った俺は、右手を振り下ろす。
気を乗せるまでもないような、ザコだ。
あっさりと装甲を抜けて中枢を破壊する。
だが、オレの動きはそこで止まった。。
致命傷を負い爆発する機械。
その爆発が収まったあと、オレは無傷のまま爆心地にいた。
オレの手にある機械の一部。外殻の一部を俺は見ていた。
そこに書かれた。
フリーザの紋章を。