まだ続きます。
目が覚めた。
そこは見知らぬ路地だった。
知らない街並みだ……。
中世ヨーロッパのような、特徴的な街並みだ。
明るい髪の人々が、そこらを歩いていた。
あちらこちらに、鎧をまとった戦士の風体の屈強な男ども……とは言いづらい、初心者丸出しの人々がそこらにいた。
レンガ造りの街並みが、世界にはえている。
「これは、ギルドを探すのが最初のミッションかな?奇野クン?」
「ぉっ!?」
一人の少女。
黒髪を後ろでくくった、かわいらしい女の子だ。
———といっても、同学年なのだけれど。
クラスメートの
僕が殺した、女の子。
全部、あのいけ好かないメガミサマから聞いたことだけれど。
「……」
「じゃあ、行こうか!」
黙っている僕の手を、彼女はパッと取った。
木石来は僕の手を引いて走っていく。
「ちょ、肩外れるっ!!」
「大丈夫だよ!こんなんで外れたらナンジャクだよっ!」
ギルド、のような建物についた。
酒場もついたそこは、随分と冒険者たちでにぎわっていた。
……なれないなあ。
胸の大きなお姉さんが、「お食事なら空いてるお席でどうぞ!お仕事案内なら奥のカウンターで!」と元気よくいった。
……なれないなあ。
ちなみにお姉さんは両手あわせて12くらいのビールジョッキを持っていた。
……どうやってるんだろう。
わいやわいやとはしゃぐ彼らは、豪快に酒をかっこんでいた。
そいえばこの辺は、未成年飲酒の類はどうなっているのだろうか。
僕は、どっちにしろ飲めないけれど。
弱いんだよ。というかトラウマ。
「お仕事案内だから、僕らは奥のカウンターだね!」
彼女も、お姉さんに負けず劣らず元気に声を上げた。
おいおい走るな。お店の皆さんに迷惑だろうが。
「お金がない!」
木石来は、悲壮な顔でそう言った。
「どういうことだ?」
「あのね!お金がないと冒険者に慣れないんだって!」
うっそ。
なかなかに厳しいジョブなようだ。
というか、そういうのは出世払いだろう普通。
がめつい話だ。
別世界から来ている僕は、当然一文無しだ。
そんな時だ。
「ぐぅおっ!!」
「うわあああ!!!!!」
「医者を!!誰かあああ!!」
悲鳴がこだました。
パニックではまだないが、何かが起こっているようだ。
騒ぎの真ん中をのぞく。
一人の男が、首をおさえて苦しんでいた。喉を詰まらせたようだ。
卓上には巨大な餅のようなものが乗っていた。あれを詰まらせたのか。
僕が出ようとした横を、すっと通り過ぎていくものがあった。
木石来だ。
彼女が彼の隣によると、皆口を閉ざした。
医者の風格。
そんなものをまとっていた。
「喉を詰まらせたんですか?」
「———ッ!———ッ!」
男は必死でうなずく。
「では!」
そう言って彼女は、肩甲骨の間を手の付け根で強く、何度もたたいた。
ダンッ!ダンッ!と響く音は、数度で止んだ。
「ッゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!」
男は息を吹き返した。胃液と血が混じった咳を繰り返す。まあまだ死んではいないけれど。
「よかった……。助かった……」
彼女はそう言ってその場にペタンと腰をついた。
「すまねえ、助かったぜ」
男は、ひげだらけの顔を緩めた。
「お礼に――」
「いや、礼は——」
「ばっきゃらー!」
二重否定だった。
木石来が馬鹿なことを言おうとしたから止めたまでだ。
「お礼に、登録手数料分のお金、いただけますかね?」
奇野は、お金を、手に入れた!
「では、登録しますか!」
木石来は嬉々としてカウンターへ向かった。
今回はここまで。
テスト週間だるい……。