【完結】テニスこそはセクニス以上のコミュニケーションだ(魔法先生ネギま×テニスの王子様)   作:アニッキーブラッザー

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特別アフター:ボウリングの王子様ー6(ラスト)

 たとえ、どのような競技、種目、ゲーム、相手、シチュエーションであろうとも、そこにこの男が存在すれば、その空間はこの男の世界になる。

 

「勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部! 勝つのは跡部!」

 

 ボウリング場に響き渡る大声援。

 

「おっしゃー、いけー、ベー様!」

「跡部くん、やったれー! ボウリングは跡部! ボウリングは跡部!」

「せや、勝つのは氷帝や!」

「たのんますよー、跡部さん! お頭に、俺ら中学生チームの力を見せてやってくださいっすよー!」

 

 本来なら誰もが異様な光景にドン引きするものだが、最早ほとんどのものが慣れた光景と、麻帆良の生徒たちまでもがノリに合わせて跡部コールをしていた。

 その大観衆に応えるかのように、跡部は指を頭上に掲げてパチンと鳴らす。

 

 

「勝つのは……俺様たちだ!」

 

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」

 

 

 既に何度も見た跡部のパフォーマンスに便乗する中学生たち。

 跡部も満足そうに頷いている。

 しかし、そんな光景が初見の人物が一人だけこの場に居た。

 

「……なんなの……? 彼……」

 

 フェイト・アーウェルンクスは、この状況をどう反応していいのか分からなかった。

 彼もこれまでこの広い世界で様々なタイプの人間と出会ってきたが、跡部はその中でもかなり稀なタイプだった。

 

「確かに、あの小僧はいつも調子に乗っているな。まぁ……それに見合うだけの実力があるのも事実だがな」

 

 エヴァも相変わらずな跡部の姿に呆れたように笑った。

 

 

「……そうなの? なんかさっきから……五感を奪ったり、空間を削ったり、ちょっと目を疑いたくなるような技が飛び交ったけど、彼も何かあるのかい?」

 

「ああ。奴はその魔眼にも匹敵する究極の眼力によって、物体の『死』を見抜き、それを殺すことが出来る。それが……魔法であろうとな……」

 

「……?」

 

「……いや、私も言っておきながら冷静に考えて何を言っているんだと思うが、事実だ。超鈴音やザジ・レイニーデイの技も封じたし、体育祭では雷装状態のボーヤを完封したしな」

 

「……えっ? え、えっ? ええええ?」

 

 

 エヴァの発言に、フェイトは開いた口が塞がらなかった。そんなことありえるわけがないだろうと、否定したかった。

 だが、エヴァンジェリンはこの手の冗談は言わないことをフェイトも知っている。

 

「……彼……あ、アスナ姫のような魔法無効化能力者……?」

「違うな。ただの人間だ。しかし……キングだ!」

 

 こいつ何言ってんだ? と、フェイトが思わずツッコミを入れそうになったその時だった。

 

「そう、俺様がキングだ!」

 

 跡部はノッた。

 

「そして、今日はクイーンも居る。負けるがしねーな、あーん?」

「ちょ、こら、てめ、なにしてんだよ!?」

 

 どこまでも自信満々に己をキングと言い、更には「帰りて~」と呟いて縮こまっていた千雨の肩を抱き寄せた。

 

 

「きゃあああああああ! 千雨ちゃんラブコメきたあああああ!」

 

「うっひょー、千雨ちゃん、もう2chで大炎上間違いなし!」

 

「ちょ、何をやってるんですかー、跡部さん! ち、千雨さんは僕の生徒ですよ! お、怒りますよ! ぼ、僕、怒っちゃいますよー!」

 

「なんや、跡部くん。恋のオーラでまくっとるわ」

 

「ふふふ、長谷川さんとペアを組んで気合が入っているのは分かるが……動きが悪すぎるよ、跡部」

 

 

 完全に跡部の世界になり、更には千雨とのやり取りに黄色い声援だったり、対抗意識を燃やしている男たちの声だったり、ボウリング場の空気が一気にヒートアップした。

 

 だが……

 

 

「いつまでも囀るな。小雀ども」

 

 

―――――――――ッ!!!???

 

 

 それは、ほんの一瞬だった。

 

「……う……あっ……」

「な、なに……今の……」

 

 激しい大嵐が駆け抜けて、皆の意識が一瞬飛びかけた。

 それは、戦いには無縁の一般生徒は当然。

 更には……

 

「……刹那……楓……クーフェ……分かったかい? 今の……」

「龍宮も感じたか……」

「強烈な威圧感……殺気……拙者も鳥肌が立ったでござる」

「な、何者アル……あのヒゲ……」

 

 麻帆良の誇る武道四天王もまた例外ではなく、思わず全身に汗を掻いていた。

 

「……なな……なんなんです、あの人は……それに、あの不気味なオーラは……」

「……バカな……魔法世界にも知られず……こ、これほどの逸材が……」

「……日本最強……平等院鳳凰か……」

 

 ネギ、フェイト、エヴァもまた、想像を遥かに上回る圧迫感に目を奪われる。

 そして、その強烈な威圧感を出す男が纏う、不気味なオーラ。

 そのオーラはやがてある形を作り出した。

 

「おい、本気か平等院! まさか、このボウリングで……海賊を出しちまうとはな……」

 

 鬼が「海賊」と口にした。

 正直、その言葉だけだと、誰もが「はっ?」という反応になるだろうが、このときだけは違った。

 男が纏うオーラ。

 それは、海賊帽子を被り、手にはカトラスという刀を持った、髑髏。

 

 

「跡部よ……かつて、I'm a king of the world……この世界は自分のものだ……貴様のようにそう囀り、女と共に愛を掲げて航海に出て……そして命を落した者が居た。貴様は、これから先、世界の強豪たちという荒れ狂う大海原への航海を前にして……尚も同じことを言えるのか?」

 

 

 高校生大将にして日本最強。平等院鳳凰がついに立ち上がった。

 合宿で越知のメンタルアサシンを受けたことのある跡部も、今感じるこの圧倒的な圧迫感に比べればかわいい物だと、流石に笑みが引きつった。

 だが、その時だった。

 

 

「……その話……タイタニックじゃん……仁義なき戦いとかしか見てなさそうな人が、恋愛映画見てんのかよ……」

 

 ―――――――ッ!!!???

 

「ちょ、千雨ちゃんっ!?」

「……あっ!? し、しまったああああ! す、すんませえええんん! ちょ、つい! マジ許してください! 御願いします!」

 

 なんと、長谷川千雨がクセでついツッコミを入れてしまった。

 

「ほう……小娘……言うではないか……」

 

 ギロリと睨む平等院。

 クラスメートの声で、自分のしでかしてしまったことを気づき、千雨は激しく慌てだす。

 

「あ、あのお頭にツッコミを……」

「あ、アカンわ、千雨ちゃん、それだけは……」

「ほう、平等院にツッコミを入れるとは、べらぼーにおもしれー女が居るじゃねーか」

 

 そして、平等院にツッコミを入れるなどという恐るべき所業に、流石の中学生チームも開いた口が塞がらず、高校生チームも新鮮な眼差し。

 しかし、そんな千雨の様子に笑いが止まらない者が一人。

 

「くくくくく、ふはーっはっはっはっはっは! さすがだ、長谷川千雨! それでこそ、俺様のクイーンに相応しい」

 

 平等院鳳凰という、誰もが目の当たりにしたら圧倒されるような人物を前にもツッコミを入れる。その強気な態度は跡部にとっては非情に好ましく、嬉しかった。

 だからこそ、跡部はたとえ嫌がられても千雨の肩を再び抱き寄せて、離さず、そして平等院に宣言する。

 

 

「俺様が航海に出れば、氷山すら道を開ける! 俺様と千雨の人生の航路は、誰にも妨げらない! 俺様たちの航海に酔いな!」

 

「だから、それ船酔いだろうが! ダメだろうが! つか、マジで肩を離せよテメエ!」

 

 

 人生の航路。それはもはや、プロポーズにも近い宣言でもあった。

 

「きゃああああああっ! も、もうこれって、きゃああああ!」

「どーみても、プロポーズじゃん!」

「千雨ちゃんの時代がとどまらねええええ!」

「ちょ、跡部くん、アカンやろ、それは! 抜け駆けや!」

「ふふふ、跡部、プロポーズにしては動きが悪すぎるよ」

 

一切の臆面もなく、堂々と宣言する跡部に、一瞬誰もが目を奪われたが、次第に跡部の発言に気づいた中学生たちは、顔を真っ赤にさせて驚喜した。

 無論、中にはその宣言を快く思わないものも居る。

 

「だだだだ、だめですよー! 跡部さん! ち、ち、千雨さんは、ちゅ、中学生なんですから、い、いきなりプロポーズはダメですよー! それに、千雨さんは嫌がってますし、だめですってばー!」

 

 今まで以上に激しく「待った」の声をかけるネギは、半分泣きながら、そして目をグルグル回しながらもとにかく反対の声を上げた。

 だが……

 

「ん、うっ……つっ……何の騒ぎ?」

 

 そのとき、一人の女が目を覚ました。

 それは、第一試合で真っ先に牛になった、アスナだった。

 アスナは辺りをキョロキョロ見渡し、異常な盛り上がりをみせるボウリング場に首を傾げた。

 

「ねえ、このか……私が寝てる間に何があったの?」

「あ、アスナッ! あんな、あんな~、いま、千雨ちゃんが跡部くんにプロポーズされたんよ~!」

 

 もうニヤニヤしながら嬉しそうに語る木乃香に、アスナは一瞬呆けてしまう。

 だが……

 

 

「ダメです! 僕は先生として、ゆ、許しません! 中学生では、まだ、結婚とか認められないんです! 日本の法律はそーなってるんですからー!」

 

「あん? くだらねーじゃねーの、小僧。法律だ? この俺様はキングだ。法がそんなに問題なら、この俺様がそんなもんいくらでも書き換えてやるさ」

 

 

 もう、必死になって結婚を阻止しようとする、自身のパートナー(旧)でもあるネギの姿に、アスナは目を大きく見開き、声を上げる。

 

 

「そ、そうよ! 中学生だからとか、法律がどうとか、それこそかんけーないわ! 跡部くん、グッジョブよ! そのプロポーズ、私が応援するわ!」

 

「「「「「…………あっ……」」」」」

 

「っていうか、跡部くん本当に法律変えられんの? だったら、変えちゃえ変えちゃえ!」

 

「「「「「お前……」」」」」

 

「ふぇーーん、アスナさーん! どうしてですかー!」

 

「うっさいわよ、ネギ! そりゃー、あんたのオネーちゃんとしては、応援してあげたいのはヤマヤマだけどさ……でも、恋は風林火山による真っ向勝負なんだから!」

 

 

 明らかに私情の混じった応援をするアスナにクラスメートたちは呆れ顔。

 とはいえ、これにより跡部も更に機嫌をよくし、最早相手が平等院であろうと、一切のプレッシャーを感じずに、堂々としていた。

 だが、そんな跡部たちの様子に、平等院は……

 

「ふっ、小舟で沈没に怯えながら航海するか……まぁ、やってみるがいい」

 

 そう言って、跡部同様に絶対的な自信を持って笑った。

 

「おい、ハンデをくれてやろう」

「あん? いらねーっすよ」

 

 それどころか、勝負を前に、跡部たちに対してハンデすら与える自信ぶり。

 これには、跡部もカチンと来たのか不愉快な顔を浮かべる。

 

「まぁ、聞け。貴様の女……見る限りあまり運動は得意ではないのだろう?」

「ちょ、私べつにこいつの女じゃねーしっ!?」

「ならば、俺が二投放って、貴様らが一投ずつでは公平ではない。ゆえに……俺は一投だけにしてやろう」

「ッ!!?」

 

 それは、ある意味跡部というよりは、千雨に対するハンデであった。

 いかに、跡部がストライクを取ろうと、運動音痴な千雨ではピンを倒すどころかガターの可能性もある。

 ゆえに、平等院の言うハンデとは、自分は一投しか投げないというものであった。

 

「ちょ……それって……もし、跡部くんがストライクを取って……」

「千雨ちゃんが一本でも倒せたら、自然に中学生チームの勝ちってことになるえ……」

 

 そう、平等院がストライクを取ろうとも、跡部と千雨が合計十一本倒せば勝ちとなる。

 これは、もはや破格の条件であった。

 

「うおっ、それなら……私も牛にならなくてもいいかもしんねー……」

 

 強制的に出場させられた千雨は、どうにかして牛だけは避けたかったが、これならば自分がどれだけ足を引っ張っても、ガターさえ出さなければ勝てるかもしれない。

 そう思った瞬間、悪くはないかもしれないとすら思った。

 

「ふっ、まぁそっちがそれでいいなら別に俺様もこれ以上は言わないですが……後悔しますよ。あーん?」

「させてみろ、跡部圭吾」

 

 ハンデは気にくわないが、そっちがその気なら容赦なく勝って、平等院を牛にしてやろう。

 跡部は本気の目をして平等院に宣戦布告しながら、ボールを手に取る。

 

「ふっ……俺様のストライクに……酔いなっ!!」

 

 そして、ボウリングでもキングの跡部。

 特に、眼力やら特殊な必殺技などは使わなかったが、とりあえず普通にストライクを取ったのだった。

 

「うおおおお、さすが跡部君! ボウリングも、うまっ!」

「早くも中学生チームのリーチや!」

 

 そう、これで千雨は相当楽になった。

 あとは、千雨がガターさえ出さなければ勝てるのである。

 

「ふっ……おい、小娘、先に投げろ。俺は最後でいい」

「あっ、は、はあ……わ、分かりましたよ……」

 

 しかし、追い詰められながらも平等院は一切動揺することなく余裕の表情。

 少し戸惑いながらも、千雨はボールを選び、軽く深呼吸。

 

「すーはーすーはー……」

 

 ガターさえ出さなければ……とはいえ、それはそれで緊張するものである。

 しかし、跡部が十本倒した以上、少なくとも負けはない。だから、牛になることはない。

 ならば、思い切っていこうと、千雨は意を決してボールを転がす。

 すると……

 

「おっ、おっ、おっ!?」

「レーンの上に転がってる!」

「あっ、……あっ、た、倒れたー!」

「いち、にー、さん、しー……五本も倒してるー」

 

 他のメンバーたちとは違い、明らかに回転力の弱いボールではあったが、少なくとも真っすぐピンへと進み、なんと一本どころか五本のピンを倒すことに成功。

 

「おっしゃ!」

「ふっ、やるじゃねーの、クイーン」

「って、もうクイーンはやめろっつーの!」

 

 五本という本数は可もなく不可もなくという本数だが、それでも勝利を決定づける一投だっただけに、中学生たちから歓声が上がる。

 

「やったでー、千雨ちゃん!」

「うおっ、これで、お頭が牛になること決定すね!」

「よーし、もうこうなったら、怖くないもんねー! 髭のお兄さん、デッドブルけってーい!」

「うーし! うーし! うーし!」

 

 勝てばこっちのものだと、中学生たちは先ほどの恐怖を忘れて平等院を煽った。

 さっさと罰ゲームを受けて牛になれと。

 だが……

 

 

「ふっ……この程度か……愛の船とは……負ける気が一切しねえ」

 

 

 既に勝敗は決したというのに、平等院はゆっくりと前へ出る。

 そして、何故かその手にテニスラケットを携え、ボールを選び始めた。

 

「お頭? あーん?」

 

 平等院が何をしようとしているのか理解できず怪訝な顔をする跡部だが、すぐにハッとなった。

 

「ッ、お頭……あんた……まさか!?」

 

 跡部の問いに、平等院の口角が鋭く吊り上がった。

 

 

「怪我をしたくない奴は伏せていろ……」

 

 

 その瞬間、鬼たち高校生も気づき、慌ててラケットを取り出し、そして叫ぶ。

 

「おい、このボウリング場に居る奴ら、平等院がヤル気だ!」

「ちょっと、遊んでる他のお客さんも、危ないから下がっといたほうがええで~」

 

 それは、中学生たちだけでなく、今も他のレーンで遊んでいる客たちにまで忠告。

 一体何事かと、ボウリング場の客たちも手を止めて平等院に注目。

 そして、高校生チームの鬼や種子島たちは、まるで平等院から皆を守るような布陣でテニスラケットを構え、そして……

 

 

「滅びよ……」

 

――――ッ!!!!????

 

 

 その瞬間、ネギやエヴァやフェイトたちは確かに見た。

 眩い閃光が、ボウリングのボールを包み込んだのを。

 

「……まったく……ボウリング場をふっとばす気かいな……」

「咄嗟に飛び出して正解だったな……」

 

 強烈な破裂音。それは戦場で大魔法が発動したかのような衝撃と共に、激しい暴風を巻き起こした。

 もし、種子島たちが機転を利かせて、ラケットでその暴風をガードしてなければ、このボウリング場も建物全体が崩壊していたかもしれない。

 何が起こったのか誰も分からず、ただ、ゆっくりと目を開けたその先には、平等院の打ったボールが十本のピンどころか、その奥の壁すらも貫通させて、巨大なクレーターのようなものを作り出していた。

 それだけでなく……

 

「おっ、他のレーンのピンも倒れとるな~♪」

 

 ケラケラと笑う種子島の言う通り、中断して手を止めていた他のボウリング客のレーンにあったピンも、今の衝撃で全て倒れていた。

 つまり……

 

「十本×20レーンで、合計200本……200対15で貴様らの負けだ」

 

 あまりにも乱暴すぎるメチャクチャな暴論だった。

 しかし、この場に居た中学生は誰もが言葉を失い、もはや千雨もツッコミを入れることが出来なかった。

 エヴァもフェイトも含め、誰もが口を半開きにしたまま絶句していた。

 

 

「覚えておくことだな……小童……。生温い義や愛だけで世界は獲れんのだと」

 

 

 そう跡部たちに告げ、平等院は何事もなかったかのようにラケットをしまい、そのまま背を向ける。

 

「帰るぞ」

 

 その言葉に従い、高校生たちはそれぞれ荷物を整理して平等院の後に続く。

 

「ほな、さいなら♪」

「では、ごきげんよう」

 

 結局、中学生VS高校生の対決がどうとかは、もはや誰もがどうでもよかった。

 ただ、平等院の一投に全てを持っていかれ、勝った中学生ペアも敗北同然の表情でその背を見るだけだった。

 

「つっ……これが日本最強……そして、世界とこれから戦う男の力ってことか……上等じゃねーの、アーン?」

 

 いつまでも続く沈黙をようやく破ったのは、敗れた跡部だった。

 跡部は引きつった笑みを浮かべながらも、決してそのまま打ちのめされたままではなく、立ち上がり、そして新たに覚悟する。

 

「いいぜ。ならば、生半可じゃねえ義と愛とやらで……世界の王になってやろうじゃねーの!」

 

 このままでは終われない。自分は戦う。そして世界でも勝ってみせる。

 跡部の新たなる決意に、幸村たちも同じように頷いた。

 そして……

 

「長谷川千雨……これは、俺様の敗北だ。今の俺様に、お前とイチャついてこれを飲む権利はねえ」

 

 跡部は無駄な抵抗はせず、乾たちが待つデッドブルのもとへ。

 しかし、本来、千雨とラブラブストローで飲まなければならない罰ゲーム。

 本命相手であれば、負けても尚もおいしいという展開だったのだが、跡部はそれすらも拒否。

 

「あっ、えと、いいんすか!? あっ、なら、飲まないっす!」

「はあっ? 千雨ちゃん、それないんじゃないの!?」

「そうだそうだー! 諦めて、べーくんと飲め―!」

 

 千雨は跡部の提案に「喜んで」と罰ゲーム回避に歓喜。

 しかし、女生徒たちからはブーイングが上がるものの、すぐに跡部が制す。

 

 

「黙れ、メス猫共。こんな敗北で、こいつと親密になるなど、俺様のプライドが許さねえ。それに、牛になったぐらいで、俺様の美貌を損なうこともねーしな」

 

 

 そう言って、跡部は笑みを浮かべ、デッドブルを一気に飲み干す。

 そんな跡部の姿に「おーっ!」と声が上がる。

 

「ねえ、エヴァンジェリン……」

「なんだ?」

「……造物主との戦い……彼らが助っとで来てくれたりしないかな?」

「……やめておけ。我ら魔法使いの世界に一般人を不用意に巻き込むなど………………でも、なんか、フツーに勝てるかもしれんな」

 

 そんな跡部の横では、ようやく正気を取り戻したフェイトとエヴァンジェリンが、立ち去った高校生たちの後を眺めながら、しみじみと呟いていた。

 テニス選手がボウリングをしただけなのに、世界最強最高峰の自分たちの居る領域で戦えるかもしれない。

 ありえないはずなのに、否定できないものを目の当たりにしてしまったフェイトとエヴァンジェリンは、もう何だか疲れたと、ガックリと肩を落としたのだった。

 

「跡部よ……」

 

 そして、そんなエヴァたちの呟きの中、仁王雅治はイリュージョンで手塚国光の姿になり、ボウリング場の中心で四つん這いになっている跡部に言葉を贈る。

 

 

「んも~~~~~」

 

 

 どこか、気高さと気品を漂わせて啼く跡部牛に……

 

 

「牛になっても尚、君臨するのか」

 

 

 こうして、麻帆良で起こった、中高生ボウリング大会は幕を下ろした。

 




ちょっと無理やりですが終わらせました。そして、本当にこの物語でラストです。魔法世界でテニプリが暴れるみたいなのを書いても良かったのですが、最近ラノベで異世界テニス無双とかいう、私がむしろやりたかったことをやってる作品があったので、今さらそういう二次創作を書くのもな~、と思って、ここは普通に完結することにしました。

完結のタグは張りませんが、今後書くとしても、誰かのカップリングアフターとかにします。

いずれにせよ、これはこれで完結とします。

色々とありましたが、紆余曲折あってここまで書くことが出来ました。
何度も消したり復活したりでしたが、温かく優しい読者様に恵まれてここまでこれました。
本当にありがとうございました。
別の作品でも、今後ともよろしくお願い致します。

アニッキーブラッザー
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