宇宙
常に拡大し、未知の世界が広がる世界。
ひとつの宇宙に一つの世界、複数の宇宙に複数の世界がある。
それはこの時代では当たり前だ。
だが、前にいた宇宙より刺激がない宇宙はどれほどつまらないものだろうか。
「あー、やっぱこっちは何の刺激もないから暇だな~。」
「だな。やっぱ帰ってくるんじゃなかったな。」
アル・シャハルで三人が小料理屋で愚痴をこぼしていた。
一人はハヤテ・インメルマン。
一人はラック・ローレス。赤い長髪で黒い肌の男である。
「だが、お前の勘でなんかあるんだろ?お前の的中率98%だし。」
そう言うのはナイブ・スロークス。白髪に右目に独特のタトゥーを入れている男だ。
「てかそのパーセンテージどうやって割り出したの?」
ハヤテの問いにナイブは答えた。
「お前が100回予想してその内当たったのが98だからだよ。」
「数えてたんかい!」
ハヤテはナイブにツッコミを入れる。
「まあまあ、落ち着けって。てかよ、お前の直感で言った先々でヴァールって何?あれか?ヴァールに愛されてるのか?」
「俺が知るかよ。ま、そんな話は置いといて。なんか面白い予感がすんだよ。ここから。」
ハヤテはそう言うと地図のあるポイントを指さした。
「湾か?てかなんで?」
「さあ。」
「「おい!」」
二人はハヤテにツッコミを入れる。
「・・・・ま、いつものことだからいっか。」
「だな。」
ラックとナイブは溜息を吐きながらそう呟いた。
「飯代払って行こうぜ。」
「ああ。」
「ま、ここにいても退屈だしな。」
三人はそう言うとその場から席を立つ。
三人は湾に(違法に)侵入する。が、コンテナとワークロイド以外何もない場所なので特にこれと言った発見もなかった。
「なーんもねーじゃねーかよ、おい。」
「無駄足だったか?」
ラックとナイブはそう呟く。しかしハヤテは一人耳を澄ませていた。聞こえてくるのは人の話し声、波打つ音、ワークロイドが動く音、ラジオの歌、そして一人の女の子の歌声であった。
「っ!なんかいた!」
ハヤテはそう言うとあるコンビナートに向かい跳び始める。
「おいおい、バレルさんの弟子でも対照的だな。」
「それは俺たちも言えないか?」
ラックの言葉にナイブはツッコミを入れた。
「まぁ、付いて行かないわけにもいかないだろ。何かありそうだしな。」
「仕方ねぇ。暇だし付いて行ってみるか。」
二人はそう言うとハヤテの後を追った。
いくつものコンテナが並ぶ中、ハヤテは一つのコンテナの上に立っていた。
「おーい、ハヤテ。」
「ここなのか?」
後から来たナイブとラックがハヤテに声を掛ける。
「ああ。さーて、なーにが出るかな、なーにが出るかなーっと。」
ハヤテはコンテナの蓋を開ける。するとそこにはリンゴの上でリンゴを食べている女の子がいた。
『・・・・・・・・・・・』
「・・・・・・・・・・・」
双方ともに出る言葉が無かった。
「リンゴと一緒に女の子もお届けのサービスが今の常識なのか?」
「いや、それは無いだろ。てかそれ人身売買。」
「それ以前に起きてる時点でバレるリスクありまくりだろ。」
ハヤテの言葉にナイブがツッコミを入れ、ラックが冷静に分析をする。
「え、えっと・・・・・・・・アンタたちは誰かね?」
『それこっちのセリフ。てか・・・・お前何?身を売られた哀れな女の子?』
「ち、違うねん!?」
三人は女の子を連れ場所を他所へと移した。
そして三人は人気のない場所で女の子の話を聞いた。彼女の名はフレア・ヴィオン。故郷から無理矢理結婚させられそうになったため家出をしたという話になったそうだ。
そしてフレアはおにぎりを獣の如く喰らい付いていた。
「ま、リンゴばっか食ってたらフツーそうなるよな。」
「てかよく気付かれなかったな。」
「バカなのか天才なのか・・・・」
ハヤテ、ラック、ナイブはフレアに呆れた。
「でもありがとうね。見ず知らずの私を助けてくれて。」
「なーに、俺たちもここに違法で入って来たからな。」
フレアの言葉にラックはそう答えた。
「え?それってどういうことね?」
言っている意味が分からないフレアにラックは説明する。別に止める理由もないのでハヤテとナイブは黙っていた。
「つまりハヤテの直感でここに来たって事ね?」
「まあそうだな。」
ラックはげらげら笑いながらそう答えた。
「まあこいつは置いといて、フレア。お前ってさっき言ってたワルキューレって音楽ユニットのオーディションのためにここに来てんだろ?だが生憎ここお前の目的地じゃないぞ。」
「・・・・・・・え゛!?」
フレアはハヤテの言葉に驚く。
「ここはラグナじゃなくアル・シャハル。目的地とは三十万光年離れてるぞ。」
「えぇえええええええええええええええええええええ!」
ナイブが追い打ちをかけることを言うとフレアは鼓膜が張り裂けんばかりの声を上げるがハヤテたちは耳を塞がず、平然としていた。
「ま、手段がないわけでもない。」
「えっ!ホント!」
ハヤテの言葉にフレアは喰い付く。
「俺たちと一緒に来るか?俺ら根無し草だからどこに行っても問題ないし。」
ハヤテの言葉に二人も頷いた。
「でだ。いっちょド派手に行きたいんだが、どうだ?」
ハヤテがにやけるとラックとナイブもハヤテの意図に気付いた。そしてフレアは一人嫌な予感を感じていた。
「ひやぁあああああああああああああああああああああ!」
「はっはっは!結構元気だな!」
「だな!」
「密航するだけの度胸があんだ。空元気もあるわ。」
悲鳴を上げるフレアに対しハヤテたちは暢気にしゃべりながらコンテナの上を走りながら跳び、移動していた。
「こ、こんなことするなんて聞いとらんよ~~~~~~~~!」
「そりゃ言ってないからな。」
そんな話をしていると後ろからドローンが追いかけてきた。
「おっと!早速気付かれたみたいだぞ。じゃあお前ら、アクロバティックミッション!」
「「スタート!」」
ハヤテの言葉を合図にラックとナイブが叫ぶとコンテナからクレーンの方へと雲男の如く移動を始める。
「うわぁあああああああああ!」
「ははは、落ち着けって。」
ハヤテはそう言うと赤いマフラーを取り出し鉄柱に巻き付けるとターザンをする。
「おーおー、お姫様抱えた怪盗ってか?」
「だとしたらあそこにいるのはお転婆姫だな。ん?」
ハヤテを見て思ったことを口にするラック。そんな時ナイブは出入り口付近にいる一人の女性に気付いた。
(こいつは・・・・ハヤテの勘が当たったな。)
ナイブは一人ニヤけ、ハヤテたちはフレアを連れて湾を出た。
湾から大分離れ、日は水平線に沈もうとしていた。
「いやー。大分逃げたなー。」
「ホントだ。だが久々に面白かったぜ。」
「だな。」
余裕をかます参院に対しフレアはゲッソリしていた。
「ん?どうしたフレア?元気がないぞ。」
ハヤテが声を掛けるとフレアは弱々しく発言する。
「あ・・・・あんなどんちゃん逃げしてだいじょうぶに思う?」
『うん。』
「なしてそんな答え方できんねん!」
能天気に答える三人に対しフレアは声を荒げる。
「で、こっからガチの話だ。俺たちは明日の便でお前が行きたい星に行く。その代り金八払ってもらう。もちろん出世払いだ。三人分だから結構な額だ。分かるな?」
ハヤテの言葉にフレアは頷く。
「よし・・・ま、それよりも相手にしないといけないのがいそうだよな。ナイブ。」
「わかってる。」
ナイブはどこからか小型の十字のレーザーガンを取り出すとトリガーを引き、レーザーを放つ。レーザーは傾向射撃によって曲がり、路地に隠れている第三者に向け放たれた。
「くっ!」
路地から身を転がして回避する。手には拳銃が握られていた。
「やーっぱさっきの湾の奴か。」
「くっ・・・・・何者です貴方がたっ!」
女の持つ拳銃に傾向射撃のレーザーが直撃し、銃は使い物にならない鉄くずへと変貌した。
「詰めが甘いな。教科書通り過ぎる。」
「だな。てかナイブ、気づいてんのなら先に言えよ。」
「いいだろ。大した実力もないんだし。」
出てきた女を無視して三人は話す。
「あ、貴方たちは何者ですか!扶助友会で捕まえましょうか!密航犯!」
『密航犯?』
突然の濡れ衣に三人は間抜けな声を出す。
「は、はい!アタシが密航犯です!」
「へ?」
『阿保か、お前。』
三人は頭を抱える。
そして事情説明・・・・
「とりあえず、勘違いしたことについては謝ります。しかし・・・そのような武器は私の知る限りではまだ開発されていません。ましてやレーザー兵器の小型化。冷却装置に砲身、さらに言えば発射時における人体への影響。その他もろもろのことを考えましてもおかしいです。貴方たちはいったい何者なのですか?」
「人に聞くときはまず自分から名乗るもんじゃないのか?」
ラックがそう問うと女は答えた。
「失礼しました。ケイオス、ラグナ第三航空団Δ小隊所属、ミラージュ・ファリーナ・ジーナス少尉です!」
「え!Δ小隊!」
ミラージュの言葉にフレアは喰い付く。
(あ、こいつ喰い付いた。)
三人はフレアの反応を見てそう思った。
「あ、あの!Δ小隊って、ひょっとしてワルキューレと一緒に飛んどる?」
「ええ、そうですが・・・・」
「はぁ~!ごりごり~~~!」
フレアのルンが光り嬉しそうに微笑む。
「な、なんなんですか?」
「ファンなんだとよ。ん?」
「どうかしましたか?」
何かに気付いたハヤテにミラージュが問う。
「お前ら・・・・」
「ああ、わかってる。」
「・・・・・・・戦いの匂いだな。」
「「へ?」」
フレアとミラージュが間抜けな声を出した途端、ヴァール警報が発せられた。
「おい、馬鹿。シェルターに逃げるぞ。もうじき戦場だよ、ここは。」
ハヤテはそう言うとフレアの手を握り走り出す。二人もハヤテとフレアの後を追いかけた。
ヴァールと化した新統合軍の兵士が暴れ、町は昼の賑わいから一転し、戦場と化していた。
「もうちょっと体力付けろ!アイドルも体力がいる仕事だぞ!」
「わ。分かっとるけど・・・・もう息が・・・・」
「ええい、クソッ!」
ハヤテはフレアをお姫様抱っこして走り出す。
「どうする、ハヤテ?流石にヤバいんじゃないのか?」
「少し暴れてもいいんじゃないな?」
走りながらラックとナイブがハヤテに問う。
「戦いは契約に入ってない。それに戦いまでやったら支払いがいつになるかわかったもんじゃねぇ。」
「あ、それもそうか。」
ラックは手をポンッと置いた。
「そうかもな・・・・じゃあこれは俺が勝手にやったってことで!」
ナイブはそう言うと小型のレーザーガンを取り出しトリガーを引く。放たれたレーザーはヴァール化した新統合軍の一機に直撃、足を破壊し身動きが出来なくなる。
「お前何やってんの?」
「ほっとけ。」
ハヤテの問いに対しナイブはぶっきらぼうに答える。
「おいハヤテ、いつものアレだよ。」
「っ!ああ・・・・」
ラックの言葉でハヤテは納得した。ナイブは師匠同様に情が深い。特に子供に対しては優しい。ナイブが放った方には襲われそうになっていた子供がいた。だからナイブはトリガーを引いたのだ。
「しかしこのままじゃ・・・・ん?」
ハヤテは走っていると耳に歌声が聞こえてきた。
「これは・・・・歌?」
「この声・・・・虹色の声?」
四人は声がする方を向くとそこには一人の女性が戦場の中で歌を歌っていた。そして女性は身に纏っていた服を取っ払い、自分の姿を曝け出した。
自分の姿を曝け出した美雲をきっかけにワルキューレとΔ小隊が集まる。
「おうおう、どうやらご搭乗のようだぜ。」
ナイブがそう呟く。
「しっかし、随分凝った登場だな。」
「もう少し早く来れなかったのか?」
ワルキューレとΔ小隊の登場にナックとナイブは冷静にツッコミを入れる。
「♪~~~~~~~」
ワルキューレの歌でヴァールと化した新統合軍の兵を鎮静、そしてΔ小隊が無力化をしていた。
「順調のようだな。だが・・・・」
ハヤテが空を見上げるとナイブとラックも見上げた。フレアは分からず釣られて空を見る。すると突然空で爆発が発生した。
「な、なにが起こったんね!」
「どうやらこの状況をよろしく思ってない輩がいるみたいだな。邪魔な蚊蜻蛉共がな。」
アル・シャハルへ大気圏突入をしてきた謎のヴァルキリー隊をΔ小隊が応戦。しかし相手は手練れでΔ小隊も苦戦していた。
「・・・・・・・」
ハヤテは状況を見て考え。そして微笑んだ。
「お前ら、今俺が考えていること分かるか?」
ハヤテの問いに対し二人は答えた。
「当たり前だ。」
「ていうか、このビジネスチャンスを逃すわけないだろ。」
二人もハヤテ同様に微笑んだ。
「へ?いったいなんの話ししてんねん?」
フレアは三人の言っていることが分からず首を傾げる。
「お前さ、ワルキューレを間近で見たい?」
ハヤテの問いにフレアは答えた。
「へ?そりゃもう・・・・」
するとハヤテは微笑み、フレアを抱き上げ走り出す。
「な、何すんねんハヤテ!」
「お前のオーダーに応えてやんだよ!タダでな!」
ハヤテはそう言うと尋常ではない身体能力でワルキューレのいる場所まで飛んだ。
「ほい、到着。」
「へ?え?へ?どうやってここまで来たん?」
「もちろん飛んで。」
困惑するフレア同様、ワルキューレも困惑していた。
「相変わらずお前は足も速けりゃ飛ぶのも早いな。」
「つーか、流石先攻屋。」
遅れて来たラックとナイブは感心する。そんな中カナメがハヤテたちに問う。
「あ、貴方たちは何者なの?」
「ん?俺たちは傭兵。んでこいつはファン。んでここでビジネス。俺たちを今だけ雇ってくれる?ヴァール騒ぎを気に入らないあいつ等からとヴァールになっちまってる奴らの鎮圧。どう?」
「どうって・・・・そもそもあなたたち子どもにそんなこと――――」
カナメが答えようとした時であった。謎のヴァルキリー隊の一機がハヤテたちの方へと向かい飛行し、ミサイル群を放って来た。
「ナイブ。」
「わかってるって。」
ナイブはクロスショットを手に取るとミサイルを全てロックする。
「ホークアーイ・・・・・フラッシュ!」
ナイブはトリガーを引き、レーザーを放つ。放たれたレーザーは拡散し全てのミサイルを撃ち落とした。その光景にΔ小隊と謎のヴァルキリー隊は驚愕する。
「で、どうする?今なら俺たちチーム料金で割と安くしとくよ。」
「・・・・・・お願いするわ。」
ハヤテの提案にカナメは乗った。
「よし、お前ら聞いたな。今からこの戦場で俺たちはワルキューレに雇われた。目標は三つ。
一つ、ヴァールと化した新統合のヤロー共のオムツ。二つ、蚊蜻蛉共からワルキューレを守ること。ついでにこいつもな。」
ハヤテはそう言うとフレアを親指で指す。
「んで最後、必ず生きて帰ること。これは俺たちの絶対ルールだ。分かってるな?」
「ああ!」
「言われるまでもねえ!」
ハヤテの言葉に二人はそう答えた。
「ザ・セカンド、装備展開!」
「「了解!」」
三人は首にかけていたペンダントを手に握る。
『展開!』
その瞬間、三人の服装に変化が起こった。
ラックには黒いボディースーツに銀のアーマー、右手にはマグマスピア、アイマスクが装備された。
ナイブには両手に赤いプロテクター、右手にはクロスショット、左腰には小型のクロスショットが装備されていた。
そしてハヤテは黒のボディースーツの上に青いアーマー、右腕には籠手、左腕にはバルタン星人特有のハサミ、腰には分離状態のサイクロンソーサーが装備されていた。
「ザ・セカンド。ミッション、スタート!」
ハヤテの言葉を堺にハンティングは開始された。