気まぐれな悪魔によるデジタル世界   作:ガルGC

7 / 10
簡潔内容説明(クリスマス関係ないよ!)
・霞の過去が明らかに
・主人公のパートナーが登場
・謎の人物
・やっと終わるよ!


第7話

 霞の旅の目的は弟を探すことであった。

 霞は弟の星之と一緒に交通事故に遭い死んでしまったが神の恵みによって二人とも奇跡的に転生することができた。二人は仲良くデジモンを決めた。弟の星之はコロナモンを、姉である霞はルナモンをパートナーにデジモンの世界にやってきた。しかし、そこで一つの問題が起きた。到着先がそれぞれ別になってしまったのだ。霞は無事現実世界に転生できたが、弟の方はデジタルワールドに転生されてしまった。幸いなのは、デジヴァイスを通して連絡が取れたこと。最初は連絡を取り合ってた二人だったのだが。ある日突然、星之からの連絡がこなくなった。しばらく経っても連絡は来ず、いま現在でも連絡を取ることが出来ない。心配になった霞は、サマーキャンプに参加してデジタルワールドに行くことを決意した。全ては弟と出会うために。会って現実世界に戻るために。会って、元の世界より仲良く暮らすために。

 

「星之が、死んでいる? なにを、言っているの……?」

 

 だから、認めたくなかった。

 長年探していた弟が死んでいるだなんて。出会えると思ってこの世界に来たのに。すでに死んでいるだなんて思いたくない。

 きっとこれは夢なんだ。砂漠を歩いているうちに倒れてしまって夢をみているんだ。なら、早く目覚めてほしい。こんな非情なことが現実なんかに起こっているわけがないから。

 

「嘘はやめて。星之が死んでいるわけがない!」

 

 目の前の男が言っていることは出鱈目だ。星之が死んでいる筈がない!

 

「こちらのを言うことをどう捉えても構わんが、嘘は言っていないぞ? 俺は、小宮星之とそのパートナーデジモン、コロナモンを過去に殺したことがあるだけだ」

 

「!!」

 

 星之だけではなく、パートナーであるコロナモンも殺した。

 二人で決めたパートナーデジモン知っているということは、彼の殺した人物は紛れもなく私の弟の星之であることがわかる。

 

(コイツが星之を……殺した?)

 

 そう理解した瞬間、霞の心の奥底から怒りが膨れ上がる。

 

「……ゆるさない」

 

 沈めていた顔を上げ、男を睨み付けた。視線に気づいた荒喜はより一層醜悪な笑みを浮かべる。が、今の霞にはその表情すら怒りの火種にしかならなかった。

 

「何を、ゆるさないんだ?」

 

「お前が、星之を殺したことを―――絶対に、ゆるさないっ! レキスモン!」

 

 霞の声に反応してレキスモンが飛び上がった。高さは先ほどの倍以上、空中で体を翻し必殺技のムーンナイトキックを放った。

 レキスモンが飛び上がったと同時にシールズドラモンも動く。シールズドラモンは、レキスモンのムーンナイトキックの軌道上に立った。先ほどと同じようにレキスモンの足を掴んで再び地面に叩き付ける寸法だ。可変式スコープで間合いを詰めるレキスモンの姿を確認し、シールズドラモンは構えた。ムーンナイトキックを放っているレキスモンの足首を掴もうとして―――空を切った。

 

「あぁ!?」

 

 驚くシールズドラモンに、いくつかの衝撃が襲い掛かる。それは、レキスモンが放った氷の矢がシールズドラモンに命中したからだ。レキスモンはシールズドラモンに足を掴まれる直前、砂漠に向けてティアーアローを放った。レキスモンの足を掴もうとしたシールズドラモンの手は空を切ったのだ。その時、レキスモンはシールズドラモンのその頭上を飛び、がら空きの背中にティアーアローを撃つことで、シールズドラモンに攻撃を当てることが出来た。

 流石のシールズドラモンも後ろの攻撃を予測することはできない。しかも、シールズドラモンの唯一の弱点であった背中に直撃したので、シールズドラモンは砂漠に倒れた。

 シールズドラモンを倒したレキスモンはすぐに跳躍し、相手との距離―――荒喜との距離を一気に詰める。レキスモンと荒喜との距離が一メートルを切ろうとしたとき、二人の間に緑の物体が飛び込んだ。

 

「マスターに手は出させませんよ!? くらえ、”電撃ビリビリ185V”ーーーッ!!」

 

 割って入ったのはベタモン(X)だった。荒喜を守るように前に出たベタモン(X)は必殺技である電撃ビリビリ185Vを使う。

 だが、

 

 

 ビリビリ、ビリビリ、ビリビリ、ビリビリ………。

 

 

「「…………………」」

 

 ここで一つ補足させて貰うと、ベタモンの必殺技である電撃ビリビリは、体から電流を空気中に流して相手を感電させる必殺技である。つまりは電気を放出する技である。本来、ベタモンの必殺技の電撃ビリビリの電圧は実に100万ボルトの威力を持っている。対して、ベタモン(X)の電撃ビリビリ185Vは通常のベタモンが使う必殺技よりだいぶ劣っている。数値で表すならば、約5400分の1程の威力しかない。それを砂漠で使ってみればどうなるか? 答えは、電流は放出されずベタモン(X)の周りに軽く静電気が生じるだけ。

 

「……ティアーアロー」

 

 レキスモンがボッソと呟いて氷の矢をベタモン(X)に放ち。

 

「マスターぁぁぁぁぁぁああああああああ………!?」

 

 ベタモン(X)は砂漠の空の彼方に飛んでった。

 その飛んでいく姿を見ながら、荒喜は小さくため息を吐いた。

 ……なにをやっているんだ。

 荒喜は視線を前に戻すとレキスモンが目の前まで移動した。流石は兎。見事な脚力というべきだろうか。迫りくるレキスモンの腕が荒喜の服を掴もうとしたとき、レキスモンの腕が弾かれる。

 

「!!」

 

 腕を弾かれたレキスモンは、すぐにまた荒喜を掴もうと腕を伸ばすがその腕すらも弾かれ

てしまう。

 

「やれ」

 

 荒喜の呟きにレキスモンを弾いていた何かが、レキスモンに無数の傷をつけながら吹き飛ばした。レキスモンはダメージの限界でルナモンに退化する。飛んできたルナモンを霞は受け止めた。そして、荒喜の方を睨んだ。正確にはレキスモンの腕を弾いた何かを。

 その何かは、一つの鎌みたいな形だ。それは荒喜の腰の辺りから伸びている。腰から伸びていた鎌がどんどん縮んでいき、荒喜の後ろから出てくる。鋭く尖った鎌の次に出てきたのは、ピンク色の物体であった。最初は細かったピンク色の物体は出てくるにつれて肥大化していき、巨大な筋肉の塊となっていく。筋肉の塊はどんどんと出ていき、それはやがて一つの肉体となり姿を現した。

 霞は驚く。そのデジモンは、存在自体を許されない悪魔のデジモン。ましては、自分たちでは勝つことが出来ないほどの力を持ったデジモン。

 鋭く尖った鎌を両手両足に備え、ピンク色の肉体は血管が浮き出るほどに発達した巨大な筋肉を持ち。その顔はどす黒く全てを破壊する頑固たる意思を秘める目を持った、最凶最悪のデジモン。

 

「さーて、ベタモン(X)は後でコクワモン(X)に回収させるとして……目標のデータを

奪うとするか。行くぞ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――アルカディモン」

 

 

 

* * * * * * * *

 

 

 

(ちくしょう、イベントを回避できなかった!)

 

 最悪だ。竜二は心の底から思った。

 スカルグレイモンのイベントは、何とか回避したかったイベントの一つだった。転生当初は所詮アニメの中だなと感じていた竜二だったが、実際に太一たちと出会い、その考えは変わった。たとえアニメの世界だろうが彼らは生きている、俺となんら変わりない人間だ。だから竜二は、太一を悲しい思いをさせないためスカルグレイモンのイベントを回避したかった。コロシアムで起きるイベントが砂漠に変わってしまったが、何も悪いことだけではなく良い誤算もあった。

 

「シザーアームズ!」

 

「……トマホークスマッシュ」

 

 強靭なハサミと鉈状の角がスカルグレイモンに向け放たれる。空中から迫りくる赤いハサミを、スカルグレイモンは肉のない手を振るうことで簡単にあしらった。足もとからやってきた巨大な角も、スカルグレイモンは問答無用で殴り飛ばした。成長期の状態ですら苦戦した相手を、スカルグレイモンはたった一撃で弾き飛ばした。ましては、成熟期となっているクワガーモン(X)とモノクロモン(X)の必殺技を受けても怯まない程である。

 

「グォォォォオオオオオオオオ!!」

 

 スカルグレイモンの咆哮が砂漠全体に響く。体を大きく仰け反り、背中に付属されている生体ミサイルの目が光り出した。重々しい音を立てながら、生体ミサイルが空高く撃ちあがろうとした。

 

「みんな、伏せろー!」

 

 生体ミサイルがスカルグレイモンを離れた時点で、竜二は叫んだ。竜二の声を聞いた選ばれし子供たちは咄嗟に身を伏せる。すると、一瞬静寂し、そして。

 

 

 ズドォォォォォォォォォォォォンッ!

 

 

 砂漠の大地にドーム状の爆発が起きた。

 スカルグレイモンの必殺技である”グラウンド・ゼロ”、一瞬にして全てを破壊する最強の技。選ばれし子供たちから遠い地点で爆発したものの、爆発の余波と砂が襲ってくる。そんな中、竜二は砂が目に入らぬよう薄く目を開け、爆発の中心地――――グラウンド・ゼロの直撃を受けたデジモンたちを見た。クワガーモン(X)、モノクロモン(X)共に退化はしていないようだが大分ダメージを受けているようだ。

 

(このままスカルグレイモンがアイツらを倒してくれれば……ん?)

 

 スカルグレイモンがクワガーモン(X)、モノクロモン(X)に近づこうと足を一歩踏み出そうとしたとき、空が一瞬光ったように見えた。気のせいかと思い竜二は再び空を睨み付ける。

 刹那、異変はすぐに起きた。

 移動しようとしたスカルグレイモンが突如、ものすごい衝撃音を響かしながら後ろに倒れた。あの巨体が一瞬にして、だ。驚く選ばれし子供たち、その驚きは急に倒れたスカルグレイモンと、目の前に現れたデジモンと黒い服を着た子供がいたからである。

 

(俺と霞以外にデジタルワールドに子供だと!? だとすると、コイツは……?)

 

 いきなり現れた子供。荒喜操練の登場に竜二は睨み付けるが、荒喜は気にすることなく、無視をして隣に佇むパートナーデジモンに指示を出す。

 

「やれ」

 

 荒喜の言葉にピンク色のデジモン、アルカディモンが動き出す。

 予備動作なしの跳躍でスカルグレイモンとの距離をすぐに縮める。鋭く尖った鎌をスカルグレイモンに振るい、スカルグレイモンの顎を切り上げた。スカルグレイモンは反撃しようと強靭な手を振るうが、どれもアルカディモンには当たらない。逆に、アルカディモンの攻撃は全てスカルグレイモンに当る。何発目かの攻撃で、ついにスカルグレイモンは倒れてしまう。倒れたスカルグレイモンにアルカディモンは近づき、右手の鎌をスカルグレイモンの額に突き刺した。ドクドクと鎌からアルカディモンを結ぶ触手が脈打ちスカルグレイモンは呻き声を上げ、体から黒い煙を上げながらアグモンにへと退化した。

 

「アグモン……!?」

 

 アグモンの元へ行こうとする太一を竜二が止める。

 

「行くな、太一」

 

「竜二、何でだよ!」

 

「まだ、アイツがいる」

 

 竜二に言われ太一の視線はアグモンから、荒喜に移る。

 

「おい、お前が荒喜か? アグモンに何をしやがった?」

 

「答える義理はない。言った所で、お前が理解するとは思えんからな」

 

「なんだと!?」

 

「太一、落ち着け!」

 

 竜二は太一を落ち着かせると、再び荒喜を見る。その瞳に僅かばかりの殺気を込めて。

 

「アグモンに何をした……?」

 

「答える義理はないと言ったが? お前らはそんなことも記憶できないほどに、頭が悪いのか? だとしたら残念だな。選ばれし子供たちというのは頭が残念な奴らばかりだと」

 

(コイツ……!!)

 

 流石はコマンドラモンのパートナーというべきか。先ほどいたコマンドラモンより口が

悪い。

 

「ま、コクワモン(X)辺りが勝手に話したと思うから一応答えておこうか? 俺の目的は戦闘データの取集だ。これで満足か?」

 

「どうして、俺たちを襲う必要なんかあるんだ!」

 

「選ばれし子供たちのデジモンは、通常のデジモンと違うからな。データを取集するには良い対象なんだ」

 

「良い対象、だと……!?」

 

「お前、それだけのためだけに俺たちを襲ったのか!」

 

「そうだが、それ以外に何がある」

 

 太一の怒りに荒喜はあっさりと答えた。さも当たり前かのように。

 

「さて、回収作業も終わったからそろそろ退場させてもらおうか。俺も、暇じゃないからな」

 

 そう言った荒喜の後ろからはクワガーモン(X)が姿を現し、その背中には退化したゴツモン(X)、コカブテリモン、疲れ果てている緑色のデジモンが乗っていた。荒喜が太一たちの前に姿を現したのは、ベタモン(X)を回収するための時間稼ぎのためである。そうでなければ、態々姿を現そうともしない。

 理解した竜二が逃がさないとばかりにドルモンに荒喜を逃がさないよう指示を出そうとしたとき、荒喜の後ろから防弾チョッキを着こんだデジモンが現れる。

 

「シャーハッハハハハハハハハハ!? テメェらは大人しく、その場でくたばぁりやがぁ

れぇぇえええええ!!」

 

 シールズドラモンの銃が火を吹いた。

 選ばれし子供たちの前に砂塵が舞い、視界が塞がる。砂塵が収まるころには目の前からは荒喜とそのデジモンたちは姿を消していた。

 

 

 

* * * * * * * *

 

 

 

「う~ん、やっぱり荒喜さんは凄いね。あのスカルグレイモンを倒しちゃうなんて」

 

 双眼鏡を通してみた一部始終を見て、ポツリと呟いた。

 

「まっ、荒喜さんと選ばれし子供たちを比べたら、月とスッポンぐらいの差があるからしかたがないかな?」

 

「ん? 月とスッポンとは何だ?」

 

 パートナーデジモンが尋ねると、答えを返す。

 

「そっか、デジモンは月もスッポンも知らないんだっけ。簡単に言えば、荒喜さんと選ばれし子供たちでは実力に差があるっていう意味だよ」

 

「ん、なるほど。わかりやすい」

 

 パートナーの答えに満足すると、再びパートナーに尋ねた。

 

「では、俺の力だと。どのくらいいけるんだ?」

 

「そうだね……今の僕たちの実力じゃ、精々3、4人位かな」

 

「そうか……」

 

「しかたないよ、君の力はまだ大きくないんだ。焦らず、じっくりと、確実に力をつけていけばいいんだよ僕たちは」

 

「……わかっている。俺とて馬鹿じゃない、今は言われたとおり行動するさ」

 

「うんうん。それでこそ、僕のパートナーデジモンだね。荒喜さんと戦えるよう力をつけようか、頑張ろうね―――

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――コロナモン♪」

 

 

 

 




な、長かった。
ストックも何もないのでまた次話の投稿に時間がかかります。
クリスマスに投稿しましたが……とくに意味はありません。
あと悔やむならば……0時に投稿できなかった!
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