猫山「猫山 鈴」
秋「柊木 秋」
杜松「杜松 美希音」
・手錠 その一
杜松「犬神さんは筆箱に変わったモノをつけてますよね」
犬神「はいっ、杜松さんも手錠に興味ありますか?」つけてみたりとか
杜松「いえ、特別興味があるわけではですケド……コレって、猫山さんとの拘束プレイ用なんです?」
犬神「猫山さんとは(手錠で)繋がったり足の拘束具(手錠)を外してもらったりしましたけど、手錠を使った本格的なプレイはまだなんです」
杜松「いつかできるといいですね……」
犬神「ってなことが──
猫山「は⁉ ちょっと、犬神さん⁉ 変な言い方しないでよ! それにまだって何? 手錠使うつもりなんてもうないから!」
秋「だそうだ。分かってるな?」
犬神「はい……」
・手錠 その二
犬神「せめて、もう一回だけでも……なんとか」
秋「『私のハートは猫山さんに捕まっちゃってますから手錠をかけて貰うまでもありません』とかなんとか言ってなかったか?」
犬神「それでもやっぱり手錠は手錠で必要なんですっ。まだまだいろいろしたいんですっ。おフロイペントはもちろん、誰かにこんなとこ見られたらどうしよ~な野外歩行イベントも、見ないで聞かないで嗅がないでな個室のドア越しほ────うっ」
秋「」
猫山「なんか……想像以上だった」
秋「猫山……忘れろ。犬神だって本気で言ってるわけじゃないだろうから」
猫山「うん。そうする」
・手錠 その三
猫山「犬神さん、手錠なんて持ってきて先生に注意されたりしないの?」
犬神「一度だけ注意されたことがありますけど、父との思い出の品だって説明したら大丈夫でした」
秋「いや、ダメだろ……いろいろと」
犬神「それに、猿飛さんにも学校に
秋「それは……ボケのつもりだったんじゃないか?」さるぐつわ……
・おまけ
その日の放課後、私は犬神さんと秋と一緒に下校していた。このところ雨が続いていたのだが、今日はひさしぶりに晴れている。傘で手がふさがらないのはちょうどいいかもしれない。少しだけ勇気を出してみよう。
「犬神さん……手、つながない?」
そう言って犬神さんの様子を窺うと、犬神さんは立ち止まり、固まった。唐突過ぎただろうか。犬神さんはまっすぐな瞳でこちらを見つめている。一も二もなくこの提案に飛びついてくると思っていただけに少し意外だ。静寂が気恥ずかしい。
「あの、さ……手錠をかけるのとかはともかく、手をつなぐことぐらいならできるから……だから、その……」
なんで手をつなぐ前からこんな恥ずかしい思いをしてるんだろう。ほんとに。
「なんか、嬉しいです。猫山さんからそういったこと言っていただけるなんて」
犬神さんは私の右腕に自分の左腕を寄せ、そのまま指が互い違いになるようにして手を握った。犬神さんの手の温かさと柔らかさを感じる。
犬神さん⁉
これって恋人つなぎじゃないの⁉ 想定以上の行為に顔が熱くなる。さすがに、これは、恥ずかしい。少し下を向いて歩く。
「どうですか? 猫山さん」
犬神さんが声をはずませ、私に笑いかける。顔が近い。心拍数が高くなる。
「ちょっと、歩きづらいかも」
「じゃあ、普通につなぎますか?」
「別に、このままで大丈夫。もう慣れたし」
少し強く手を握ると、犬神さんもぎゅっと握り返してきた。
うん、こっちの方が良い。
手錠は片側だけでなく両側をかけて初めて互いに互いを捕まえた状態になる。
犬神さんの心を捕まえているものがもしも見えない手錠だとしたら、それは当然もう片側にもかかっていて。
二人の心を繋いで離さない・離れさせないソレは運命って言えるんじゃないか。
だとしたら…………って何考えてんだろ私。
「猫山さん、どうかしましたか?」
「ううん、なんでもない」
手錠なんてなくても、こうして手をつなぐだけで、それだけでいいんだと思いながら、二人で前に歩いていく。
秋(あっ、飛行機雲だ)