ドヴァキンがダンジョンに潜るのは間違い?   作:ark.knight

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ようやく構成が決まったので更新を始めていきます


休息と英雄の一端

 

 現在、50階層に来ている。灰色の森林に水とは思えないほどに青い清流、巨大な鍾乳洞にも似た石柱の光源が程よくある。ここはダンジョン内で数少ない安全地帯だそうだ。周囲は野営の準備で忙しく働いている。ベルの激闘を見て以来、アイズの様子がおかしい。戦闘中はいいがそれ以外では、何かに囚われているかのような感じがした

 

「どうしたんスかね、ベートさん達……」

 

 ラウルを筆頭にロキ・ファミリアの団員達がざわめいていた。仕方のないことだろう。団の戦力の上位があの様子では、下も動揺するのは目に見えている。だが、これを解決するのには同じロキ・ファミリアの人間が最適だ。所詮、私は余所者でしかないのだからな

 

「ハイドさん、あれどうにかできないスか?」

 

「あれはアイズらの問題だ。私の出る幕ではない」

 

 アイズがどういう心境で、ああなっているのかは知らんが私はどうすることもできない。周囲に手を差し伸べることぐらいしかできやしない

 

「ほれ、今はテントの設営だろう。さっさとするぞ」

 

「ちょ!? 待ってくださいっス!」

 

 ラウルの襟首を引き、テントの設営に戻った。遠くではフィンも困っている様子だったのでな、強制的にこうさせてもらうぞ。まぁ私の寝床は聖堂内にあるのでテントを設営する理由なぞ無いのだがな。お手製のベットを作って、お手軽に睡眠を取れるように作ったのだ。そのせいか手狭になってしまったが、私しか使うことがないからいいだろう。テントの設営も終わり各自自由となった。あるものは武器の点検、修繕をしているもの。ある者は水浴びに行っていたりと様々だ。私は特にすることも無いので焚火の管理をしていた

 

「やあ、ハイド君。隣いいかい?」

 

 隣にフィンがボトルを1つ、グラスを2つ持って隣に座ってきた。これから夕食だというのに今から飲んでも大丈夫なのか、と問いたい

 

「別に構わん。貴様から言われる前に言っておくが、アイズを何とかしろという注文は受け付けんからな」

 

「あっちゃー……やっぱりダメかい?」

 

「レベル差をものともしない戦いを見せつけられたのだろう? 私としては日常にしか感じないが、貴様らに取ってはありえないものなのだろうさ。それを見て個人がどう思ったところで私が出る幕なんて1つたりとも存在しないのだ」

 

「ごもっとも」

 

 ボトルを傾けグラスに酒を注いでいく。随分と器用なことをするものだな、注ぎ終わりボトルに栓をしてからボトルを地面に置きグラスを1つこちらに手渡してくる。仮面を着けている以上、下手に飲食など出来たものではないが雇い主には逆らうまい

 

「ありがたく頂くとしよう」

 

 グラスを受け取り、仮面をずらして飲むことにした。この仮面を着けるに当たって不便なところは飲食ぐらいだ。仮面を取るなんて選択肢は存在しないため、外での飲食は困難極まりない。口元の部分だけでも開閉式ならば最高だったのだがな。そういえば仮面で1つ不思議なのは視界だけはちゃんと確保できているのだ。まるでその部分だけ透明になっているのかと思う程に

 

「相変わらず仮面は外さないんだね。そこまで外さない理由は何なのか聞いてもいいかな?」

 

「ただ単純に顔を知られたくないだけだ。良い意味でも悪い意味でも目立つからな」

 

男であるのに顔は女のそれだなんて、私は好きにはなれない。なれなかった。どうしても冒険をしていると下手に見られる時があったり、嘗められる時が多い。嘲笑われる時もあった。そう言う時は力を示して考えを改めさせたがな

 

「でもアイズやティオナ、リヴェリアは見たって言ってるよ。そろそろ見せてもいいんじゃない?」

 

「どうしてそこまで見ようとするのかは知らんがもう触れてくれるな。雇い主でも流石に弁えてくれ」

 

「分かったよ。話題を変えよう。ハイド君がいたところってどんなところだったか教えてくれないかな?」

 

スカイリムの話か。今となっては思い出でしかないがそれでも今に至るまでの道程。ふざけた内容からシリアス、将又世界の破滅に繋がる話もあるなんて思いはしないだろうな

 

「何が聞きたい、世界を破滅せんとした龍の話か? それとも地下に眠る神に滅ぼされた種族の遺跡の話か? 将又生きたまま死後の世界に行った世界の救世主の話か?」

 

「あははは、たまにはそういうジョークも言うんだね。そんな現実味の無い話があるわけないじゃないか」

 

私が体験してきたことをジョークというのは些か寂しいものがある

 

「信じるかどうかは貴様次第だがな」

 

「ああ、でも1つだけ聞いてみたいのはハイド君のいたところには英雄っていたのかい?」

 

英雄とは意外な注文だな。だがダンジョンに潜る前の演説では大々的に英雄と語っていたな、もしや英雄譚とかが好きなのだろうか

 

「その手の話が好きなのか?」

 

「好きというよりも願望だよ。英雄になれば小人族(パルゥム)の再興に役立てるのではと思ってね」

 

英雄としての再興を望むが本当に可能なのだろうか。目立ちすぎれば疎まれ、やりすぎても排除される。そんなに簡単な世界では無いのだ

 

「なら私からのアドバイスだ」

 

「ん、何かな?」

 

「私のいたところには英雄がいた。その英雄は世界を救い、もてはやされた。その結果として称号だけが伝播し名前が広がることは無かった。その特徴や称号は伝わるがどこの街に訪れようと一切変わることが無く、決して名前が無い称号としての英雄と化した。存在が消えてしまうと思った英雄は文字通り人の世から離れ、どこかに消えてしまったそうだ」

 

私が経験した出来事の一端でもあり冒険が終わった後に家に引きこもる要因にもなったことだ。どこに行こうと称号だけが私を縛り、ただ1人を除いて誰もが私を縛り続けた。それに耐えられなくて私は家に引きこもり続けたのだ

 

「……それって実話なのかい?」

 

「先ほども言ったが信じるかどうかは貴様次第だ」

 

 フィンに注いでもらった酒を一気飲みして立ち上がった。そろそろ水浴びでもして聖堂で寝ることにしよう。唐突に思い出したことを伝えることにした

 

「それとな、私は真実だけ言うのではなく平然と虚言も言うのでな。真に受けすぎるのもどうかと思うぞ」

 

 英雄を目指すのであれば多くの選択を迫られるだろう。その時にどんな選択を取るのか、この目で直で確認させてもらうとしよう。一国の救世主として称えられた英雄(ドラゴンボーン)として

 

 

 

 ハイドが森の中に入っていくのを見届けた後、僕は先ほど彼の言っていたことを考えていた。彼は何を伝えようとしていたのか。そもそも話していたことは本当にジョークだったのだろうか?

 

「珍しく考えていますけど、どうしたんですか団長?」

 

「ん、ティオネ」

 

 隣に女の子座りで座りこちらの顔を伺ってくる

 

「僕はいつだって考え事はしてるよ。でも今回は自分の事でね、さっきハイド君から英雄の事を聞いて」

 

「英雄ですか?」

 

「うん、ハイド君曰く決して良いものではないみたいなんだ。どうしてかは知らないけど彼は英雄の過去を知っているような口ぶりで話してたんだ」

 

「はぁ……あいつが何を思って話したのかは分かりませんけど私は団長の夢、素敵だと思いますよ」

 

「そう言ってもらえると助かるよ」

 

 それにしてもどうしてだろうか、彼の言葉はずっと頭の中に反響するように残り続けている。決して消えることの無い呪いのような言葉。本当に真実なのか嘘なのかさえはっきりしない問題故に、一旦この話は置いておくことにしよう。明日からは51階層以降に進行するのだ。今までの常識では通用しなくなってくる。これからはハイド君の力をどんどん借りることになるだろう。今までは魔法だけで切り抜けてきた彼もそうはいかなくなってくるだろう。無論僕たちもだ。少数精鋭で挑む深層は些細な事でも大事に関わってくる可能性が出てくる。いつもの戦闘スタイルのハイド君がどれ程、深層で通用するのかを知るいい機会だ。それによっては未到達階層にも行けるかもしれないのだから

 

「さてと、そろそろ僕も明日の用意をすることにするよ。ティオネも忘れずにね」

 

「分かりました団長!」

 

 ティオネと別れ、明日の為に再度確認を取ることにした。ダブルチェックや時間をおいて確認するのはもしもなんてことがあってはならないから。その後は夕食だ。何度もハイド君を夕食に誘っているが一向に夕食の場に現れない。食事とか大丈夫なのだろうか?

 

 




今回もお読みいただきありがとうございます

ようやく更新を再開しようかと思います。週1できるかどうか分かりませんがその程度で更新していこうと思います
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