[03]の『オリジン』のイメージをさらに沸かせるために描きました。
嘘つきました。自分の文章力のなさを補いたかっただけです。
*2016,11/11,23:21に画像を挿入
*2016,11/13,22:15に加筆修正
[03]
『窓のないビル』は地下一階、一階、二階という風に、三層に分かれている。
アレイスターにとって、そのなかで最も重要なのは、アレイスターの鎮座する二階。
では、ない。
彼が最も重きを置いていたのは、地下一階。
一階部分の生活に必要なもの全てが揃っている部分のさらに下。
そこには、『オリジン』が、居た。
鉄の仮面をつけられ、目と首の左右と後ろには杭が撃ち込まれており、それらから鎖が上に伸びていて、更にその鎖は何かしらの力によって彼の頭上でまとまっている。胴体には包帯が巻かれており、両手は交差させられており、手の甲にはこれまた太い杭が刺されている、普通ならば生きていること自体があり得ない人間。
それが、『オリジン』。
そして、一方通行がエイワスに全身全霊をかけて突っ込んでいこうとした瞬間の事だった。
カラン、と。
目の部分に深く、深く撃ち込まれていた杭が、地面に落ちた。
その穴からは。
赤い瞳が、なんの比喩でもなく、暗闇の中、まるで煌々と燃える炎の様に、覗いていた。
[04]
一方通行はチョーカー型の電極のスイッチを入れた。
第一位の超能力はこれでいつでも使える。ベクトル変換能力。ありとあらゆる攻撃を『反射』し、わずかな力から絶大な力を生み出す能力。これさえあれば勝てない敵はいない。
一方通行は、その力を最大限に使って、エイワスを潰そうとしていた。
脚力のベクトルを制御し、爆発的に前進する。
エイワスは回避すらしようとしなかった。両手をゆったりと広げたまま、自分の方に突進してくる一方通行を眺めていた。その懐に彼は飛び込んだ。開いた五本の指を、そのまま、思い切り突き出す。後はベクトルを操作すれば、エイワスを体内から破壊できる筈だった。
ちょうど、彼の指がエイワスに触れる直前の事だった。
ゾッッッ!!!!、と。
悪寒が一方通行の背中を駆け巡り。
エイワスが、カッ、と目を見開いた。
「『オリジン』が目覚めたか…!」
初めて聞く、人間らしい、抑揚がある声だった。
そして。
何か、得体のしれない力が。
学園都市を襲った。
航空専門の第二十三区の中で闘っていた無能力者と、超能力者。
特殊な右手を持った少年を探していた超能力者。
能力だけを本人の意思に関係なく強制的に使われていた、冷蔵庫の様な箱に詰められた超能力者。
AIM拡散力場の集合体なんていう、次元が全く違う化物と闘っていた、化物のような超能力者。
そえぞれがそれぞれ、こう感じた。
目覚めてはならないものが目覚めてしまった、と———。
しかし、一方通行は攻撃の手を緩めなかった。
驚きに満ちた表情のエイワスに、彼の全力の一撃を加えた。
しかし、
ドバッ!!、と。
こちらもまた、先ほどのものと同じような感じの、正体不明の衝撃が、一方通行の上半身を斜め一直線に切り裂いた。
重い刀のようなもので一刀両断された。そう解った時には、一方通行の身体は吹き飛ばされ、地面を一回、二回と転がっていた。
信じられないほどの量の血が、傷口から溢れ出る。違う立場ならば、こんなにも血が出るのか、と感心してしまう程に。そしてその血は、傷口からのものだけではなかった。口や鼻からも、溢れている。寧ろ、傷口から内臓が飛び出てこない事に違和感を感じるほどの傷だった。
と、自分が与えたダメージで一方通行が声にならない声を上げているのを尻目に、エイワスは少々焦った風に言う。
「すまないな、急用ができた。時間があれば、再度現出してあげるから、それまでに己の能力について理解を深めておきなさい」
その言葉と同時だった。エイワスの指先から、黄金の髪の先から、ザラザラと空中で分解し始めていた。
「では、さらばだ。…そうそう、最後に助言だが、ロシアに向かえ。いや、正確にはエリザリーナ独立国同盟か。困難の末に、君が欲するものが得られるだろう。そう、例えば君が見たこともない『全く別の法則』とかね」
「アガッ、ハ………」
返事とも分からぬ言葉を発する一方通行を背景に、今度こそ。
今度こそ、エイワスは雲を掻き消すように、消えてしまった。
(ッソ。あの、ヤロォ。人ォ、おもちゃ、みたいに…だが、なンで、ロシア…?そういやァ、第三次、世界、大………)
薄れゆく意識の中。
一方通行はすでに、次の行動について考え始めていた。
その一方。
第二十三区では。
「なん、だ。今の悪寒は………!?」
悪魔のような超能力者、麦野沈利と対峙していたはずの無能力者、浜面仕上は、その胸に燻る不安を隠せずにいた。
今までに感じたことがないほどの悪寒。
麦野相手でも、感じたことのない、圧倒的な恐怖。
それが、どこか分からない場所から襲ってきたのだから、たしかにそうなるだろう。
が、彼にそんなことを気にしている暇はない。
得体のしれない悪寒よりも明確に、死の恐怖が迫っていた。
「はぁーまづらぁ!!どぉーこにいんのかなぁ!?あぁ!?」
ビュン!と、健康に悪そうな色の光線が、浜面のすぐ脇を、障害物である貨物を突き抜けて突き抜けていった。
ビク、と浜面の肩が震える。そりゃあそうだ。今のは、どう見ても自分がいる場所を知った上で、敢えて外している攻撃だと一瞬で理解できたからだ。
取るべき進路は一つ。
下に潜れ。
カツン、カツン、と、ヒールの音が響く。
音を発している靴の持ち主は、麦野。
彼女は、浜面を探していた。
ゆらゆらと、純白の閃光で出来たアームを揺らめかせながら、楽しそうに彼女は言う。
「はーまぁづらぁ、どーこにいるのかにゃん」
その問いかけに、愚直にも返事があった。
「ここだ」
と。
「ッ!?」
前回の拳銃による派手な逆襲を受けた麦野は、身をひねるようにして振り返り、標的も確認せずに『原子崩し』を放った。
ズバァ!!、と、閃光が迸り、戦闘機が『原子崩し』の餌食となった。
だけでは済まなかった。
戦闘機のすぐ横。そこには、公園の土管のように積まれた細長い棒状の爆弾と。
その上には浜面が設置したのだろうと思われる、周囲に音が漏れるように最大音量にした無線用のヘッドセットと、機体のメンテナンス用に使うのだろう、無線LAN付きのファイバースコープを。
カッッッッッッッ!!!!と。
オレンジ色の爆発が起こり、その周りの戦闘機や爆弾、ミサイルさえも巻き込んで、盛大な誘爆を起こした。
遠く離れていた浜面浜面にも、衝撃が伝わるほどの爆発だった。
戦闘機の移動用として使われている電子トラクターのようなものを見つけて、それで静かに移動していた浜面は、爆発現場から五〇〇メートルほど離れた場所にある遮蔽物の陰にいた。戦闘機なんかのカラーを変えるためのペイント機材が一式載った小型トラックを盾にしたのだ。
それでも、爆風は小型トラックを揺らした。それほどに、大きな爆発だった。
「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」
鼓膜が破裂しそうになった。眼球が飛び出しそうな、変な圧力が内側から加わった。
しかし浜面が自分よりもまず優先したのは、滝壺だった。
(くそっ!頭の中がシェイクされたみたいな、変な感じがする…分厚いコンクリ製のトーチカを潰すために用意された二〇〇キロ爆弾だ。生身の人間に使うようなモンじゃねえ。麦野はこれで大丈夫だろう。それよりも、滝壺だ!!)
爆発の所為で熱風が吹き荒れた。
爆発現場の方は床が大きく崩れ、その下にある地下スペースを巻き込んだ崩落を引き起こしていた。浜面達が降りてきた連絡通路はねじ曲がって落ちている。そんな中を、浜面は歩いていた。滝壺の名前を大声で叫びながら、いつ第二、第三の誘爆が起こるか分からない場所を、ひたすらに探す。
その時だった。ガサリ、と物音が聞こえた。
「滝壺?」
浜面はそちらを振り返る。
しかし。
そこにいたのは。
「はーまづらぁ」
ゾワリ、と。
一瞬で体中の血が冷めて、体温が消えた。その時にはもう遅かった。ビュン!、と黒い煙の中から純白のレーザーが飛んできた。思い切り、身をひねったが、耳の方から嫌な音と匂いが撒き散らされた。ジュッ、と。
「———————————————ッッッッッッッッアアアアアアアアアアッッ!?!?」
のたうち回る浜面を見下すように、煙を裂いて麦野が現れた。
「こーんな程度の量産兵器で、第四位が倒せるとでも思っていたのかな。浜面ァ?」
「くそっ、くそくそくそくそ!!」
耳にこびりつく激痛を必死に堪えながら、浜面は両手で拳銃を持って発砲した。
しかし、唐突に麦野が消えた。
『原子崩し』をロケットエンジンのように放ったのだ。
察するに、二〇〇キロ爆弾からも同じ方法で緊急回避したのだろう。ブォン!、と、まるで鈍器を振るうような音と共に浜面の視界の外へ回避した麦野は。
「んな見え見えの反撃が通じるとでも思ってんのかしらぁ!!」
轟音が、およそ人間の身体から出るべきではない音が、炸裂した。
彼女の靴の先端が銃を構える浜面の背中へ突き刺さり、数メートルも宙に飛ばした音だった。そのまま、浜面の体は爆発によって生まれた亀裂の中に落ちた。
がんっ、ごんっ、と複数回の衝撃が走る。
背骨の一部が外れたんじゃないか、と本気で思うほどの激痛に襲われた浜面だったが、しかしそれについて泣き叫んだり喚いたりしている暇はない。上方からのゾクリとした殺気に対し、全力で床を転がる浜面。直後、浜面がいた場所に閃光が襲い掛かる。
ゴロゴロと転がって、遮蔽物に身を隠した浜面は、その時になって漸く周囲に目をやった。
おかしな空間だった。一〇〇メートル四方の部屋だったが、壁から均一に突起物が飛び出している。さらに突起物の向こうには、エアコンの送風のようなものが一面埋め尽くしているのが見えた。一方だけは強化ガラスで覆われており、その奥に何かの操作室のようなものが見える。
ここは戦闘機の試験場だ。それも、空気摩擦の耐久試験用の。
となると。
(くそ…どう考えてもこの手以外は思い浮かばない…!)
浜面ができる行動は、一つだけだった。
どうでしたか?
あっさりとしすぎでそたかね…。
あと、少しでも第1章を短くするために、省ける部分はどんどん省いていきます。