俺は『簡易機動型 丁』   作:飯妃旅立

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主人公の名前はオリジナルです。
あと、独自解釈・捏造設定が多分に含まれています。


ガードの硬い男だろ?

 

「あレ? ……もしかして、見えてル?」

 

 はい。 ばっちりと。

 

「おかしいナ……そんなはずないんだけド」

 

 と言われましても……というか、俺の意思伝わってるんですか?

 

「Will’Oは『意思持つ電気信号』だかラ、そうしてはっきりこっちに発信されると感じちゃうんだヨ。 君が今疑問を感じている事はわかるけド……何を聞きたいのかはわからなイ」

 

 あ、そっすか……。 そりゃ残念。 久しぶりに人間? と会話が出来ると思ったのに。

 

「監視してる、ってわけでもないんだネ。 独立した意思があル……?」

 

 あぁ、このことをPT上層部に報告するとかは無いんで安心してください。 元から出来ないけど。

 

「安心してほしイ、って意思は伝わってきたヨ。 もしかしテ、人間レベルの意思が備わっているのかナ?」

 

 まぁ元人間ですし……。 市民(シヴィリアン)みたいな高度知識はもってないんですけどね。

 

「……? ごめんネ、よくわからないヤ。 サイモンなら何かわかったかもしれないけド……」

 

 あぁ、サイモンさん。 まだ種も出来ていないだろうし、会えないのは分かってますよ。 俺的にはアナタに会えただけでも結構嬉しいんですけど。

 

「嬉しイ? サイモンを知っていル、って事かナ? そんなはずないんだけド……」

 

 あ、誤解しないで欲しい。 今のはモノローグだから。 って、もしや意思と思った事の区別がついてない感じかコレは!

 

「また疑問……。 おっト、そろそろ時間みたイ。 それジャ、また会おうネ」

 

 はーい。 アリエスさんもお元気でー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いやぁびっくりしたね。

 うん。 マジでびっくりしたね。

 

 いつも通りの散策してたらいきなり壁の向こうからカワイイ女の子が出てくるんだもん、

 

 アリエス・M。 主人公の導き手たる女の子であり、同時に最も謎に包まれたキャラクターだった。

 基本的に瀕死の世界か、起き抜けの夢と現実の狭間に顕れる彼女。 原作HPでは幽界の導き手なんて記されていた辺り、あの真っ白世界含めて死後、もしくはWill’Oの存在しない世界なのかもしれないな。

 ちなみに俺はあの真っ白世界が好きだった。 ゲーム時代は用も無く行っていたものだ。

 

 あー、カワイかった。

 

 気分もいいし、今日はもう少し深くまで潜ってみるかな。

 ベアトリーチェ辺りが見れたらラッキーだし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ほんとに見れるとは思わなかった。

 

 深部セルガーデンの中でWill’O濃度が高い・普通の監視が入っていない区画を浚ってみた所、いくつか該当する区画が在った。 監視が入っていない区画を浚う方法は簡単で、浚った情報をパノプティコンの形に添う様に並べりゃいいだけだ。 そうすると不自然な区画が見つかるので、そこに直接転送してもらえばいい。

 俺が今いるベアトリーチェが拘束されている区画のほか、恐らく新しい棺を開花させるためのWill’O濃度が特別に高い区画、チェーザレが種を開花させたのであろう、目のような形をしたオブジェクトが倒れている区画も見つけた。

 前者は俺好みのWill’Oに溢れ捲った空間であり、時間が在ればまた行きたいと思っている。

 

 んで、今。 現在。 なう。

 

「俺じゃねえ! 俺じゃ、俺じゃねえ!」

 

 磔にされたベアトリーチェの前で拘束されたマティアスと……ずっと昔から存在を知っていた、主人公様がいた。

 俺のキャラメイクした顔・体型と同じ。 コーディネート権限が解放されていない故か服装は咎人配給服のままだが、俺と同じ趣味を持っていてくれるのならその服装となるのかもしれない。 ちなみに女主人公な。

 

 やばいな、愛着が……。 この後別に殺されたりするわけじゃないとはいえ、主人公が拘束されてるのはなんか……イヤだな。

 

 よし。

 

 助けちゃえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?」

「それで、って……そんだけだよ。 いきなり小型が監視アクセに突撃してきて、相棒が逃げろって言ってるって言うからその場はそのまま逃げてきたってワケ。 いや、あんときはびっくりしたよな!」

「……そーだな」

「まだ上の空かよ? んでさ、ユリアン。 どうにかして監視の目を欺けないかって相談なんだがよ……」

「それならいくつか資材を集めてきてくれればどうにかするよ。 それよりその小型だけど……コレだったりしないかい?」

 

 モザイク街・ザッカー。 監視用アクセサリ及びPT役員の目が入らないそこで、彼らはついさっきの出来事について語り合っていた。

 美女の幽霊に関する噂。 磔にされていた女の子。 そして、何故か自分たちを救ってくれた小型アブダクター。

 

 話を聞いていたユリアンは何か心当たりがあるらしく、持っていた端末を開いてその画面をマティアスとノクィート・’’ポー’’・ネィパに見せる。

 

「おー、これだよコレ! いつも見てる奴よりちょっと黒かったの覚えてるぜ!」

「……ユリアン、コイツは有名なのか?」

「うん。 数年前から確認されている簡易機動型でね、これを投入した作戦はただの一度も失敗していないんだ。 生産管理局も薄々気づいているみたいで、スキャンデータとかを市民に洗わせている。 僕も一度参加してみた事があるけど、普通の簡易機動型 丁と変わらなかったよ。 数年間一度も撃破されてないせいか、少しだけ他の簡易機動型よりWill’O濃度が高かったけどね」

「へぇー……。 誰かが操ってんじゃね?」

「そんな技術があるならとっくに作ってるさ。 烈火の憤怒(レッドレイジ)くらいだよ、使用者の意思のままに動くアブダクターなんて」

「レッドレイジ?」

「あぁ、レッドレイジっていうのは――」

 

 ユリアンとマティアスが会話を続ける中、ノクィートは逆手を口に当てて悩み込んでいた。 勿論、その簡易機動型について。

 

 先程マティアスにはこの簡易機動型は逃げろと言っている気がする、と言って逃走を促した。

 だが、そんな気がする、程度のものじゃないのだ。

 確実に「逃げろ」と言っていた。 聞き覚えの無い男の声で。

 もしかしたら自らの喪失した記憶の中に居たのかもしれない。 だが、今の自分は全く覚えていないその声。

 とりあえず1つ借りが出来た。 自分のやるべき事もしっかりある。 むしろそっちの方が大事だ。 だが、いつかあの簡易機動型に借りを返そう。

 

 ノクィートはそう決意して、会話を続ける2人を尻目に眠りに就いた。

 

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