【完結】テニスこそはセクニス以上のコミュニケーションだ(魔法先生ネギま×テニスの王子様) 作:アニッキーブラッザー
立海の三連勝に遅れを取るわけにはいかないと、青学も次の男が自ら前へ出る。
「時間は短かったが、既にデータは集った。機は熟した」
登場したのは、青学のデータマン、乾貞治。
「来ましたー! 青学から登場したのは乾貞治くん! 神奈川に柳くんが居るなら、東京には乾くんがいる! 関東と全国を恐れさせたデータ収集能力は、テニス以外の分野からも畏怖される男! 分厚いノートに記された情報は、あらゆる相手を丸裸にする! 今宵も女の子を収集したデータを元に射止めることが出来るか!」
自信満々に登場する乾。ちなみに、彼の好みは落ち着いた年上女性。
ぶっちゃけ、千鶴が彼の好みのストライクだったのだが、既に切原とカップル成立のためにそれは望めない。
そんな中、残された女性たちは皆、落ち着きの無い騒がしい子達。だが、そんな中で唯一落ち着いた空気でマイペースな女を見つけた。
その女は……
「これから、君のデータを取らせてもらえないか?」
「ん~? 拙者でござるか? それは困ったでござるな~、申し訳ないでござるが、その申し出は受けられぬでござる」
「………」
……長瀬楓だったのだが、落ち着いた雰囲気のまま瞬殺され、その瞬殺ぶりに先ほどまで騒いでいたクラスメートやテニス仲間たちも絶句してしまった。
「理屈じゃなケコッコー!」
「哀れなり、貞治」
自ら開発に携わったペナルティキンスープで乾は散ったのだった。
「さあさあ、なんやかんやで青学の連勝もストップしてしまいました! ここで今のところ出遅れている氷帝軍団は成功させて並びたいものです! 次は誰か!」
「ふ~、くだらねえが、ここは勝利を手にして一気に下克上だ。だから、自分がいきますよ」
「おっと、名乗り出たのは氷帝軍団の次期部長! 下克上が口癖の演武テニスの日吉君! 現在最下位の氷帝ですが、今の状況こそが彼の望んだ状況! 次期部長の意地を見せて、見事下克上を達成させるかッ!?」
氷帝軍団が、青学の失敗を見て、ここが勝負どころだと日吉が立ち上がる。
そして、日吉の好きな女のタイプは、清楚な人。
「俺と下克上等な会話をしてくれないか?」
「…………?」
「あんたに言ってるんすよ」
「いや……えっと……えっ? あの~、私が見えてるんですか?」
それは、あまりにも自然に声をかけていたので、その少女もクラスメートたちも、「まさかそいつに!?」と驚愕していた。
恐る恐る、朝倉が日吉に尋ねる。
「ちょ、ひ、日吉君! あ、あんた、ほ、本当に、み、見えるの?」
「ん? バッチリ見えるっす」
「うそおおお! なんで、さよちゃんが見えるのーっ!?」
日吉が選んだ女性。それは、幽霊の相坂さよであった。
「ん? 日吉は誰に何を言ってるんだ?」
「アーン? いや、俺様のインサイトは誤魔化せねえ。実態はねえが、あそこに……誰か居やがる。……幽霊か?」
「な、なな、ゆゆゆゆ、幽霊!?」
「うおお、マムシが! 跡部さん冗談キツいっすよ。幽霊が居るわけないじゃないですか。それとマムシはそういう幽霊みたいなものが本当ダメなやつなんで、勘弁してくださいよ」
「いや……五感に縛られず、心の目で見れば……」
「ぷりっ」
クラスメートですら一部のものしか分からない、幽霊の相坂さよ。
ちなみに、彼女の姿は日吉以外には、跡部、手塚、不二、幸村、仁王が何故か見ることができた。
「ほんまかいな。しかし、あいつ、幽霊にナンパて、何考えとるんや」
「いーや、むしろあいつらしいじゃねえの、アーン? 知ってるだろ? あいつは、心霊などの大のオカルト好きで、オカルトスポット巡りをするようなやつ。むしろ、運命の女に出会ったんじゃねーの?」
そう、清楚な女が好き。そして何よりも日吉はオカルト大好きという顔がある。
そんな彼にとっては、気弱だが清楚な幽霊の相坂さよは、正にドストライクだった。
更に、さよはさよで、ネギ以外の男と何年も話したことも無く、ましてやナンパ等、感動ものなのである。
ゆえに……
「はいいい、よくわからないけど、いっぱいお話しましょうよ~」
泣きながら承諾したのであった。
「さあさあ、これは私の判定によりこのナンパは成立と致します! グッジョブ、日吉くん! あんた、さよちゃんをこれ以上泣かせたら私が許さないよッ! さあさあ、どんどん行きましょう! まだまだ男は残っています!」
立海が未だトップだが、日吉の勝利によって、青学と氷帝が並んだ。
トップの立海も油断できないと、次はこの男が魅せる。
「じゃあ、行ってくるぜ」
「来ましたーッ! 燃える男・ジャッカルくん! 王者立海の守護神がトップを維持できるか! 四つの肺を持つ男という異名ですが、選ぶ女は一人ですよー? んじゃ、行ってみましょう!」
ブラジル人のハーフのスキンヘッド。ジャッカル桑原が出る。
スキンヘッドという一人だけ異色のキャラクターではあるが、本日のダブルスで見せた不屈の闘争心に対するクラスメートたちの評判は意外と悪くない。
そんなジャッカルは、なんと前へ出た途端、女子の列ではなく、司会者の朝倉を見たのだった。
「へっ?」
急にジャッカルに見つめられてキョトンとする朝倉。
するとジャッカルは……
「Hey YO! お前はマジで俺の好み、ハートにきたぜ、俺絶頂♪」
「……はっ?」
ジャッカル桑原の好み。色白でグラマーな女……
「出た、ジャッカルの即興自作ラップ!」
「ラップで告白、ジャッカルめ……どうやら本気のようだな」
実は、今回のナンパ大戦では男たちとしては「とりあえず誰かをナンパ」のようなノリだった。
だが、ジャッカルだけはガチだった。
「え、あいう、や、え、ま、え、マヂ?」
彼は朝倉和美に一目惚れしていたのだった……
「刻むぜビート、魅せるぜビート、俺はお前にマジゾッコン♪」
「…………えっと……ゴメン……なんかいきなりは無理……」
しかし、普通に振られた。
「ファイヤーコケコッコーッ!」
「なれない告白とはいえ、動きが悪すぎるよ、ジャッカル」
なんやかんやで立海の連勝ストップ。幸村の冷たい声だけが響いた。
「え~、気を取り直していきましょう。……なんか、ゴメン、ジャッカルくん。あとで、連絡先は交換しよう。んで、ここで立海の失敗により、各校にもチャンスが巡ってきました! さあ、ここは確実に勝利を収めたいところですが、誰が行くか!」
「うん、いい雰囲気の風だね」
「大本命がキタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
現れたのは、青学の誇る天才、不二周助であった。
「「「「「(一番気になってた人がキタアアアアアアア!)」」」」」
この瞬間、クラス女子たちの反応が一気に変わる。
「(来た、手塚くんや跡部くんや幸村くんもイケメンではあるけど、なんだか彼が一番好み!)」
「(美砂、あんた彼氏居るじゃん)」
「(でも、大人バージョンのネギくんみたいにカッコよくて優しそうや……)」
「(亜子……緊張しすぎ)」
「(でも、確かにイケメンや~ん。ナンパされたら、ウチかてついてってまうわ~)」
「(このちゃん!? くっ、不二周助といったか、あの男……要注意か)」
この場にはイケメンたちがたくさん居る。
しかし、手塚はどこかクールすぎて近寄りがたい雰囲気。跡部はなんだか特殊すぎる。幸村は純粋に恐すぎる。
そんな中で、この不二周助は本日テニスを披露していないこともあり、女子たちからは「今一番気になる男」となっていた。
「さあ、来ました、青学の、そして日本のテニス界が天才と認める不二周助くん。優しく、テニスも超強く、そして何よりも女の子にも間違いなくモテます。噂ではかつて四万個のバレンタインチョコを自宅に持って帰ったという話があります! ちなみに、一位は跡部様のようですが、まあ、こっちも色々とおかしい! さあ、そんな彼は誰を射止め―――――」
「ちょっと、飲んでみたくてね」
「って、待たんかーっ! 何でナンパしないでペナルティキンを飲もうとするーッ! って、させるかーっ!」
ナンパ大戦の目玉の一人でもある不二だが、ナンパしないでにこやかにペナルティキンスープを飲もうとする。
実際、彼は乾汁などに大変関心があり、自ら罰ゲームを受けようとする変わり者でもあった。
だが、そんなことは許さないと、女たちが必死にガード。
「不二くん、君はこれだけの女の子たちの期待を裏切るの?」
「でも……」
「つか、気になるなら、後で普通に飲んでいいから! ナンパだけはしてあげてよーっ!」
飲みたきゃ飲んでいいから、ナンパしろ。女たちのその圧に困った顔を浮かべる不二。
しかしようやく観念したのか、少女たちに向き、その瞬間、一気に少女たちに緊張が走る。
そんな彼が選んだのは……
「あの手塚を追い詰めた君のテニスは素晴らしい。今度は僕とテニスをしてくれないかい?」
「勿論ネッ!」
満面の笑みでナンパを一瞬で受け入れる、超鈴音であった。
そして興奮気味の超はニンマリと不二に言う。
「しかし、良いカ? 不二くん。私にナンパしてしまうと、色々と覚悟した方がいいネ」
「覚悟か。僕に必要なのはそれなのかもしれないね。手塚のように」
「ウムウム。ならば不二くん、私とスーパーテニスについて存分に語り合うヨ」
「楽しみだよ」
とまあ、いきなり打ち解ける超にクラスメートたちからは嫉妬の眼差しを向けられるも、勝敗は決した。
「うおおおおおっと、これは意外! 不二くんが選んだのは、同じく天才超鈴音! 天才同士のシンパシーなのか、とにかく不二君余裕のナンパ成功です」
手堅く勝利を手にした不二。
その瞬間、「超りんに負けた」と何名かの、ガチで不二にナンパされたかった少女たちが項垂れたのだった。
「流石だ、不二周助。相変わらず隙がねえ。ならばこっちは……出番だ、忍足」
「しゃーないのう」
跡部が次なる男を送り込む。その男は、忍足。
「きたあああ、氷帝No2の実力を誇る、千の技を持つ男とまで言われる、忍足くん! その千の技が全て披露されることはないのでしょうが、その技の中に女を射止める技は果たしてあるのか? こちらもバレンタインでは脅威の成績を持っております。果たしてそんな彼の選ぶ女性は?」
忍足。当然、文句なしにモテる。
そんな彼の好みは、足の綺麗な女の子。
「さっきは、真田に襲われてエライ恐かったやろな~」
「ふへっ!?」
「そん中でまた男に声かけられるんはシンドイ思うが、どや?」
なんと、本日二度目の春日美空であった。
「「「「美空ちゃんのモテ期到来!?」」」」
そう、クラスでも割と地味目で大人しくやっている美空のモテ期が来たのであった。
なぜなら、
「ちょっと待ってよーん! 俺も俺もー! 次に俺の番が来たらその子に声をかけようと思ってたんだから、抜け駆けはずるいよん!」
なんと、男側から「ちょっと待ったー」が発動されたのであった。
「おや、そうだったのか、英二。こりゃ大変」
「ははは、英二らしいや」
そう、青学の菊丸英二だったのである。
「うえええええええ、ちょ、何であたしなんすかーっ!」
「なんだか、楽しくお話できそうだったからだよん。性格も明るそうだし」
「くくく、なんや、菊丸。関東ではダブルスで戦ったが、こないな形で再戦するとは思わなかったな~」
二人のイケメンに囲まれる美空。もはや頭はパニック状態。そして……
「ちょ、やっぱ無理っすー! 私のキャラじゃないんで! つか、私、池袋で刺されそうなんでごめんなさーいっ!」
「「「「「逃げたーッ! つか、なんつうもったいないことを!?」」」」」
なんと、美空は逃亡してしまったのだった。
「ありゃりゃー?」
「なんや……かなわんの~」
二人取り残され、まとめて振られてしまった二人は……
「残念無念こけこっこー!」
「ほんまかなわけこっこー!」
鳥になって散ったのだった。
「ちっ、やれやれだぜ。まさかあいつが失敗するとはな。しかし、樺地に期待できそうもねーし、ジローは興味ないのか寝てやがる。……しかたねえ、いよいよ、ショータイムの始まりだぜ」
そして、そんな状況を憂いていらっしゃる、キングがついに立ち上がる。
●途中経過
・立海・3勝1敗
・青学・3勝2敗
・氷帝・2勝2敗
●内訳
■立海
・真田&アスナ(成立?)
・切原&千鶴&月詠(拉致)
・仁王&夕映(詐欺)
・ジャッカル&朝倉(自爆)
■青学
・桃城&裕奈(成立)
・大石&ハカセ(成立)
・乾&長瀬楓(不成立)
・不二&超鈴音(成立)
・菊丸&美空(不成立)
■氷帝
・鳳&のどか(不成立)
・宍戸&釘宮(成立)
・日吉&さよ(成立)
・忍足&美空(不成立)