【完結】ハリー・ポッターと供犠の子ども   作:ようぐそうとほうとふ

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- Gone to the Rapture -

新調したコートに枯れ葉が一枚風にのって落ちてきた。茶色でカラカラの葉っぱはちょっと力を込めるとクシャリと砕ける。もうすっかり冬の気候だ。今朝はバケツに氷が張っていたし水道も凍っている。寒さに弱い植物たちは避難させた。

セブルスは冷える指先を息で温めながら玄関先に積もった落ち葉を魔法で退けて客人がきても呆れられないように掃除した。

マクリール邸の周りは樹海さながらの森なので掃いても掃いても切りがない。

 

ずっと着ていた黒い牧師のような服を脱いで、普通のシャツとズボンを着るなんて想像もつかなかった。これじゃあまるで普通のつまらない中年魔法使いだ。なにげなく時計を見ると、もう朝食の時間だった。

セブルスは家の中に戻り、途中までできた料理の仕上げをしてワゴンに載せた。

美しくて寂しい屋敷。その一番奥の部屋まで行ってノックし、返事も待たずに開ける。

その部屋はどの家具も白くてなんだかまぶしい。上品な白いカーテンが陽光を白く柔らかい光に緩和していた。

「……朝?」

「ああ。朝食は?」

「勿論」

部屋の主、サキは目をこすりながら上体を起こした。

セブルスが持ってきたトマトの挟まったサンドイッチを見てしかめっ面をした。

「……私、トマト嫌い」

「君に好き嫌いはなかった」

「あったよ。言わないだけで」

 

サキはホグワーツでの戦いでヴォルデモートを殺害した後、死喰い人らから集中砲火を受けた。彼らは疲弊していたので死の呪文を飛ばす余力がなかったのは幸いだった。しかし失神呪文を始めとした様々な攻撃呪文を受けた結果、彼女は一ヶ月以上病院の集中治療室に閉じ込められた。体質もあって受けた呪文の数よりかは軽症らしいが、それでもはじめは目を覆いたくなるようなほどの傷を負っていた。

見かけだけでも元通り、というわけには行かなかった。彼女の服の下にはまだ火傷のような傷跡がびっしりと残っている。

 

その後は裁判、裁判、裁判…。

当然セブルスも法廷に立った。結果的にセブルスは無罪を勝ち得たうえ賞賛される結果となったがサキはそうはいかなかった。

ヴォルデモートによる政界掌握に貢献した上、人権を無視したアズカバン管理をし、ベラトリックスを殺害した。

彼女は実質ヴォルデモートを倒したが、彼女の罪はそれと打ち消せるかどうか裁判で長い時間議論するに足るほど重かった。

サキはすべての裁判で黙秘した。

 

 

 

サキは聖マンゴの病室で長い眠りから目を覚ましたあとにセブルスを見て同じように微笑んだ。

「夢じゃないみたいだね。痛いから」

「ああ、ちゃんと生きている」

「やっと成功した」

 

サキの髪の毛は一部が焼け焦げていたのでセブルスが病室で切った。初めてあったときと同じくらい短く切ってくれとの事だったので、嫌がおうにも彼女との出会いを思い出した。

初めて会ったときの彼女はリヴェンの亡霊がいるのかと見まごうほど似ていた。悲痛な面持ちとすべてを失ったばかりの虚脱感はリヴェンのまとっていた空気そのものだった。年を経るにつれ彼女は前を向きリヴェンとは全く違う笑顔を見せていた。なのに、病室で目覚めた彼女はそんなこと全てなかったかのように亡霊へ逆戻りしていた。

 

夏の間、彼女への面会を許されたのは魔法省の高官とハリー・ポッターのみだった。ハリー・ポッターはサキとの面会後、スピナーズエンドで謹慎中のスネイプの元へ透明マントを羽織りやってきた。

ポリジュース薬が欲しいとの事だったので事情を聞くと、どうやらドラコのためらしい。

いつの間にかコンタクトをとっていたらしく、ポッターは少し気まずそうにセブルスに頭を下げ、同じく気まずい空気になんだか笑いそうになりながら請け負った。

 

ポリジュース薬でハリーになったドラコはなんとも言えない渋い顔をして鏡を見ていた。

「うわ…ゾッとする」

「効果は約一時間だ」

幸い聖マンゴは裁判所や魔法省ほどセキュリティに厳しくない。危険物さえ持ち込まなければ病室まで行くのは簡単だ。

ドアを開けて真っ先に飛び込んできたのは下着姿のサキだった。傷の具合を見ていたらしい。

 

「あれ?どうしたの二人して…」

「ふ、服をきろ!」

「はー、ガキじゃあるまいし慌てるなって」

 

そういうサキは普段通りに見えたが、一瞬目に飛び込んできた彼女の裸体は酷いものだった。服の下全てにミミズ腫れや引き攣れ、変色し隆起した皮膚は血が滲んでいた。

セブルスは息を呑んで、目を伏せた。ドラコもだった。

サキはシャツをしっかり羽織りボタンをしめて向き直る。

「久しぶりドラコ。ルシウスの裁判以来だね」

「ああ、あのときは全然話せなかったから」

セブルスはそっと席を外した。二人っきりになってドラコはまじまじとサキを見た。ホグワーツでの戦いの日よりはるかに落ち着いているし表情も柔らかい。けれどもなにかが欠けている気がした。

 

「あの時はごめんね。君がいるとヴォルデモートに殺されちゃうからああするしかなかったんだ」

「じゃあ僕は実は何度か死んでる?」

「そうだね…片手じゃ足りないくらい」

「そうか…不思議な感じだ」

「流石にキツかったよ」

ホグワーツの戦いでの死者はかなりの数に上った。ヴォルデモートは戦闘開始後直ぐにサキによって殺されたが、ナギニを倒すためにリーマスが犠牲になった。さらに頭を失った死喰い人たちはヤケを起こし手当り次第に校舎を破壊し、結果的に呪文による死亡者より建物倒壊による死者が多く出たのだ。

その犠牲者の中にはホグワーツの生徒が多い。

「助けられた命はあったよ。…けれどももうやり直さない。もしまた君が殺されたら、今度こそ私はおかしくなっちゃう」

「サキ…何回繰り返したんだ?君は一体あと何年…」

「神のみぞ知る、さ。ドラコ」

サキはドラコの目を真っ直ぐ見た。

 

「今までそばにいてくれてありがとうね」

「これからだってそばにいるよ…」

「いいや無理だ。ドラコ、君の知ってるサキはもうどこにもいないんだ」

「そんな事言わないでくれ。君はちゃんとここにいる」

「私は確かにサキだよ。でも君の知らない時間をもう千年分は過ごしたんだ。考え方も感じ方も全て、君たちの一年前とは違ってる。ダンブルドアを殺した日から私はもう、君と違う道を進んでしまった」

子どもに言い聞かせるような優しい低い声でサキはドラコを諭す。

 

ドラコは長く一緒に過ごしてきたからこそ、ずっと好きだったからこそわかった。サキが変わってしまったという事を肌で感じた。芯の通った明るさは落ち着きに代わり、年相応の情緒は消え去り、凪のように静謐な心はドラコの知ってるサキ・シンガーから遠い。

彼女の中に降り積もる永い永い歳月が二度と溶けない雪のように彼女の時間を凍らせ、変えてしまった。

 

「だから…私を忘れてね。身勝手な話だけど、私は君に無様な死に方を見せたくない」

以前と変わらない冷えた指先がドラコの頬をなぞった。ドラコはその手を包み込んだ。前と変わらず小さな手を。

「そんなこと、できるわけ無いだろ?サキ」

「ワガママ言うとオブリビエイトしちゃうぞ」

「君の冗談は本当に…笑えないよ…」

サキはサキだ。

でもそれはサキの思い出を有しているだけに過ぎない。今の彼女の中にはドラコの知らない沢山の記憶があって、それが夜ごと彼女をドラコの知らない彼女へ変えていく。河の中を流れ削られていく石のように。或いは、潮風に削られる岩のように。

 

ドラコはサキが退院し禁錮になってからも何度か手紙をくれ、ときに見舞いに来てくれた。そのたびにセブルスは表の玄関を掃除した。ドラコはいつも悲しそうな顔を必死に笑顔に取り繕ってドアをくぐっていく。

ハリーやハーマイオニーからも手紙は届いていた。しかしウィーズリー家の人間からは届かなかった。まだ家族を失った傷が癒えないのだろう。

サキが過去をやり直せるのは裁判で明らかになった。そのせいで彼女は遺族の恨みを多く買っている。脅迫めいた手紙は予めセブルスが除けているが毎日途絶えることはない。

彼女の判決はまだ出ないままだ。

 

 

「今日は…何日だっけ」

「1998年、12月22日」

「ああ…そうか。今日だよ。脳髄を食べたのは」

 

セブルスの持っていた脳髄は瓶から消えていた。

不思議なことに、鍵付きの箱の中に入れ厳重に封をした瓶の中身は初めからそこに何もなかったように空だった。

「今日からは私の知らない未来だ」

「そうか。じゃあプレゼントの中身はまだわからないわけか」

「そもそも先生死んでたし」

「…感謝、しないとな」

サキは柔らかく微笑んだ。

彼女の持つフォークは小刻みに震えていた。

 

「昨日はどんな記憶を見たんだ?」

「丁度…今までの人生18年分。だからはっきり思い出した。先生、やっぱ老けたね」

「…変にやり直したりしていないな?」

「勿論。…火事の起きた日、私は出かけないという選択肢を選べた。けどそうはしなかった。きっとそうしたらあなたと出会うことも無くあそこで焼け死んで私の人生は終わってた」

「それを選ばなくてよかった。じゃないと私はリヴェンに酷いことをしたままだ」

「馬鹿だな先生は。すべてはリヴェンの勝手な事情だよ?むしろ迷惑じゃない?」

「そんなふうに思えるほど彼女との縁はあさくない」

「うん。知ってる」

 

サキは一時期の消耗から回復したように見える。しかしやっぱりダンブルドア殺害以前の彼女とは変わってしまった。前は荒波の中を藻掻くようにしていたが、今はただ穏やかで過ぎゆく時間に身を委ね受け入れている。

 

「リヴェンはあなたを死ぬほど愛していた。けど、その痕跡はこの世界には残ってない。だからあなたは私たちのことなんて忘れていいんだよ」

「そんなこと…できる訳がない」

サキはその言葉を聞いてとても悲しそうな笑みを浮かべた。セブルスは自分がきっと情けない顔をしてるんだろうなと思った。脳髄にそえられたリヴェンの娘に宛てた遺書を読んだ。羊皮紙にあったものと違って何度も何度も書き直したんだろう。字が、いつもより綺麗だった。

 

彼女の妄執すべてを知ることはできない。

けれどもセブルスはきっと、リリーのためにハリーを守ったようにこれからの人生はリヴェンのためにサキを守って生きていくのだろうと思う。

 

サキの手からフォークが落ちた。

ブルブル震える手を見てサキは呆然としている。サキは言い訳っぽく付け足す。

「ああ、これは、寒くて」

「きっと薬を見つける」

セブルスの言葉にサキは曖昧に笑うだけだった。

 

「私が死んでも、忘れてね」

「忘れるわけがない」

「ドラコもハリーもみんなそういってた」

でも本当に忘れてほしい。と、彼女はいつも言ってる。

「だってもう、私の見てる世界はみんなと違うんだもん。ここは私にとって数千年分のうちの僅かだ」

「私にとって、君たちは人生の半分以上だ。リヴェンが勝手に私の命を救ったように、私も勝手に君を見守り続ける」

「墓守りでもするつもり?このままずっと」

「ああ。リヴェンはきっとそれを望んでいた。そうだろう?」

「ハリーが悲しむよ」

「彼はもう、自分一人で歩いていける。私の役目は終わった」

「…嫌だねえ老けちゃって」

 

サキはどこまでサキで、どこまでリヴェンなんだろう。最早そんなことを超越してしまったんだろうか。絶対に追いつけない時間差のなかで、彼女は今日もセブルスの知らない過去を生きている。

 

 

「先生…」

「どうした?」

「幸せになってね」

 

きっと無理だ。

愛しい人をなくして、自分を愛してくれた人をなくして、どうやってその穴を埋めればいい?これから先どんなに幸福な人生を手にしたってずっと罪悪感に苛まれるだろう。

死は何もかも私から奪っていく。大切なものを欠いてなお人生の車輪を漕ぎ続けなければならないというのなら、生きることは罰なのだ。

リヴェン、きっと私は君と同じ苦しみを味わっているのだろう。もう一度君にあったなら、今度こそ君の口から言葉を聞きたい。でもそれは決して叶わない。

 

セブルスは絶望に打ちひしがれながら、萎えていく心を隠してサキを悲しませないように、いつも笑って答える。

 

「ああ、きっと…」

 

 

 

 

……

 

 

私は母親を食い、父親を殺し、赤の他人を殺し、好きだった男の子を裏切り、友人を捨てた。

けれどもそれが将来的に見れば一番いい。この肉体はあと数年もたたないうちに脳がスカスカになって死に至る。数十回のやり直しは想定以上に脳を傷めつけた。意識は次第に混濁し、手の震えはますます酷くなり、自律神経すらまともに働かなくなり、正気すら失う。

そんな光景をドラコに見せたくなかった。これ以上彼を傷つけたくない。

どうせ立ち去るのならば、あとを濁さず。私のように死者の影に囚われることのないように。

 

今サキの中にあるのは、母が必死に作った歪な黄昏の光景だった。あの穏やかな夕暮れ時に知った、セブルスへの恋心。報われない初恋をした瞬間にこれからの運命すべてが決まっていたのだ。

 

 

 

愛してるよ。あなたを、永久に。

 

あなたの気持ちと私の気持ちが噛み合うことはもう二度と起こり得ないけど、あなたがリリーを思い続けたのと同じくらいに清らかな気持ちで、あなたを愛している。
この美しい言葉を授けてくれたあなた自身がどれだけ美しいか、知っているのはきっと世界で私だけ。

 

私は確かにサキだ。しかしサキであると同時に何十人ものマクリールでもある。数千年という膨大な記憶と心から溢れるほどの様々な感情はどうやったって今までの意識を拡張していく。サキという人格にもはや明確な途切れ目はない。

 

リヴェンの願いは成就した。

けれども、彼女の呪いは解けることはなく私を食い尽くした。私の身体を満たすこのどろどろとした生臭い感情。抑えがたい恋情が煮えたぎる。

 

「私を忘れてね」

サキは繰り返し言ったその言葉がセブルスにとってなによりの呪いになることを知っていた。

 

私を忘れてね。あなたの為にすべてを捧げた私を、絶対に忘れてね。置き去りにして、幸せになってね。

 

 

セブルスがそんな事をできる人だったら、私はこんなに苦しまずにすんだ。
あなたは優しい。残酷なほど優しい。
私はあなたの優しさを狂おしいほど愛してる。

だから呪う。あなたは一生、私の墓の前で私の死を嘆き続ける。
私はサキ・シンガーの死によって、あなたの心に、リリーより深い傷を刻める。
病めるときも健やかなるときも死するときも、あなたは私という疵と添い遂げるの。

 

幾千年の記憶の中で、これ程まで身を焦がす恋はなかった。人という存在は絶対に他人の心に触れることは出来ない。私は積み上げてきたすべてのものを投げ打ってそれに触れる事ができた。

数千年と古の記憶を受け継ぐ血筋。降り積もった時間と比べれば、つまらない終わり方かもしれない。

けれどもこの血筋ももうこれからの時代には必要ない。すべてのものはやがて滅び、新しいなにかがその死体の上に立つ。魔法族もいずれこの血のように古い地層に成っていく。生き物はそうやって世界の一部になる。

 

私は世界にとって意味のある存在じゃなかった。けれども誰かにとっての意味のある存在にはなれたと思う。

もし人を愛するということが世界の何にも変え難いほど尊いものならば、私は人生をかけて世界のすべてを勝ち得たと言えるだろう。

愛を手にした瞬間、私達のとこしえの呪いはついに解かれるのだ。

 

私はあなたのおかげで愛を知れた。
痛みも苦しみも悲しみも、全てあなたが教えてくれた。
父にも母にも愛されてなかった私を、呪われた私を、あなたが見つけてくれたんだよ。
私は、あなたに生きていてほしかった。
その願いはかなった。

 

 

愛してる。本当に、愛してるよ。セブルス。

ずっと、愛してる。
愛してる…。

私を、忘れないで。

あなたを愛した私を、忘れないでね。

 

 

私はあなたの側ならば、きっと美しく終われる。

 

私は幸せだよ。

 

 

 

 

 

 

end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主要登場人物の安否

 

不死鳥の騎士団の死亡者

リーマス・ルーピン

ニンファドーラ・ルーピン

アーサー・ウィーズリー

パーシー・ウィーズリー(魔法省襲撃事件後アズカバンにて獄死)

 

ホグワーツの死亡者

ネビル・ロングボトム

ディーン・トーマス

コリン・クリービー

ラベンダー・ブラウン

アーニー・マクミラン

オリバー・ウッド

 

一般人の死亡者

ギャリック・オリバンダー…マルフォイ邸地下牢にて衰弱死

 

死喰い人の死亡者

ヤックスリー(魔法省襲撃事件後ヴォルデモートにより私刑)

フェンリール・グレイバック(逮捕後史実上最後の吸魂鬼のキス執行)

アミカス・カロー

アントニン・ドロホフ

多数の人さらいたち

 

戦争犯罪人

ピーター・ペティグリュー…逃亡

アレクト・カロー…逃亡

パイアス・シックネス…心神喪失が認められ医療刑務所へ

ドローレス・アンブリッジ…様々な罪状により懲役30年

ルシウス・マルフォイ…司法取引により無罪

サキ・マクリール…司法取引により無罪

 

トム・マールヴォロ・リドルの遺体…リドルの墓に埋葬される。

リヴェン・マクリールの遺骸断片…火葬後マクリール家の墓へ埋葬される。

 

 

ハリー・ポッター…ジニー・ウィーズリーと結婚後闇祓いへ

ハーマイオニー・グレンジャー…魔法法執行部へ入省後ロン・ウィーズリーと結婚

ロン・ウィーズリー…ハーマイオニーと結婚後魔法生物管理局へ入省

ドラコ・マルフォイ…癒師試験通過後聖マンゴ病院に就職し結婚

 

セブルス・スネイプ…以降表舞台に出ることなく静かに余生を過ごす。

 

サキ・マクリール…2000年に出所したロドルファス・レストレンジにより殺害される。

 

 

 

 

 

 

リリー・エバンスの日記#1(抜粋)

 

1971.12/20

リヴェン先輩という素敵な先輩と知り合った。彼女はスリザリンで、セブのはじめてのお友達らしい。セブを助けてくれた優しい人!たまに、ううん。ちょくちょく私の事を忘れるけど、何回も挨拶したら覚えてくれた。変だけどとっても大人っぽくって素敵。勉強もできて、本当に素敵!

 

1972.9/18

セブが先輩のおかげで寮にたくさんお友達ができたと言っててよかった。そういえばびっくりしたんだけど、ポッター軍団と先輩が話してるのを見ちゃった。意外。あのジェームズ・ポッターと先輩の反りが合うはずないのに。

 

1973.10/31

セブが大怪我したと聞いて、先輩は怒ってジェームズをタコ殴りにして謹慎になった。なんでそんな馬鹿なことをしたの?と聞いても理由を教えてくれない。ピーターに聞けばわかるかな。

 

1975.6/30

先輩は卒業する前に、とても素敵な秘密を私に教えてくれた。それを聞いて、正直ショックだった。だって先輩はセブに恋してるんだもの。先輩も普通の女の子だったんだと安心する反面、幼馴染としては少し複雑。セブは嬉しそうだけどね。

 

1976.5/26

セブはふくろう試験に本気になっている。ポッター軍団ときたら毎日遊び呆けてるっていうのに、本当に対照的。私も結構忙しい。首席になりたいわけじゃないけど、やっぱりやるからには本気でやりたい。

 

1976.11/7

セブが私に相談事を持ちかけた。誕生日の贈り物だって。信じられる?きっと先輩への贈り物なんだわ。セブが幸せそうで嬉しいけど、私だけ置き去りにされた気分。なんで私にはジェームズみたいな人しかアプローチが来ないの?あーあ。先輩が男の人だったらいいのに!それが理想かもね。

 

1978.6/30

ジェームズとシリウスったら卒業後は不死鳥の騎士団に入るんだって意気込んでる。でもそれは就職先じゃないわよ。闇祓いになるには数年勉強が必要だし、しばらくは私が頑張らないとね。リーマスは就職に苦労してる。気の毒だけど、彼ほど優秀な魔法使いを雇わないなんて社会の損失よね。

7年間いろんな事があった。

何より驚いたのは、セブに告白されたこと。勿論ジェームズには秘密だけど。セブは恋を成就させるために告白したんじゃなかった。けじめを付けたかったんだって。男の子って勝手に自分の中で決着をつけちゃうんだから。でも、セブも大人になったのね。あの梢の下の美しい光景は思い出となって私達の胸に大切にしまっておくね。

あんな美人さんじゃ苦難が多いだろうけれども、セブならきっと大丈夫。あなたの良いところってあなたが気づいてないだけでたくさんあるんだから。

あなたはきっと、素晴らしい魔法使いになれる。

セブ、どうかリヴェン先輩と幸せにね。

 

 

 

 

 




脳髄を食べた後の物語は、リヴェンの願いの成就で完結です。
長い間お付き合い頂きありがとうございました。


書き始めた頃はこれより悲惨な終わりの予定でした。そうならなかったのはやはり感想欄などでいろいろ意見を聞かせてもらえたからだと思います。楽しかったです。
詳しい振り返りは活動報告に譲るとして、ひとまずはおわり。

読んでくれた皆様、評価をくださった方、感想を書いてくださった方、そしてなによりものすごく膨大な誤字修正をしてくださった方に感謝申し上げます。
ありがとうございました。


2021 12 10 追加
未だに感想をいただけて嬉しいです。
創作の糧になっています。
本当にありがとうございます。

【挿絵表示】

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