Fate/Grand Order 短編まとめ   作:バエル厨

4 / 5
日付さえ越せず撃破されてしまったサーヴァント達(主にアヴィケブロン先生)を追悼する超短編。
かなりメタい、加えてロクに検閲もしてません(オイ)


黒のキャスター(アヴィケブロン)追悼

西暦2018年4月29日、午後8時。

多くのマスターが待ち望んだ「Fate/Grand Order × Fate/Apocrypha スペシャルコラボイベント」――もとい「Fate/Apocrypha Inheritance of Glory」が開幕した。

 

其の地に喚ばれしサーヴァントは14騎。

「ルーマニアの聖杯大戦」の勝利者となったホムンクルスの少年ジークと、カルデアのマスター藤丸立香が出会い、再現された聖杯大戦で敵となるサーヴァント12騎との死闘を繰り広げる。

 

まずは3騎。

黒のアサシン、ジャック・ザ・リッパー。

赤のキャスター、ウィリアム・シェイクスピア。

黒のキャスター、アヴィケブロン。

 

かつての戦いに於いて。

黒のアサシンは黒のサーヴァントでありながらユグドミレニアと行動を共にせず、猟奇的な殺戮を繰り返した果てに浄化された。

赤のキャスターは最終決戦まで生き残り、人類の不老不死化を志した天草四郎時貞と、その願いを否定したジークの戦いを見届けた。

黒のキャスターは「アダム」なる最高のゴーレムを創るべくユグドミレニアを寝返り、己がマスターであったロシェ・フレイン・ユグドミレニアを核として「アダム」を創り上げたが、最終的には赤のセイバーと黒のセイバー(ジーク)の宝具によりアダムごと消滅させられた。

 

だが、幾星霜を経て彼らは再び揃った。

謎の聖杯大戦の参加者として、介入者たるカルデアのマスターと刃を交えるコトとなる。

 

 

そして、如何なる因果か――彼らは()()()()()()

 

 

「何百万人もの僕か…大量生産型のゴーレムになった気分だ」

「ここまで来ると、些か薄気味悪いですなあ。一人二人増えるならば役者の頭数的に良いのですが、何百万ともなれば壇上に上がり切れませぬ」

「元々複数の存在だし、わたしたちは違和感無いね。色んな遊びが出来そう!」

 

状況に対する想いは三者三様だが、やるべきコトははっきりしている。

これより訪れるカルデアのマスターどもを、圧倒的物量でねじ伏せる――彼らの仕事は、ただそれだけだ。

 

「間もなく20時だな。―――さあ、聖杯大戦を始めよう」

 

黒のキャスターが高らかに、Apocryphaコラボイベントの開幕を告げる。

発表より一ヶ月の時を越えて、遂に運命の時が訪れたのだ。

 

 

――彼ら、サーヴァント達は知らなかった。

一年数ヶ月前、遠き終局特異点で起きた悲劇を。

ソロモンの第二宝具「戴冠の時きたれり、其は全てを始めるもの(アルス・パウリナ)」――もとい、冠位の時間神殿に一千何万柱と跋扈していた魔神柱どもを震え上がらせた、カルデアのマスター達の姿を。

笑いながら夜通し魔神柱を狩り続けた、我欲に支配された獣達の姿を――

 

 

 

 

それはまさに、凄惨な光景だった。

マスター達は20時になると同時にフォウくんを走らせ、我先にとシナリオを読破(スキップ)し、ミレニア城塞付近で行われる撃退戦の戦場へ駆け込んで来た。

 

見開いた目を充血させ、高笑いを上げながら。

 

「な、なんdぐはあ!?」

「これは――!?」

「きゃあっ!」

 

まずそれぞれのサーヴァントが数百騎、良質な通信環境でのプレイを可能としているマスター達によって撃破された。

倒されたサーヴァント達からは、QPと素材とイベントアイテムがドロップする。

 

「ジャックちゃんがこれで、シェイクスピアが…ん? アヴィ先生が――歯車だと? よし」

 

素材を回収しつつ、何かを呟くマスター達。

どのサーヴァントからどの素材が落ちるかを把握したマスター達は、一転――黒のキャスターに襲いかかった。

 

「な、なんだ!?」

 

黒のキャスターは恐ろしい形相で向かってくる何百万人ものマスター達に狼狽し、とにかく応戦しようとする。

しかし、時間神殿での制圧戦より一年半の時を経たマスター達は、以前とは比べモノにならないほどの成長を遂げていた。

 

黒のキャスターは、反撃さえ許されなかった。

悉くが1ターンで沈められて逝くのだから、反撃など出来るハズが無い。

 

アキレウスも真っ青になるような速度での周回が、行われている。

それはまさに、時間神殿の再現だった。

 

何処で何が落ちるかが素早くリークされ、1ターン周回パーティが確立され、全てのマスターが一つでも多く素材を手に入れんとし、休みなく周回を続ける。

 

これこそが、カルデアのマスター達の執念。

他者より多く素材を手に入れ、自らが持つサーヴァント達を育て上げるコトが彼らの全て。

「他のプレイヤーの為に残しておこう」など、一瞬たりとも考えるコトなど無い。

 

底無しの欲望。

決して消えるコトの無い人間の性にして、人間の罪そのものとさえ言えるモノだ。

 

「素材オイシイ! キャハハハ、ハハハハハハハハハハ!!」

「歯車! 歯車!! 歯車ァ!!!」

 

黒のキャスター――アヴィケブロンは、直近で配信されたメインシナリオ「ロストベルトNo.1 永久凍土帝国アナスタシア」にて、大いにカルデアのマスターの助けとなった。

そして、涙無しでは見られないような消え方をしていった。

多くのマスターはアヴィケブロンに感謝し、アヴィケブロンのゴーレムを褒め称えた。

 

 

しかし、言うまでもないが情け容赦など一切無い。

 

 

何故か? 素材が落ちるからだ。

ならば殺し、素材を手に入れるのは至極当然。

 

「狂っている…有り得ん、こんな馬鹿なコトが――!!」

 

かくして、最後の黒のキャスターが倒された。

 

 

撃破までの時間、2時間41分。

一秒辺りの撃破数、123騎。

 

かつて12時間で永眠したバルバトスが一秒辺り44柱だったので、黒のキャスターは実にバルバトスの3倍の速度で撃破されたコトになる。

 

これで後8時間、黒のキャスターは身動きが取れなくなってしまった。

ケイオスタイドに沈むかのような感覚に襲われる中で、黒のキャスターは「殺したかったけど死んでほしくはなかった」と言う、理解するコトの出来ない言葉を耳にした――

 

 

 

 

その時。

世界のどこかで、「魔術王」ソロモンと名乗る者が、静かに合掌した。

 

 

残る黒のアサシンと赤のキャスターが撃破されるまで、時間はかからなかった。

 

黒のアサシンは3時間35分、秒速94騎。

赤のキャスターは3時間57分、秒速84騎。

 

朝日を見るどころか日付さえ越えられぬまま、数百万騎のサーヴァントはその全てが撃破され、眠りに落ちた。

 

 

「――かつての時間神殿に於ける蛮行を、軽く上回る残虐性だ。流石は創造主(きのこ)から『人類悪』と称されたカルデアのマスター、と言うべきかな」

 

これからも自分達より酷い目に遭うであろうサーヴァント達に過去最大級の憐憫を抱きつつ、「魔術王」ソロモンを名乗る王は過去最大級の溜め息を漏らした。




起きてすぐ、狂気のマスター達に襲われるサーヴァント達ェ…


と言うか、こんなの書いて怒られないんでしょうか…?
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