新約、とある提督の幻想殺し(本編完結) 作:榛猫(筆休め中)
前回、倒れた明石さんを入渠させるべく鎮守府を走り回った上条提督...。
利根さんや陸奥さんの協力もあり、入渠ドッグの開放に成功するのでした。
今回は提督が食堂に行った時の話ですね
side上条
明石を加賀姉と利根さんに任せた俺は食堂へと向かっていた。
今のここにどれだけの艦娘がいるのか分からないが、また俺が料理しないといけないだろうし...。
土御門の話だと前任に奴はまともな補給をさせていなかったらしいしな...。
そんなことを考えながら歩いているといつの間にか食堂らしき部屋にたどり着いた。
「ここか...?」
入ってみないことには分からないため、俺は扉を開けて中へと入っていく。
中にはほとんど艦娘はおらず、ガランとしていた。
部屋にいた補給を師に来ていた艦娘たちも入ってきた俺には目もくれず死んだ目つきのまま補給を続けている。
そんな中、俺はとんでもないものを見てしまった。
ここにいる艦娘たちが食べていたのは補給などで使われる弾薬やボーキサイトだったのだから...。
コップに注がれている物も艤装を動かすために必要な燃料である重油だった。
彼女たちはそれを生気のない顔で黙々と食していた。
「なん...だよ...これ...」
俺はすぐさま厨房の方を見る。
そこには他の艦娘たち同じく死んだような顔で立っている間宮の姿があった。
作っている人はいるのかと若干の安心はできたが今はそれどころではない。
俺は間宮の元に向かうと問いかける。
「すみません、あの子達が食べているのって燃料ですよね?」
「え?そうですが...あなたは?」
「あ、すみません...。俺、本日付けでここの提督に着任したと上条当麻です」
すると間宮の死んだような目に一瞬揺れる。
「そうでしたか...そんな人がなぜここに来たのか知りませんがここはあなたの用の人間が来るところではありません...。お帰りください」
そう言って俺を追い返そうとする間宮。
「そういうわけにはいきませんよ、俺が前にいた所ではこんなことはしていなかった。こんなことがあっていい訳がない。少し入らせてもらいますよ、はい、ごめんよ~」
「え?あ!ちょっと...!」
間宮の制止を無視して俺は厨房へ入っていく。
厨房の中はガランとしており調理器具が一つもなければ食材をしまっておく冷蔵庫すらなかった。
ある物と言えば、燃料の入ったタンクに弾薬やボーキサイトの入っている箱のみ...。
「なんなんだよ...ここ...本当に食堂かよ...」
思わずそんな言葉が出てくる。
その悪態を聞いていたのか間宮が無表情で言い放つ。
「当然でしょう、私達は兵器なんです...。必要最低限の補給さえあればなんとでもなるんですから」
違う...そんなわけがない...
江ノ島にいた艦娘達は絶対にそんなことは言わなかった。
艦娘だって深海棲艦だって俺達人間と何ら変わらない...。
それをこいつ等はさも当然のように言うんだ!
「がう...」
「?」
「違う!それでいいわけねえ!お前たちは艦娘だ!確かに人間とは違うかもしれねえ!だけど!お前達だって生きてるんだぞ!俺達と同じように生きてるんだ...なんでそんなことが言えるんだよ!!」
「ッ...!」
不意に怒鳴られたからか、間宮の顔に少しだけ感情の色が灯る...。
だが、それもすぐに先程と同じ無表情に変わってしまう。
「たとえ生きていても、私達は戦うために生まれてきた生体兵器です...。人間と同じなどありえないんです」
「ッ!!どうやら口で言っても無駄みてえだな...それなら俺が分からせてやる!お前たちは人間と同じだってことをな!」
そう言うと俺は早足に食堂を後にするのだった。
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食堂を出た俺はある場所へ向かっていた。
ここの艦娘たちにいつまでもあんなことをさせるわけにはいかない、江ノ島の奴らがあんなに楽しそうに笑えていたのだ。ここでだってそうあるべきだ。
俺は先程鍵を探していた時に偶然見つけた前任のへそくりを手に鎮守府を出ようとしていた。
と、そこへ声がかけられる。
「どこに行くの提督?」
声のした方へ向くとそこには加賀姉が立っていた。
「加賀姉、ちょっと食料と料理道具を買ってこようと思ってさ」
「料理道具?どうしてまたそんなものを?」
「まあ、ちょっといろいろとな...そうだ!加賀姉にもついて来てくれると助かるんだけど」
「分かったわ、それじゃあ行きましょうか...」
こうして俺達は食料、その他諸々を買いに行くため鎮守府を後にするのだった。
鎮守府の外にていろいろ買い込み帰ってきた俺達。
底では土御門が待ち構えていて...
次回、新約、とある提督の幻想殺し
動き出す幻想殺し
幻想殺しと艦娘が交差する時、物語は始まる。