【完結】テニスこそはセクニス以上のコミュニケーションだ(魔法先生ネギま×テニスの王子様)   作:アニッキーブラッザー

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第10話『偽王子VS鳥人』

 それは、変身と呼ぶには自然体すぎで、モノマネと呼ぶにはクオリティが高すぎる。

 まるで、最初から仁王という男はそこに存在せず、別の男が現れたかのような錯覚に誰もが陥った。

 

「えっ、あれ!? 今、そこに仁王くんいたのに、アレ!?」

「なんか、おチビちゃんに代わってるよ!?」

「楓、見たアルか!?」

「・・・変化の術ではないでござる。しかし、これは・・・」

「マスター・・・あそこに居るのは、紛れもなく仁王雅治という選手です。しかし、私の目にもそう写っていません」

「茶々丸。機械であるお前の目すら欺くというのか? では、やはり・・・アレは・・・」

 

 麻帆良生徒は誰もが仁王の魅せるイリュージョンの中に居た。

 エヴァンジェリンですら、思わず身を乗り出すほどだ。

 目の前にいる男は仁王であって、仁王でない。まったく別の存在へと化した。

 そして、変わったのは見た目だけではない。

 

「それじゃあ、いくよ」

「・・・・・・」

 

 先程まで甘い色ボケ空間に居た桜咲刹那も、この奇妙な現象に飲み込まれていた。

 夢なのか、幻なのか、突如幼さの残る少年と試合をすることになったことに、何も言葉を発せられないでいた。

 そして・・・

 

「それっ!」

「ッ!?」

 

 仁王・・・いや、越前リョーマがサーブを放つ。

 速度、打点の高さ、タイミング、全てが刹那が先ほどまで試合していた仁王とは違う。

 さらに、

 

「ッ、この回転は!? ・・・神鳴流歩法・脚離桜華(きゃりおうか)」

 

 越前の放ったサーブがバウンドと同時に激しいツイスト回転を起し、刹那の顔面めがけて急激に跳ね上がった。

 

「マスター!」

「うむ、ツイストサーブだ! また、珍しいサーブを・・・だが、刹那には通用せん!」

 

 多少面食らったものの、刹那の行動は速い。

 ボールがバウンドした瞬間に、足を交差させた機敏なステップで横方向に飛びながらツイストサーブを難なく返す。

 

「キャリオカステップ!? あの女、やっぱうめえ!」

「初見でツイストを見抜いて、的確な対処だ」

「ボディバランスも超一級品。アスリートとしての理想ですね。ですが・・・」

 

 刹那のリターンに対して、越前は構わずボールに飛びつき、ダイレクトでスイング。

 

「ドライブC」

 

 刹那も素早くスプリットステップでボールに反応。

 しかし、

 

「なっ!?」

 

 越前のダイレクトボレーは着弾後にバウンドせずにそのまま転がっていった。

 予想外の打球に刹那は身動きできず、呆然と立ち尽くす。

 

「にゃにゃにゃにゃ、にゃにー、今の!?」

「ボ、ボールが跳ねないでそのまま転がっていったよ・・・あんなの、アリ!?」

「テ、テニスって普通ワンバンドして打つんだよね? あんなの、どうやって返すの?」

「これまた、綱渡りや鉄柱当てとは別の意味で嫌な技ですね」

「千雨さん・・・頭抱えてどうしたのですか?」

「うるせえ、ロボ娘。私はただ、今までテレビで見てきたテニスって何だったのか、思い返してるだけだ、んで、エヴァさん・・・あれって、どういう原理・・・」

「ふふふ、器用なことをやる。イレギュラーバウンドを意図的に起こさせたか」

 

 未だかつて見たことのないショットに、麻帆良ベンチは純粋に驚きの声を上げた。

 立海メンバーも、笑を抑えきれなかった。

 

「敵の時は、生意気で恐ろしい一年坊主だったが、味方でこれほど頼もしいやつはいねえ」

「まっ、実際は仁王だろい。てか、話し方まで真似る必要はなかっただろい」

「どちらにせよ、越前リョーマになったのだとしたら、これからゲーム展開は非常に早くなるぞ」

「超攻撃的で超ハイスピードのテニス。我ら立海を王座から引きずり下ろしたテニスが、今、我らを守るために戦うというわけですね」

 

 立海メンバーの言葉に、幸村も笑みを浮かべながら頷く。

 本当の勝負はこれからだ。存分にお前の力を見せてみろと、その目が語っていた。

 

「ねえ、あんたさあ」

「・・・?」

「好きな子の前でカッコつけたいのはいいけど、あんまりテニスを舐めない方がいいよ」

「くっ!?」

 

 ドライブCで一歩も動けなかった刹那に対し、越前はネット越しから強気な言葉をぶつける。

 幼い子供の言葉と思いつつも、刹那は少しムッとした。

 

「ご心配なく。少し混乱しただけですよ。やることに変わりはありません。お嬢様に勝利を捧げるということに」

「あっそ。でも、最後に勝つのは俺だけどね」

「ちょっ、君はいったい、いくつですか? ネギ先生なんて十歳で礼儀作法は完璧だというのに、君は・・・」

「ふーん、テニスって年齢でやるんだ。知らなかった」

 

どこまでも生意気に、強気に、ブレない。

 

「いや・・・桜咲・・・そいつ、一応お前とタメだろ?」

 

 千雨がつっこむものの、刹那の思いは誰もが共感していた。

 目の前にいる男は中学三年生の仁王雅治。自分たちと同じ歳なのだ。

 しかし、それすらも完全に忘れてしまうほど、仁王のイリュージョンのクオリティは高かった。

 

「じゃっ、もう一球いくよ!」

「もう、その回転サーブは通用しません。神鳴流庭球術・雷迅紅!」

 

 再び放たれるツイストサーブ。それに対して刹那は、今度はボール正面に立ち、跳ね際をライジングで叩く。

 どんな変化もボールの跳ね際で叩けば無効化できる。

 

「ふーん。でも、遅いよ」

 

 しかし、越前も読んでいた。サービスダッシュで既にネットに詰めている。

 そこから再び放たれる返球不能のドライブボレー。

 

「ドライブC」

 

 だが、

 

「同じ技は通用しません! 神鳴流・斬空閃」

「ッ!?」

 

 越前のボレーと同時に刹那がスイングを始める。だが、明らかにタイミングが早すぎる。

 すると、刹那のスイングにより、かまいたちのような風がコート上に現れた。

 

「なっ!? スイングだけでかまいたちが発生し・・・」

「風圧でボールが浮いた!?」

「そうか、あれならバウンドしないボールも無意味!」

「咄嗟にあの機転、なんという女性でしょう!?」

 

 そう、着弾すれば跳ね上がらないボールなら、着弾させなければいい。

 刹那のスイングでドライブCはコートに着弾せずにホップし、刹那は余裕で二度目のスイングでボールをダイレクトに返した。

 

「にゃろ」

「さあ、次はこちらの番ですよ! 私が攻めさせてもらいます!」

「関係ないね。攻めあるのみ!」

 

 ドライブCを返された越前だが、構わず前へ出てボールに飛びつく。

 

「ドライブB!」

「神鳴流庭球術・百花繚乱!」

「ドライブD!」

 

 鋭いドライブ回転のかかったドライブボレーの連発。

 対する刹那は、花びらが舞うかのように鮮やかでありながら、溜め込んだ気を一気に開放するかのような強力な剣閃を放つ。

 お互い一歩も引かないが、刹那の瞳が光る。

 ドライブボレーにこだわるあまり、前に出すぎな越前の真横に隙を見つけた。

 

「ガラ空きですよ!」

「っ、こっちか!」

「遅いです! 神鳴流庭球術・覇神紅(パッシング)!」

 

 閃光の如きパッシングショット。普通なら反応すら出来ないはずだが・・・

 

「そうでもなかったね」

「なっ!? 追いついた!?」

 

 越前がボレーで、刹那のパッシングショットに追いついたのだった。

 流石に決まったと思った刹那も慌てて越前のボレーを拾いに行く。

 同時に、越前の反応速度に舌を巻き、疑問を抱いた。

 

(驚いた・・・しかし彼の身体能力は私よりも下なはず。何故追いつくことが?)

 

 刹那はボールを返球しながら、越前の一挙手一投足を見逃すまいと集中する。

 その結果、刹那は越前の反応よりも、越前のステップに注目した。

 

(ッ!? か、・・・片足で!? そうか、あのステップで追いついたのか!)

 

 この激しい打ち合いの中で越前が繰り出したステップ。

 それをわかったものは、刹那と、立海メンバーと、そしてエヴァだけだった。

 

「あの小僧・・・片足でスプリットステップを・・・あれで、反応速度の差をカバーしているというのか! あれはもはや、センスだな」

 

 それは、越前流片足のスプリットステップ。

 片足で着地することで通常よりも一歩半速く跳び込むことができる。天性の打球への嗅覚があってこそ成せる技。

 越前の強さを支えたステップの一つだ。

 

「面白い!」

「やるじゃん」

 

 超ハイペースな打ち合いが始まった。もはやお互い、ペース配分も何も考えていない。

 互の技と技の応酬だった。

 目にも止まらぬそのハイレベルな攻防は、ほとんどのものには訳の分からないものに見えたかもしれない。

 しかし、どこか、気持ちのいいスカッとする打ち合いだった。

 

「うおおおお、なんかスゲー! 刹那さんもすごいけど、あのちびっ子もスゴ!」

「うん、何だか見ているだけなのに、私までドキドキしてきたっていうか、熱くなってきたっていうか!」

「普通、あんなハイペースだったらすぐにバテる確率100%」

「しかし、これが越前くんのベストなテンション。後半になるにつれて、どんどん上がって行きますよ」

「ちっ、相変わらず生意気な野郎だ。越前! お前が立海の柱になれ!」

「ジャッカル・・・色々と混乱しているだろい」

 

 気づけばどちらを応援ということはなかった。

 ただ、この両者一歩も引かぬ攻めと攻めのぶつかり合いに魅せられていた。

 

「なかなかのテンションですね。ですが、坊や。お姉さんはまだ10ゲームはやれますよ?」

「そう? 俺は20ゲームできるけどね! まだまだペースを上げるけど、大丈夫?」

「生意気ですね! 私に遠慮は要りません! 本気で来てください!」

 

 その時、越前の体が光を発した。

 

「Is that so? Well, whatever you say.(あっそ。じゃあ、そうさせてもらうよ)」

 

 光が越前の体を包み込んだとき、動きが更にキレた。

 

「これは・・・真田さんと同じ!? ふ・・・ふふふ・・・受けて立ちますよ!」

 

 無我の境地の光。

 その光を、ギャラリーも見覚えがあった。

 あの、真田が一戦目で常人離れした力を振るっていた際に、彼の身を包んでいたオーラと同じ輝き。

 刹那の表情に好戦的な笑が浮かんだ。いつの間にか彼女自身も、この戦いに胸が高鳴っていた。

 

「スゲーな、あのガキ・・・って、違った! 仁王って奴だよ、アレは私とタメの! いかんいかん、魔法の世界のせいで常識が崩れてきた所為か、テニスの常識もよく分からなくなってきた」

「そう、取り乱すな、長谷川千雨。こいつらは特別だ。そして、この仁王という男・・・私の目ですら欺くこの能力は見事と言うしかない」

「あ〜、エヴァンジェリンさんよ、もう、あのスーパーサイヤ人だか念能力的なもんにはツッコミはいれねーけど、あの幻術なのか催眠術なのかよくわかんねーもんまで最近のテニス選手はできんのか?」

「いや・・・あれは、違う。催眠でも幻術でも、ましてや魔法のような類のものでもない。何よりも、そのような類のものなら私には通用せん。しかし、だからこそ、私にも通用しているのだ」

「あ? いや、まったくよくわかんねーけど」

 

 目の前のハイテンションテニスにギャラリーが興奮の歓声を上げる中、頭が混乱してきた千雨が目の前の現象について尋ねると、エヴァは口角を釣り上げながらこの現象のネタをばらす。

 

「仁王雅治。奴が使っているのは、中国拳法でいう『象形拳』。それを奴なりにアレンジしたのだろう。さしずめ、『象形庭球術』と言ったところか?」

 

 象形拳。千雨にはまったく意味不明な言葉だった。当然、麻帆良ベンチも頭に「?」マーク。

 この娘以外は。

 

「象形拳!? あれ、象形拳の一種アルか!?」

「クーフェには分かるの?」

「ウム・・・・」

 

 中国拳法の達人、クーフェは、エヴァが仁王の技を象形拳と言った瞬間、目の色を変えた。

 

「象形拳とは、動物の型を取り入れた拳法。猿の動きを真似た猿拳。カマキリの動きを再現した蟷螂拳。達人ともなれば、それは模倣の領域を遥かに超えると言われるアル」

「えっ・・・どゆこと?」

「つまり、クーフェはこう言いたいのだ。パントマイムが目の前に見えない壁があるように演じるように、あの男の動き、たたずまい、身にまとう雰囲気、息遣い、眼光、そしてテニスのプレースタイルに至るまでを再現させることにより、虚像に込められたものが実体化したように見えるということだ」

 

 技を真似するのではない。完全にその者になりきる。

 

「・・・つまり、お前らはこの試合が終わったらグラップラー刃牙を読破しろ」

「「「「ああ、そういうこと!!」」」」

 

 目指したイメージを実体化させる。それはある意味、自分自身を殺すことをも意味する。

 自分という存在を極限まで希薄にさせるほどのイメージ。

 

「COOLドライブ!」

「こ、この技は!?」

 

 コート上のペテン師・仁王雅治。極限まで本物に似た偽物を生み出した、ペテンの極みに達する男だった。

 

「ゲーム・仁王・3—3!」

 

 審判が仁王の名前を呼ばなければ忘れてしまうかもしれないほど、誰もが仁王のイリュージョンの虜になっていた。

 気づけば、刹那もゲームカウントを追いつかれ、ペースが握られてしまっていた。

 

「くっ、何故・・・パワー、スピード、反応速度、身体能力、全ては私が上。さらに、技術面に関してもそれほど差はないはず・・・なのに、何故?」

 

 確かに強い。だが、能力だけならば自分の方が確実に上のはず。

 なのに、何故か越前のペースに追いつけず、ポイントを次々と奪われてしまった。

 何故?

 

「神鳴流・斬岩サーブ!」

「はあ!」

「なっ!?」

 

 今度は完全なるリターンエース。

 刹那自身、ボールを見失っていた。

 

「な・・・わ、私の目でも見失うなんて・・・」

「どうしたの? 今の、セカンドサーブ?」

「ッ〜〜〜、どこまでも言いますね!」

 

 どれほど鋭いサーブも、ストロークも、今の混乱の中に居る刹那は大事なことを見失っている。

 越前の体を包み込む無我の境地の光がいつに間にか・・・

 

「はああああああああ!」

「ッ、待て、刹那! 打つな!」

「神鳴流庭球術・雷鳴フォア!」

「あの小僧がやっているのは、無我の境地ではない! 百錬自得だ!」

「・・・・え・・・・」

 

 エヴァの注意が飛ぶが、もう遅かった。

 

「てい!」

 

 百錬自得の極み。

 無我の膨大なエネルギーを腕一本に凝縮することにより、あらゆる回転、球種、威力を倍返しにする力。

 例え、桜咲刹那相手とはいえ、それは例外ではなかった。

 

「そんな・・・・・・こんなことが・・・」

「ゲーム・仁王・4—3!」

「まだまだだね」

 

 強者を真似し、選ばれたものから学び、勝ち残った選手を目指す。

 己を偽り続けた男の到達したテニス選手の理想の姿が、魔法を超えた・・・・

 

 わけではなかった!

 

「・・・3球・・・」

 

 自分のサーブを打つ前に、越前の頭に光が集中し活性化する。

 その直後に告げられた「3球」という言葉に何の意味があるのかは立海メンバーにしか分からない。

 

「今度は絶対予告だろい!」

「才気煥発の極み! 止まんねーな、あの野郎!」

「絶対予告。つまり、確率は100%」

「恐るべしですね」

 

 才気煥発の極み。

 

「さあ、決めろ、坊や。いや、仁王」

 

 無我の境地の先にある三つの究極奥義の内の一つ。

 頭脳活性化型の能力であり、一球ごとの戦略パターンを瞬時にシミュレートし、最短何球目でポイントが決まるかを見極めることができる奥義。

 越前の口から自信満々に告げられたその予告。

 

「せい!」

「「1球」」

「予告? そんなことができるはずないですよ!」

「「2球!」」

 

 ジャッカルと丸井がボールをカウントし、次で3球目。

 

「ドライブB!」

 

 越前はスライディングからジャンプし、お得意の技を叩き込む。

 

「3球! 予告通りだぜ!」

「そんな!? そんな予告なんて・・・そんなことまで出来るの!?」

「せっちゃーーーーん!」

 

 無我の力で威力が遥かに向上したドライブ回転は急激に落ち、刹那の頭上を遥かに超える高さで超えていく。

 これで完全に決まった。誰もがそう思いかけた、その時だった。

 

「私は、負けられません! お嬢様に勝利を捧げるためにも!」

 

 それは、才気煥発の極みとはいえ、シミュレートすることなど不可能なことだった。

 つまり、刹那の力が、テニスの想像を遥かに上回った瞬間だった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 鋭いドライブ回転で刹那の頭上を超えて上昇していくボールに、刹那は飛んで追いついていた。

 そんなことどうやってできるのか? 理屈などわかるはずもない。ただ、見たままで言うしかない。

 

「おい、ジャッカル・・・・俺の頬をつねってくんね?」

「俺たちは・・・マジもんのイリュージョンを見てるんじゃねえか?」

「未だかつて・・・このような技はデータには無い」

「いえ・・・技・・・というよりも・・・アレは・・・」

 

 立海メンバーは、夢を見ているのかと、自分の目を疑った。

 

「人は決して・・・空を飛べないと思っていたけど・・・」

 

あの幸村ですら、目の前の光景を信じられなかった。

 

「ね・・・ねえ、美沙・・・これ、手品だよね?」

「さ、さすがにこれは・・・ははは、そうだよね」

「あ、当たりまえじゃん、クギミー! そ、そうだよ、これは手品だよ」

 

 刹那と同じクラスメートたちですらこの反応。

 ただ、一部を除いて・・・

 

「せっ・・・・せっちゃん・・・・」

「あのバカ・・・やっちまった・・・」

「刹那さん・・・」

「あ、あわわわわわわ、こ、これ、どうするんです!?」

「・・・・・・・・・・・・・・あ〜、坊や、私は知らんぞ? あいつが勝手に・・・」

「いえ、マスター・・・こ、これは僕もどうすれば」

 

 頭上を超えたボールを空中まで追いかけて返球する刹那。

 

 その背中には、天使のような白い翼が生えていた。

 

 

「「「「「「「なんじゃそりゃあああああああああああ!!??」」」」」」」

 

 

 人を欺き続けた男と、本当の自分をさらけ出した女の戦いが、最高潮に達した瞬間だった。

 


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