Fate/Grand Order 短編まとめ 作:バエル厨
かなりメタい、加えてロクに検閲もしてません(オイ)
西暦2018年4月29日、午後8時。
多くのマスターが待ち望んだ「Fate/Grand Order × Fate/Apocrypha スペシャルコラボイベント」――もとい「Fate/Apocrypha Inheritance of Glory」が開幕した。
其の地に喚ばれしサーヴァントは14騎。
「ルーマニアの聖杯大戦」の勝利者となったホムンクルスの少年ジークと、カルデアのマスター藤丸立香が出会い、再現された聖杯大戦で敵となるサーヴァント12騎との死闘を繰り広げる。
まずは3騎。
黒のアサシン、ジャック・ザ・リッパー。
赤のキャスター、ウィリアム・シェイクスピア。
黒のキャスター、アヴィケブロン。
かつての戦いに於いて。
黒のアサシンは黒のサーヴァントでありながらユグドミレニアと行動を共にせず、猟奇的な殺戮を繰り返した果てに浄化された。
赤のキャスターは最終決戦まで生き残り、人類の不老不死化を志した天草四郎時貞と、その願いを否定したジークの戦いを見届けた。
黒のキャスターは「アダム」なる最高のゴーレムを創るべくユグドミレニアを寝返り、己がマスターであったロシェ・フレイン・ユグドミレニアを核として「アダム」を創り上げたが、最終的には赤のセイバーと黒のセイバー(ジーク)の宝具によりアダムごと消滅させられた。
だが、幾星霜を経て彼らは再び揃った。
謎の聖杯大戦の参加者として、介入者たるカルデアのマスターと刃を交えるコトとなる。
そして、如何なる因果か――彼らは
「何百万人もの僕か…大量生産型のゴーレムになった気分だ」
「ここまで来ると、些か薄気味悪いですなあ。一人二人増えるならば役者の頭数的に良いのですが、何百万ともなれば壇上に上がり切れませぬ」
「元々複数の存在だし、わたしたちは違和感無いね。色んな遊びが出来そう!」
状況に対する想いは三者三様だが、やるべきコトははっきりしている。
これより訪れるカルデアのマスターどもを、圧倒的物量でねじ伏せる――彼らの仕事は、ただそれだけだ。
「間もなく20時だな。―――さあ、聖杯大戦を始めよう」
黒のキャスターが高らかに、Apocryphaコラボイベントの開幕を告げる。
発表より一ヶ月の時を越えて、遂に運命の時が訪れたのだ。
――彼ら、サーヴァント達は知らなかった。
一年数ヶ月前、遠き終局特異点で起きた悲劇を。
ソロモンの第二宝具「
笑いながら夜通し魔神柱を狩り続けた、我欲に支配された獣達の姿を――
◇
それはまさに、凄惨な光景だった。
マスター達は20時になると同時にフォウくんを走らせ、我先にとシナリオを
見開いた目を充血させ、高笑いを上げながら。
「な、なんdぐはあ!?」
「これは――!?」
「きゃあっ!」
まずそれぞれのサーヴァントが数百騎、良質な通信環境でのプレイを可能としているマスター達によって撃破された。
倒されたサーヴァント達からは、QPと素材とイベントアイテムがドロップする。
「ジャックちゃんがこれで、シェイクスピアが…ん? アヴィ先生が――歯車だと? よし」
素材を回収しつつ、何かを呟くマスター達。
どのサーヴァントからどの素材が落ちるかを把握したマスター達は、一転――黒のキャスターに襲いかかった。
「な、なんだ!?」
黒のキャスターは恐ろしい形相で向かってくる何百万人ものマスター達に狼狽し、とにかく応戦しようとする。
しかし、時間神殿での制圧戦より一年半の時を経たマスター達は、以前とは比べモノにならないほどの成長を遂げていた。
黒のキャスターは、反撃さえ許されなかった。
悉くが1ターンで沈められて逝くのだから、反撃など出来るハズが無い。
アキレウスも真っ青になるような速度での周回が、行われている。
それはまさに、時間神殿の再現だった。
何処で何が落ちるかが素早くリークされ、1ターン周回パーティが確立され、全てのマスターが一つでも多く素材を手に入れんとし、休みなく周回を続ける。
これこそが、カルデアのマスター達の執念。
他者より多く素材を手に入れ、自らが持つサーヴァント達を育て上げるコトが彼らの全て。
「他のプレイヤーの為に残しておこう」など、一瞬たりとも考えるコトなど無い。
底無しの欲望。
決して消えるコトの無い人間の性にして、人間の罪そのものとさえ言えるモノだ。
「素材オイシイ! キャハハハ、ハハハハハハハハハハ!!」
「歯車! 歯車!! 歯車ァ!!!」
黒のキャスター――アヴィケブロンは、直近で配信されたメインシナリオ「ロストベルトNo.1 永久凍土帝国アナスタシア」にて、大いにカルデアのマスターの助けとなった。
そして、涙無しでは見られないような消え方をしていった。
多くのマスターはアヴィケブロンに感謝し、アヴィケブロンのゴーレムを褒め称えた。
しかし、言うまでもないが情け容赦など一切無い。
何故か? 素材が落ちるからだ。
ならば殺し、素材を手に入れるのは至極当然。
「狂っている…有り得ん、こんな馬鹿なコトが――!!」
かくして、最後の黒のキャスターが倒された。
撃破までの時間、2時間41分。
一秒辺りの撃破数、123騎。
かつて12時間で永眠したバルバトスが一秒辺り44柱だったので、黒のキャスターは実にバルバトスの3倍の速度で撃破されたコトになる。
これで後8時間、黒のキャスターは身動きが取れなくなってしまった。
ケイオスタイドに沈むかのような感覚に襲われる中で、黒のキャスターは「殺したかったけど死んでほしくはなかった」と言う、理解するコトの出来ない言葉を耳にした――
◇
その時。
世界のどこかで、「魔術王」ソロモンと名乗る者が、静かに合掌した。
残る黒のアサシンと赤のキャスターが撃破されるまで、時間はかからなかった。
黒のアサシンは3時間35分、秒速94騎。
赤のキャスターは3時間57分、秒速84騎。
朝日を見るどころか日付さえ越えられぬまま、数百万騎のサーヴァントはその全てが撃破され、眠りに落ちた。
「――かつての時間神殿に於ける蛮行を、軽く上回る残虐性だ。流石は
これからも自分達より酷い目に遭うであろうサーヴァント達に過去最大級の憐憫を抱きつつ、「魔術王」ソロモンを名乗る王は過去最大級の溜め息を漏らした。
起きてすぐ、狂気のマスター達に襲われるサーヴァント達ェ…
と言うか、こんなの書いて怒られないんでしょうか…?