吸血姫浪漫譚   作:ういうい0607

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プロローグ

 今、山奥の今にも壊れそうな古びた小屋で一人の老人は息を引き取ろうとしていた。周りには誰もいない。死に目に誰も会いに来てくれないというのはそれなりにキツイものだが老人の顔色に寂しさはない。むしろ、満足気に笑みを浮かべてすらいた。

 

 彼は常人が人生の全てを賭けても達成できないであろう偉業を成し遂げた。その偉業とは輪廻転成のメカニズムを解明するという事。王国の錬金術師がこぞって研究しそして挫折した偉業を達成したことにより彼は、自分の記憶を維持したまま次の人生を迎える事を約束されたのだ。つまり彼は永遠の人生を手に入れたから笑みを浮かべていたのだろうか?いいや、違う。彼が求めていたのはそんなものではない。彼が求めたこと、それはーーー、

 

 --ー萌えをこの身に宿すこと。

 

 他者が聞けば何をトチ狂ったことを言っているんだ、と思うだろうが、彼は本気だった。本気で、自分が考える最高の萌えの詰まった女の子になりたいと思っていた。そのための素体は既に彼の最高の技術により製作済みで、誰にも知られていない遺跡の奥深くに大切に冷凍保存されている。あとは彼が解明した輪廻転成のメカニズムを利用し、死後の魂を素体へと移すだけだ。

 

「さて……そろそろこの身体とはお別れだな。随分と長い間世話になった」

 

 重い瞼を下ろし、今世を振り返る。自分には才能があった。いや、鬼才とも云えるほどのものだ。物事の大抵は人並み以上にこなせたし、特に錬金術は誰にも追随を許すことはなかった。だが、そんな自分でも死後の魂を操るということは難なくこなす事は出来ず、結局己の人生全てを使うことになった。そのための研究費用は、片手間に研究していた新技術や自作したアーティファクトを王国に献上した結果の報奨金で賄っていたのだが、そのお陰で彼は王国では最も名の知れていた錬金術師となった。王国民はその誰もが彼を讃える。親しくなった人間も多くいた。だが、その多くが彼の宿願を知ると彼の元を去っていった。当然といえば当然かも知れない。彼は自分の宿願が人に理解されるものではないと自覚していた。結局、こいつは一回も使わなかったなぁ、と思いつつ股間に皺の刻まれた手を当てる。だが、まあーーー、

 

「---満足な人生だった」

 

 こうして老人は息を引き取った。己が宿願のために駆け抜けた日々。最後には、一人ひっそりと此の世を去ることになったが彼を待つのは、彼の望んだ輝かしい来世だ。

 

 そして始まる。ーーー吸血姫の萌えという名の浪漫を追い求める冒険の物語。




短いなー。まあ、プロローグだしこんなものかな。次回は萌え要素が詰まった子が目覚める所から。
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