どらごんたらしver.このすば   作:ろくでなしぼっち

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第2話:噂話と夕食準備?

「ロリーサ? 手が空いてる? 夕食作るの手伝ってくれない?」

「いいですよー。メアも今日はお仕事だってさっき出て行きましたし」

「え? あの子仕事あるの?」

 

 ぱたぱたと飛んできたロリーサの言葉にあたしは驚く。いつも子供たちと遊んでるか寝てるイメージしかなかったんだけど……。

 

「ナイトメアという種族を一人で背負ってますからねー。普段も分身体がちゃんと仕事してますよ? なんだか今回は強敵がいるみたいで本体の出番という話でしたけど」

「きょ、強敵? え、何かあの子戦うの? というか戦えるの?」

 

 ロリーサ以上に戦ってる所想像できない見た目なんだけど。

 

「いえ、ナイトメアの仕事で強敵って話なので別に戦わないですよ?」

「そうよね戦わないわよね……」

 

 …………ん? ナイトメアの仕事で強敵?

 

「ねぇ、ロリーサ。そもそもナイトメアの仕事って何なの?」

 

 ナイトメア。それは一般的に馬の姿をしていて悪夢を見せるモンスターだと知られている。その正体が悪魔で、その中身がメアちゃんみたいな可愛い小さな女の子の姿をしていると知った時はあたしも驚いた。

 そのナイトメアの仕事って事だから悪夢を見せるってことなのかな? でも悪夢を見せることに強敵も何もない気がするんだけど。

 退治されそうな相手に悪夢を見せようとしている? でもそんな相手に本体がいく方が危ない気がするし、わざわざそんな相手に悪夢を見せないといけない理由でもあるんだろうか。

 

「さぁ? いまいち私も分かってないんですよね。リリス様なら何か知ってると思いますけど……」

「…………一応あの子の親代わりでしょ? そんなんでいいの?」

「そう言われても…………あの子あんな見た目してるだけでリリス様と互角の夢魔ですよ? 私みたいな一般的な夢魔には理解の及ぶところじゃないというか……」

 

 ダストやゆんゆんに頼りにされるだけの力を持ってるのに何を言ってるんだか。そんな夢魔が一般的だったらサキュバスが最弱の悪魔とか言われることはないはずだ。

 

「というか、そんなこと言ってたら──」

「──ええ。折檻が必要なみたいですね、ロリーサ」

「ひぇっ!? り、リリス様!? いつの間に来たんですか!?」

 

 ──リリスさんに怒られるよ。そうあたしが言う前に件の人が現れる。

 ロリーサが驚いてるけど本当にいつの間に来たんだろう。

 

「メアの話を始めた頃ですよ」

「ほとんど最初じゃないですか!? いるなら最初から言って下さいよ!」

「はぁ…………常在戦場。サキュバスの長になるものがそんなことでどうするのですか。あなたが死ぬことはサキュバスという種族が滅ぶことと理解しなさい」

「そんなこと言われても…………って、え!? 長になるって何の話ですか!?」

「言ってませんでしたか? あなたには私の後を継ぎサキュバスクイーンになってもらう予定だと」

「欠片も聞いていませんよ!?」

 

 …………なんでそんな大事なこと聞いてないの? あたしも普通にゆんゆんやダストから聞いて知ってたんだけど。

 

「ということでロリーサ。私の折檻フルコースと空飛ぶ城周回20週どちらがいいですか?」

「飛んできます! それでその後ちゃんと話を聞き…………聞きたくないなぁ……」

 

 余程折檻が嫌なのか。一瞬で飛んでその場を後にするロリーサ。途中で落ち込んだのか微妙に肩が落ちた後ろ姿が印象的だった。

 

「えっと…………リリスさんは今日は何の用できたんですか?」

 

 サキュバスクイーンにして何故か空飛ぶ城のメイドさんをしているリリスさん。あんまりあたしとは関りがないけど、ダストにご執心だから顔見知り程度には当然知っていた。

 そして極度の女好きであるダストや友達を求めるゆんゆんが苦手としている存在だということも。

 

「少しアリス様のことでダスト様に報告したいことがありまして」

「アリスさんですか?」

 

 魔王の娘。自称でアリスと名乗っているあの人は、城を管理するリリスさんと一緒に空飛ぶ城で悠々自適に暮らしているらしい。

 

「ええ、杞憂だといいのですが……」

 

 そう言って難しい顔をするリリスさん。アリスさんもリリスさん同様にダストやゆんゆんが苦手にする存在だ。リリスさんと違い度々何かやらかしているらしい。

 主に被害を受けるのはダストだからあたしはよく知らないんだけどね。あんな美人さんなのにアリスさんに会うとダストが本気で嫌な顔をするから相当あれなのは想像ついてるんだけど。

 

「それで、ダスト様は何処に? 家にはいらっしゃらないようですが……」

「今ならあおいを探しに行ってますよ。さっき出て行ったから少し帰ってくるまでに時間がかかるかもです」

 

 と言ってもそんな時間はかからないと思うけど。夕食が出来上がるまでには帰ってくるんじゃないだろうか。

 

「そうですか。では帰ってくるまではゆんゆん様の手伝いでもしてくるとしましょう」

「……あ、はい。ありがとうございます」

 

 綺麗に頭を下げてからゆんゆんの元へ向かうリリスさん。その所作は女性であるあたしをして惚れ惚れするほど綺麗で…………それなのにダストが苦手とするんだから相当なんだろうなぁ。

 

(こうしてみると、ダストって周りに女の人多いけど、本人はあんまり得してない?)

 

 綺麗な子や可愛い子は多いけどゆんゆん以外は苦手にしてる相手や範囲対象外ばっかりだ。

 

「キースだったら死ぬほど羨ましがるんだろうけど。…………今、何してるのかな、あの二人」

 

 あたしとダストのパーティーメンバーだったテイラーとキース。二人が旅立った日から会っていないけれど…………元気にしてるといいな。

 

「って、あ!? リリスさんに料理手伝ってもらえばよかった!?」

 

 手伝いを頼んだロリーサはなんか飛んで行っちゃったし、割と話し込んだからか思ったより時間が過ぎている。メイン作るだけなら何とか間に合いそうだけどスープとか作ると考えたらダストが帰ってくるまでに作り終えるのは難しそうだ。

 

「かと言って今更リリスさんやゆんゆんに助けてもらうのはなぁ……」

 

 お義母さんもお義父さんと一緒に最近は帰りが遅いし……。

 あー、どうしよう。ダストって少しはまともになっても相変わらずろくでなしだから遅れると煩いんだよね。

 

『こんばんはー』

 

「ん、この声は……」

 

 玄関の方からする声。あたしはその声の持ち主を想像しながら駆けていく。

 

「こんばんは、リーン姉さん。今日はダスト兄さんたちが仕事って聞いたので何か手伝えることないかってきました」

「フィー、ナイスタイミング!」

 

 玄関で待っていたのは想像した通りの姿。ダストの兄代わりだか父親代わりの義理の妹であるフィーベル=フィールという子だ。…………なんかそう説明するとどんな関係性かいまいち分からなくなるんだけど、ダストの義理の妹みたいなものだと思っている。

 親戚の付き合いをしていて、あたしにとってはリリスさんやアリスさんよりも身近な存在だ。

 …………いや、うん。この子くらいなんだよね、この里であたしと同じ普通の人枠の人。常識人枠だと思ってたルナさんはなんか若返りとかしちゃったし。仮面の悪魔さんと飲み友達やってるのとかも冷静に考えると頭おかしい。

 

「あ、やっぱり兄さんたちがいなくて手が足りないんですね」

「いや、ダストもゆんゆんも帰ってきたんだけどね。ただまぁ……手が足りてないのは確かかな」

 

 まぁ、あたしがリリスさんに手伝い頼んだら手も足りてたんだけどね。

 …………冷静に考えたらその案を実際にお願い出来てたかは微妙だし、気づいててもこの状況は変わらなかったかもしれないけど。

 

「? よく分からないですけど…………何を手伝いましょうか?」

「うん。スープとサラダをお願いしていい?」

「スープとサラダですか? 了解です」

「あ、そだ。今日はうちで夕飯食べていきなよ。フィーならいつでも歓迎なんだしさ」

「いいんですか? じゃあ……遠慮なく」

 

 フィーは一人暮らしだし、帰ってからまた自分の料理を作るとなると大変だ。手伝ってくれるんだしこれくらいは当然だろう。

 

「ところで、今日のメインディッシュはなんなんですか?」

「カエルのから揚げ」

 

 自分用のエプロンをつけながら聞いてきたフィーにあたしは端的にそう答える。

 

「そのオーダーは間違いなくダスト兄さんですね。たまにうちの酒場で食べていく時もそればっかりです」

「あー……やっぱり? あいつって本当貧乏舌なんだから」

 

 てか、うちに帰れば普通にご飯作るんだから帰ってくればいいのに。必要ならお弁当作ってあげてもいいし。

 

 

 

 トントンとフィーが野菜を切る音が続く。あらかじめ息の根を止めてるからそう難しくないとはいえ、野菜を切るフィーの手際は見事だ。やっぱり一人暮らしをしてると自然と身につくんだろうか。

 って、あたしも急いで作らないと。ゆっくりしてたらダストとあおいが帰ってくる。お義父さんとお義母さんもそろそろだろうし。

 

「…………やっぱりリーン姉さんっていいお嫁さんですよね」

「え? 何いきなり。褒めても夕ご飯しか出ないよ?」

 

 というか、お嫁さん? なれるとかじゃなくて?

 

「いえ、ゆんゆん姉さんもですがリーン姉さんもダスト兄さんにはもったいないくらい良い女性だなって」

「まぁ、ゆんゆんがダストにはもったいない子だというのには同意だけど…………本当にいきなりどうしたの?」

「いくらダスト兄さんが英雄とはいえ、リーン姉さんを第二夫人とか本当に贅沢だなって」

 

 んー? なんかあたしとフィーの認識に差があるような……?

 

「えっと…………あたし別にダストと結婚したり妾になった覚えはないけど? 家族にはなったけどね」

 

 あたしはダストとゆんゆん…………二人の子どもたちのママになることを選んで家族になった。けどダストと恋仲になったかと言われれば全く違う。あたしはあの日完全に振られている。

 

「またまたそんな冗談を………………え? 本当なんですか?」

「うん」

 

 真顔のあたしを見て同じく真顔になるフィー。

 

「え? え? 里じゃダスト兄さんは二ま…………いえ、一夫多妻を実現したうらやまけしからん奴だと里の男性から恨まれてますよ?」

「まだそんな噂あるんだ。何度か聞かれたけどいつも毎回否定してるんだけどな」

 

 あ、でも聞いてきたのは女の人ばかりだし、男の人には全然広まってないのかな? フィーは酒場で働いてるしおばさんたちの井戸端会議な噂より冒険者とかの噂話の方が良く入るんだろう。

 

「今まで勘違いしてました…………てっきりそういう関係なのだとばかり」

「信じられないかもしれないけど、あいつ結婚してからこっちあたし一度もあたしに手を出そうとしたことないんだよね」

 

 というか、ゆんゆんと付き合いだしてからか。地獄でのあれはノーカンにするとして。

 

「そんな…………アクセルの街で私にセクハラばっかりだったダスト兄さんがこんなに可愛い人と一緒に住んでて手を出してないなんて……」

「えっと…………それに関しては謝った方がいい?」

 

 本当アクセルにいたころのダストは酷かったからなぁ。後半は割とまともになったけどそれでも十分ろくでなしだったし。

 …………ろくでなしなのはこの里でも一緒か。

 

「そうだ! お酒飲んだ時は酷いんじゃないですか? あの状態のダスト兄さんがリーン姉さんみたいな可愛い人に手を出さないわけが……」

「んー……確かにあいつの酒癖は悪いけど、手を出されたことないよ?」

 

 というかなに? フィーはあたしがあいつに手を出されて欲しいの?

 

「え……そんな…………3か月くらい前ですけど私酔ったダスト兄さんにガーターベルトをまた脱がされたんですけど…………」

「とりあえずあいつの今日の飯は抜きにしとくわ」

「いえ! 別に気にしてないですから!」

「いや、そこは気にしようよ。嫁入り前の女の子なんだからさ」

 

 本当、ダストのろくでなしっぷりは酷い。でもそっか……酒癖の悪さは知ってたけど、フィーにはセクハラっぽい事するんだ。

 あいつ、酔ってもあたしにそんなこと全然しないくせに……。

 

「でも本当なんですか? だって…………リーン姉さんってダスト兄さんの事、好き……ですよね?」

「…………、そだね」

 

 告白して振られてからもう何年も経ったけど。それでもあたしはあの頃の想いを捨てられていない。

 というよりこの状況で捨てられるはずもないのかもしれない。ずっと好きだった人と一緒に過ごすこの状況では。離れていれば忘れている今もあったのかもしれないけれど。

 

「そして、ダスト兄さんもリーン姉さんのことを……」

「…………、かもね」

 

 だってそうだ。傍にいれば嫌でも分かる。あいつがあたしのことゆんゆんに負けないくらい大事にしてくれてるって。…………今でもあたしのこと好きでいてくれるって。

 

「それなのに……なんですか?」

「そうだからこそ、だよ」

 

 中途半端に手を出した先にあるのはあたしの一時の幸せとみんなの不幸だけだ。だからあいつはあたしに対してそういうろくでなしにはなれない。

 

 あいつが一番泣かしたくなくて泣かしてはいけない女の子はもう決まっているから。

 

「リーンさん、フィー、二人で何の話をしてるの?」

「ん……ゆんゆん。二人のお風呂は終わったんだ。…………あれ? キールは?」

 

 赤ちゃんを抱いて調理場にやってきたゆんゆん。でも二人いる赤ちゃんのうち抱いているのは双子の妹の方だけだ。お兄ちゃんのキールの姿はない。

 

「キールは眠っています。今はリリスさんが見守ってくれてますね」

「そなんだ。あんまり寝かしすぎると夜が大変だから程ほどにね?」

「もう、それくらい分かってますよ。あおいの時に散々実感しました」

「それもそっか」

 

 あたしもゆんゆんも、あおいを手のかからなくなるまで育てた経験がある。

 …………いや、今のあおいは赤ちゃんの頃とはまた別の意味で手がかかるけどそれはまた別の話で。

 

「ん……リーンさん、抱いてもらえますか?」

 

 だぁだぁとあたしに手を出す娘の姿にゆんゆんが優しく差しだしてくる。

 

「いいよ。…………おいで、『リール』」

 

 あたしの腕に抱かれて楽しそうに笑うのは、私が名前を付けた娘、『リール』。

 双子のうち男の子の方がキールという名前だと聞いた後に考えた名前を与えた子。他にもいろいろ名前を考えてはいたけれど、結局キールと双子ということでバランスを取ってその名前を選んだ。

 

「んー……やっぱりリールはリーンさんに抱かれてる方が機嫌が良くなりますね」

「ま、最近はダストとゆんゆん忙しくて家にいないこと多いしね」

 

 あおいの頃と比べて。キールとリールが両親と過ごせる時間は減っている。その減った時間を誰が一番面倒見ているかと言えば、それはママであるあたしなわけで。これで懐かれてなかったら結構ショックだ。

 

「まぁ、そうですけど……。……それで? 二人で何の話をしていたんですか?」

「あ、うん。フィーってばあたしの事ダストの第二夫人だって勘違いしてたんだって」

「あー……その話ですか」

「そ。そんなことあるわけないのにね」

 

 まぁ、客観的に見ればそう見えなくない事も確かだけど。でもあたしが否定し続けてるのに未だに噂が消えないのはちょっと違和感ある。

 

「まぁ、あり得るかどうかは置いときますけど…………フィーが勘違いした原因は私にあるかもしれません」

「? どういうこと?」

「えっと…………実はその話を聞かれたときに私ってそれを明確に否定出来てないんですよね」

「…………は?」

 

 何を言ってるんだろうこの子は。

 

「いえ、ダストさんとリーンさんを疑っているということはないんですけどね!? リーンさんの気持ちを知ってる身としてはこう、真正面から否定も出来なくて!」

「いや、そこはちゃんと否定しないといけないでしょ」

 

 まぁ、うん。確かに逆の立場だったら否定しづらい気持ちも分からないでもないけど。

 

「なるほど……私の勘違いの原因はゆんゆん姉さんのせい、っと」

「フィー!? 別に私は悪くありませんよね!? 私たちの関係って複雑なんですよ!」

 

 まぁ、複雑は複雑だけどね。それはそれとして、ゆんゆんが悪いかどうかは別の話だけど。

 …………通りで、あたしやダストがちゃんと否定してるのに噂が残るわけだ。

 

「とりあえず、ゆんゆん…………ギルティ」

「ニッコリ笑顔で有罪判決は怖いからやめてください!」

 

 本当この子は昔と変わらず新鮮な反応だなぁ。ダストに対する扱いは手馴れてるのに、あたしに対してはまだまだ初心というかなんというか。

 正直もっと砕けた感じでいいと思ってるんだけどね。ダストには敬語やめたのにあたしには前のままだし。

 

「ほらほら、あんまりうるさくするとリールが泣いちゃうでしょ?」

「うぐっ…………と、とにかく、今度その件についてはしっかり話し合いましょう」

 

 まぁ怒ってるわけじゃないしリールも別に本当に泣きそうなわけじゃないけど。でも今この場でこの話題を続けても仕方ない。

 かといってまた別の機会にきっちり話し合う気もないけど。とりあえず適当に流すのが一番だ。

 今は急いで料理を作らないといけな──

 

「──って、料理! 急いで作らないといけないんだった!」

 

 もうこんな時間!? 本当にもうダスト帰ってくる時間じゃん!

 

「ふぇぇぇ……疲れましたー…………リリス様の折檻よりはマシですけど…………って、あれ? まだ夕ご飯出来てないんですか?」

「よっし、ロリーサいいタイミングで帰ってきたわね!」

 

 あたしはリールをゆんゆんに返してもう一度エプロンをきつく締めなおす。

 

「ロリーサはあたしとフィーの補助! 材料持ってきたり調理具をタイミングを見て渡して!」

「そんな料理のプロみたいな仕事はできませんよ!? というか、思いっきり飛ばされて疲れてるんで出来ればゆっくりしたいんですけど……」

「ダストの精気を好きなだけ吸っていいから」

「全身全霊で挑ませていただきます!」

 

 相変わらずロリーサはチョロい。

 

「というか、勝手にダス君の精気を餌にしていいんですか?」

「ゆんゆんもたまにやってるじゃない」

「そう言えばそうでした」

 

 ダストの精気なんて有り余ってるらしいしこういう時に有効活用しないと。

 

「えーと…………薄々分かってましたけどダスト兄さんって姉さんたちに尻に敷かれてるんですね」

「というより、尻に敷かないとあいつのろくでなしは増長するだけでしょ?」

「こっちで主導権取っとかないと何をするか分からないってのはありますね」

「私はそのおかげで美味しい精気を頂けるんで何も文句ないです」

 

 どうでもいいけどロリーサ。その台詞をダストに聞かれたら死ぬほど頬っぺた引っ張られると思うんだけど大丈夫?

 

「って、ロリーサの頬っぺたの事はどうでもいいんだった! とにかく料理!」

「一体全体心の中で何を考えてるんですか!? なんだかすっごく不穏なんですけど!?」

 

 ロリーサがなんか喚いてるけどスルー。本当に時間がない。

 

「ゆんゆん、リリスさんにダストが帰ってこないように時間稼ぎしてきてもらってくれない? なんかダストに用事があるみたいだしちょうどいいでしょ」

「えー…………リリスさんにお願いとか普通に怖いんですけど……」

「ダストが面倒臭くなるよりましでしょ」

 

 多分。

 

「ダス君が面倒になる方がまだいいかなぁ…………まぁ、一応頼んでみますけど」

 

 …………本当あの人、どれだけ厄介な悪魔なんだろう。

 

 

 こうして、バタバタとしながら夕飯の準備が本格的に始まるのだった。

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