気まぐれな悪魔によるデジタル世界   作:ガルGC

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簡潔的に内容説明
・荒喜のデジモンたちの進化の秘密
・次への布石


第8話

「よっと、やっと到着か」

 

 クワガーモン(X)で移動しながら数分。荒喜は砂漠地帯を越え、森林地帯に居た。荒喜はクワガーモン(X)から降りるとデジヴァイスを向けた。デジヴァイスの光がクワガーモン(X)に降り注ぐと、コクワモン(X)が選ばれし子供たちの前で使用したプログラムが取り出されクワガーモン(X)がコクワモン(X)に退化する。

 

「うぅ……、やっぱり強制的に取られる感覚には慣れないな」

 

「我慢しろ。元々お前らはデジヴァイスでの進化ができないんだ」

 

 俺が復元させたデジモンたちは俺のパートナーデジモンであるがデジヴァイスを使用した進化はできない。デジヴァイスでの進化は本来のパートナーデジモンであるアルカディモンでしか行えない。そのため、俺が復元させたデジモンたちはデジヴァイスによる進化ができないのだ。

 だが、進化ができないわけではない。本来デジモンとはデータの塊だ。データの量によってデジモンは進化を行える。データの量が増えれば成長期は成熟期に進化することができる。また、進化を行う場合は各段階ごとにデータの量が増加するので、完全体や究極体の数が少ないのは進化に必要なデータが膨大すぎるのが理由だ。

 まぁ、要点をまとめるとデジモンが進化するにはデータが必要であるということだ。

 今回コクワモン(X)たちが進化にしようしたプログラム、あれは進化に必要なデータを圧縮した塊だ。名づけるならば進化プログラムver成熟期、通称”EP(成熟期)”である。EP(成熟期)を使えばデジヴァイスの力がなくとも自力で進化することが可能となった。欠点を上げるならば、データが多量に必要であるのとデジモンに多大な負担が掛かるということだ。何故負担が掛かるのかと言えばEP(成熟期)はデジモンを強制進化(・・・・)させるからだ。

 強制進化をさせると本来自然進化するデジモンの体に進化するに必要なデータが溢れてしまう。例えるなら、コップに水をずっと注ぐのを想像してほしい。途中までコップの中にある水の量はコップ内に収まるが、水の量が多くなると水がコップから溢れてしまう。これをデジモンに置き換えると本来の容量を超えるデータを取り込むと、溢れたデータの処理でデジモンの動きが遅くなってしまうのだ。データの多量に関しては言わずもがな。

 

「さて、今回はデータの回収が目的だ。さっきの戦闘で使ったEP分のデータは最低でも回収しろよ?」

 

「あぁ? なんでんぁメンドクサイことをしなきゃならねぇんだよ。まだストックがあるだろうが」

 

「ストックがあれば使っていいと誰が言った? 自分の分は自分で稼げ。少なくとも俺がお前らのデータに合うように圧縮しないと、お前らは進化することができないんだ。口より手を、足を、体を動かしやがれ。特にペタンペタンはな」

 

「何故、私だけピンポイントに!? それに名前が変わってる!?」

 

「チッ、わかったよ稼げばいいんだろ、稼げば。……ペタンペタン野郎もな」

 

「了解、俺も進化した分は稼ぐか。……ペタンペタンも頑張れ」

 

「承諾した。我も戦うとする。……ペタンペタン、お主もな」

 

「……………………(ペタンペタンの肩? に手を乗せる)」

 

「なんで皆して私の名前がペタンペタンになっているんですかぁ!!!!!!?????」

 

 だって一番活躍してなかったじゃん?

 

 

 

* * * * * * * *

 

 

 

 デジモンたちは各々データ回収に向かった。

 効率を重視して二班に分けた。コマンドラモン、ゴツモン(X)、コクワモン(X)のチームと、俺、コカブテリモン、ベタモン(X)のチームだ。データは今の段階だと成熟期のデータを集めるのが効率が良いので、俺たちは今森の中で成熟期のデジモンを探していた。

 

「マスター、一つ聞いてもいいでしょうか?」

 

「なんだ?」

 

 隣を歩くベタモン(X)が尋ねる。

 

「選ばれし子供たちでしたか? 彼らのデータを取るため戦ったとマスターが言いましたが、それは我々の脅威になるからでしょうか?」

 

「たぶんな、奴らは戦えば戦うほど強くなるってタイプだからな。今の内にデータを採取しとけばどんな風に成長したか、強くなったかわかるだろ?」

 

「なるほど」

 

 選ばれし子供たちというのをゲームの主人公と置き換えればわかりやすいだろう。主人公は冒険をして、敵を倒して仲間が強くなる。彼らは限りなくゲームの主人公だ。今はまだまだ弱いがいずれは成長して今の何倍も強くなるだろう。

 だが、

 

「俺がそれを超える成長をすればいいだけだ」

 

 相手が強くなるなら俺も強くなればいい。倒せないなら倒せるようにすればいい。諦めないなら諦めるようにすればいい。相手が正義だというならば、俺が最高の悪者として葬ってやろう。

 敵として、介入者として、悪魔と契約した者としてな。

 

「…………」

 

「お、いたのか」

 

 先頭にいたコカブテリモンがデジモンを見つけたようだ。森の奥から複数の羽音がこちらに近付いているのが聞こえ、姿を現す。

 黄色い体からは毒々しい羽が生え、尾には突いた相手を毒に犯す針を持っている昆虫型デジモン、フライモンが飛んできた。

 

「フライモンか……」

 

 数は数十匹、データの回収には十分だろう。

 

「マスター、ここは私が行きましょう!」

 

「コカブテリモン、進化して一瞬で片付けろ」

 

「マスター!?」

 

「…………(コクッ)」

 

 コカブテリモンは一度頷くとEP(成熟期)を使い、光の柱に包まれたコカブテリモンの姿が変わっていく。昆虫独自の持つ肉体が鋼の硬度を持つ機械的な肉体に変わり、コカブテリモンの角が一振りの刃物へとなる。

 

「シャァアアアアアアアアアアア!!」

 

「…………」

 

 複数のフライモンが進化したコカブテリモンに、毒の尾を打ち出す”デッドリースティング”を放った。毒の尾が荒喜に迫るが、一瞬にして消滅した。

 

「シャァア!?」

 

 自慢の必殺技がいきなり消滅したことにフライモンが驚きの声を上げたが、その声はすぐに消える。コカブテリモンの進化した姿、ブレイドクワガーモンが一瞬にして倒してしまったからだ。成熟期であるブレイドクワガーモンは小型のデジモンであるが、機動力と刃の切れ味に関しては他のデジモンと比べても飛び出ているのだ。フライモンの放ったデッドリースティングもブレイドクワガーモンが移動して切り裂いたのだ。驚きの声を上げたフライモンも、驚きの声を上げる前のフライモンもブレイドクワガーモンにとっては遅すぎて認知する前に倒すことが可能だ。

 

「マスタ~! なんで私が戦ったらダメなんですか!」

 

「だまれ、陸雑魚。お前なんて”ベタリヤー”でしか役に立たないんだ」

 

「陸雑魚!? それは酷すぎませんか!? 私は元々水の中で戦うデジモンなんですからしかたないでしょう! あと、ベタリヤーってなんですか!? もしかして、私を盾にすることですか!?」

 

「正解だ、良く分かったな?」

 

「マスター!?」

 

 ベタモン(X)は戦闘要員ではなくツッコミ要員として鍛えた方がいいかもしれないな。

 ……メンバー的な問題で。

 

「マスター、理由を!! 理由を言ってくれませんか!?」

 

「うっさい、黙れ」

 

「マスタぁぁぁぁぁぁあああああああああああ……っあ!?」

 

 ベタモン(X)がうるさかったので後ろの茂みに向けて投げると、先ほどから茂みに隠れていた奴に見事当った。

 森に着いてからずっとつけているのはわかっていたので放っておいたが、いい加減めんどくさくなったのでベタモン(X)を投げつけたのだ。

 ……決してベタモン(X)がウザかったからといって投げたわけではない。

 

「いたたたたたたた……一体何が」

 

「おい、さっさと起きやがれ」

 

「へぶぅ!」

 

 茂みに近づくとベタモン(X)とコウモリっぽいデジモンがいてので、とりあえずコウモリっぽいほうを蹴り飛ばした。

 

「な、なんですか貴方ぶっ!?」

 

「顔を上げるな、骸骨コウモリモン。何でさっきから後をつけていたのか教えてもらおうか?」

 

「が、骸骨コウモリモンですと!? 私の名前はピコデビモンです! 貴方に近付いたのは、実はいい話しがございましてぇ!?」

 

「いらねぇよ、そんな話」

 

 骸骨コウモリモン(自称:ピコデビモン)の頭? をより踏みつける。

 大抵こういういい話しには裏がある。後ろからつけていたことから、どう考えてもこいつは俺のことを利用しようと考えている筈だ。

 俺が話しを断ると案の定、骸骨コウモリモンが慌てる。

 

「そ、そんな!? 困りますよ! お願いですから話しを聞くだけでも!?」

 

「やだね、お前の話を聞く必要なんてない。行くぞ、ベタモン(X)」

 

「へぶるぅ!」

 

 骸骨コウモリモンの近くで同じように倒れていたベタモン(X)を蹴り上げ、この場を離れる。

 てか、コウモリ野郎と似た声を上げるんじゃねぇよ。

 俺がさっさとその場を離れようとすると、骸骨コウモリモンが前に飛び出た。

 

「邪魔だ」

 

「ちょっとだけ、ちょっとだけでいいですから!」

 

「…………」

 

 ……うぜぇ。

 ここまでしつこいといい加減に消してやろうか? だが、こんなデジモンのデータはいらないしな……しかたない。

 

「なら、ここらで完全体クラスのデジモンが多くいる場所を知らないか? 答えてくれるなら話しを聞いてやるよ」

 

「完全体クラスのデジモン……?」

 

 骸骨コウモリモンは考える素振りを見せるが、特に害とは思わなかったのかすぐに顔を上げた。

 

「それでしたら、この先の渓谷にいるマンモンですかね」

 

「マンモンか……」

 

「ええ、しかも最近では新しいボスが出たとかで、かなりの数のマンモンがいるらしいですよ?」

 

 確かマンモスの姿をしたデジモンだったな。以前二、三度倒したことがあるが、中々良いデータがとれる。だが、俺が見たことがあるのは一体や二体だけだ。それがかなりの数がいるということは、良いデータがかなり取れる……!

 

「それじゃ、情報を渡したので私の話を聞いてくれますね? 実はですね……」

 

「よし、行くぞお前ら」

 

「えっ!?」

 

 俺はベタモン(X)、退化させたコカブテリモンと共にマンモンがいる渓谷に向かおうとすると前に現れて邪魔をする。

 

「なんだ、俺はこれからマンモンがいる渓谷にいくんだ。邪魔をすんな」

 

「ちょっと!? さっきと話が違うじゃないですか! 私の話を聞いてくれるんじゃなかったんですか!?」

 

「俺は確かに話しを聞くとは言った。だが、俺は話を”全て聞く”とは一言も言っていない。更に言えば、俺は相手が声を上げた時点で話を聞いたものだと判断する」

 

「なんていう屁理屈!!」

 

「……コカブテリモン」

 

「(コクッ)」

 

「ぐぅ! な、なにをする!?」

 

「投げろ」

 

「やめてぇぇぇぇぇぇえええええええええええええ――――――!?」

 

 骸骨コウモリモンはコカブテリモンの怪力によって空の彼方へと飛ばされた。

 あばよ、二度と俺の目の前に現れるな。

 さて、コマンドラモンたちを回収して向かいますかね。

 

 

 

* * * * * * * *

 

 

 

「いたたたたたたた……」

 

 一方で、コカブテリモンによって飛ばされたピコデビモンは森の深部に居た。

 木の枝のおかげで幾分か衝撃を免れたが、それでも痛いものは痛い。

 

「まったく、何なんだあの選ばれし子供は!? 聞いていた話しと全然違うぞ! 選ばれし子供たちってのはもっと頭が単純な奴じゃなかったのか!! これじゃ、ただ相手にいい情報を与えただけで私が痛い思いをしただけじゃないかーっ!」

 

 森の中でただ叫びまくったピコデビモンの様子に、周りにいたデジモンはピコデビモンを痛いものを見るような目で通り過ぎていった。そんな、ピコデビモンの近くに多くのコウモリが集まり、一つの鏡のような形になると、そこに一体のデジモンが映り出された。

 

『ピコデビモンよ、首尾はどうだ』

 

「ヴァ、ヴァンデモン様っ!?」

 

 鏡の中に映し出されていたのはピコデビモンの主であるアンデット型デジモンヴァンデモンの姿であった。

 

「な、なんの御用でしょうか?」

 

『とぼけるな。森に入った選ばれし子供はどうなったのかと聞いているのだ。まさか、しくじったりしておらぬだろうな?』

 

「そ、それでしたらご安心を!! 森にいた選ばれし子供は私の与えた情報によって、ただいまマンモンのいる渓谷に向かっております!」

 

『ほぅ、マンモンのいる渓谷か……』

 

「はい! あそこにいるマンモンは大変好戦的でありますので、あの選ばれし子供は終わったも同然です!!」

 

『そうか、では良い報告を期待しているぞ』

 

「ははぁー!!」

 

 鏡の形のように集まっていたコウモリは空の彼方へと飛び去り、ピコデビモンはコウモリが完全に去ったのを確認し、その場で深いため息をする。

 

「ふぅ……、なんとか誤魔化せた。ま、結果的に見ればあの選ばれし子供は無事ではすまないだろう」

 

 ピコデビモンは荒喜に訪れるであろう出来事を考えながら、その顔には笑みが浮かんでいた。

 

 




 
まことに遅れてもうしわけありません。
来年度から就活を始めるので、リアルがとても大変で執筆が中々進みませんでした。
何とかコツコツと執筆して、次の話を書いていきたいと思います。
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