・戦闘継続。
・ゴツモン(X)つぇえ。
霞とヤマトが襲い掛かるコマンドラモンとベタモンを相手する少し前。
ゴツモン(X)は太一たちを迎え撃った。
成熟期のデジモン六対成長期のデジモン一。
圧倒的に選ばれし子供たちが数でも力でも有利である。
勝負はすぐにつくと思う選ばれし子供たちだが、結果は予想の斜め行く出来事となっていた。
(何故だ!あのデジモンは一体なんなんだよ!?)
竜二が驚いたのは、ゴツモン(X)の異様な防御力にである。
進化してパワーアップしたグレイモンの必殺技”メガフレイム”がゴツモン(X)に効いていない。他にもバードラモンの”メテオウィング”、カブテリモンの”メガブラスター”、イッカクモンの”ハープーンバルカン”、トゲモンの”チクチクバンバン”ドルガモンの”パワーメタル”が全てゴツモン(X)に命中するも、ダメージは与えてい。
「我に、汝らの攻撃は効かぬ」
その通りだ。竜二たちのデジモンの攻撃はゴツモン(X)に全くと言っていいほど効いていなかった。ただ、ゴツモン(X)にとっては実際のところ、攻撃が全く効いていないわけではない。選ばれし子供たちのデジモンがゴツモン(X)との相性が悪いだけなのだ。
例えば、グレイモンのメガフレイムは体が岩で出来ているゴツモン(X)に対して体が多少温まる程度であまり効果がない。バードラモンも同じ理由だ。カブテリモンのメガブラスターは電気の塊を放つので、岩の体であるゴツモン(X)は電気を通さないので効果なし。トゲモンのチクチクバンバンは針が刺さらなくて効果なし。となると、残りのイックモンとドルガモンの必殺技が有効に見えそうだが、ゴツモン(X)の体が堅すぎてダメージを与えるにまで至らなかったのだ。
「太一、あのデジモン。私たちの攻撃が効いていないみたいよ」
「だったら、直接殴ってやればいいだけだ!いけ、グレイモン!」
グレイモンはゴツモン(X)に突っ込んでいく。ゴツモン(X)は必殺技レイジロックをグレイモンに放つが、グレイモンは角を使いレイジロックを粉砕した。
異様な防御力をもつゴツモン(X)だが、その攻撃力は通常のゴツモンよりも高いが成熟期を倒すほどの威力を持っていない。よって、ゴツモン(X)の攻撃には対処はできた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
グレイモンが雄たけびを上げながら角を突き出してゴツモン(X)と正面から衝突する。いくら圧倒的な防御力を持っていても、その重量はグレイモンより軽い。当然、グレイモンの突撃を受けたゴツモン(X)は後方に吹き飛んだ。
「どうだ!」
太一がガッツポーズをとる。グレイモンの一撃がゴツモン(X)に僅かながらも。ダメージを与えることに成功したのだ。
「む……我、油断した」
グレイモンの一撃を受けたゴツモン(X)は体勢を立て直すため体を起こそうとするが、如何せん体が通常のゴツモンと比べ圧倒的に大きすぎるため体を起こそうにも起こせれない。なんとか体を起こそうとするゴツモン(X)に、選ばれし子供たちはこの好機を見逃さなかった。
「そうはさせまへんで!」
体勢を立て直そうとするゴツモン(X)に、カブテリモンが空からの奇襲にかかる。完全にゴツモン(X)の不意を突く一撃が、途中で止まった。
ゴツモン(X)が止めたわけでなく、カブテリモンが止める理由はない。第三者の介入である。
「な、なんや!?」
「…………」
第三者は返事をしない。ただ
ゴツモン(X)と比べ小柄のデジモン。体から角や爪を持っているところを見る限り昆虫型のデジモンだ。驚くことに、虫型のデジモンはその小柄の体格でありながらも、巨体なカブテリモンがゴツモン(X)に向けて放った一撃をこの虫型デジモンは片手で防いだのだ。それだけではない、片手でカブテリモンの角を抑えつつも、もう片手で重量級のゴツモン(X)を持ち上げた。グレイモンの全体重を掛けた突進でようやく吹き飛んだゴツモン(X)をだ。
「グレイモンの一撃でようやくダメージを与えたかと思ったら、また新しい敵か」
「あのデジモン、なんて力だ!」
虫型のデジモンはゴツモン(X)の体勢を整えさせると両手を使いカブテリモンを放り投げた。カブテリモンは放物線を描きながら砂漠の大地に叩き付けられた。その衝撃で、カブテリモンはテントモンに退化してしまった。
「テントモン、大丈夫ですか?」
「光子郎はん……」
テントモンは力を使い果たしたのかその場に倒れ込む。
「汝、礼を言う」
「……………」
選ばれし子供たちの状況がさらに悪くなった。ゴツモン(X)一体なら、まだ勝機があったかもしれない。あのデジモンは防御こそ高いがパワーが弱いので、少なくともデジモンたちのダメージは少なくすんでいた。そこに力の強い虫型デジモンが現れたことで状況が一変。虫型デジモンはカブテリモンを現れてから一瞬で倒してしまった。その力はゴツモン(X)よりも高い。
(くそ、グレイモンが完全体になってくれれば。こんな奴ら……!)
太一は胸に揺れるタグを掴む。だが、何も反応しない。この状況でもグレイモンは進化することはできないのだ。
そして、状況が更に悪い方向へと進んでいった。
「よぉ、ゴツモン(X)、コカブテリモン。助太刀に来たよ」
敵が更に増えた。今度はスタンガンのようなクワガタデジモン。空からやってきたクワガタのデジモンはゴツモン(X)と虫型のデジモン、コカブテリモンの傍に降りる。
「汝よ、何しにやってきた」
「助太刀と伝言。あのプログラム、使っていいらしいよ」
「了解した。汝らよ、手を出すな」
「助太刀にきたのに?これじゃただの伝言係じゃん。俺にも少し戦わせてくれよ」
「好きにするがいい」
「よっしゃ!コカブテリモン、選手交代」
「…………」
コカブテリモンは手を上げクワガタのデジモン、コクワモン(X)とハイタッチを交わす。
コカブテリモンが下がったことで選ばれし子供たちが安堵の表情を浮かべるが、まだ油断はできない。いきなり現れたコクワモン(X)も相当強いに違いない。
「初めまして、選ばれし子供たちさん。俺はコクワモン(X)、こっちの岩のデジモンがゴツモン(X)、こっちの一切話さない緘黙な奴はコカブテリモン。ま、短い間よろしく」
「よ、よろしく……じゃないわよ!何で今になって挨拶するのよ!?」
「ん?だって初対面だし。出会ったら挨拶を交わすもんだろ」
「マジメか!」
思わず選ばれし子供たち全員がツッコミを入れてしまった。
「私たちの言葉がわかるのよね?どうして私たちを襲ったりするの?」
「ん~、俺から言わせてもらえば。まだ、俺は戦ってないので襲ってないけど?」
「そういうことじゃなくて!」
空の質問に、どこか間違った回答をするコクワモン(X)。なかなか話が進まない。それを思ったのか、転生者である上家竜二が空に代わってコクワモン(X)に問いかける。
「確かコクワモン(X)って言ったよな。俺たちを何で攻撃するんだ、エテモンの差し金か?」
あくまでも自然に聞く竜二、コクワモン(X)は簡潔に答えを返す。
「エテモンの差し金じゃない。というか、俺たちはエテモンなんてデジモンを知らないから」
「(つまりエテモンの手下じゃないのか……)だったら、何で俺たちを襲う」
「だから、俺はまだ襲っていないと」
「お前じゃなくて、その隣!と隣のデジモンだ!」
「あ、そういうこと」
コクワモン(X)の頭部のスタンガン部分に電気が走る。
「それは、俺たちの戦闘データと貴方たちの戦闘データを取るためです」
「俺たちの、データ……?」
「詳しいことは俺にはわからん。全ては荒喜しか知らないからな」
「荒喜?誰だそいつは」
荒喜という名前に聞き返す竜二。
そんな人物は原作に存在しない。だとすると、荒喜という奴は転生者か?
「答える義理はない。俺たちにはどうでもいいことだ―――俺は、お前たちと戦うだけだしな」
「!!」
途端にコクワモン(X)の雰囲気が穏やかなものから冷ややかなものに一変する。コクワモン(X)の隣に立つゴツモン(X)も同じような雰囲気に。ただ、コカブテリモンは参加をしないのか緘黙に二体の後ろに佇む。
「ゴツモン(X)、プログラムを使え。一気に蹴散らすぞ」
「汝に、同意する」
コクワモン(X)とゴツモン(X)は静かに前に出ると手の上に何かを持っていた。四角いデータの塊のようなもの。コクワモン(X)とゴツモン(X)はそれを―――自らの体に押し込んだ。選ばれし子供たちはその光景に目を見開くが、次の瞬間、その表情は驚きのものに変わる。
「う、嘘でしょ………!」
データを体に押し込んだコクワモン(X)とゴツモン(X)に光の柱が発生した。その光は選ばれし子供たちこれまで何度も見たことがある―――進化の光と同じように見えた。
光の柱が収まりなくなったときには、コクワモン(X)とゴツモン(X)の姿形が変化していた。
「コクワモン(X)進化、クワガーモン(X)!!」
「ゴツモン(X)進化、モノクロモン(X)!!」
目の前にいたコクワモン(X)とゴツモン(X)は、パートナーもなしに進化した。
終わらなかったので次回に続く。
……後半で終わらなかったよ。(ーヘー;)