「さて、こっちの方に来るのは久しぶりだな~」そう言って辺りを見渡す。
現在ハルキが向かっている倉島重工本社は研究区と言われる区画に位置しており、倉島重工の他にも医療研究や他のアンドロイドの企業もここに研究所を構えている。
「ここを曲がってすぐだったな・・・」そう言い角を曲がると
ひと際大きな建造物が目に入ってきた。社名の所は倉島重工と書かれている。
倉島重工――アンドロイドのシェアNo.1を誇る一大企業で始めてAIを搭載したものを出して既に20年が経過した。一度は危機に陥ったがその後何とか持ち直し現在の状態を維持している。現在の代表者は倉島 忍(くらしま しのぶ)で倉島重工のアンドロイド研究の第一人者である。
「やっぱり、ここは大きいな。まるで夢の時と同じだ。」と言ってハッとする。
「(え?なんで今夢なんて言葉が・・・)」とそうこう言っているうちに本社の中に入っていた。
「本日はどの様なご用件でいらっしゃいましたか?」と受付のアンドロイドに聞かれた。
「あ、クルミさんの紹介で来るように言われました。」とハルキが言うと。
「え、クルミが・・・ですか?少々お待ちください。」とそう言うと何やら端末を操作しだした。
そうして、しばらく待っていると、
「お待たせしました、ハルキ様。本社本棟45Fにあちらのエレベーターからどうぞ。こちら、入館証となります、退館時に返却ください。」と言われカードを受け取る。
そして、言われた通りエレベーターに乗ると、自動で目的の階まで登っていった。ここのエレベーターは最新の自動エレベーターらしく、自動で人や物を運ぶ。一々ボタンを押す必要が無い。研究所などはこの方式を多く採用している。理由は表向きは部外者が立ち入った際の事故や、ケガの防止目的だが、本当の理由は、部外者が万が一立ち入った際の機密の漏えいの対策である。
「本棟45Fです。」とアナウンスがあり、扉が開く。
そして、エレベーターを降りるとすぐにホログラムで案内図が表示され、矢印が現れた。その通りに進んでいくと突き当りの部屋にたどり着いた。
「この部屋・・・なのか?」と扉の前で思案する事5分
「おっそーい!」急に扉が開いたかと思うとクルミさんが飛び出してきた。
「うおっ!びっくりした!」と外開きの扉にぶつかりそうになったので回避した。
「あ、ごめん!大丈夫だった?」とクルミさんは扉越しに顔を覗かせて言った。
「あ、はい。何とか大丈夫です。」と返事を返す。
「そう、早速で悪いんだけど、早く入って。」と手招きされる。
「は、はあ。わかりました。」とそう言われ部屋の中に入った。
「ちょっと特殊な所だけど、っとこっちよ。」と様々な機械が乱雑に置かれたり、積まれたりしている場所を抜けていかにも研究室と言った計器やモニターが並ぶ部屋に通された。
「ここよ、ちょっと待っててね。」とクルミさんはモニターのそばでホログラムキーボードを叩いている男性のそばに行き何か耳打ちしている。
そして、何か話した後戻って来た。
「ごめんね。今少し立て込んでるみたいで忙しいみたい。もう少ししたらひと段落つくらしいから、申し越し待っててくれる?」と聞いてきた。
「は、はあ。あの方は?」とハルキは先程の人物について聞く。
「ああ、あの人ね。あの人はここの代表取締役、倉島忍よ。」ととんでもない人物の名前が出て来た。
「え?ええ!?倉島氏なんですか、あの方が。」とハルキは驚いた。
それもそうだろう、確かにメンテをしてもらえると聞いたが、まさかそれがその会社の最高責任者とは誰も思うまい。
「えへへ、驚いた?凄いでしょ。」と自慢そうに笑った。
「いや、流石にスケールが大きすぎて少し戸惑ってます。」と正直な感想を述べる。
「まあ、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。あ、しばらくこの辺見てても良いんだってさ、その辺の物いじったりしなければ触ってもいいんだって。どうせ動かないって言ってたから。」とそう言ったクルミさんは最初は明るく言っていたのだが、部屋の奥を見たときに寂しそうに言ったのだ。
「そうですか。それなら、この部屋はとても興味があるので少し見てみる事にします。」そう言うとハルキは広い部屋の中を見て回る事にした。
「そう、私は博士を手伝ってくるね。」そう言うと倉島氏の元へ戻って行った。
「あ、はい。」と返事をしてどんなものがあるか見て回る。
部屋の中は改めて見ると乱雑に物は積まれているがきちんと分類があるらしく、パーツごとに分類されているみたいであった。アンドロイドの足や手のパーツ顔から胴体、中身の基盤に至るまで様々なパーツが区分けされて置かれていた。
「意外に整理されてるんだな。」と言いながらどんどん奥に進んでいく。すると、
『この先の扉にはね――』ふと声が聞こえた気がした。
「え?」と声がした方を向いた
すると、そこには何故かそこだけ妙に物が片付けられていて部屋に出入りした跡があった。
何故かその部屋に引き付けられるように近づいて行った。
『この部屋の事は私たちの秘密だよハル君!』今度ははっきりと聞こえた。
「え?」その瞬間世界が暗転した。
―――――――
「ハル君、ハル君。ここは何をする部屋か知ってる?」とミサキ姉ちゃんが聞いてくる。
「え、そこは父さんが入っちゃいけないって言ってたよ。」とボクは言った。
「そんな事はいいの、ほらこっち、早くはやく!」ミサキ姉ちゃんは部屋に入ってしまった。
「ちょ、ちょっと待ってよ!ミサキ姉ちゃん!」ボクは追いかけてその部屋に入る。そこには――
3話に続く・・・