Fクラスのツワモノ   作:シロクマ

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それにしても総合評価って何を元に付けられてるんだろう…。


試召戦争開始~F対E~宣誓

6 試召戦争開始~F対E~

 

今日の授業も無事終わり、生徒達が帰り支度を済ませようとしている時。

 

一息つくような和やかさと賑やかさが教室に立ち込める中、そんな室内の空気が雄二の一言で簡単に打ち消される事となった。

 

 

「みんな、聞いてくれ!Fクラス代表として提案する。俺達Fクラスは、試験召喚戦争を起こそうと思う!」

 

「何じゃと!?」

「試験召喚戦争って…まさか!」

 

 

……嫌な予感ってのは大概当たるもんだ。

それを今改めて実感した。

 

 

「みんな、このオンボロ教室に不満はないか!?」

 

「「「 大 あ り だ!!!!」

 

 

雄二の演説に皆は心にためていた不満を爆発させる。

 

 

「だが、試召戦争にさえ勝利すれば、Aクラスの豪華な設備を手に入れる事だってできるんだ!!」

 

「「「おおぉぉぉ!!!!!」」」

 

大勢の感嘆の叫びによって、教室が軽く振動する。

 

 

「我々は最下位だ!

 学園の底辺だ!

 誰からも見向きもされない、これ以上は下のない、クズの集まりだ!!

 つまりそれは、もう失うものは何も無いという事だ!!なら、駄目元でやってみようじゃないか!」

 

 

自分のペースに持っていき、あっという間に周りを巻き込んでいく。

立派な指導者としての、資質。

 

坂本雄二、か…ずいぶん化けるもんだ。

 

 

…でも、それじゃ俺が困るんだよ。

 

 

『――って言っても、振り分け試験の成績の結果、俺達はFクラスな訳だろ?それからろくな勉強もしてない俺達が上位クラスに勝てるとは思えないんだけど。負けてもマイナスが無いにしろ、もうちょっと現実見ようぜ』

 

 

話がまとまりかけた瞬間、俺はこの話し合いに一石を投じる。

 

その波紋は全体に広がり、高まっていた士気はたちどころに霧散した。

 

 

「そりゃ勝てるもんならやりたいけどさ」

「確かに、負けたって取られるもんは無いけど…」

「だからって無意味に戦いたくないよな…」

「O点になったら鬼の補修が…!」

 

 

士気なんてこうやって簡単に奪う事ができる。

不安感や無気力を煽ってしまえば良いのだから。

 

人の欲望や望みを煽った雄二と、原理は同じこと。

 

それでも依然として雄二は堂々と構えた態度と取り続けていた。

 

その変わらない姿勢に、俺はまた嫌な予感を味わう。

 

 

「――勝算ならある。当たり前だろ?だからこその提案なんだ」

 

その自身に満ち溢れた表情は人に希望を与え。

 

再び皆の期待は高まっていった。

 

「…坂本って確か、小学生のころは神童とか呼ばれてなかったか?」

「それにこっちには姫路さんがいるじゃないか!」

「そうか、姫路さんは本来Aクラス候補!もしかして…これならいけるんじゃねーか!?」

 

ちっ、作戦失敗。

 

雄二が元神童?

瑞希がAクラスの実力?

 

ちょっとばかりイレギュラーが多すぎた。

 

『(…いや、それだけじゃないか)』

 

元々Fクラスは打算的な人間が少ない。

リスクを省みるよりも、目の前の利益を得る事を考える。

 

堅実さよりハイリスクハイリターン。

 

イレギュラー以前の問題だ。

俺は彼らの行動パターンを把握しきれていなかったのだ。

 

 

『(…でもまさか、【当たって砕けろ】を文字通り実践する輩をこの目で見る事になるとはさぁ…思わなくねぇ?)』

 

支給されたちゃぶ台に肘を付き掌を頬に添えながら小さくため息を吐く。

 

もう雄二の妨害は諦めて、今はクラスの展開を見届ける事にした。

 

 

「ああ。それに、俺達にはこいつがいる!」

そういって教台の前に自信満々に立つ雄二が指差したのは、明久。

 

 

…え、何?

周りだけでなく明久自身も雄二の言葉に特に覚えが無いようで、ポカンと呆けている。

 

「ここにいる吉井明久は、なんと観察処分者だ!」

 

あぁ、そういえば学園長が言っていた。観察処分者は俺と吉井明久の二名だと。

 

冷静な俺に反して、他のクラスメイトはどよめき合っている。

なるほど、最悪の称号っていうのは伊達じゃない。

 

 

「あいつが観察処分者…」

「すげぇ、初めて見たぜ…!」

「いやぁーそれほどでも…」

 

当事者である明久はなぜか照れて頭をかいていた。照れる要素がよく分からないが。

 

 

「あのー…観察処分者ってすごいんですか?」

 

状況を飲み込めない瑞希が誰にとも無く訊ねる。

 

「あぁ。誰にでもなれるわけじゃない。成績が悪く、学習意欲に欠ける問題児に与えられる特別待遇のことだ」

 

「ちっ違うよっ! ちょっとお茶目な16歳につけられる愛称で…」

「バカの代名詞とも言われておる」

「まったく何の役にも立たない人の事よ」

 

「わぁ~、本当にすごいんですね!」

「穴があったら入りたいっ」

 

雄二に続き、秀吉と美波、最後に瑞希がとどめを刺す。

 

 

そんな学園長の言った事と寸分違わぬ言葉と周りの態度に、観察処分者の認識は教師も生徒も変わらないことが伺えた。

 

 

「試召戦争に勝利すれば、こんなオンボロ教室とはおさらばだ。どうだみんな!やってみないか!?」

 

「「「おおぉぉぉ!!!!」」」

 

最終的に、うまい具合にクラスは一致団結したようだ。

 

さて、どうしたものか。

 

 

「まず手始めに一つ上のEクラスを叩く。…明久、Fクラス大使としてEクラスに宣戦布告をして来い」

 

そこは代表としてお前が行くべきなんじゃないか雄二。

なぜ明久に行かせようとするのか、その理由は明久自身が教えてくれた。

 

 

「えぇっ、僕?……普通、下位勢力の宣戦布告の使者ってひどい目にあうよね…?」

 

…そういうことか。

 

下位クラスからの宣戦布告など、上位クラスからしてみれば単に教室設備を奪われる恐れがあるだけの、迷惑以外の何物でもない。そんな宣言を言いに来る使者に良い感情を持つわけも無く、その結果…ということか。

 

そんな理由から弱腰になる明久に雄二は力強く説得する。

 

「それは映画やドラマの中の話だ。大事な大使に失礼な真似をするはずが無いだろう?」

 

人差し指を天井に掲げ、諭すようにゆっくりと告げる雄二にとてつもない悪意を感じる。

『(今のはウソだな。こいつ何だかんだいって我が身が可愛いだけだ)』

 

「…明久。これはお前にしか出来ない、重要な任務なんだ。騙されたと思って行ってきてくれ…!」

 

冷めた気持ちで二人の様子を見守る。

きっと部下を死地に追いやる上官っていうのはこんな感じなんだろうな、と今の明久と雄二を見て重ね合わせた。

 

「…うん。分かったよ、雄二」

 

そして流されやすい明久は雄二に深く頷いて了承してしまう。

 

 

…本当に、バカなんだなぁ。

そう侮辱しながらも、クラス分けテストのときと同じような、呆れを通り越した何か別の感情を彼に抱く。

 

 

『…行くなら俺も付き合うよ、明久』

 

何でだろう。俺、こんなに親切だったかな。

 

よく分からないが、なんとなく放っておけないとこいつに対しては感じてしまうのだ。

 

 

「ケイ、良いのか?」

 

訝しげに俺を見る雄二。

暗に「お前何考えてんの?」とでも言われているかのようだ。

 

 

『雄二、お前はもうちょっと人の使い方を学んだほうが良いよ。…さ、明久。

【ちょっとお茶目な16歳】どうし、仲良く行こうぜ?』

 

 

「なに…?」

「え、それって…」

 

雄二に少しばかり棘の混じった言葉を送ったあと、俺達は教室を出た。

 

確かEクラスはすぐ隣だったはずだ。

すぐにでも辿り着くだろう。

 

 

「ねぇ、さっきのって…ケイも観察処分者ってこと?」

 

『ん?あぁ。途中退室以前に、回答がまともに埋めてなかったから。それでちょっとな』

「へぇ、僕だけじゃなかったんだね!」

 

嬉しそうな明久には少し申し訳ないが、俺は実力でなったんじゃない。

 

『…それより明久、Eクラスってどんなクラスか分かるか?』

「雄二は、Eクラスの生徒はほとんどが部活に打ち込んでる体育会系クラスだって言ってたよ」

 

『ふぅん…敵情視察はちゃんとしてたんだな』

 

恐らく掃除の時間だな…今思えばしばらく姿が見えなかった気がする。

 

『――と、ここか』

 

Eクラスか。気は乗らねぇけど…良いや。俺も試召戦争の【粗品】くらいは頂くとしよう。

 

 

 

「Fクラス大使、吉井明久!Eクラスに宣戦布告します!」

 

俺より2歩ほど前に進み出て発したその声は、Eクラス全体に響き渡った。

 

 

「――Eクラス代表、中林宏美よ。…隣のクラスなんだから、言われなくても丸聞こえだったわ。ホントいい迷惑」

 

このピリピリした空気の中、前に出てきたEクラス代表。

 

まぁ、Fクラスに防音設備なんて存在するわけも無い。丸聞こえなのも当然といえば当然だ。

 

 

「そんな結果の分かりきった勝負、時間の無駄なんだよ!」

「何で俺達がお前らFクラスに付き合ってやんなきゃいけねーんだ!」

 

体育会系クラスだけあって、血気盛んな人間が多いらしい。

野次が飛んだと思ったら、今度はEクラスの男子数名が俺達に襲い掛かってきた。

そして周りの連中もまた、それを止める気配すらない。こんな状況に思わず眉をひそめる。

 

 

…なるほど、これが明久の言ってた酷い目ってやつね。

 

考えているうちに長身で大柄なEクラス生の拳が俺の間近に迫ってきた。

 

振り上げられた腕の筋肉は躍動的で強靭なばねを感じさせ、よく鍛え上げられていることが分かる。

打撃に関しては恐らく申し分ない威力を発揮するのだろう。

 

しかしそもそも、彼のパンチを受けてやる義理はない。難なく避けた後、無防備だった相手の足を払う。

そして力のやりどころを失った腕を掴んで重心下に入り込み、男の力を受け流すように前へ出して投げる。

 

一本背負いの完成だ。

 

『…まー落ち着けって、な?』

 

人一人が床に叩きつけられる。机や椅子を多少巻き込んだすさまじい衝撃音に、投げ飛ばされた本人だけでなく周りも唖然として動きが止まった。

 

ふと明久を見るとどうやら一発殴られたようで、俺をキョトンと見ながらも左頬を押さえていた。

 

まともに食らったか…青くなるだろうな、あれは。

 

 

『…俺は転入生だから、ここでの生活の細かいとこまでは知らねぇけどさ。試召戦争は学校の規則にまでちゃんと載ってる正式な勝負だろ?それを伝えにきた大使に向かってこの仕打ち…Eクラスってのは大半が部活に打ち込んでる割に、スポーツマンシップの風上にも置けない連中らしい。…正直がっかりだわ』

 

 

メリットが無いだの、時間の無駄だの。

 

Eクラスとして上位に立つ彼らの思考は、Fクラス連中よりよっぽど分かりやすいし、学校の暗黙の習わしに関して反抗するほど、俺は良い子じゃない。

 

彼らの考えを肯定してあげられるくらいの理解はあるつもりだ。

 

…が、最後の言葉は俺の本音。

 

せっかく期待してたのに、これじゃ【粗品】は期待できないかな。

実に残念だ。

 

 

「っ!今の発言、取り消しなさい!」

 

「今の行動にはっきりと自信が持てるなら取り消してやるよ。…と、わりーな。受身ちゃんと取ったかお前?なるべく負担かけないようにしたんだけど」

「あ、あぁ…」

 

彼の腕を掴み続けていた事に気づき開放、手を貸して起き上がらせる。

 

 

『明久ー、お前は大丈夫か?』

「う、うん、平気だよ。ちょっと痛いけど」

 

見た目と違って打たれ強いんだな。てっきり弱音吐くかと思ったけど。

…あぁ、美波に鍛えられてるからかな。

 

『腫れるといけないから、先に戻って冷やしとけ』

「え、でも」

『良いから。腫れてブサイクになっても知らねーぞ』

「え!?わ、分かった。後は頼んだよ、ケイ」

 

多少ためらっていたが、強く促して先に退室させる。

 

扉が閉められるのを最後まで見送った後、振り返ってEクラス代表を見つめた。

 

 

『中林、とりあえず宣誓はしといたからな。勝負は明日の5時限目。内容は数学勝負。Fクラス代表坂本からの伝言は以上だ』

 

「…良いわ。望みとおり、正々堂々と倒してあげる。実力差は分かりきってるもの、私達に勝てるわけ無いでしょうし」

 

『よし。用事もある事だし、俺もそろそろ行くかな…じゃ、明日はよろしく』

 

打って変わった軽いノリで俺はEクラスを後にした。

 

 

とりあえず、言いたい事は言い切った。

 

『種もまいたし、こんなもんか』

 

 

うまい事実ってくれればいいね、とりあえず。

 

 

 

 

教室に近づくにつれ、明久が雄二に対して文句をいう声が聞こえてくる。

たぶん、騙されたのを怒ってるんだろう。

 

 

『ただいまー』

 

「ケイ!無事だったんだね、良かったー」

『ダメージ受けてんのはお前だけだ。…って、俺冷やせって言ったよな?何してたんだよ」

 

すっかり痛々しい青アザできてるぞ。

 

「あ、雄二に文句言ってて忘れてた」

 

バカ。

 

「どうせブサイクな顔だ。それ以上ブサイクになっても大して変わらん」

「少しは悪びれろよ!」

 

 

どうして雄二がそこまでふてぶてしくなれるのかが俺には理解できない。

 

 

「――さ、これでもう後には引けないぞ、明久。…覚悟は良いな?」

 

 

なんか急にシリアスな展開になり始めた。

 

「へ?」

 

 

「お前の望みなんだろ?」

「…ああ、いつでも来い!」

 

 

…つまり、何だかんだ言って二人とも仲良しってことだな。

今まで見た事もない友情の在り方に少し戸惑うが、まぁ、そういうのもありなんだろう。

 

俺だったらお断りだけどな。

どちらの立場にしろ、罪悪感と憎しみで押しつぶされそうだ。

 

 

「じゃあ、僕は帰るけど、二人は?」

『あ、俺は先生に用事があるから』

約束どおり、学園長に生徒のデータをもらわなくてはいけない。

 

「俺も試召戦争承認のサインを渡しに行くから、明久は先帰ってろ」

「ふーん、じゃあまた明日ね!」

「またな明久」

『ちゃんと顔冷やせよー』

 

さて、俺も帰る準備してから行くか。

 

「――なぁ、ケイ」

『んー?何だよ雄二』

 

既に準備してあったのか、雄二はカバンを肩に担ぎながら俺に話しかけてきた。

 

 

 

「お前、何企んでんだ」

 

『は?』

 

同じような目を朝も向けられたっけな……いや、朝より数段鋭くなっている。

 

 

「お前は試召戦争をしたがっているようには見えない。さっきも反対してたしな」

 

だから何って感じだけど。

 

『朝にも言わなかったっけ。俺はこの教室に皆ほど不満は無いんだよ。だからあんまりやる気も起きない』

「悪いが俺はそれだけには思えない。まだ何か理由があるんじゃないか?」

『理由か…あぁ、言っとくけど別に試召戦争自体が嫌なわけじゃないぞ』

 

こんなことに【戦争】なんて名付けられてるのは嫌だけど。後ろにごっこが付いても良いくらいだとは思う。

 

 

『ただ平和に普通に過ごしたいんだよ、俺は。まぁでもやりたいなら勝手にやってろよ』

「じゃあ、平和にすごしたいくせにEクラスを必要以上に挑発したのはなぜだ?」

 

…明久か。

多分雄二に文句を言うときに、俺を引き合いに出したってとこだろう。

 

 

『殴られそうになってムカついたのと、今後の事を考えて?』

「最初のはともかく、後のは意味が分からん」

 

『んー、まぁ大した理由じゃねーけど…秘密。終わったら分かるかもよ?』

「…もういい。とにかく、あまり勝手な事をするな。ただでさえお前の行動は俺の作戦に支障をきたしてるんだ」

 

作戦なんてあったんだ。…まぁ無きゃ勝てないわな。

 

『雄二が自分で宣戦布告しに行かなかった罰なんじゃねーの?』

 

自分の保身を考えるってのは、いかにも策士らしいけど…俺はあまり好きじゃない。

 

「なんだろう。今のお前はすごくムカつくな」

『カルシウム不足か。牛乳は吸収力が悪いからあんまり意味ないぞ。取るなら小魚がオススメだ』

「いらねぇよっ!!」

 

『冗談はさておき。俺は回復試験受けなきゃだけど、それが終わったらちゃんと参加する。安心しろって、サボったりもしない。…たぶん』

「全然安心できないけどな。…まぁどっちにしろ観察処分者の肩書きを持つくらいだ、大した戦力になるとも思えん。もとより期待してないから、それこそ安心しろ。姫路さえいれば十分だ」

 

『ひっでーな、おい』

 

その認識の方が俺は助かるけど。

 

『そもそもさ、雄二が試召戦争起こそうって理由はなんなわけ?』

「明久が言ってたんだよ。姫路のためにクラスの設備を良くしたいって」

 

…あいつ本当にお人よしだな。もはや純粋すぎて眩しい。

『(にしてもそうか、瑞希のため、ね)』

 

 

「それに俺も、世の中学力だけが全てじゃないって証明したいと思ってたからな」

 

…お前は不純だな。

そんな学校の理念を全否定するような考え、許されると思ってんのか。

 

学力はそりゃあ確かに全てではない。

社会に出ればそれ以上に必要とされるものはたくさんある。

 

…が、あくまで学校で求められることの主要目的は学力だ。

社会に出てもいない、何の肩書きも持たない未成年を測るには、それ以外の方法はほとんど無いからだ。

 

そもそも学力の向上を目的とする学校でそういう証明をしたいって考える辺りがもう、なんていうか…こういうのをFクラスらしいっていうのかな。

 

 

「とにかく俺が言いたいのは、これ以上Eクラスに挑発するなって事だ」

 

『俺だってもうそんな気はねーよ』

「なら良い。…さて、俺もそろそろ渡しに行かないとな。じゃあな、ケイ」

 

『ああ、また明日』

 

…ふぅ。

一時はどうなるかと思ったけど、雄二の追及の詰めが甘いおかげで助かった。

 

 

それにしても、試召戦争か…どうしようか。まさか本気を出すわけにも行かないし。

 

そんなことしたらFクラスに溶け込むなんて不可能。

 

そもそも第一俺の実力で勝ったとして、それは雄二の言う「世の中学力だけじゃない」という考えを証明出来ない。

むしろ学力が全てだという逆の証明する事になってしまう。

いくら不純とはいえ、さすがにそんな高校生の夢をぶち壊すようなまねは駄目だろう。

 

なんかこう、道徳的に。

 

 

…あれ。

 

――瑞希が参戦する時点でもうアウトなんじゃないか?

 

 

『…まさか、そこまで考えてないのか?あいつ』

 

 

なんというか、本当に―――Fクラスらしい。

 

 

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