君の名は。if物語   作:Mr.ペンギン

3 / 6
こんにちは、Mr.ペンギンです!!
漸く本編が仕上がりましたので、早速投稿しました!尚、原作キャラにも少しだけオリジナルの設定を加えていますので、そこだけご注意下さい(´・ω・`)
それでは、本編をどうぞお楽しみ下さい(  ̄▽ ̄)


第壱話 糸守入り

ピピピッ!ピピピッ!

 

瀧「う~ん……。」

 

瀧は意識がぼんやりとしながらも、カーテンの隙間から差し込む日射しと、スマホのアラームで少し目を開け、慣れた手付きでアラームを止め、カーテンを開けた。彼は暫く目を擦り、近くに置いていた未開封の500mlペットボトルの水に手を伸ばし、半分手前ぐらいまで飲んだ。そうすると、次第に意識が覚醒していった。

 

瀧「俺の……部屋……?」

 

ここで漸く、今いるのが自分自身の部屋であると気付く。

 

瀧『どう言うことだ……?俺は確か、御神体で三葉と会って、何故か司達や、光輝…だったか、そんな人達と一緒に二葉さんに3年前の糸守に連れて行ってもらった筈……。なのに何で俺の部屋に………?』

 

彼は暫くベッドに腰を掛け、現状を整理しながら考え込んでいた。その時、ふと近くのカレンダーが視界に入った。その途端、彼は目を見開いた。

 

瀧「っな………!?」

 

彼は信じられない様に未だに目を見開きながら、今度はスマホで今日の年月日を確認する。

 

瀧「2013年は良い……!だが…、3月30日……だと………!?」

 

彼は日付を見て、これが嘘でないことを確信した。更に、何故か大きな段ボールがあり、そこに衣服やら何やらが詰め込まれていた。考えれば考える程、彼は分からなくなった。本当ならもっと確かめたいことがあったが、そればかりしている訳にもいかず、腹の虫も鳴り出したので、リビングに出て朝食を摂ることにした。リビングに出ると、相変わらず父はテレビを付けながら新聞を読んでいた。暫く朝のエッグトーストを食べていると、不意に父から声を掛けられた。

 

瀧父「そう言えば瀧、ぼちぼち準備は出来ているのか?」

 

瀧「ん?何のこと?」

 

彼は父の言っていることが分からず、そのまま聞き返した。すると彼は怪訝そうに瀧を見据えた。

 

瀧父「何だ、もう忘れたのか?明日出発するんだろ?まぁ、急なことでまだ頭がこんがらがっているかもしれないが、いい加減準備を済ませとけよ。ほら、これ置いとくから急ピッチで纏めとけよ。俺は仕事行ってくるから、ちゃんとやっとけよ。」

 

彼はプリントをホッチキスで止めた冊子を瀧の目の前に置いてそう言い残し、家を出た。瀧は最後のヨーグルトを食べ終えると、そのプリントを手に取り、表面に大きく書かれた文字を見て更に驚いた。

 

瀧「さ………、山村留学っ!!?」

 

そのプリントには、「山村留学のしおり」と書かれていたのだ。更にページを捲って書かれている文字に目を走らせる。ここで、行き先を見付け、そこで目が留まった。

 

瀧「糸守高校………!!!」

 

その行き先には、紛れもなく「糸守高校」の4文字が並んでいた。そして、行くメンバーを見ると、そこには自分の他に、司と真太の名前も書かれていた。それを確認すると、彼は急いで2人に連絡を取り、出掛ける準備をした。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

瀧「わり、待たせたな。」

 

司「あぁ、気にするな。まぁ、まだ気持ちが色々整理できてないもんな。」

 

真太「それより何か頼もうぜ!」

 

瀧はLINEで2人に連絡を取った後、いつものカフェで待ち合わせ、そこで状況を整理しあった。

 

瀧「でさ、これって一体どういう状況なんだ?」

 

真太「よく分からねぇけどさ、教育委員会が山村留学の制度を新しく設けようとしてるらしくって、その記念すべき最初のメンバーに抜擢されたのが、俺達なんだとよ。俺達の学校、都立だからな。」

 

司「留学……と言っても、期間は3年までだから、実質編入みたいなモンだけどな。」

 

司はそう言うと、エスプレッソの入ったマグカップを自分に傾けた。

 

真太「そう言や、ミキ先輩も先輩ってどうなってるんだろうな?」

 

瀧「それは問題ないんじゃね?どうせ何らかの形で来るだろ?」

 

真太「まぁ、それもそうか……。」

 

2人が会話していると、エスプレッソを早くに飲み終えた司も話に加わる。

 

司「にしたって驚いたな。まさか2年に上がる前に飛ばされようとはな……。」

 

瀧「全くだ。その日の朝か、どんだけ遡っても精々2、3日前かと思ってたが、それよりも更に前とは本当にびっくりだ…!」

 

真太「まぁ、何でも良いんじゃねぇか?多分、糸守を楽しんでねって言うあの人のメッセージなのかも知れねぇな!」

 

彼の何気ないその言葉を聞き、瀧は思わず成程なと思った。抜け目はあるが、心優しいあの三葉の母親なのだ。そして、彼女の「大好きな故郷」と言う発言もあったから、彼女なら確かにそう考えていても不思議ではないだろう。そう理解すると、言葉通り糸守を楽しもうと、瀧は決意した。そうして、集合時間と場所を決めた上で、一旦お開きとして解散した。そして帰ってからは糸守へ行く準備を進めた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

瀧父「じゃ、気を付けて行ってこい。たまには連絡ぐらいよこせよ。」

 

瀧「あぁ。まぁ、頑張るわ。」

 

翌日、瀧はボストンバッグとリュックサックを持ち、少し言葉を交わし、父に見送られながら玄関から出て、東京駅の改札口へ向かった。そして、東京駅に到着し、集合場所に向かうと、そこには司、真太の他に、もう1人の見知った人影があった。

 

瀧「あっ、ミキ先輩!」

 

ミキ「やっほー♪これで全員集合ね。」

 

彼女は手にスーツケースを持ち、司や真太と瀧を待っていた。合流すると、新幹線のホームへ4人並んで歩き始めた。

 

瀧「そう言えば先輩はどんな名目で糸守へ?」

 

ミキ「私が教育学部にいるのは知ってるでしょ?簡単に言うと、教育実習よ。ただ、私の研究テーマが山村留学についてだったみたいだから、瀧くんの山村留学について行くことになったの。期間も瀧くん達と一緒よ。」

 

瀧「つまり、皆理由は同じ………て事か…。」

 

司「ま、そうなるな。」

 

真太「ま、良いんじゃねぇか?下手に別々の理由で行くよりかは、若干形は違えどこうやって同じ理由の方がやりやすいだろ?」

 

ミキ「えぇ、それもそうね。」

 

そうして、ホームに着くと既に停まっていた新幹線に乗り込み、糸守に向けて東京駅を出発した。暫く東京での生活に物思いをふけていたが、小田原を過ぎた辺りで、また話を始める。

 

司「ふと思ったんだけど、確か俺達を山まで案内してくれた人達はどうなってんだろうな?」

 

瀧「それなら心配いらねぇんじゃねぇか?年齢とか何とかにもよるけどさ、皆集まるんじゃね?」

 

真太「そしたらもうその人達、今頃糸守に着いてるのかな……?」

 

ミキ「うーん……。それは流石に分からないけど、遅かれ早かれ来るのは間違いないと思うわよ?」

 

彼女は持ってきていたイチゴ味ポッキーの箱を差し出し、特に心配した様子を見せなかった。

 

瀧「それに、二葉さんの事だ。お互いバラバラの時間に飛ばしたとは到底考えられねぇ。だから大丈夫だ。」

 

瀧は差し出されたイチゴ味ポッキーを1本取り出し、口に運んだ。2人も取り敢えずそれに納得し、この話は一旦これで区切ることにした。

 

~瀧side~

 

名古屋駅で新幹線を降り、そこから在来線に乗り換えて、いつの間にか電車の回りには壮大な山々と広大な田園風景が広がっていた。糸守へ続く線路を走る電車の中で、俺は改めて感動し、他の3人は目を爛々と輝かせていた。

 

真太「糸守かぁ~……!何かこれから楽しみだなっ!!」

 

司「全くだ。東京とは全然違うけどさ、それはそれで新鮮だよな。」

 

瀧「確かに、東京ってさ、こことは違ってすげぇ窮屈だからな。」

 

ミキ「でも良いじゃない。こんな大自然に囲まれた所、少なくとも東京の都心にはないから、むしろこう言うの好きよ。何だか心が洗われるみたいだわ。」

 

地方の人は東京とか大阪みたいな都会に凄く憧れてるけど、生まれも育ちも東京の俺達からしてみたら逆にこう言う田舎に憧れがある。それこそ物はほぼ揃うし、交通の便とかはよく整備されてるけど、逆に色んなものをパンパンに詰め込みすぎてるから、そのせいで色々ごちゃごちゃしてると思う。それに、あれこれビルやらタワーやらがやたら多いから折角の風景が台無しになるし、何より人がとにかく密集してるから本当に落ち着ける場所がない。その点、糸守はそう言う人の手が無闇やたらに加えられてないから、綺麗な風景を楽しむことができるし、何と言っても空気が澄んでる。だから俺はあの入れ替わりがあったお陰で糸守が好きになった。もっとも、こんなこと三葉に言ったら、贅沢だの何だのって言われそうだけど……。

 

『まもなく、糸守。糸守です。左側のドアが開きます。お忘れ物がございませんよう、ドアから離れて、暫くお待ち下さい。』

 

そんな事を考えていると、不意に車内アナウンスが車内に轟いた。それを聞くと、俺達は急いで荷物を持ち、降りる準備を整えた。

 

ミキ「いよいよ糸守ね……!これから色々楽しみだわ!」

 

3人は改めて目を輝かせていた。かく言う俺も、『立花瀧』として糸守の地に足を踏み入れ、今度は入れ替わりなしで三葉と直接会えることを考えただけでワクワクが止まらない。

 

電車がけたたましいブレーキ音を鳴らしながらスピードを落としていき、完全に止まってドアが開き、俺達4人は電車から降りた。遂に糸守に到着した瞬間だ。俺は本当の意味で、初めて糸守に来たんだ。俺はこの時、改めてこれから先のことが楽しみであり、約半年後には彗星が落ちると言う危機感を早くも抱いた。

 

~瀧sideout~

 

無人改札を抜けると、そこに1人の女性の姿があった。瀧が三葉と入れ替わっている時に何回か目にした古典教師のユキちゃん先生こと、雪野百香里だった。

 

百香里「東京からいらした山村留学の方々ですか?」

 

彼女は4人を見渡し、そう尋ねた。

 

瀧「はい。東京の神宮高校から来ました。立花、藤井、高木です。」

 

ミキ「それで私が、上野大学から来ました、奥寺と申します。」

 

4人は軽く会釈した。それを見ると、彼女は安心したように微笑んだ。

 

百香里「そうでしたか。私は糸守高校で教師をしております、雪野百香里と申します。ようこそ糸守へ。さぁ、下宿先まで案内しますね。」

 

彼女はそう言うと、4人をハイエースに乗せ、そのまま車を走らせた。

 

百香里「長旅お疲れ様。本当に遠い所から遥々来てくれてありがとうね。ここ、東京と違って何もないでしょ?」

 

彼女はハンドルを握って運転しながら、4人に話を振った。

 

真太「いえいえ、そんなことありませんよ!逆に東京にはないものがここには沢山あるんで、むしろ凄く新鮮です。」

 

自虐的な質問にフォローを入れるみたいに、彼は微笑んで答えた。もちろん、この答えには彼自身の思いも混じっている。この質問を皮切りに、雑談が盛り上がっていった。因みにその雑談の中で、2年には3クラスあって上手いこと3人が1クラスずつに分かれ、彼女が瀧の担任になることが、自身の口から暴露された。

 

話が更に盛り上がってきている時、車がある場所に差し掛かり、瀧が思わずハッとした。入れ替わっていた際、必ずと言って良い程何度も目にし、何度も足を踏み入れた大きな神社に続く階段と、そのすぐ近くにある一際大きな家が、そこにそびえ立っていた。

 

百香里「あれ、凄いでしょ。宮水神社って言う、糸守の象徴と言って良い位の大きさを誇る神社よ。それに1000年以上も続いてるみたいだから凄いわよね!」

 

そんな彼の様子に気付いた百香里が宮水神社の紹介をした。

 

瀧『あそこが宮水神社……!じゃあ、あのデカい家に三葉がいるのか………!』

 

初めて『立花瀧』として、彼は宮水神社と三葉の家をその目で見て、神妙な顔付きに変わった。そんな彼の心情を知ってか知らずか、3人も瀧と同じ様な表情になった。

 

百香里「余談なんだけど、近くにあの立派な家があるでしょ。あそこに住む人が神社を切り盛りしてるの。それでね、あそこには子供さんが2人いて、その1人の子がウチのクラスにいるのよ。」

 

「「「「!!」」」」

 

彼女の更なる発言に、4人が目を見開いた。彼女が三葉の担任でもあると言うことは、瀧は三葉のみならず、テッシーやサヤちんともクラスメイトと言う関係になる。つまり、入れ替わりの際に三葉として過ごしたあの教室を、今度は瀧自身として過ごすことになるのだ。瀧はそう思うと、更に嬉しくなると同時に、入れ替わりの時のまたあの変な癖が出ないかと言うちょっとした緊張感が走った。暫く眺めていた宮水神社は、顔を出し始めた夕日と共に、いつの間にか遠退いていた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

宮水神社を通過してから暫くして、学校と宮水神社のちょうど中間あたりにある目的地のアパートに到着した。ここで4人は下宿することになっているのだ。

 

百香里「明日なんですけど、4人共初日の職員会議の朝礼で自己紹介等々したいので、すみませんが8時頃には学校に来て下さい。それでは、明日から元気良く一緒に頑張りましょうね。」

 

彼女は微笑んでそう言うと、車を走らせてその場から去った。それをその場で見送った後、今度はアパートに目をやった。

 

司「ふーん……。何か昔ながらって感じだな。俺、こう言うのって結構好きだぜ。」

 

真太「だな。もっとも、改修した形跡がちらほらあるけど、それはそれで悪くねぇや。」

 

瀧「そうだろ?この辺り、俺も何回か通ったことがあるけど、上手く背景とマッチしてるだろ?ま、そこまで意識して建てられた訳じゃねぇとは思うがな。」

 

ミキ「はいはい3人共。建物を見て感動するのも良いけど、取り敢えず荷物を置きましょう。」

 

感傷に浸る3人に、手を軽くパンパン叩きながら移動を促した。そうして4人は、渡された鍵でそれぞれの部屋には入り、荷物を置いた。その後は、瀧の部屋に集まっていた。駅の売店で買った煎餅を摘まみながら、4人で色々なことを話し合っていた。

 

ミキ「瀧くん、三葉ちゃんには、今顔を出さなくて良いの?折角ここに来たわけだし……。」

 

彼女はずっと気になっていたことを瀧に尋ねた。普通なら、着いてからすぐに知り合いには顔を出すものだろう。暫く入れ替わっていた相手ともなれば尚更だ。だが、彼はそんな行動を取ろうともしなかったのが、彼女には引っ掛かったのだろう。すると彼は悪戯を企む小さな子供の様な笑みを浮かべた。

 

瀧「俺も最初はどうしようかと悩んでましたけど、今は大丈夫です。1つサプライズってことで、明日驚かそうと思ってます!ははっ……、考えただけであいつの驚く顔が目に浮かびますよ……!」

 

司「お前ガキかよ……。」

 

真太「良いんじゃね?それだけ仲良しってことだろ?」

 

ミキ&司「「あっ、成程。」」

 

瀧「張り倒すぞ、お前ら!!」

 

予想もしなかった攻撃に、瀧は思わず言葉を荒げた。勿論、仲が悪いと言えば嘘にはなるが、そこを堂々と突っ込まれると、反応に困ってしまう。それは、三葉も然りだろう。そんな時だった。

 

ピンポーン

 

突然、インターホンが鳴った。

 

司「何だ?先生戻ってきたのか?」

 

瀧「さぁな。ま、行ってくるわ。」

 

彼は立ち上がると、そのままドアの施錠を解き、ドアを開けた。

 

??「よぉっ!わしが誰か、覚えちょるか?」

 

そこには、1人の男の姿があった。彼は18人もの人と共に司達を御神体まで導き、瀧の手伝いを自ら買って出た人物だった。

 

瀧「あっ!お前は確か……、光輝か…!」

 

光輝「んあぁ、そうじゃ!覚えてくれとったんじゃな!!わしゃあ嬉しいぞっ!」

 

彼は自身の名前を呼ばれると、嬉しそうに笑った。瀧は、まぁ上がれよと言って中に入れ、彼を司達のいる部屋に案内した。戸を開けると、光輝を見た3人が驚きの表情に変わった。

 

真太「おぉ、お前か!!良かった、ちゃんとここにいたんだな!」

 

光輝「まぁな。わしらは、昨日この糸守に来たんじゃ。じゃけぇ、全員既にここにおる。安心せぇ!」

 

司「てか、何で俺達がここにいるって分かったんだ?」

 

光輝「何でって…、そりゃあウチの姉貴が『見っけてくれた』けぇじゃ。」

 

ミキ「見っけてくれた……??それってどう言うこと……?」

 

彼の言葉に、彼女はそのまま疑問を投げ付けた。

 

光輝「世の中、聞いて良ぇことと、聞かん方が良ぇことがあるっちゅうのを、よぉ覚えとき。」

 

彼はひひひと意味ありげに笑い、彼女の質問の答えをぼかした。すると今度は、瀧がコップに入れたお茶を飲み干し、話を切り出した。

 

瀧「そう言えば、お前らはどこにいるんだ?ちょうどアパートは俺達が来て満室になったみたいだし……。てかお前、人ん家のお菓子を何勝手に食ってんだよ!?」

 

瀧は、テーブルに置いてた煎餅をポリポリ美味しそうに食べる光輝を見て、少し呆れていた。因みに、彼の周りには開封済みの煎餅の透明の小袋が7袋散らかっていた。司や真太も、その食べっぷりを目の当たりにし、流石に顔がひきつっていた。しかし、当の光輝はそれを全くもって意に介さない様子だった。煎餅を咀嚼し、ごくりと呑み込んで自前の缶コーヒーを一口飲むと、口を開いた。

 

光輝「それなら答えようかの。わしらは、この地域で一番でけぇ屋敷に住むことにしたんじゃ。そりゃあ19人何て大人数が、まさかアパート1軒だけで事足りる訳ねかろ?でさ、本当は他の面子も連れてここへ挨拶に行こうと思ぅちょったが、荷物の整理とかで思いの外時間が掛かりょおるみてぇで、真っ先に完了したわしが、一先ずここに挨拶に来たってワケじゃ。あ~旨かった……。」

 

彼は一通り話し終えると、さてもう一枚と言いながら再度、煎餅に手を伸ばそうとしたが、瀧に阻まれた。

 

瀧「やめろっ!!食い過ぎだっ!」

 

怒鳴った彼に、光輝はちぇーっとつまらなさそうに唇を尖らせた。暫く不貞腐れていたが、何か思い出したようにハッとし、ショルダーバッグからハガキの様な紙を取り出た。

 

光輝「うわ危ねっ、すっかり忘れとった!おめぇらにこれを渡しとかんとな……!」

 

彼はそう言うと、4人にそれを配った。彼らはメッセージカードの様に二つ折りされたそれを受け取り、取り敢えず開いてみた。

 

司「おい、なんだこれ??招待状って何なんだ……。」

 

彼は左上の部分に書かれた『ホームパーティー招待状』の文字を見付け、すぐに光輝に訊いた。

 

光輝「そのまんまの意味じゃ。ウチのファミリーって、皆宴が大好きでの、何かありゃあこうやって宴をするんよ。本当なら今日やろうと考えとったんじゃけど、更にゲストを呼ばんといけんけぇ、明日やるんじゃ!右半分にメニューを書いちょるけん、見てみ。」

 

彼の言う『ゲスト』とは、恐らく三葉達のことなのだろう。瀧は一人勝手にそう思ったが、取り敢えず彼の言う様に、招待状の右半分に目を向けた。するとそこには、『広島県、大阪府、長崎県、山形県、京都府、北海道、三重県、鹿児島県、石川県、香川県、岡山県、沖縄県、兵庫県、静岡県、福井県、和歌山県の出身者による郷土料理』と書かれていた。これを見て、4人共驚いていた。

 

光輝「ウチのファミリーにゃあ見ての通り、あんだけ人数が多いモンじゃけん、色んな所の出身者がおるんよ。少なくともベタな物産展よりは絶対味は良ぇと思うで。勿論来るじゃろ?」

 

彼は両手を組んで後頭部を支え、ニカッと笑って言った。4人は暫くお互いの表情を窺い、その後すぐ、ほぼ同時に頷いた。

 

瀧「勿論だ!俺達は行くぜ、そのパーティーとやらによ!」

 

司「何をやるのかは分からねぇけど、折角招待してもらったんなら、ちゃんと行くのが礼儀だからな。」

 

真太「どんな料理が出てくるか、すげぇ楽しみだ!ガンガン食ってやる!!」

 

ミキ「色んな人とゆっくり話してみたかったの。楽しみだわ♪」

 

4人は口々に光輝にそう告げた。すると彼は満足そうに微笑んだ。

 

光輝「おめぇらじゃったら、そう言ぅてくれると思ぅとった!期待通りじゃ!」

 

彼は嬉しそうにそう言った。そして今度は腕時計に目を通し、おっとタイムアップじゃと呟き、立ち上がった。

 

光輝「わし、そろそろ帰らにゃあいけんけぇ、ぼちぼち帰るな~。ほいじゃあ皆さん、また明日学校で会おうぜ!!」

 

彼はそう言うと、そのまま部屋を出て、玄関のドアが閉まる音がした。暫く静まり返ったが、真太がそれを真っ先に破った。

 

真太「ははっ、嵐みたいな奴だったな!」

 

司「だな。でもまぁ、別に良いんじゃないか?」

 

ミキ「そうね。それじゃあ、今日はここでお開きにしましょっか?」

 

そして3人はすくりと立ち上がり、同じように部屋から去っていった。瀧は3人を玄関まで送り、ドアが完全に閉まると、もう一度集まった部屋に戻った。暫く余韻に浸っていると、ふとあることに気付き、呆れた。

 

瀧「あっ!煎餅の袋、中空っぽじゃねぇか……!あいつーー………!!」

 

~三葉side~

 

三葉「はぁ~……。」

 

私は1人、お気に入りのハリネズミのぬいぐるみを抱き抱えながら溜め息を吐いた。溜め息を吐いたのは、今日で何回目やったっけ?まぁ、それもこれも明日から学校が始まるからや。勿論、学校その物が嫌いと言う訳やないんやよ。親友のサヤちんとテッシーに会えるからね。ただ、例のあの3人組に陰口を言われたりする更に窮屈な日がまた始まると思うと、気が重くなる。けど、今回はいつもとは違って、楽しみなことがある。

 

三葉「早く会いたいよぉ、瀧くん……。」

 

そう呟きながら、片手でスマホを弄り、あの日記のアプリを起動する。そこには、入れ替わりの日々を綴った記録がある。お互い悪戦苦闘しながらどうにかやり過ごしてきた。1月の中旬頃から始まった入れ替わり。勿論、最初はお互い文句ばっか言い合ってたけど、いつの日からか入れ替わりが楽しみになってきた。そして、その中で色んな魅力的な瀧くんを知っていって、ふと気付いちゃった。私、瀧くんが好きなんやって。一人の女の子として、瀧くんが好きなんやって…。って私、何でこんな話しとん!?

 

と言うのは今は良いとして、実はあの後、意外と早く御神体のことを思い出せて、そのお陰で瀧くんといつ会えるんやろって気が気じゃない。勿論、瀧くんだけやない。司君、真太君、ミキ先輩や光輝君達とも会えるのも楽しみや。

 

三葉「瀧くん……。早く会いに来て……。私、待ってるから……。」

 

私はごろんと布団に寝転んで、再び呟いた。寝込んだ瞬間、何やら物凄い睡魔が襲ってきて、私は夢の世界へ旅立った。

 

~三葉sideout~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
文章が中々コンパクトに纏まりませんね……(´・ω・`)まだまだ頑張っていかなきゃ(*ゝ`ω・)
さて、ここで今回登場した方言を紹介しますね。
・ほいじゃあ:それじゃあ(広島)

こんな感じでしょうか。
次回は、糸守高校の始業式です!ここで三葉や瀧達が遂に本当の意味で対面します!
それでは、今回はここで失礼しますm(__)m
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。