【完結】テニスこそはセクニス以上のコミュニケーションだ(魔法先生ネギま×テニスの王子様) 作:アニッキーブラッザー
「ナイトメアゾーン、発動!」
「無駄だ、その位置に空間転移の異形の力が発動されるのは分かっている」
「ッ!」
ザジ・レイニーデイのナイトメアゾーン。それは相手に打ち込まれた箇所に空間転移の靄を設置し、自分の目の前で転移先の靄を設置することで、相手を抜いたはずのショットが相手の真正面に転移されてしまうというザジの必殺技。
しかし、手塚の打った打球は、ザジがナイトメアゾーンを設置した靄を避けるかのように変化して、ザジのナイトメアゾーンに飲み込まれることなく、ポイントを奪った。
「そ、そんな! 才気煥発の極みで私がナイトメアゾーンを設置する箇所を予知し、それを避けるようにボールに変化をッ!」
魔界のプリンセス。あらゆる魔の頂点の王に君臨せし存在が、魔法も使えない日本の中学生のプレーに戦慄した。
「すげえ、手塚部長の手塚パラドックスッ!」
「もう、神がかりすぎだ! すごいよ、すごすぎるよ手塚! 運命を変える力まで身につけちゃうなんて!」
「これでスコアが追いついた! 勝負はこれからだ!」
本来起こるべき未来を予知した上で、その未来を改変させる。
もはや人間の領域を超えた、運命を操る神のごときプレーに、ザジもそして百年以上未来から現れた超鈴音も恐怖した。
「ちょーっ! 待て待て待て待て! テニスってこういうもんなのかよ! もう、何が起こってるのか全然分からねええ!」
「安心しろい、長谷川千雨ちゃんだっけ? もう、王者立海なんて言ってる俺らだって何が起こってるか分からねえよ」
「そう、俺たちの世界をはるかに超越する。それが手塚国光。大した奴だぜ」
「うひゃあああ! なんか、さっきから超りんとザジさんがミスショットしているようにしか見えないのに、何が起こってんのー!」
手塚パラドックス。
この事象が発現してから、手塚はワンポイントも奪われることなく、ブレークバック。さらには自分のサービスゲームすらもキープして、スコアは2-2とタイになった。
「さあ、ゲームはまだ終わっていない。油断せずに行こう」
これまで秘匿の力をテニスに使った生徒や、立海テニス部の想像を超えるスキルに驚いてばかりだったネギだが、この事態には今日一番驚いたと言っても過言ではなかった。
「マスター……あんなの、む、む、無敵じゃないですか! 勝てるわけがないじゃないですか!」
そう。いかなるボールもフォルトやアウトにするのならば、これもまた無敵。勝てるはずが無い。
ネギがそう思うのも無理は無かった。
だが、エヴァは途端に渋い顔をした。
「いや……そうとも限らんな」
「へっ?」
「確かに、あの小僧は、プロ並の『技術』は持っている。しかしそれで無敵かと言えば……そうはならん」
「ど、どういうことですか? だって、あんなことをされたら」
「まあ、見ていれば分かるさ。確かに技術はプロ並だ。しかし、それでもまだ成長期の中学生……ボロが出る。お前たちが言ってるのは、百メートル九秒台で走れる者に、そのスピードを維持できればマラソンでも無敵……と言っているようなものだな」
手塚の技術に目を見開き驚いたエヴァ。それは認めた。
だが、だからと言って、絶対に勝てないのかと言えばそうでもないと、エヴァは冷静な判断をした。
その理由は、見ていれば分かると、生徒たちに告げた。
そう、尋常ならざる力を得ることによるリスク。その代償は……
「ちょっ……み、見て! あのメガネのお兄さん!」
「耳から……目から血が!」
「キャアアアアアッ!」
そう、手塚の進化によりザジと超鈴音の常識外の力に対抗。しかし、その代償は大きい。
時を操る力と、魔族の王族の力に、生身の人間が対抗するのである。
「手塚ッ!」
「ちょ、ねえ、何で血が……それに、見て! あの人の左腕!」
「ちょっ、じ、尋常じゃないぐらい左腕が赤く染まっている!」
手塚ファントムは諸刃の剣。通常の手塚ゾーンと呼ばれる自分にすべての打球を引き寄せる技に対して、その倍以上の回転をかけなければならないゆえに、腕への負担が尋常ではない。
それどころか、エア・手塚ファントムは、ボールに触れもせずに打球を操るのである。そのダメージは、計り知れない。
さらに、手塚は本来ダブルスでは使えないはずの才気煥発の極みも使っている。腕に続き、脳に与えるダメージもまた普通ではない。
「ダブルスでの才気煥発の極み……球数を減らしたところで、やはり脳にかかる負担は大きいか……」
未だかつて見たことがない手塚国光の鮮血に染まった姿。コートサイドから悲鳴が上がる中で、幸村精一は悲痛な表情で手塚の姿を目に焼き付けていた。
「マスター、あ、あ、あの人!」
「やはりこうなったか! まだ成長期の中学生の肉体で、あれほどの回転をかけたボールを打ち続ければ、腕が崩壊してもおかしくない! さらに、あの脳活性の技まで使えば……このまま使えば腕が壊れる程度ではない……あの男……死ぬぞ?」
死ぬ。
選手生命を失うとかそういうレベルではない。
「い、いや、え、あの、マスター……こ、これ、て、テニスですよ? テニスで……」
「そのとおりだ、ボーヤ。これはテニスだ。しかしあのメガネの小僧が踏み込んだ領域は、文字通り命を懸けねば到達できぬ領域。二度とテニスが出来なくなるどころではない。あの男……死ぬか……よくて脳が壊れて廃人になるか……」
そう、テニスができなくなるどころではない。
死ぬということは、文字通り、命を失うのだ。
今まで立海との試合で、血まみれになった仁王の試合どころの騒ぎではない。
顔を青ざめて、誰もが言葉を失った。
「や、やめろ……手塚……もう……やめるんだ」
この事態に青学副部長の大石は両膝から崩れ落ち、その両目に大粒の涙を流しながら叫んだ。
「やめろ、手塚ァ! なんで、お前はいつもそうなんだ!」
大石は叫んだ。
やめろと叫んだ。
そして、それが無駄だということも分かっていた。
大石とて分かっている。
やめろと言ってやめる男ではない。
それは、彼はいつもこうだからである。
何故、彼はいつもこうなのか?
それは、彼が手塚国光だからだ。
「部長だからだ」
日本一という称号を背負った青春学園テニス部の部長である。
だからこそ、彼はやめない。
「手塚さん……シャレにならないヨ? あなた、その力を使い続けたら、本当に死ぬヨ?」
超鈴音は、決して手塚国光を過小評価しているつもりはなかった。
彼がいかに素晴らしいテニスプレーヤーであるかなど、知り尽くしていたつもりだった。
しかし今、手塚国光はその想定をはるかに超えていた。
そう、超鈴音は見誤っていた。
「どうした? 超鈴音。ザジ・レイニーデイ。お前たちのテニスに対する覚悟はそんなものか?」
超鈴音が見誤っていたもの。それは、手塚国光の青春学園とテニスに懸ける想いを見誤っていた。
「ぐっ……ッ! と、時飛ばしサーブッ!」
「フォルトだ」
「そ、そんな!」
動揺がピークに達した超鈴音の時飛ばしサーブ。しかし、それすらも予知していた手塚はそのサーブをフォルトにした。
「す、すげえ! 手塚部長……時が飛んだサーブの時をも予知して未来を改変した!」
「手塚……君は一体どこまで……」
「し、しかし、だ、ダメだ! これ以上は! 手塚が死んでしまう!」
「手塚、もうやめるんだ! この試合は棄権しろーっ!」
手塚パラドックスが発現するたびに、手塚の脳には針でズタズタに突き刺されたかのような激痛が走る。
しかし、手塚はその痛みを表情に出さない。決して弱いところを見せない。
「手塚部長……これが……青学の部長……」
次期部長の海堂薫は打ち震えていた。
手塚国光は将来を嘱望された選手でありながら、輝かしい道ばかりを通ってきたわけではない。
怪我に苦しみ、全力を出せない日々が続いた。
しかし、自分が頼られていることを知っていたから、多くの人たちに期待されているのを知っていたから、仲間と共に叶えたいものがあったから、だからこそ言い訳も弱味も弱音も決して一度も見せずに戦ってきた。
部長とは、ただの部活の役職ではない。
そして、それを受け継ぐ立場になったからこそ、海堂は叫んだ。
「が、頑張れ、手塚部長! 流れはこっちだ! 頑張れ、頑張れ、手塚部長!」
誰もがこの試合を止めるように叫ぶ中、海堂は涙を流しながらエールを送った。
手塚が頑張っていることなど知っている。これ以上頑張りようがないのは知っている。
しかし、この部長の意思を来年受け継ぐ男が、その意志を汲んでやらないわけにはいいかない。
「おい、マムシ! テメエ、何を言ってんだよ!」
「海堂……お前……」
「なにを……これ以上は……」
だから、誰が何と言おうと、海堂は手塚を応援した。
そして手塚は鮮血に染まった姿ながらも拳を突き出して、海堂に頷いた。
「無論だ」
手塚はそれに応える。だからこそ海堂はその姿を最後まで目に焼き付けることを誓った
そんな青春学園に対して、来年、氷帝学園を率いる日吉はジッと跡部の姿を見ていた。
「くそ……青学はこうだってのに……あんたは……あんたほどの人が……何をやってんすか……」
そして、憤っていた。
このザマはなんなのだと。
「……日吉?」
「おい、どうしたんだよ、日吉」
「まあ、気持ちも分からんでもないわ……」
いつも自信に満ち溢れ、尊大な態度に相応しい実力を持って氷帝の頂点に君臨し、全国の猛者たちを平伏せさせてきた跡部。
日吉が唯一勝てない壁と認識しつつも、いつかは超えてみせると誓った男。
「何をやってんすか! あんたがここで終わるはずがないでしょ、跡部さん!」
手塚の命を賭したプレーの傍らで何をやっているのかと、日吉は憤った。
そして、それは跡部本人もそう。
「はあ……はあ……手塚ァ……」
終生のライバルと認めた男の姿に、跡部の心の中に様々なものがこみ上げていた。
跡部は関東大会で手塚と戦った。
それは、熱く滾る極限の状態までぶつかり合った、歴史に残る名勝負であった。
その試合において、手塚は己の腕が破壊されることも省みず、青学の勝利のためにと戦った。
最終的に試合は、跡部が勝った。しかし、試合には勝ったものの、跡部自身は手塚を超えられなかったと思っていた。
だからこそ、今度、手塚と戦う時は、万全な手塚国光を完膚なきまでに叩きのめすと心に誓った。
しかし、その後の全国大会でもオーダー上の都合で再戦は叶わず、代わりに生意気な一年坊主と戦うも、敗れ去った。
そして今、この状況は何だ?
(くそ……俺様は何だ! いつまでこんな無様を晒す! ガキに破れ、女に屈辱を味合わされ、さらには友の命がけのプレーにただ黙って指をくわえ……)
思い出せ。自分が何者なのかを。
(このまま無様に倒れ、何がキングだ! そうだろ? 樺地! ……日吉! ……手塚ア! ……そして……)
思い出せ、あの時の敗北を!
――――まだまだだね
あの日の想いを全て今ここに解放しろ!
「うおおおおおおおおおおおおおおッ!」
その時、跡部は叫んだ。吠えた。
いつも余裕の笑みを浮かべて相手を屈服させる跡部が、己を奮い立たせるために吠え、そして駆け出した。
「跡部さん!」
「な、なに、急にあの人、元気になった?」
「跡部! やはり立ち上がるか!」
「せや、それでこそ跡部や!」
突如立ち上がり、そしてコートの中を駆け出す跡部。
その姿にコートサイドからも歓声が沸く。
「手塚ァ、少し休んでろ! 貴様を倒すのはこの俺様だと忘れたかッ!」
「……跡部……」
「そして、忘れるんじゃねえ! テメエは一人じゃねえ! これは、ダブルスだ!」
手塚が手塚パラドックスを発動させようとした瞬間、跡部が間に入ってそれを妨げた。手塚の負担を軽減するためにだ。
だが、それは逆に超鈴音とザジ・レイニーデイにとっては好都合だった。
「ふふ、助かったヨ、跡部さん。厄介な技をそっちからやめてくれるから」
「ええ、そして、もうこれで終わりです」
手塚の命を守るために手塚パラドックスの発動を止めた。
ならば、もう恐い物はないと、超とザジの表情が若干やわらいだ。
「手塚ァ……ようやく気づいたぜ。あの日から……貴様との対戦から俺に足りなかったもの……そして、貴様を超えるために必要なものは何かを……俺はようやく気づいた!」
試合中に舐められるように笑みを浮かべられるのは、跡部にとっては最大の屈辱。
しかし今の跡部はそんなことなど気にしない。もっと大事な物に気づいたからだ。
「貴様にあって俺に足りないもの……それは、テニスに懸ける覚悟だ!」
自分も覚悟を決める。
そう決意した跡部は、目を見開き、フォアハンドのテイクバック。
「全身の毛穴をブチ開けろ! 神経を末端まで研ぎ澄ませ! 時や空間が捻じ曲げられようと、俺様の命を懸けて見極める!」
跡部は見る。超鈴音とザジ・レイニーデイの二人を。たたずまい、息遣い、ほんの僅かな筋肉の動き、視線、角度、そして思考すらも見極めようとする。
いや、それだけではない。その視界はやがて二人を取り巻く周囲、空間、テニスコート全体、やがて世界すらもその瞳に焼き付ける。
すると、その時だった。
(アーン? なんだ? この感覚……風景は……)
全神経を研ぎ澄まし、尋常ではないインサイト能力を持つ跡部がその瞳に映した世界。
それは、これまで見たことのない、光り輝くオーラのようなものが空間や、超鈴音、ザジ・レイニーデイにまとわり付いていた。
まるで無我の境地のオーラのようなもの。しかし、種類は違う。
(これと似たような何か……そうだ……あの時だ! この学園上空からスカイダイビングした時、学園全体を覆っていた見えない壁……あれを構成していたものと似たようなものだ!)
跡部は知らない。その光の正体を。それは、生身の人間には本来一生関わることのない世界の力。
(見える! 感じる! 分かる! あのザジとかいう娘の足元と、ベースライン上に留まっている渦上の光……アレは、空間を転移させるゾーンだ……俺様のボールを待ち構えている! そして……)
それは、『魔力』と呼ばれる『魔法』の力の源の光。
スカイダイビングの時は、見えたというよりは、ぼんやりと感じる程度であった。
しかし、極限まで追い込まれ、全神経を集中させた跡部のインサイトは、ついには魔力の存在を瞳に映すまでに至った。
そして同時に……
(あの光の塊を構成しているもの……その中心を砕けば、脆くも崩れ去ることが理解できる!)
跡部の瞳は『魔力』を見るだけに留まらない。その魔力を構成させている心臓ともいうべき部分を見抜いていた。
そして、跡部は『魔力』という存在は知らないが、跡部の脳は自然に理解していた。
その心臓を打ち抜けば、『ソレ』は砕け散ると。
「ツルア!」
跡部のフォアが繰り出される。
ザジはナイトメアゾーンを発動させてそれを返球しようとする。
しかし……
「ッ!?」
「………………な、なに?」
ガラスが砕けたような音と共に、跡部のフォアが、ベースラインギリギリを突いてポイントを奪った。
ザジのナイトメアゾーンは発動せず、その事態に二人は呆然とするしかなかった。
「うおおおおお、跡部さんが復活した!」
「すげえ、普通のフォアでポイント奪い返した!」
「あのお兄ちゃん、元気になった? よっしゃー頑張れ!」
「超りんもザジさんもボーっとしすぎ! 今の返せたでしょ!」
復活した跡部がポイントを奪う。
その事態にコートサイドから様々な声が沸きあがる。
一部を除いて……
「ね、ネギ先生……い、今の……み、見ましたか?」
「は、はい……刹那さん……ぼ、僕も……『その瞬間』がハッキリと分かりました……」
驚愕に染まって打ち震える、ネギたちであった。
「ざ、ザジさんが発動させようとしていた魔法……魔力が……砕かれました……」
それは絶対にありえぬこと。
魔法を使えない一般人の打球が、魔法の存在そのものを砕いた。つまり殺したのである。
しかしありえないのならば、なぜ……
「あの小僧……魔力を構成するための中心部にある心臓を……的確に打ち抜いて殺した……」
その時、エヴァが戸惑いながらも口を動かした。
「ま、マスター……魔力の心臓……って?」
「……物には、いかなるものにも『死』が存在する……それは魔力も同じこと。人間の脳や心臓のように生命が生きる上で必要不可欠な存在でもあり、急所でもある。あの小僧は……それを的確に破壊した」
「……ちょ、ちょっと待ってください! そ、そんなの狙って……しかも、魔法使いじゃないんですよ? あの人は!」
「無論だ! 狙って出来てたまるものか! ましてや魔力を構成する急所を的確に位置を見抜いて射抜くなど、そんなもの……魔法使いの存在そのものを滅ぼしかねん力だ! ただの偶然に決まっている!」
その様子は、エヴァ自身も「そんなことがありえるのか?」と目の前の現実を未だ受け入れられぬまま口にしたもの。
ありえるはずがないと、まるで自分に言い聞かせるように叫ぶも……
「テメエの発動させようとして罠を張ってるゾーン! マルスケだぜ!」
「ッ!」
だが、その本来ありえるはずのない出来事が、再びコートの中で起こった。
ザジの魔法が再び発動せずに砕かれたのであった。
「……こ……こんな……ことが……」
「ざ、ザジさん……跡部さんは……本当に魔力を砕いて……」
「ッ、そんなことが! 幾多の魔法使いや魔族たちすら持たない……そんな、魔眼のようなものを……彼の瞳は!」
「……本当にどうなってるネ……過去のテニス名鑑のデーターベースにも……そんな情報一切なかたヨ」
魔法使いではない。魔法の存在も知らない。そんな普通の中学生が、魔法の歴史や存在を根底から覆すかも知れぬ可能性を秘めた力を持っていた。
「バカな! また砕いた! ……み、見えているのか? あの小僧には、すべてが見えているのか?」
「そ、そんな……な、何でこんな人が……テニスを……」
「は~、ウチもようわからんけど、なんやすごいことがおこっとるんるんやな~。ん? 千雨ちゃん、また俯いてどうしたん?」
「……うるせえ……つか、何でテニス選手が、直死の魔眼持ってんだよ……」
その事態に、その世界に生きる者たちは驚愕と同時に恐怖で震え上がる。
そして……
「これが……俺様の新たなるインサイト……」
跡部は顔を上げ語り始めた。
「貴様らの力や謎に興味はねえ。ただ……この俺様の君臨する世界において、勝手な真似はなんぴとたりとも許さない。このテニスコートという名の世界における全てを見抜き、そして滅することを可能とした、俺様の力!」
それは、未来を見通す手塚とは違い、現実に今目の前に存在するもの全てを見極める力。
跡部が会得した新たなる力。
「
眼力、ここに極めり!
世界を支配する王による粛清が今、始まった。