俺は『簡易機動型 丁』   作:飯妃旅立

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もう6か月もたってる……
ちょっと長めかな?


It's kind of weird

 

 「サ4-1号鬼灯作戦:目標排除」。

 

 vsパラドクサ、もとい特殊S型 錆朱(ヴァーミリオン)の出てくるミッション。

 相手さんは最近まで交戦していたアガルタPTではなく、レムリアPTの咎人&アブダクターで、内訳は錆朱(ヴァーミリオン)が一体と近接、機動、咎人にアクセサリという、パラドクサの機動力や拘束力を考えれば割と合理的で効率的なパーティだ。

 

 対する此方は主人公様ことノクィート、ウーヴェ、ニーナ、カイというバランスのいいメンバーに加え、俺といつもの小型部隊。小型部隊は元からであるが、例によって俺は飛び入り参加である。

 

「あ、アイツ! 安保が追ってた奴じゃないかい?」

「どうする、ノクィート。捕獲を優先するか、無視してレムリアPTを叩くか」

「……お前に従っておこう」

 

 目敏く俺の存在に気付いたニーナが彼らに俺の存在を伝える。

 え、まさかここで敵対するの? ちょっと困るなー……。

 

 等と思っていたのだが、

 

「いや、どう考えてもアイツは味方だろ? 悪い奴でもないし、このままとっとと相手方潰して帰ろーぜ」

 

 ……うぅ。

 主人公様の優しさが染みる……。

 

「いや、悪い奴じゃないって……」

「おっし、いつも通りいくぞーウラウィ。私が狙撃するから、隠れた奴は全部貫け。いいか、一撃でも食らったら離脱しろよ?」

『了解しました、ノクィート』

 

 おお、アクセサリも同じ名前なのか!

 しかし物凄く仲良くなってるなぁ。第4情報位階権限で既に好意MAXなんじゃないか?

 相変わらずアクセサリには意思を届けられないが、いつか二人でノクィートの可愛らしさについて語り合いたいぜ。

 

「相変わらず……」

「来たぞ、気を引き締めて行け!」

 

 カイがその光景をみて何かを言いかけたが、ウーヴェの言葉に瞬時に臨戦態勢に入った。

 広大な砂漠、岩の影に隠れて様子を窺っていたのだが、どうやらあちらさんが痺れを切らせて打って出てきたようだ。

 

 さぁ、お前達。

 ノクィートとウラウィだけじゃない、彼女らの仲間となる咎人達の信頼を得るためにも、今日もはりきっていくぞ!

 あ、ネットには気を付けろよ! お前達が死んだら元も子もないんだからな!

 

 

 

 

 

 

 

「会敵した!」

 

 まず戦闘を突っ込んでいくのはニーナ。小剣を握りしめ、楽しそうに笑いながら敵咎人の軍勢に突貫する。多少の被弾は気にせず果敢に斬りかかって行く姿は相手に恐怖を覚えさせるもので、だからこそヘイトがニーナに集中する。

 彼女のアクセサリはアリサカ持ちで、ニーナの漏らしを逐一狩りとって行く。歴戦を感じさせるコンビネーションは戦場を引っ掻き回し、流れがグッとこちらに来た。

 

「回復する」

 

 そんなニーナの被弾を見てか、即座に彼女へと荊を繋ぐカイ。ニーナもそのタイミングをわかっていたようで、滅多に使わないEzカッツェに持ち替えて周囲を牽制する。勿論、回復が終われば即座に飛び出し、また戦場を掻きまわす。

 カイもまた対人戦を好むので、ニーナに続く様に斬りかかって行く。

「ふんっ!」

 

 特殊武装であるナックルを大振りに振り上げ、咎人やアクセサリを叩き潰しているのはウーヴェだ。とはいえ今回はニーナとカイという小剣二大アタッカーがいるので、もっぱら荊による防御力上昇をして回っている様だった。

 

「ウラウィ、そのまま真っ直ぐ突っ込めよ?」

『了解』

 

 体力が十分にある敵勢咎人二人+アクセサリ一体に対してダッシュ攻撃を行うウラウィ。隙の大きいその攻撃に敵が対応したその瞬間、タン、タンと二発の狙撃弾が彼らを貫いた。一人はHS、残りの一人と一体は胸を貫かれ、ヘルスが半分以上減る。

 そこを刈り取る、ウラウィの攻撃。

 

 これで第一波は終わりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 いやいや。

 あれ? これコード4だよね?

 なんでこの子達こんなに強いの?

 

 出る幕ないぞ!

 

「第二波! 遠いぞ、狙撃を警戒しろ!」

「へっ、上等!」

 

 少し離れた所に出現する第二波の敵勢力。

 ファランクス、火炎放射器、そしてスナライ。

 よーし、通じろ! ぺか!

 

「? ……乗れ、って?」

 

 ぺか!

 

「いいね、そう言うのも出来るのか! ウーヴェ、ニーナ、カイ! 空中の簡易機動型にとっつけ! 乗せてってくれるってよ!」

「なんだって?」

「……わかった」

 

 ノクィートの言葉にニーナは訝しげに、カイは柔軟に反応する。

 即座にカイが荊を機動型に伸ばして取りつく。

 

 よし、あっちまで全速力で!

 

「どうやら本当のようだな。いくぞ、ニーナ」

「あぁ、全く、デタラメだね!」

 

 ウーヴェがニーナの肩を押し、二人も機動型に取り付いた。

 さぁ、機動型の本領発揮だ! 市民(シヴィリアン)運びなら輸送型が一番だけど、ただ早けりゃいいなら俺達に敵う小型はいない!

 

「私はアンタで?」

 

 ぺか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは恐怖の光景だったと言えるだろう。

 歴戦として名高いウーヴェ、ニーナ、カイに加え、狙撃の名手と名を上げ始めているノクィートが()()してきたのだから。

 距離をとれば一方的に攻撃できる遠距離武器だからこそ、こうも一瞬で接近されては隙を晒しすぎる。

 さらに武器を変えようとする隙を縫って小型が邪魔をしに来るものだから、彼らがハメルンPTの面々の刀の錆になるのは到底変えられぬ運命であった。

 

 ならば、と。

 

「第三波! ……小型の群れか!」

 

 戦場に一斉に転送される小型アブダクターの軍勢。

 その数は圧倒的にハメルンPTの小型部隊を上回り、咎人を足しても余るほど。

 これなら、という淡い希望を抱くレムリアPT。

 

 だが、そこに待っていたのは当然の帰結だけだった。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、出てきた傍から狙撃や突進を受けて刈り取られていくレムリアPTの小型達。狙撃と言っても光弾の弾速は遅く、SRには遠く及ばない。だが、転送した瞬間に目の前にあったのでは避けようもない。

 蜘蛛の子を散らすように少数の小型部隊が大勢の小型を蹴散らしていく様は、ハメルン・レムリアPTの咎人双方にとっても中々見られぬ光景で、つい上空を見上げて立ちすくんでしまう者も少なくなかった。

 

 そんな彼らを見下すは、真黒の身体から僅かに青い光の漏れ出す簡易機動型 丁。

 名を、怠惰の静水(ブルーレジー)

 “原初の三機”ではないはずなのに、その姿はまるで戦場に君臨するかの如く。

 

 恐怖からか、悔しさからか。

 その存在を喪失(ロスト)しかけているレムリアPTの誰かが、抑えきれぬ怨嗟を込めて呟く。

 

「……ちまえ」

 

 否、叫ぶ。ありったけの呪いを込めて、その名を叫ぶ!

 

「やっちまえ、錆朱(ヴァーミリオン)!!」

 

 まるで彼の存在を贄とするかのように、その消失とほぼ同時でソレは姿を現した。

 

 まず目立つのは八つの脚。中心から大きく外に広がった足は堅牢な装甲があり、足先は鋭い鉤爪が鈍く光る。

 その中心には何本もの筒を重ねたような形の頭部センサーが付き、寄り添うようにして二本の武装ポッドが重く鎮座している。

 大きく晒された腹部のケージは、しかし堅牢な脚の装甲によって数多の攻撃を通さない事が容易に予測できた。

 

 これこそが錆朱(ヴァーミリオン)。天獄アブダクターであるパラドクサを鹵獲(ろかく)したレムリアPTの、現時点における最大戦力だ。

 錆朱(ヴァーミリオン)は出現と同時に威嚇するような金切り声をあげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ……SR-42/LA(コイツ)じゃちょっと分が悪そうかね……ウラウィ! 下がっときなよ! 蘇生優先だ! 近づかないで、蘇生して周れ!」

『了解』

 

 未だ天獄アブダクターはコウシンとしか交戦経験の無いハメルンPTの面々だが、即座に相手の特性を見抜いたノクィートが指示を飛ばす。

 ウーヴェはAAW-M2に持ち替えるが、ニーナとカイは気にしないと言わんばかりに突っ込んでいった。

 

「そんじゃ、私もいこうかな」

 

 そんな好戦的二人組に続く様にして出るノクィート。

 その肩には今まで一度も使わなかった大きな分隊支援火器が担がれている。

 

 先に走り出していたニーナ、カイの合間を縫って赤色の荊が伸び、錆朱(ヴァーミリオン)の脚の根元へと接触、即座にドラッグダウンを始めるノクィート。

 ニーナとカイは共に左右へと別れ、そのドラッグダウンへ加勢する。

 

 煩わしそうに身体を回転させ始める錆朱(ヴァーミリオン)。だが、耐性の付いていない一度目のドラッグダウンは即座に成功し、一時的に無力化されてしまった。

 しかし焦らずとも、錆朱(ヴァーミリオン)はその復帰の早さが特長だ。即座に持ち直し、立ち上がる――、

 

「まずは、一撃」

 

 その一瞬、時間にしてたった四秒。

 へたれこむようにして接地した錆朱(ヴァーミリオン)のその頭部センサーに、余りにも強力な一撃が叩き込まれる。

 錆朱(ヴァーミリオン)の巨体が一瞬怯んだように錯覚する勢いで叩き込まれたのは、大口径の鉄針。

 

 分隊支援火器――牙龍による一撃だ。

 

 いわゆるパイルバンカーであるソレは、発動から発射までに三秒もの時間を要する。

 つまり、ノクィートは距離を詰めて狙いを定める工程をたったの一秒で終わらせたのだ。

 とはいえ勿論ノクィートはどこぞの”最強”のような縮地染みた移動方法を持っているわけではない。

 むしろ分隊支援火器を担いでいる以上、その走りは普段より遅いだろう。

 

 それを助けているのは、

 

「レジー、あっちの岩まで離脱頼む!」

 

 呼び声に紅点を一度点滅させた、怠惰の静水(ブルーレジー)だ。

 まるでノクィートの専用機であるかのようなタイミングで飛来した怠惰の静水(ブルーレジー)の身体に荊を接続し、ノクィートはその場を離脱する。

 一歩遅れて咆哮を放った錆朱(ヴァーミリオン)だが、その周辺には誰もいない。ニーナもカイも同じように機動型に飛び乗り、しかし咆哮が終わったと見るや否や飛び降りて、錆朱(ヴァーミリオン)の武装ポッドへ取り付いた。

 

「おら!」

「シッ!」

 

 溶断を始める二人。

 その武装ポッド二本の中心、双方にダメージの行く場所へAAW-M2によるロケット弾が二発突き刺さる。

 

「ニーナ、カイ! 離れろ!」

「あいよ!」

「了解した」

 

 ノクィートの指示が飛び、二人が離脱した直後に錆朱(ヴァーミリオン)が回転を始める。それも今回はただの回転ではなく、弱いとはいえホーミング性能のある垂直ミサイル攻撃を交えての回転だ。

 ミサイルの速度は機動型の速度に勝り、少なくない数が撃墜される。

 

 だが、咎人やアクセサリに被害は無かった。

 

「守られたか……!」

「すごいじゃないか、この小型達!」

「有能だな」

 

 彼らに届きそうなミサイルは全て輸送型と装甲型が阻み、身を削ってでも通さない。

 

 ガンッ! と強い音がする。

 何事かと咎人達が音のした方を見れば、そこにはケージが壊れて無力化されている錆朱(ヴァーミリオン)と、静かに佇む怠惰の静水(ブルーレジー)

 まるで自らの指揮する小型部隊を傷付けられて怒っているかのようだった。

 

「ウラウィ!」

「了解、追撃します」

「私も、二撃目だ!」

 

 もちろん怠惰の静水(ブルーレジー)にくっついていたノクィートもそこにはいて、先程まで隠れていたらしいウラウィと共に己が武器を構えていた。ウラウィはヒュウガを、ノクィートは牙龍を。

 

 三秒後、高速回転する螺旋と超高威力の貫通針がパラドクサの頭部をぶち抜いた。

 吹っ飛ぶ頭部センサー。

 

「レジー、私達を守る必要はないよ、自分で勝手に避ける! なぁ?」

「言う通りさ、アタシ達には必要ないね!」

「問題ない」

「ふん、確かにそうだな」

 

 ぺか、とライトを一度点滅させる怠惰の静水(ブルーレジー)

 ノクィートを連れて離脱し、冷静になったとでもいうかのようにまた上空で静止する。

 

 その後はもう、語るまでも無い。

 小型に軽微な損害はあれど、ほぼ圧勝という形でハメルンPTは錆朱(ヴァーミリオン)を下したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……いや、うん。

 割と、悲しいものだなぁって。

 個々の性格があるワケじゃない。ただ、そこに意思はちゃんとあった。

 彼らは俺の部下なんかじゃなくて、俺としては友達みたいな認識で……。

 

 彼らを守るように言ったのは俺だ。こうなる事も予測していた。

 それでも、怒りを抑えきれなかった。

 錆朱(ヴァーミリオン)にも、馬鹿らしくも俺まで身を挺して守ってくれた彼らにも。

 

 小型は量産機だ。一体一体の事なんて気にしている咎人はいないだろう。

 だからこそ俺くらいは……俺だけは、彼らの事を大切に思って上げなきゃな。

 

 いいか、お前ら!

 俺を守るのも、咎人やアクセサリを守るのも無しだ!

 ただ! 攻撃あるのみ! それが俺達だろう?

 防御するなんてらしくない事すんなよ! そういうのはシールドジェネレーター持ちにでも任せておこうぜ!

 

 ……伝わってるといいなぁ。

 

 

 





ウラウィ ulawey
ヒュウガ Mk.2を持たされた主人公のアクセサリ。赤髪赤目、赤い服。信頼度は既にMAX。
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