俺は『簡易機動型 丁』 作:飯妃旅立
以降の地の分では名前のみの表記になります。
あと、捏造設定いっぱいでてきます。
「本ボランティアの目的は友軍アブダクターの護衛です。 ビーコンを使用して友軍アブダクターを誘導してください」
「援護する!」
「オォーケーィ!」
「私がやらなきゃ……!」
「行くよ!」
今日の任務は市民護衛。 ゲームと違ってこちらのアブダクターもしっかり戦闘する。
友軍はウーヴェ・’’サカモト’’・カブレラ、マティアス・’’レオ’’・ブルーノ、マリー・’’アルマ’’・ミラン、ニーナ・’’エリザベス’’・ディアスの4人+各自のアクセサリ。 そして俺達小型アブダクターだ。
『任意:シ1-5号作戦:市民護衛』という、原作ゲームには無かったミッション。 まぁ今までもそうだったし作戦があんなに少ないわけもない。 主人公様がいないのは残念だが、仲間達の戦いっぷりを間近で見る事が出来るのは幸いだ。
まだコウシンがロウストリートに侵入したという記録も無い。 そういやその時って俺達は駆り出されるのだろうか。
いつも通り不可思議イヴァラパワーのおかげでフレンドリーファイアは無いので、流れ弾を気にする必要が無いのはありがたい。 クリーミー・スクリーミーjrやパラドクサの攻撃がどうなるかはまだわからないが。
とりあえず簡易近接に大型アブダクター(汎用弐脚)から少し離れた位置を保持するように指示し、簡易装甲で周りを固める。 簡易狙撃は物陰から狙撃、俺以外の簡易機動には遊撃を担当させる。
簡易輸送は咎人1人につき2機同行させ、援護を指示した。
俺は全てが見える・どこにいてもすぐに向かえるマップの中心に陣取り、随時他の小型、もしくは大型アブダクターに戦況と情報を与えて指示する。 残念ながら咎人やアクセサリには意思を伝えられないので、彼ら彼女らの動きにこちらが合わせるしかないだろう。
さぁ、開戦だ。
時は少し遡って。
「ふむ……」
「ん? 元のしかめっ面がもっと酷い事になってるよ? どうしたんだい?」
「……これを見ろ」
『任意:シ1-5号作戦』の準備の為に武装整備を行っていた咎人ニーナは、同じく先程まで武装整備をしていた咎人ウーヴェの難しい顔に気付いて声を掛けた。 ウーヴェが唸りながら見ていたのは端末。 今回の作戦に関する資料のようだった。
ウーヴェにそれを渡されたニーナは、その内容を見る。
が、
「特におかしな所は見当たらないねぇ……何を悩んでたんだい?」
「友軍……小型アブダクターの欄だ」
「小型? ……おりょ?」
ウーヴェに示されて再度見た端末。
そこには今回のミッションに出動する小型アブダクターの一覧があった。
簡易○○型 甲と示されるいくつかの種類の後ろに*○と数字が書かれており、どのアブダクターがどれだけ投入されるのかがわかる表記だ。 ミッションによっては制限無し・支援無しなどと書かれるその欄に、一際目立つものが一つ表記されていた。
「簡易機動型 丁……? なんでコレだけグレード高いんだい? 生産管理局らしくないねぇ、効率悪いじゃないか」
「だから呻っていたんだ。 もしかしたら、コイツが噂に聞く最強の小型アブダクターかもしれん」
「あー、他のアブダクターを統率するって奴かい? 眉唾もんだねぇ……」
一覧には、
汎用弐脚 甲 *1
簡易機動型 丁 *1
簡易近接型 甲 *50
簡易装甲型 甲 *50
簡易機動型 甲 *50
簡易狙撃型 甲 *30
簡易輸送型 甲 *30
と表記されていた。 今までのミッションでは見る事の無かった表記に、ウーヴェは純粋な疑問を抱いていたのだ。 彼の娘がその噂を持ってきたことにも疑問は起因しているのかもしれない。
「ま、仲間だってんなら気にする事じゃない。 だろう?」
「……ふ、そうだな。 まさかお前に諭される日が来るとは……」
「あ、あの……そろそろ時間です……」
同じく任務に参加する咎人マリーが2人に時間を告げる。
2人は顔を見合わせ、その呼びかけに応えた。
戦いやすい。
咎人マティアスはかつてない程に自分が今『ノっている』事に気が付いていた。
彼の持つ大剣は高威力を出せる分取り回しが難しく、対咎人・アクセサリ戦ではその力を十全に発揮できるとは言い難い。 上級者ともなればできるのだろうが、今の自分にははっきり言って対人戦は苦手そのものだった。
「ヤッベぇ……」
「ぐあっ!?」
レベル2まで強化したアリサカMk.1も3点バーストという特性上それなりの上級者向けであり、大型アブダクターのようなデカい的ならまだしも対人や小型相手には当て辛い。
だが、この『任意:シ1-5号作戦』ではどうだろう。
「ヤッベェよ……」
「くそっ!? この、邪魔だ!!」
彼が大剣を振る場所に丁度良くのけぞった咎人がいる。
彼が引き金を引いた瞬間に丁度良くアクセサリが瀕死の状態でいる。
視界の隅に映る撃破はマティアス>敵勢咎人という表記が何段にも重なっており、自らの功績を実感できた。
「今の俺、超shazだぜ!」
勿論援護による賜物だということは重々承知だ。 上方から自分をお膳立てする様に放たれる光弾は敵のヘルスを削り、たまに突進してくる小型が敵を吹っ飛ばしてくれている。
だが、それでもマティアスは昂揚を抑えきれなかった。
マップを見れば護衛すべき大型アブダクターはあと少しで目標地点に辿り着く。
なら、自分は自分の仕事――リスポーンする敵勢咎人を倒し続ける。
マティアスは強く大剣の柄を握り直した。
「……」
咎人マリーは酷く落ち着いていた。
作戦行動中に落ち着くなど有り得ない事なのだが、彼女は落ち着いていた。
ニーナとマティアスが遊撃、自分とウーヴェがアブダクターの護衛を務める作戦で今作戦を開始したのだが、一向に咎人が来ないのだ。
見ればウーヴェも油断こそしていないが不思議に思っているようで、逐一マップを見ては状況の確認をしていた。
戦闘音は聞こえる。 大型が自分たちの護衛する汎用弐脚しかいない故に大きな音は聞こえないが、時折「ぐぁっ」とか「くそがぁぁああ!」とか「UZEEEEEEEE!!」とか聞こえるので存外近くに敵勢咎人が来ているのだろう。
だが、
「……来ない、ですね」
「そのようだ」
自分たちの視界には全くもって敵を確認できない。
視界の端に映るスコアはマティアス>敵勢咎人やニーナ>敵勢咎人が段々となっているほか、たまに簡易狙撃型>敵勢咎人や簡易輸送型>敵勢ACCと表記されている。
マティアスは新人咎人だったはず。 対人戦をそれなりにこなしているニーナであればわからないでもないのだが、ここまで一方的な展開に成り得るのだろうか。
ガッチャガッチャと音を立てて移動する汎用弐脚を見る。 ビーコンは既に目標地点に設置済みで、2つの距離はあと数mもない。
「んーっ」
普段は絶対にしない伸びをマリーが行った所で、ボランティアコンプリートの報せが入った。
パーフェクツッ!
汎用弐脚には一切の傷をつけず、湧いて出る咎人・アクセサリは全て地獄行き!
咎人達の目の前に追いやるように狙撃・突撃を指示する事で効率UP!
……おかげで今回の作戦は俺、1人も撃破してないんだけどな……。
こちら側に落とされた小型は1機も居ない。 資材を守りつつ、完全なコンプリートをしたというわけだ。
唯一の失敗は戦闘に誘導しすぎて咎人達が資源回収をしなかった事。 というか主人公様以外は資源回収するのだろうか。 するよな?
あと転送されて帰る前にめっちゃ不可解なモノを見る目で咎人ニーナに睨まれた。 睨まれたってより観察された。 まぁ1機だけ建物の上に浮かんでりゃ気になるよな。
何はともあれ、ミッションコンプリーツ!
ちなみにエネルギー温存の為にガッシャンガッシャンとゆっくり歩かせていただけで、走らせようと思えば走らせることが可能な汎用弐脚君。