今回は、とある魔術の禁書目録と(はまってしまったので)君の名はをクロスさせてみました。
とはいっても、君の名は成分は当分出てきません。
亀の如く遅い更新になるかもしれませんが、どうか最後までお付き合いいただければ、と思っております。
第一話 はじまりの日
[00]
昔々。
千七百年程前。
現在の神奈川県当たりの村に、一人の男の子が誕生した。
かれは不思議な力を持っており、人々から、こう崇められた。
現人神様———と。
[01]
いつとも知れぬ時間、どことも知れぬ場所で、一方通行、土御門元春、海原光貴、結標淡希の四人は再会した。
土御門が持つのは、血まみれの、機械でできたグローブのようなもの。人差し指と中指の部分にはそれぞれガラス製の長い爪のようなものが付いている。確か、垣根帝督が持っていたはずの物だ。
名前は『ピンセット』。
一方通行はそれを眺め、呆れたように呟いた。
「どさくさに紛れて回収しやがったのか。よくもまァ野次馬の中に隠れてたもンだ」
「こいつの中みは『滞空回線』っていうナノデバイスが収納されているらしい。『スクール』の連中は、どうにも大気中から『滞空回線』を採取して中身を調べるために動いていたみたいだな」
何でそこまで知っているんだ、と一方通行は不審に思ったが、どうせまた自分の知らない場所で暗躍した結果、知ったのだろう、と結論付ける。
と、『原典』の影響か、顔色が悪い海原が、普段よりもゆっくりとした口調で尋ねる。
「中身のデータとやらは?」
「『停滞回線』は学園都市におけるアレイスターの直通情報網を形成する中核だ。その体内に収められている情報も一般の『書庫』に収められているものとはレベルが違う」
前置きを聞き飽きたのか、退屈そうな顔をして、結標が言う。
「面倒ね。結局そのナノデバイスの中にはどんな情報が隠されているの?」
「待て、今出る所だ」
ピッ、と『ピンセット』の手の甲に当たる部分に取り付けられた小型モニタから電子音が鳴った。文字化けのような解析結果が高速でスクロールし、それに続いて文章が正しい形式に変換されていく。それを読んで、
「学園都市暗部にある機密扱いのコード類、だな」
と、土御門が言う。
「そいつが打開のヒントになるっつーのか」
「名前は……『グループ』、『スクール』、『アイテム』、『メンバー』、『ブロック』……こっちのは『ピンセット』……これは『ひこぼしⅡ号』のデータ、後は少年院の見取り図、と……」
「何が機密コードよ。ご大層なこと言っておいて、ようは上層部が今回の『グループ』の動きを監視するために情報を集めてただけじゃない。今更そんなデータを見せられても」
「それと、もう二つ」
土御門がそういうと、『グループ』の全員が小さなモニタに注目した。わざわざ土御門がほかの情報と区切ったということは、それまでの情報とは違うという意味だと受け取ったのだ。
新たに得た情報。
そこに表示された文字を、土御門元春はゆっくりとつぶやいた。
「『ドラゴン』と、最後に出てきたのは———『オリジン』」
戦いの果てに得たのは、小さな小さな突破口。
確かな鍵を手に入れた『グループ』の四人が、これより再び動き出す———。
一〇月十九日、午後十時。
学園都市の最高幹部、統括理事会の二人は正面から向き合っていた。
間にはテーブル。紅茶とお茶菓子がなく、潮岸が駆動鎧を着込んでいる二点は頂けないが、それらを除けば上級階級らしい穏やかな雰囲気に包まれる対話の空間が出来上がってた。一方通行の桁が違う攻撃のおかげでドームには亀裂が入り、星空が顔をのぞかせていたが、インテリアやそういう設計と考えれば許容できる程度のものだった。
親船と潮岸。
学園都市の歴史野中で起きた多くの出来事に深く関わってきた二人の老人は、それぞれ柔和な笑みを浮かべている。
「ええ、私から要求したいことは本当に簡単な事なんですよ」
口火を切ったのは、親船の方だった。
「今後、あなたが立案・実行する全ての計画・作戦から、『あなた以外の生命を勝手に組み込み消費する』という項目を永久削除してほしい、というだけなんです。ええ、簡単でしょう。あなた以外の人間ならば、誰もが当たり前に守っている事なんですから」
この言葉、つまり親船が潮岸に要求している事は、潮岸から全てを奪うことに等しい。
彼を特別たらしめている全てを取り除き、そこらを歩いている老人と何ら変わらない、平凡な人間になれと宣告しているのと同じなのだ。
当然、ここではい、なんて言えない。
何と答えようか潮岸が迷っていると、更に親船が口を開いた。
「そうそう、『ドラゴン』と『オリジン』についてもお聞きしましょうか」
「君にその情報が必要かね?」
『オリジン』、と聞いた瞬間にぴくっと眉を動かし、潮岸はいう。当然、駆動鎧の所為で顔が見えないため、そのことを親船は知らない。それを見れていれば親船は別の答えをしていたかもしれない。
「わたしに、というよりは協力者である『グループ』の方々から頼まれていましてね」
少しだけ沈黙し、それから潮岸は口を開いた。
「……『オリジン』、か」
小さく呟いたその言葉は、まるで、遠い過去を思い出しているようだった。
まるで、
「あれは、人の目には触れてはいけないものだ。勿論、『ドラゴン』も」
ふう、と、そこで潮岸は一息吐き、言う。
「
「はい?」
潮岸の言葉に、親船が———いや、親船の皮を被った海原が聞き返す。
次の瞬間だった。
後ろからの一撃で。
海原の意識が途切れさせられた。
「興味が沸いたから、ではだめか?」
「良くない、と俺が言うと思ったのか?なあ、エイワス。いや、————」
そこに立っていたのは。
金髪の長い髪。
光り輝くような長身と、その肢体を包むゆったりとした白い布の装束。正確な性別は全く分からないが、少なくとも外観の見た目だけなら女性的な人間だった。
人間、のように見えた。
「…それは私自身を示す名前じゃあないんだが…まあいい。私は一方通行と遊んでくる。それと、喜べ、潮岸。『オリジン』が目覚めるぞ」
と、潮岸の意識も、暗転する。
どのような技術を使ったのかは分からない。けれど、これだけは分かる。
エイワスの所為だ、と。
なぜなら。
潮岸を守るために待機していたはずの、美濃部の部隊———実際にはアステカの魔術師、テクパクトルとトチトリが(そういう言い方でいいのかは分からないが、面倒なので)率いていた部隊も、全滅していた。気絶の仕方は、海原や潮岸と同じだった。
と、エイワスがテクパクトルの隣を通り過ぎる瞬間、おや、と声を上げた。
「『原典』か」
エイワスが手にしたのは文字が書かれた、歴史が深そうな石板だった。それを数秒眺め、なるほどなるほど、これは厄介だ。なんて呟いて、更にトチトリの方を見下ろし、片手を振った
それだけで。
骨を黒曜石に変換されていた少女は、健康体に戻った。
「ふむ…この『原典』は…あそこの少年にでも授けるか」
そのままエイワスは。
『原典』を、投げた。
そして、ついでと言わんばかりに、何かしらの技術を使って、テクパクトルの心臓部分に穴を開け、エイワスは消えた。
パタンと。
まるで紙に挟まれて消えってしまったが如く。
「代償を払いなさい」
という言葉と共に。
どうでしたか?
実は、あらすじは決めたのに、細かな部分は決めていなくて、結構悩んだりしています。
今回は結構原作そのままですが、次回か次々回で大きく変わってきますよ。私の熱はいつ引くかわかりませんからね。早く早くしなくては。