俺は『簡易機動型 丁』   作:飯妃旅立

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1話とは打って変わってかなり明るく軽い主人公です。


生きるって大変ですね

 

 小型アブダクターに休みは無い。

 簡単な素材で量産されるからこそ、より多くの敵を撃破するために転送さ(おくら)れ続けるからだ。 酷い時であれば、ボランティア規定時間全てに駆り出される。 咎人に言わせれば、『無限湧き』という奴だ。

 

 そういう意味では、俺はその過労死しそうな(過労死と言う概念は無いが)職場ではないと言えるだろう。 何故なら、撃破される事が無いから。

 

 

 俺の意識がこの『簡易機動型 丁』に宿ったのは数年前だ。 正確な時間はわからない。 なんたって記録する物も手段も無いからな。 一応ボランティア規定時間を測るための時計が内蔵されてはいるが、そんなもので年単位を測る事は出来ない。

 俺はこの世界……つまり、『FREEDOM WARS』の世界を知っていた。 PSVITAで発売されたソフトで、特徴的なシステムである荊を駆使して様々なアブダクターと闘った者だ。 勿論ゲームとして。

 周りの熱が冷め行くなか、俺は、俺だけはという念で以てゲームプレイを続けていたんだが……。 本気でUZEEEEE!! と思っていた『簡易機動型 丁』に、俺自身が宿るとは思わなんだ。

 

 とまぁ、なってしまったものは仕方ない。

 このまま撃破されて俺の意識が他の『簡易機動型 丁』に宿るとも限らんし、何より俺が怖いからとりあえず銃弾も荊も攻撃も避けるように頑張っている。 恐らく小型アブダクター界では最高峰の貢献度を誇る自信があるぜ。

 

 ちなみにだが、ウチのパノプティコンの名前はハメルン。 俺がゲームをやっていた時のパノプティコン名だから、恐らく最も危険な主人公様が属していると思われるパノプティコンだ。 これを知った時とても安心したぜ。

 だって主人公だぜ? 武器の強化やPS(プレイヤースキル)次第とはいえ、単独で天獄アブダクターとかを倒しきっちゃう奴。 そんなの絶対に相手にしたくないね。

 他の仲間達も異様に強いし……。

 

 とはいえ危険が一切ないって事でもない。 ぶっちゃけ、少しでも気を緩めればAAW-M2とか、EZ-ナースホルンⅢ、EZ-イーゲルⅣなんかが襲ってくる。 今の所ロケットランチャー、グレネードランチャーしか多目的火器は見たことが無いが、コレがナンブMK.25みたいなホーミング付になって見ろ。 それだけで脅威になる事間違いなしだ。

 

 分隊支援火器で危ないのはMG-M7とEZ-ヴォルフⅠausf.Fだ。 集弾性能が低いから、下手に避けると逆に当たる。 狙いを定めなきゃいけないファランクスみたいなのは当たらないけどな。

 

 個人携行火器はSR-42/LA以外心配しなくていい。 AR-7/Lとかパルサーとか、弾速が遅すぎて欠伸が出るくらいだ。 欠伸を出す機構は備わっていないが。

 問題はSR-42/LA。 俺もそれなりの知覚範囲を誇るつもりだが、そんなの知らぬとばかりの遠距離から撃ってきやがる。 しかも一撃一撃の威力が高いと来たからさぁ困った。

 

 一応常に身体を不規則に揺らし続ける事で対策を取っているが、ぶっちゃけ明確にコレ! という対策が出来ていないのが現状だ。 できれば砂漠とかで戦いたくない。

 

 ちなみにだが、牙龍やバーバラ’sイージーギアは射程が短すぎて当たる前に針が落ちる。 

 

 荊は然程脅威にならない。 遅すぎるからな。

 

 

 お、また貢献の時間のようだ。

 市民(シヴィリアン)確保、と。 貪欲だねェ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出た! 『簡易機動型 丁』だ!」

「チッ! マジかよ……! おい、市民(シヴィリアン)見つけたらすぐに救出して帰れ! こいつは俺らが止める!」

「ロストすんなよ! 直ぐに戻ってくるからな!」

 

 おや。 随分と警戒されているな……。

 咎人2人+アクセサリ2人が俺達小型アブダクターを相手して、残りの4人が大型(今回は砲撃二脚)を相手にするつもりのようだ。

 

 簡易輸送型に、出来るだけ天井付近を移動して砲撃二脚の援護に行くように指示をだす。

 さらに、砲撃二脚に頃合いを見計らって此方へ合流するように通信を入れておいた。

 

 俺に意思があるからなのか、俺は他のアブダクターと意思の疎通が図れる。 言語としてわかるわけじゃないが、何を思っているのか、何をしてほしいのかがわかるのだ。

 例えば簡易狙撃型が狙撃している時、ヘイトを集め過ぎたと思えば簡易装甲型や簡易機動型(おれたち)がその咎人を突き飛ばす。

 例えば簡易輸送型が狙われている時は、簡易近接型や簡易狙撃型に守るように指示をする。

 

 これにより、小型アブダクターによる咎人・アクセサリ撃破数が飛躍的に向上したと言えるだろう。

 

 

「喰らえ!」

「俺は下のを掃除する!」

 

 などと思考をしていたものの、しっかり敵を見ている。

 大振りなジャンプと共に放たれる槍の突きを、身体を少し揺らすことで避ける。 そんなのが当たると思っているのだろうか。 そういう風に思われている事自体が屈辱だな。

 もちろんそんな隙だらけの様を晒した咎人。 地上に居る奴らが援護が出来ない様に簡易近接型と簡易装甲型に支持をだしつつ、俺はその背中に向けて突進した。

 

「ぐぁあああ!?」

「ぐっ、くそっ! ちょこまかっ! と!!」

 

 フラグG。

 

 ――行けるよな?

 

 発破をしたからなのか、それともただ指示に従っただけか。

 そのフラグGを、簡易狙撃型が撃ち抜いた。

 

「だからッ!! 反則だって!!」

「ぐぅぅうううう! すまねぇ、そっち行った!」

 

 砲撃二脚が砲撃しながら突っ込んでくる。 良い頃合いだ。

 なんとかドラッグダウンを仕掛けようとしている咎人。 しかし、そいつを簡易輸送型と簡易装甲型が撃ち貫いていく。

 

「はぁ!? ちゃんと止めておけよ!!」

「簡易ヘルススキャン実行。 バイタルの低下を確認。 回復を提案します」

「損壊率規定値を突破。 一時的に機能の停止を行います」

「アクセサリが使えねェ!! クソが!!」

 

 使えないのはアクセサリではなく、視野を広げられないお前たちだ。

 しかし……なんだろうな。

 練度が低いと言うよりは、アクセサリとの信頼を築き上げていない咎人ばかりで楽々だ。

 

 主人公を見習え!

 

「あああああああ!! 小型UZEEEEEEE!!」

「ちっくしょ……が……」

「現在、ダメージにより機能停止中。 修復を――」

「うっせえ馬鹿アクセ!! 少しは自己修復とかしやがれ!」

 

 君が刑期を終えて、二級市民となってそういう機能を創ればいいんじゃないか?

 

 あ、ほじる鼻も指もねぇわ。

 

「ボランティア規定時間、残りあとわずかです」

 

 砲撃二脚ー。 そろそろ帰還だー。

 

 とるに足らない相手の判断し、帰還を促す。

 ゲーム中であればボランティア規定時間の最後まで大型・小型とわずアブダクターがいたが、ここは現実。 目的を達成し、既定の位置へと戻ればアブダクターだって転送されるのだ。

 

 それでは、貢献のための資材をありがとう。

 

 アデュー!

 




サマエルよりかなり明るい性格をしているので、感嘆符が少し多めになります。
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