木石来がカウンターへ走っていった。
僕ものっそりと重い腰を上げることにする。
「とーろくしてーくだーさい!」
とっても元気な木石来ちゃんであった。
「あーはいはい、登録ですね、では登録手数料を」
「あります!!」
「最後まで言わせてやれよ」
それには面倒な手続きはいらず、ただ
便利な世の中になったものだ、いや、こちらから来たのだが。
手をかざすとキュゥイイと音を立て、機械輪が回転し、歯車がかみ合って、僕の情報を吸い取っていく。
何やら不快だ。気分の問題だけれど。
これで僕をスキャンしているのだろうか。
そんなもので僕のことがわかってしまうとは、いやな世の中だ。
僕から来た世界なんですけどね。てへ。
「何ですか?ねえ、何なんですか?あなたは」
「はい?何ですか?」
急につめよられた。
それはもう接近というより圧力だった。
怖い怖い!
呼吸音までロボ戦士みたいだ。コフーコフー言ってやがるぜ。
「なんで、さいしょから、すきるが、あるんですか」
「なんかひらがな表記なんですけど大丈夫ですか」
「おかしいでしょう!人として!」
「図書館ではお静かに」
「ここはギルドです!」
「うるさい」
「—————っ!!!」
いえ、つまりねー、と話し出した嬢によると、僕のアビリティはおかしいらしい。
スキルが最初からついていたり、知力が異様に高かったり。
ただし、明らかにおかしい点が一つ。
職が、すでに決まっていたのだ。
「……ここでも選択の自由はないんんだな……」
「え?なんです?」
「いえなんでも」
ふと
向こうでもひと騒ぎあったようだ。
まああいつが騒がしいのはいつものことだ。いつもを語れるほど、長い付き合いでもないけれど。
適当にだべりながら歩いていて、僕は一つの問題に気がついた。
「宿……どうしよう」
「のじゅくでいいんじゃない?」
「んー、まあいいか、それで」
あっさり決まった。
しかし道具なしでの野宿は、ややきついものがある。
辺りは暗くなり夕焼けで橙というには余りにも赤い、赤い空が広がっていた。
血のように真っ赤な世界が広がっていた。
こんな時間にまだ食料を確保できていないのはまずい。
火も用意できないし、水も飲めるかどうか……。
そのことを木石来に話す。
「ひとにもらえばいいんじゃ?」
「それなら、もう人の家に上がり込むほうがはやいだろ」
「はんざいだよ」
「そういうのあるのかねえ」
「あるんじゃない?」
「あるといいなあ」
「いいねえ」
延々とだべる。
「おなかへってきた」
「そうかあ」
「ちょっとさっきのおしょくじやさんいってくる!」
「おう。じゃあ、またここで」
「いってきまーす!」
「お、おう」
僕もおなかが減ってきた。
だんだん強くなっていく。
あの機械に腹の中の食事まで吸い取られた感覚だ。
気のせいなのはわかっているけれど。
しかし、あれはどこまでのぞき込むんだ。まるで咎凪だ。
くそ。食欲には抗えない。
降らり降らりと足を交差させる。
街並みはあまり移り変わらず、いい加減な食欲が腹痛を呼び起こした。
腹痛が痛い、だなんて頭の痛いことを言いたくなるような痛みだ。
どうしようか。どうしてやろうか。
木石来は、腹をぐうぐう鳴らしながらギルドを歩きまわっていたら、少し分けてもらえたそうだ。
うらやましい。
すきっ腹を抱えて、どうしようか迷っていたら、ギルドの嬢がおごってくださった。
有能な人材をこんなところでつぶすわけにはいかないそうで。
日雇いのバイトと冒険者の仕事『
「ありがとうございます」
「このかりは、出世払いで返してもらうからね!」
「え、おごりじゃないんですか」
「出世払い!」
「わかりましたよ」
そんな風にして、人間の三大欲望の一つ、食欲を満たして木石来のいるところに向かった。
はよバトル書きたい……。
ちなみに安楽はしばらく出てきません。