投稿が遅れて申し訳ありません。
いやホントに。それでも気長に読んでいただけたらなーって、思ってみたり。
では第六話です。どうぞ。
12/23 22:11修正
[11]
さて。
突然だがクイズをしようと思う。
とはいっても、簡単なものだ。
付き合いたくない人はそのまま下へ進んでもらって結構だが、考える気があったら、立ち止まってほしい。
お題はこうだ。
上条当麻とレッサーは今どこにいるでしょうか。
何言ってんだ、と思うだろう。
ロシア以外なくね、と思うだろう。
確かにそれは正解だ。だが正解の一部しか表せていない。大学入試だと大幅な減点を食らう―――もしくは〇点になるだろう。
ここで唐突なクイズを行った意味を考えてほしい。
なんの捻りもなく、ロシア、ではクイズをしている意味がない。
当然、地上ではない。
しかし、雪を掘るなんて芸当はできないから、地下でもない。
となると。
上条とレッサーは上空―――それも飛行機が飛ぶほどの高度だ―――を飛んでいた。
怪物、エイワスに襟首を掴まれながら。
「うおおおおおおおおおおおお!?」
「ぬああああああああああああ!?」
当然、人間の域を越してなどいない―――上条は微妙に越してしまっている部分もあるが―――二人からしてみたら、そんな場所から見える景色など、恐怖の対象でしかない。
しかし、どこまでも自分勝手な怪物は言う。
「五月蠅いぞ、静かにしたまえ。景色を楽しめないじゃないか」
「いやいや!?明らかに人間の域を越しちゃってるオマエはここから落ちちゃっても大丈夫かもしれないけどさ!?上条さん達は人間なのですのことよーーーっ!?」
「そうです!…って、急に高度を下げろと言っているわけでもないーーーっ!?」
面白いな、と、そう思った。
非常に反応が面白い。
言い換えると、非常に『興味深い』。
落としてしまおうか、とさえ思う。
「待ってください無言で襟首を握る手の筋肉を緩めないで!?お願いします!」
ニンマリ、と。
まるで、味を占めたぞ、とでも言いたげな顔でエイワスが上条達を眺めていた。
と、その時だった。
どこからか―――いや、地上から、というのは分かる―――轟音が聞こえてきた。
「…予定より少し早くはないか…?」
自分の命の危機への対処を最優先とする少年少女はその轟音にも、そしてその呟きにも気付けなかった。
起きた現象を目撃することは容易だったかもしれない。しかし、それが何を意味していたのかを知る者は少なかっただろう。
おそらく、一番初めに気が付いたのはフィレンツェの市民団体の男だった。
彼は歴史遺産保護のために、ほかの仲間と共に、古い教会の前までやってきていた。
大戦の最中ではあるが、イタリアはまだ大々的な戦火に包まれているというわけではない。だが市内は異様なまでにピリピリしていた。何がきっかけで何時大きな暴動が起きるか分からなかった。
時折感じる振動のようなものは、混乱に乗じた略奪行為で建物に火を点けられ、都市ガスなどに引火したものだと噂されていた。そしてその中年男性もそう思っていた。
しかし、中年男性がふと気が付いた《それ》は、これまでのものとは違った。
市内の少し離れた場所―――『外』から伝わってくるものではなく。
『内』。
つまり教会の中から響いてきたものだったのだ。
「………………?」
何か、嫌な予感がする。
中年男性はゆっくりと振り返る。
ミシリ、と、なにかしらしてはいけない音がした。
彼が守ろうとしていたもの。
荘厳な教会の核ともいえる、歴史ある尖塔が半ばから折れていた。重力を無視し、ふわりと浮かぶその構造物の中には、その街に時を告げ続けていた巨大な鐘も含まれていた。
なぜ壊れ、なぜ浮かぶのか。
彼の中で常識が崩れる音がした。
そして。
その時。
フランスのモン=サン=ミシェル修道院から、巨大な尖塔が引き千切られた。
その時。
イタリアの聖マリア教会から、複数の柱が抜き取られた。
その時。
マカオの聖ヨセフ教会から、荘厳なパイプオルガンが飛び出した。
その時。その時。その時。その時。その時。その時。その時。その時。その時。その時。その時。その時。その時。その時。その時。その時。その時。その時。その時。その時―――――。
二〇億人以上もの信者を抱えるローマ正教は、その長い歴史の中で世界各地に多くの教会や修道院を建造していた。様式も建設思想も、土地や時代、文化によって様々で、それが各々の建造物の個性を生み出していた。
それらの教会や修道院から、特に重要だと言われる物品が取り外された。
そして、まるで磁石に引き寄せられるかのように、そうした物品は一点へと飛来していった。
ロシアへ。
右方のフィアンマが待つ、極寒の基地へと。
数千、数万、数十万とかき集められた各文化の結晶は、一ヶ所に集まると複雑に絡み合った。
初めから整えられたじぐぞーパズルのようなものではない。壊れた精密時計のために小さな部品を自作するかのように、本来ならばその使い方をしないであろうパーツを、無理矢理に嵌め込めて全く別の機能を生み出そうとしている感じ。
そして結果出来上がった巨大な建造物の大きさは、一辺一〇キロ以上の基地の敷地に収まらなかった。
それ以上に膨張した。
更にその建造物は、集まり絡まり合うだけでは終わらなかった。
そして―――。
最初はゆっくりだった。
しかし少しずつ、変化は進んでいった。
そして上条が気付いた時にはもう遅かった。いや、最初から遅い早いなどなかったのかもしれない。
気付けば彼らのすぐそこに、蠢く建造物が迫っていた。
「なん、だ?これ…?十字架…?」
「いえ、これはローマ正教の最暗部、『神の右席』のシンボルをモチーフにしている…そして右側が大きい…まさか」
上条が思わず、といった風に漏らした疑問に、レッサーが答える。
しかし、それに思わぬところから補足が入った。
「いや、それだけじゃない。これはおそらく『ベツレヘムの星』の模倣、という意味も込められている。となると、それだけ大きな術を行使しようとしている、という事だが…。思おい当たる節があるとすれば、天使の召喚、神上への到達第一歩、あとは…アイツお得意の時間魔術くらいか…?」
エイワス。
化物染みた実力にそぐわず、頭の方も化物の様だ。
一魔術師としてある程度名を馳せたレッサーでさえも知らない言葉を使ってくる。ここまでくれば、上条的には分からなさ過ぎて逆に全てを分かってしまう程に分からない。
そしてそのエイワスの知識の答え合わせをせんと、申し合わせたように、どこからともなく声が聞こえてきた。
『…金髪、お前がいつの時代の人間かは知らんが、時の魔術師
第一声は、不機嫌だった。
『だから、消去法で残り二つ。そのどちらともが正解だ。誉めてやろう。褒美だ。お前ら二人の入城を許可する。―――では、ようこそ。俺様の城「ベツレヘムの星」へ』
しかし第二声は、上機嫌だった。きっと自分のレベルについてきてくれた人間がいたことが嬉しかったのだろう。なんとも情緒が不安定だ。
そして、次の言葉は、上条を不安にさせ、
『―――天使の媒体ミーシャ=クロイツェフ。一〇万三〇〇〇冊の遠隔制御霊装。儀式場のベツレヘムの星。そして俺様の力を振るうに相応しいお前の右腕。必要な物はすべて手に入ったことだし、脇役には退場願おうか』
第三声は、上条を限りなく戦慄させた。
『出撃だ、大天使「
ゾッッ!!と、上条の体の中を寒気が走る。
そして直後。
ドンッッッ!!と。
世界が夜へと―――黒く塗りつぶしたような夜空へと変じた。
その中に、チラッと、何かしらの青い光が垣間見えた。
凝視すれば、それは人の形に見えたかもしれない。それぐらいに距離の離れた場所にあった、ただ点にしか見えない様な小さな光。
その出現を認めて、二ヤリ、と。
どこか遠くで何者かが嗤っていた。
いかがでしたか?
次回からは、ホントに急展開で行きますよ。
何せモチベが上がらない。
さっさと外伝書きたい投稿したい。
いやまあ、いっぱい書けば?って話になるんですが…。
では、次回もよろしくお願いします。