遅れて申し訳ございません。期末考査とかですね、色々ですね、忙しかったんです。
作者の見苦しい前書きはこのくらいにして。
本編をどうぞ。
[07]
宣戦布告
これは世界とそこに住む全人類を守るための戦いである。
今日、各地で起こっている温暖化や海面上昇などの環境破壊、石油やその他の化石燃料などの不足問題は、全て学園都市の特異な科学技術が元凶となっている。彼らの無秩序な科学技術の氾濫を食い止めなければ、この惑星に住むありとあらゆる生命体は、すべからく絶滅することだろう。
学園都市は全人類、全生命体の未来のために、速やかに各地で行われているプロジェクトを完全に凍結させる必要がある。また、諸処の問題を分析し解決するため、その元凶となった最先端の科学技術を我々に開示しなければならない。
平和を求める我々の提案を拒んだ場合、それは学園都市には世界との融和の意思はなく、ただ己の利権のためだけに、この地球にすむあらゆる生命体を危機にさらす邪悪な存在であると判断する。
学園都市からの返答は、モスクワ標準時間一〇月一九日午前〇時まで受け付けるものとする。
それまでに為されるべき返答がなかった場合、戦意ありとして我々は大陸間弾道ミサイルの使用も考慮した侵攻作戦を開始する。
なお、我々は学園都市と特に強い外交関係にあるグレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国に対しても、同様の判断を行う。己の利権のためだけに他のすべての生命体をないがしろにし、学園都市から得られる甘い汁をただ求めるだけの存在ならば、我々はこの後の長い未来を歩む子孫のためにも、敵国と全力で戦う必要があるのだから。
一〇月一八日 ロシア連邦大統領 ソールジェ=I=クライニコフ
[08]
こうして、第三次世界大戦は始まった。
総人口二三〇人で八割が未成年の一都市と、三大軍事大国の一角を成す大国、ロシア。
戦争は数で決まる。そう信じて大戦を始めたロシアの理論で言えば、学園都市は、確かに、どう足掻いてもこの戦争には―――ロシアには勝てない。それは、ロシア以外の国々も同様に考えていたことだった。つまり、高々二、三〇年分の技術の差など、数で埋めてなお余りある、と、そう考えているという事だ。
しかし、一〇月三〇日現在。
東京湾上空という、学園都市の最終防衛ラインを突破するなど、夢のまた夢。
むしろロシアは、追い込まれていた。
件のロシア領域内。
ギュモッギュモッ、と誰も通った跡がない雪の上を、エイワスは歩いていた。
はあ、とため息を吐きながら、それでも彼は歩き続ける。
「全く、一方通行だけでなく上条当麻も導けとは…彼も本当に過保護なことだ」
独り言を言いながら歩き続ける怪物は、線路沿いに歩いていた。
予定では、上条当麻はここを通る列車に乗って一方通行と会いまみえるはずだ。
「その上で第六位まで保護しろとは…適当にさっさと復活しろよ」
が、その予定の時間までは遥かにある。フィアンマとの戦闘など、様々な障害が待っているはずなのだから。
そう思うと、適当にアレイスターの愚痴を聞きながら学園都市で待って、それから瞬間移動してもいいんじゃないか、とも感じさせる。だが、それはそれで、『オリジン』について色々聞かされそうで面倒臭そうだ。
どっちにしろ面倒くせえな、なんてキャラを大幅にブレさせながらも、エイワスは歩いていくのだった。
[09]
一方通行の視界が明滅していた。
横倒しになった視界の中に、打ち止めの姿があった。今更ながらその事に顔をしかめそうになった一方通行は、すぐそこで会話が為されているのを聞いた。
ロシアに入国した頃の一方通行なら、それだけで殺人の引き金となっていたかもしれない。
しかし、今はもう動けなかった。
会話をしていたのは、ツンツン頭の少年と、金髪の怪物だった。
金髪の怪物が打ち止めのほうを向き、何かを言う。
ツンツン頭の少年は、その言葉を聞いてか、打ち止めの方に向かい、意識を失った小さな少女の顔を覗き込んでいたが、やがて、その右手を打ち止めの額へと向けた。まるで風邪になったときに熱を測るような仕草だった。
それだけで、何かが起きた。
ガラスが割れるような、甲高い音が白いロシアの大地に響き渡ったのだ。
それが何を意味しているのか、一方通行には理解できなかった。
彼の意識は再び沈んでいく。
「で、お前の要求は何なんだ?」
白いロシアの大地の中。上条は、金髪の怪物―――エイワスと対面していた。
「簡単な事だよ。―――ああ、本当に簡単な事だ」
打ち止めという小さな少女のを救う方法と引き換えにやってもらう事。それは。
「『オリジン』が現れても、何もしないでくれたまえ」
[10]
次に一方通行が目を覚ました時、彼は車内にいた。
一般的な一般的な車両ではない。そもそも人が乗るために設計されていないのだろう、窓さえも存在しなかった。おそらくトラックの様なものの荷台なのだろう。無骨な金属製の床や壁に、警戒心が募る。暗部組織―――例えば、回収専門の『幻月』部隊―――の手で回収されたのではないか、と考えたのだ。
しかし、直後に気付く。
あのツンツン頭の少年は、複数の車で編成された車両の中にいた。一方通行が乗せられているのもその内の一台なのかもしれない。
振動はなかった。
車はとまっている。一方通行が目を覚ました時には、既に目的地に到着していたのかもしれない。
傍らには、打ち止めが寝かされていた。
先ほどまで全身に流れていた気持ちの悪い汗は、なぜか収まっていた。意識を失う直前にツンツン頭の少年が触れていた事を思い出し、ならばあの右手が何らかの効果を与えていたのだろうか、と一方通行は考えた。
しかし、仮に何らかの効果があったとしても、持続性はないだろう。
彼のベクトル変換能力は、人体の脳波の乱れすらも正確につかみ取る。そうした力を使って打ち止めの身体を調べてみると、根本的な体調は治っていないのが分かるのだ。
今は安定していても、必ずぶり返す。
だが、解決までのタイムリミットが伸びたことも確かな事だ。
この状況をどう判断したものか、と悩む一方通行。と、ここで彼は打ち止めの小さな体のすぐ横に、小さなメモが置いてあるのを見つけた。
タイミング的に、ツンツン頭が残したものの可能性が高い。
手に取って広げてみると、紙切れにはこう書かれていた。
Index-Librorum-Prohibitorum。
禁書目録、と。
九月下旬だったか。
学園都市内で、インデックスと名乗る、銀髪碧眼の、まるで腹の中にブラックホールでも備えているんじゃないかと思うくらいに食べるティーカップの様な修道服を着た少女に出会ったのは。
考えてみれば科学の街の修道院や教会などあるはずもなく、そんな場所にいた彼女は、やはり、それなりに闇の深い場所に関わっていたのだろう。
なにはともあれ、次のステージに進む鍵を手に入れたのだ。
その時、停車したトラックの荷台の扉が、外側から開け放たれた。光が差し込み、肌を刺すような外気が肌に触れる。扉を開けた金髪碧眼の大男が、中にいる一方通行達に話しかけてくる。
「エリザりーな独立国同盟へ招待しよう。どこまでできるか分からないが、その子の回復方法を一緒に考えるとしようか」
一方通行は、言葉で返事をしなかった。
彼はただ、手の中のメモを両手で握りしめたまま、打ち止めの前で項垂れていた。
まるで、白い天使が祈りを捧げているかのような恰好だった。
そして。
彼の上条当麻とレッサーの隣で、人間の範疇を超えた存在は静かに嗤っていた。
エイワス。
並の人間であれば―――いやそもそも人間であれば、かもしれない―――脂汗でもかいていたかもしれない。そんなニュアンスを含む笑みだった。彼は、ほかの何者にも正しい意味の分からない笑みを浮かべながら、ただ呟く。
「やはり…彼は持つモノを持っている」
エイワスのいう『持つモノ』がいいものとは限らない。寧ろそれは持ち主の人生を大きく狂わせるモノの可能性の方が高い。
「流石は貴方に所縁のある人間だ」
小さく。上条やレッサーに聞こえない様に。
呟いた。
全く、君の名は用に伏線も敷かなきゃならないし、期末は忙しいし、超眠いし、文才はないし。いやー、忙しいっていいですね。
それでは、読んでくださり、誠にありがとうございました。
タイトル考えるのって難しい。
そうそう、余談で、そしてネタバレですが、今回の話で出てきた『幻月』って名前はこれから先出てくるとある人物の名前だったり。
※12月11日18時9分かなり修正