ドヴァキンがダンジョンに潜るのは間違い?   作:ark.knight

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異変

 

54階層以降というものの私が先行して偵察し、敵がどれだけいるのか外套の男がいるかという調査を兼ねて行っているのだが57階層までは特に異変は無かった。しかし57階層に到達した途端、必要が無くなったのだ。夥しい量の血痕にドロドロに溶かされ原型が分からないモンスターの死骸、そして出現量が明らかに少なくなっているのだ

 

「フィンよ、この事態をどう見る?」

 

「これに関してはさっきの外套の男が原因。十中八九この先で待ち受けているだろうね。それにもしかしたらこの階層でいないモンスターの分、次の階層で余分に出現しているなんてことになったら目も当てられないだろう」

 

今度は私の対策も織り込んでくるだろう。人型とはいえ常に突撃あるのみ、みたいな思考ではないようで安心した。いや、敵に対して安心したとかはおかしいだろうけどな

 

「この階層では徹底して戦闘を避け、外套の男との戦闘に備えてくれ。そして、ハイドと椿には悪いけどもしもの時は代わりに戦闘を頼むことになるけどいいかい?」

 

「私は命令とあらばやってやる」

 

「手前も構わんが、そこのハイドみたいな活躍はできんぞ?」

 

そこまでされてしまうと私の仕事が無くなってしまうではないか。椿と呼ばれる女性の獲物はブレイズソードに似ていて縦にも横にも長く太い得物を携えていた。それを見るに彼女はパワータイプなんだろうと思い、そうであることを望むばかりだ

 

「馬鹿げた戦い方ができるのはハイド君だけでいいんだって」

 

「馬鹿げたとはなんだ。ただいつも通りにこれを振るっていただけだがな」

 

いつも通りにデイドラのダガーを振るって殲滅していた結果、大量のドラゴンの残骸を築いてしまったのだが。それはともかく他人が倒した分は私にドラゴンソウルは流れてこなかった。これはもしかしたら私のスキル【龍の天敵(ドラゴンボーン)】が関係しているのだろうか?

 

「その話はともかく、この先にどんなものが待ち構えているかはなんとなくだけど想像できるだろう。この障害を越えなければこの先の階層にすら進むことは不可能だ」

 

私はどんな手を使ってでも障害は排除するだけなのだが、こ奴らは違うのだろう。真っ当に正当に対峙する至って真面目な冒険者である。私も道を踏み外さなければ真っ当な冒険者にでもなれたのだろうか? 多分そんなことはないだろうと頭の隅に思考を放り投げ、フィンの話を聞くことにした

 

「それに59階層以降は【ゼウス・ファミリア】が残した記録によれば、至るところに氷河湖の水流が流れ、進みづらく、極寒の冷気が体の動きを鈍らせる『氷河の領域』らしい」

 

階層によって条件が異なるのは面倒だ。ただ、あっちの世界がそもそも極寒の地だったのでなんとかなるだろう。だが、1つだけ疑問に思うことがある

 

「サ、火精霊の護布(サラマンダー・ウール)は準備済みっす。サポーターも入れて人数分は他派閥に頼んで譲ってもらったのもあるっす」

 

ラウルがパックパックから紅の衣を人数分だけ取り出して、それぞれに手渡されるがフィンが受け取ったままこの先の通路に目を向けていた

 

「第一級冒険者の動きを凍てつかせるほどの恐ろしい冷気……なら、その手前の階層を目前にして僕たちの元にその冷気が伝わってこない?」

 

ある程度の風の流れは存在するが、特段冷たくもないのだ。フィンの言う通りに下の階層が極寒というのであれば、ここまで冷気が流れてきてもおかしくはない。その【ゼウス・ファミリア】の記録が間違っているのか、はたまた外套の男の仕業なのかは知らんが、私は私でやるべきことをするだけだ

 

「この先は未知だ。もしかしたら、時間の経過により階層内の条件が変化しているのかもしれない。それとも異変が起きているのかもしれない。考えることは多いけど僕たちは前へと進んで未到達領域に足を踏み出す。先頭はハイドと椿にベートの3名に任せる。極力戦闘は避ける方向で進むよ。みんないいね?」

 

誰もが賛成を示し、隊列を為して進行する。私と椿が両脇につき、ベートがど真ん中を務める形となった。勇み足なのか気持ちが先行しすぎているのかは知らないがベートが私と椿より前に出てしまっている。モンスターが出現しないこの階層は、私たちの駆ける足音が反響して聞こえるくらいに不気味な静かさに包まれていた

 

「こうして実際に話すのは初めてになるかの」

 

「そうだな。フルネームで名前を聞いてもいいか?」

 

「手前は椿・コルブランドだ。【ヘファイストス・ファミリア】の団長を務めとる」

 

どこのファミリアかと思えばヘファイストスのところだったとは。その上、団長ときたものだ。私のファミリアにヴェルフを預かっている以上、会話を避けられないだろう

 

「いつも素材の提供、助かっているぞ」

 

「ん、それはどうも。これからも御贔屓にとでも言っておけばいいか?」

 

素材の提供に関して言えば少数であればスタルリムだとか黒檀も提供してもいいのだが、私もそしてその内ヴェルフも使うかもしれないのである程度は温存しておきたいのだ。ちなみにデイドラは教える気はない。あれは悪影響を及ぼし、人の道を外しかねないものだ。私の場合、非人道的な行動を平然とできる環境にいたせいか罪悪感も何も感じない程になってしまっている

 

「武器としては微妙なのだが防具として好評でな、売れ行きも徐々に伸ばしておるぞ」

 

黒檀のインゴット無しに武器の制作ができるのか。似ているか同じようなもので代用しているのだろうと考えておこう。そういえばこっちの世界の鉱石がどれくらいの物かは分からんな。そこら辺の物よりは良いはずだと思う。しかし使っている物が所詮、骨というのが悪いのだろう。見た目が悪い

 

「ならば売る対象を変えて宣伝でもしてみればいい。採算をギリギリとは言わんがある程度下げればいいのではないか?」

 

「そうしたいのは山々だが難しい話だ。採算以前にそういうのは低レベル層でしかできないのが問題なんだ、性能然り制作精度然り」

 

初心者にこそ、ある程度いい武器を使わせて生存率を高めれば後々、リターンを回収できるのではと思う。如何にも高級感漂う装備品だったのは覚えている。値段も尋常じゃなく高く設定されているがその分買い手は限られてくるはずだ。それでもやっていけるのであれば十分なのだろうか

 

「ところでヴェルフは上手くやっているだろうか?」

 

「ん、自由にやらせているがよくやっていると思うぞ。ベルとも仲は良好で、鍛冶の方も中々に創作意欲を掻き立ててくれる」

 

「それは上々だ。こっちにいた時は窮屈そうにしていたし、他人との交流をほとんど持っていなくてな。神ヘファイストスも手を焼かされていた」

 

それに関しては私がどうこう言える事ではないが、初対面の時もクロッゾがどうとか言って突っぱねようとしていたな。クロッゾがどうなのかは知らんがヴェルフが話してくれることを待とう。無理に聞き出すものではない

 

「その点では手前もヴェルフを預けてよかった。感謝する」

 

「構わん」

 

まだ下に降りる通路が見えぬがこの先に待ち構えているのはなんとなく予想はできる。最悪の場合を考えておかねばなるまい。それにフィンがどのように事の対処に当たるかも見ておかねばならないだろう。やることが多いのは暇しないが押し付けで終わらないようにさっさと片づけるようにしようではないか

 

 




今回もお読みいただきありがとうございます

遅れたくせに短くて申し訳ございません

スランプのようで中々に話が書き出せませんでした

詳しい内容はURLに飛んでご確認ください
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=159675&uid=155028
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