今回の話と次の話は、急ピッチで書き上げたので、至らぬ点が多々あると思いますし、それに文章もひどいかと思いますが、出来れば見ていってください。
それでは、どうぞ。
あ、第八話の方もすぐ投稿します。
[12]
光点が現れたのと、世界が黒く塗りつぶされたのと、フィアンマの言葉が発せられたのは、ほぼ同時だった。
順番で言うと、フィアンマの言葉、夜空への変化、そして光の発生。
最後の二つが、致命的だった。致命的で、最悪だった。
音が消えた。
青い光点から伸びた巨大な翼のようなものが、見渡す限りの天空を水平に薙いだ。
爆音は、遅れて上条の耳に炸裂した。
ロシア上空を席巻していた無人戦闘機の編隊が、数十機ほど纏めて爆散させられていた。一部生物的な動きを見せていたのは有人機だろうか。それらのいくつもが主翼を断ち切られ、慌てたようにパラシュートで脱出していくのが分かる。
破壊はそこに留まらない。
あの光点は、あくまでも向かってくる無人戦闘機編隊を吹き飛ばすために巨大な翼を振るったに過ぎないのだろう。しかし、巨大すぎる翼は途中で自壊し、半分より先が折れてそのまま飛ばされていった。その着弾地点で巨大な爆発が起こり、莫大な量の土が舞い上げられる。
そして、山が一つ、まるっと吹き飛ばされていた。
「ま、基とした『御使堕し』自体、偶発的な術式でしかなかったからな。そこからさらに派生させた召喚法では、安定に多少の問題はあるか」
まともではなかった。
数の差など一瞬で巻き返された。
これでこそ天使。
ただ圧倒的に君臨する者。
だが忘れてはならない。
フィアンマは背筋にチリッとした静電気のような感覚を覚えた。
「!?!?」
一瞬で首を仰け反らせた直後。当たればフィアンマでさえも殺してしまうような一撃が、さっきまで彼の首があった場所を抉った。
「『時計の針を戻すことはできないが、推し進めることはできる』、か。全く、暴論の極みだな」
エイワス。
科学の力で造られた、魔術の天使。
そんな相反する二つの力を抱えた存在が、そこにはいた。
「その力、興味が沸いた。全力を出せ。私が、直々に相手をしてやろう」
「―――ナメるなよ」
そんな彼が放つ無遠慮な言葉が、フィアンマの逆鱗に触れた。
ブチッ、と。怒りのあまり、犬歯で己の唇の端を噛み切る音が響き渡った。
「…あーれー?エイワスはー…?」
一方、こちらはエイワスのいなくなった上条グループ。
彼らは現在、急に消えてしまったエイワスを捜索すべく、目的の『禁書目録の制御霊装』を見つけ出すことを中断していた。
入り組んだ迷路のような構造をしている上に、未だにもぞもぞと動き続ける『ベツレヘムの星』の中を二人一組で歩きながら、取り敢えず中心部に向かってみる。
そして歩き始めてから少しして。
なにやら頑丈な扉が付けられた部屋の目の前に、二人は立っていた。
その部屋のドアの部分。そこに、丁寧にも部屋の名前が書かれた木の板がぶら下がっていた。
「…『俺様の部屋』…?」
そう書かれている周りには、どくろのマークや黄色と黒の三角形、更には放射性物質のマークなど、危険だ、という事を示す記号が多く描かれていた。
…フィアンマの意外な一面が知れる一品だった。
しかし、上条達にそんなことに一々感想を述べている暇などない。
取り敢えず鍵がかかっているかを確認するために、上条が右手を使ってドアノブに触れてみた瞬間。
パキーン、と。
ガラスを割ったかのような音が鳴り響き。
ドアが粉々に崩れた。
「―――!!」
上条の後ろで待機していたレッサーは、それを見て、上条の服の襟首を掴み、大きく後ろに跳躍する。
、
「ぐわぼっ!?」
潰れたカエルのような声を出しながら、上条はそうさせた原因であるレッサーに咎めるような視線を送る。
それを受けて、当のレッサーは、まるで愚か者を見るかのような目で―――いや、実際上条は愚か者なのだが―――上条を見つめ、そしてため息を吐いてから言った。
「全く、危ないですね、焦りましたよ。あんないかにもなドアに、何の仕掛けもないわけがないでしょう。今この瞬間にゲームオーバーというのもあり得た話なのですよ」
確かに、そうだ。言われてみれば、こんな目に見えてプライベートな部屋に、あのフィアンマがなにも仕掛けていないほうがおかしい。これだけで済んだのは奇跡といっても差し支えないぐらいに。
であるならば、この部屋には触れるべきではないのだろう。そう、上条は判断した。
「確かにそうだな。すっかり本来の目的を忘れてた。今は、先に進もう」
そう言って、上条は後ろを向く。
妙にあきらめのいいい感じもしたレッサーだが、そこは彼を信用することにして、背中を追っていくのだった。
カサリ、と、古い羊皮紙が床に落ちる音がした。
たったの一単語書かれているだけの、小さな羊皮紙だった。
しかし、その羊皮紙は様々な経緯を経て、そこにある。
その羊皮紙が生まれた理由は、ある男が自分の真名を一人の少年に教えるためだった。
その羊皮紙は、少年によって大切の保管されていた。
その羊皮紙に自分の真名を書いた人間は、少年とは対立してしまった。
その羊皮紙には、膨大な秘密が込められていた。
その羊皮紙には、『見た人間が興味を無くす』という機能が付けてあった。
そして。
その羊皮紙には、こう、書かれていた。
『上条双麻』、と―――。
東京行ってました。
人多い。
人酔いしそう。