ナメック星人奮闘記   作:シムCM

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7話 試金石

オレは、ある一点を目指して移動していた。

 

もう時間がない。

 

あのあと、ムーリ長老が二人のナメック星人の幼児を連れて帰ってきた。カルゴとデンデと名付けられた二人の新しいナメック星人に、おれは硬い表情で挨拶するしか出来なかった。

 

デンデ

 

ドラゴンボールの準レギュラーとなる原作でもなじみの深いキャラクターだ。後に地球で神となり、ドラゴンボールの管理を行う。

そして原作では、彼の村がフリーザ一味に襲撃される事で物語が進む。

幼児体の彼を守るために原作のキャラが飛び込むのだ。

 

 

 

オレが向かう先は、最長老の住む高台だ。

 

長老たちには何も言わず出て行った。いくらなんでも、事情を話せるわけがない。

 

遠目に、塔の様にひょろ長い高い台地が見える。その上にナメック星人の建造物が見える。二階建ての立派な建物だ。

 

そこから離れた場所に下り、緊張感をほぐすために、深呼吸をする。

そして…

 

ドン!

 

気を一気に解放する。時間は一瞬だが、周囲の木々が揺れ、風が渦巻く。

再び気を抑える。

そして、沈黙。腕を組んで待つ。

 

しばらくすると、最長老の家の扉が開いて、一人のナメック星人が出てきた。

彼は軽い動きでオレの前に立つ。

 

「…私に用があると思っていいのか?」

 

この星唯一の戦闘タイプのナメック星人。

そして、宇宙の帝王フリーザに片手で倒されてしまうけど、最強のナメック星人である。

「私の戦闘力は53万です」の絶望セリフを吐かせたキャラだ。とはいえ、それまで数万の戦闘力で競い合っていた中での話で、その段階では十分一線級の能力だった。

 

オレの今の実力と、そしてオレの目的を果たすための試金石としては十分すぎるだろう。

 

「すまんな。問答無用で、行かせてもらう」

「そうか。お前がルンガか」

 

オレは腰を落として構える。

ネイルは手を下げた自然体だ。

 

「はーーーーーーー!!」

 

どうせ、オレの方が格下。全力で行く。

一気に気を開放する。体の底からあふれ出る気を体中にめぐらせる。体中にめぐらせてなおあふれる力を体に纏わせる。パチパチと静電気のように気が体を覆う。

オレの力に驚いたように、ネイルは下げていた腕を上げてかまえる。

 

「いくぞ!」

 

オレの踏み込に耐えられず、足元の地面が爆発する。

一気に飛び込んで振る拳を下がってよけるネイル。だが、その動きは十分追える速度だ。

 

「ハッ!」

 

手からエネルギー弾を飛ばし退路を断つ。

急遽、方向を変えたネイルの回避先に回り込む。

 

「(捕えた!)」

 

オレの唯一の特技ともいえる、気のコントロールで瞬時に拳の攻撃力に気を回す。

 

「だりゃあ!!」

 

オレの拳がネイルに振り下ろされる。

 

ドゴン!

 

「…驚いた。見事な一撃だ」

 

そして、オレの渾身の一撃はネイルの右腕に受け止められた。

 

「戦闘タイプである私に迫る一撃だ」

 

 

 

その賞賛の言葉もオレには無意味だった。

終わったのだ。

オレの願いは。

 

分かってしまった。自分の実力を。

オレがムーリ村の若者と相対するように、それほどの実力差がオレとネイルにはある。

決定的な実力差だ。だが、それでも分が悪くても勝ち目はあった。相手がネイルなら。

だが、オレの相手はネイルでは全く歯が立たない化け物なのだ。

それをオレは理解してしまった。

 

纏っていた気が霧散する。

オレの様子に、ネイルが怪訝そうな表情を浮かべる。

 

それに構わず、オレは膝から崩れ落ちた。

己の無力さに、涙があふれてくる。

終わるのだ。このナメック星のすべてが。

 

 

 

ハッピーエンドで終わるのだ。

 

≪ネイル。彼を連れてきなさい≫

 

その時、オレの異変に途方に暮れていたネイルに、最長老の言葉が響いた。

 

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