WING-MAN×DECADE 蘇れ異次元ストーリー 作:ブライ
三次元 太陽系第三惑星地球 日本に住む一人の少年が道を歩いていた。
「現実をキビシク見つめたら、本当にヒーローになれるわけないんだよなぁ……」
この少年の名前は広野ケン太、自他ともに認めるヒーロー好きの少年だ。
この少年のヒーロー好きというのはいわゆるオタクという意味でのヒーロー好きではない(実際はそっちの方も結構すごいのだが)
彼は悪を倒し平和を守る正義のヒーローその物に憧れているのだ。
小さい時から正義感が強く周りの友達がヒーロー番組から離れていっても彼はヒーローの憧れを捨てなかった、世間一般から見たらかなり変な部類に入るだろう、そして彼のヒーロー好きを学校の名物とまで言われる物にしたものがある。
それがウイングマンと呼ばれる彼が作ったオリジナルのヒーローだ。
赤いボディカラーに大空を羽ばたく翼、胸にウイングマンの頭文字のWをイメージしたデザイン、とかなりこだわっているのが分かる、そのウイングマンのスーツを着て学校の授業に乱入したりするので彼は学校の名物男と言われているのだ。
そして今日もウイングマンに変身して担任の先生に毎度のお叱りを受ける、そして下校中に級友から現実見ろよな、と軽く言われ別れた後に冒頭のセリフを吐いたのである。
そう思いつつもやっぱりヒーローの憧れは捨てられないケン太であった。そして家路に着く途中でとある人物と出会う、異世界ポドリムスより三次元の世界に逃げてきた人物、あおい、という少女と彼女が持つドリムノート。
その出会いこそ彼が本物のヒーローになる戦いの日々の幕開けだった。
ドリムノートとは書いた事が現実になるノート、ただしその名のごとく本人が夢に描いたものでなければ現実にならない。
そしてそのドリムノートを使い悪事を働こうとした者たちから逃げてきてケン太と出会ったのがあおいという少女なのだ
そしてドリムノートにケン太はウイングマンに変身出来るようになる、と書き本当にウイングマンに変身出来るようになったのだ。
そしてタダのヒーロー好きの少年は様々な戦いを繰り広げて行った。
ポドリムスの支配者リメルが率いる怪人シードマンとの戦い。
キータクラーというライバルとの出会い。
事情を知って協力を申し出てくれた仲間達。
ポドリムスの解放。
惑星を宝石にしてコレクションとする恐るべき敵帝王ライエルの出現。
これらの戦いを通してケン太は本物のヒーローになったのだった、幼き頃からの夢を叶える事が出来た、しかしケン太はこの夢を手放す事になる。
最終決戦の後にあおいが重傷を負ってしまい死にかけてしまったのだった。
あおいを救うためにケン太はドリムイレイザーと呼ばれる、ドリムノート専用の消しゴムのような物でドリムノートに書いた全ての事を消して「あおいさんが生きかえる」と書いたのだ。
ドリムノートと言えど万能ではない、死んでしまったものまでは生きかえさせることなんて出来ないんだ。とドリムノートの制作者である、あおいの父ドクターラークの言葉も聞かず、全部消して全部のページに書けば何とかなるでしょ、と自分の夢だったヒーローを全て消してでもあおいさんの命を救う事を選んだケン太だった。
「現実をキビシク見つめたら、本当にヒーローになれるわけないんだよなぁ……」
そう言って学校から帰る途中のケン太は一人の少女に出会った、少々トゲのある言い方の少女に突然頬にキスをされ焦って鞄を落とし走って逃げてしまったケン太だった。
その少女はあおい、ドリムノートの力なのかケン太が起こした奇跡なのかは分からない。
ウイングマンとして生きた全ての事と関わった全ての人間の記憶が消えた代わりに、時間があおいと出会った時まで遡りあおいは生きかえった。
「本当は見て帰るだけのつもりだったんだけど、我慢が出来なかった、ごめんねケン坊」
そうやって一番の愛おしい人であるケン太に心で思い別れを告げたのだった。
ウイングマンは消えたがウイングマンとして戦って培ったこと命の尊さ優しさ、それはケン太の中に残り彼の正義のヒーローは消えなかった。
それがウイングマンと言う夢のヒーローの物語。
そしてこれからが新しいウイングマンの物語、再び彼が正義のヒーローになる現実の物語。
古い建物で昔の喫茶店を彷彿とさせる雰囲気を醸し出す写真屋、光写真館、それがここの名称である。
この写真館はいい感じに古いだけの写真館ではない、様々な異世界に移動し外見が変わるという何ともすごい写真館なのだ。
そしてその移動の仕方というのは写真屋にはよくある、背景が描いてある背景ロールを回しそこに描かれている世界へ移動するのだ。
なぜ世界を移動する旅をするのかと言うと、それを話すには一人の戦士の話をしなければならない。
その戦士の名前は仮面ライダーディケイド、門矢 士という青年が変身するライダーである。
士には記憶が無くこの写真館で居候をしていた彼は、いつもマゼンダ色のトイカメラを首からさげ写真を撮る。しかしいつもピンボケしたような写真しかとれず良く写真館の住人の一人とよく揉めていた。
しかしそんな日々が突如終わりをつげ彼らのいた世界は破滅の危機を迎える、町の至る所に怪人が現れ破壊活動を行い世界は地獄と化した。
その時に士はディケイドの力を手に入れ戦ったが世界の破滅は加速して行った。
そして世界が崩壊しかけた時に一人の男に士は出会った、その男が言うには9つの世界に仮面ライダーが生まれその世界を巡り旅をしなければ世界は崩壊するということ。
そして少しの時間であればまだ崩壊を止めることが出来るので崩壊を食い止めている間に旅をして欲しいとのことだった。
こうしてディケイドの世界を巡る旅が始まった、しかし9つの世界を巡り終えてもまだ旅は終わらなかった、そしてディケイドはさらなる世界を巡る事となったのだ。
人間がいなくなった世界、ライダーのいない侍の世界、そして夢が現実となったこの世界に移動することとなる。
そして現在この光写真館には数人の住人がいて食事中である。
「今度は一体どんな世界に移動するんですかね」
そう言うのはここの写真館の主の孫、光夏海、さらっとした長髪が特徴の女性で、最初の世界から士と一緒に行動していてよく揉めていた人物とはこの人なのである、そして光家秘伝のツボで押すと笑いが止まらなくなる笑いのツボを使う恐るべき使い手でもある。
「う~んどうなのかな、出来れば頭に変な物を入れられるような世界は、勘弁してほしいかな」
彼は小野寺ユウスケ、初めて移動した世界の仮面ライダーで仮面ライダークウガに変身する青年である。
彼は初めは世界の破壊者と言われたディケイドと戦うことになったが、後に和解し彼の世界の脅威である古代の遺跡より蘇った怪人グロンギとの大決戦を共に戦い勝利したのだ。その後に次の世界に移動した士たちに同行するようにとある奴に呼ばれてそれから一緒にいる心強い仲間の一人だ。
「こらこら、さりげなくニンジンをよけない」
ニンジンをよけているユウスケに注意する人のよさそうな老人は光写真館の主、光栄次郎。
光夏海の祖父であり皆のおじいちゃんといったイメージがよく合う人物である。
「そうよ~好き嫌いしていると、いい大人になれないわよ」
飛び回りながらユウスケをちゃかす白い蝙蝠はキバーラと呼ばれるモンスターである。
クウガの世界の後に移動した、キバの世界から士たちに同行してユウスケを呼んだ張本人でもある、普段は愛嬌のあるかわいい存在だが時折冷酷な事を見せることもある。
「それと~あなたもニンジンをよけないの」
キバーラがそう言って一人の人物に目線を移す、この光写真館の住人最後の一人、仮面ライダーディケイドこと門矢 士だ。
キバーラに注意された士だったが、無視し何事も無かったかの様にユウスケの皿にニンジンを移す、そのせいでユウスケと揉めるが夏海が士に近づき。
「はっ夏ミカン!!」
「光家秘伝!!笑いのツボ!!」
親指を立てて士の首にある笑いのツボを押す、押された士はトチ狂ったかの様に笑い床を転げまわり、その最中にニンジンを元に戻される。こういうのが光写真館での日常だ。
士はようやく笑いが収まり立ちあがろうとすると、足を滑らせて柱に頭をぶつけてしまう、ゴンッとかなり良い音がして非常に痛そうだが、士を気にかけるよりも重要な事が起こったのだ。その衝撃のせいなのか背景ロールが動き新たなる絵が現れる。
その絵は中央にノートの様な物が開かれてありそのノートには小学生の落書きの様なヒーローの絵が描かれていた。
背景ロールの上の方には建物が逆さになっており地面に空があるという不思議な絵であった。
「いつつ……こういうのは、ユウスケの役目じゃないのか……これが新しい世界か」
「このノートに描いてあるのが、この世界のライダーなんですかね?」
「どうなんだろう、あんまりライダーっぽくない感じがするけどなぁ」
士と夏海とユウスケは新しい絵について感想を述べている、そして彼らの他にこの世界に来た人物がいた。
「この世界もライダーのいない世界、だけど非常に魅力的なお宝があるね……」
士たちの他にこの世界に着いた一人の怪盗、彼との騒動があるのはもう少し先の話しとなる。
一通りの話しが済んだあとに光写真館の外に出る夏海とユウスケと士。
士には世界を移動する時に役割が与えられる、クウガの世界に行った時には警官であったりまた別の世界では弁護士だったりと、その世界ごとになんらかの職業や仕事をこなす役割にあった姿になる。
そしてこの世界での士の役割は……
「スーツですね」
「今度は割と普通だな、他になんかないのか?」
「さぁな見たところ何にもないが、歩いていれば分かるだろ」
三人はいつものごとく世界について情報を集めるべくまずは町を見回ることにしたのだ、まだ朝であり人もまばらでありどうしようか考えていながら歩いていると学校が見えてきた。
「なんだ……仲額中学校?変な名前だな」
「本当ですね略して言ったら、ちゅうがっこう、になるんでしょうか?」
校門の前でそんな事を話していると学校の中から、一人の男が出てこちらに向かってくるおそらくこの学校の教員だろう。
「ああ着いたんですね待ってましたよ、朝礼までまだ時間がありますから、先に職員室に来てください」
そう言われ連れて行かれる士とユウスケ、おいてきぼりをくらう夏海であったが、前にも士は学生になったことがあるので大体の事情は何となく大体分かったのだった。
数十分後、仲額中学校、全校朝礼
校長先生が全校生徒に対して朝礼を行った後に朝礼台に呼ばれる二人
「えー今日から新しい先生が赴任してきましたので、その紹介をしたいと思います、まずは門矢先生お願いします」
「門矢 士だ、宜しくたのむ」
ぶっきらぼうに答える士であったが、周りから黄色い声が聞こえる、態度は悪いが顔の造形は良いので、概ね受け入れられているのだろうか。
「そしてもう一人、新しい用務員の小野寺さん」
「あ、どうも小野寺ユウスケです。みなさんこれから宜しくお願いします」
そう言ってぺこりと頭を下げるユウスケ、こっちの方もどうやら反応は上々のようだ。
「門矢先生には、主に一年生の授業を受け持ってもらいます。ではこれで朝礼は終了します」
朝礼は終わり台から降りる二人、そして生徒たちは教室に向かっていく。
「なぁなんで士が先生で、俺が用務員なんだよ」
「ふっ仁徳の差ってやつかな」
「なんだと!!つーかお前勉強なんか教えられるのかよ」
「安心しろ、少なくとも単純なお前よりは出来はいい、それに俺が苦手なものは写真を撮ること以外は無い」
といつもの様子で会話をする二人であった、ユウスケは教室へは向かわずに用務員の仕事である草むしりをする事となり士と別れたのだった。
「1-A組、これが俺の最初の授業をするクラスか」
そう言って教材を持ち中に入ろうとする士、その横には一人の教員がいて
「はい……そうなんですけど、一人問題児がいまして」
このクラスの担任の松岡先生という女性が士に忠告する、あまりにも酷かったらしばいて良いとかなり過激な助言まで頂いてしまったが、学校にオルフェノクが紛れ込んでいて、破壊活動をしてきたファイズの世界などに比べれば、チンピラ程度の問題児などさしたる脅威ではないと思い中に入るのだった。
「今日からここの教師になった門矢 士だ、朝礼でも言ったが、もう一度自己紹介しておく」
そして出席を取り始める士、出席が終わった後に授業に入るのだが質問などをしてくる奴が多かったので、
「分かった良いだろう、授業をする前に質問タイムを設けてやる、聞きたい事があるなら言え」
それを皮切りに質問攻めに会うことになった、趣味はなんだとか恋人はいるのかだとか中学生の凄まじいパワーの前に少々疲れたが、とりあえずクラスを落ち着かせ授業に入る士であった。
しかしその最中に居眠りしている生徒がいた、だがかーなーりいい加減な士は居眠りしている生徒は気にせず授業を進めた、そしてある問題を解いてもらおうと名簿から適当に選び一人の生徒を指名することにしたのだが。
「では、この問題を広野ケン太お前に解いてもら……おい広野はどこにいった?」
「先生~広野なら変身しに行きましたよ、悪を成敗するんじゃないですか?」
一人の生徒がいつもの事です、と言って居眠りをしている生徒に目線を移す、それを聞いた士は聞き返す。
「変身?まさかライダーか?」
そう答えると同時に教室のドアを開け一人のヒーローが入ってきた。
そのヒーローは胸を広げ右腕を伸ばし左腕を上に曲げる。
「悪!!」
右腕をグルっと回し顔の前に出し、左腕を右下に持っていき引き絞る用にして構える
「裂!!」
身体を開いてポージングを見事に決めて。
「ウイングマン!!」
と見事な名乗りを上げるのだった。
クラスの連中、主に男子は盛り上がり、何名かの真面目な女子はため息を漏らす。
学校一の問題児こと正義の味方大好き人間、今は本来の記憶も力も失っている、この世界のヒーローウイングマン 広野ケン太
世界を巡る次元の戦士たる仮面ライダーディケイド 門矢 士
この二人のファーストコンタクトは、少々コミカルなものとなったのだった。
そのころ草むしりを実行中の小野寺ユウスケは
「盛り上がってるな……なんか俺の扱いって、毎度のことながら酷い気がする」
一人たそがれていた。
放課後になり担任の松岡先生にこっぴどく叱られる、ケン太は長いお説教のすえようやく解放されたのだった。
「うぬぬ松岡先生め、ヒーローの何たるかを全く理解してないんだから」
と不機嫌をあらわにしながら帰ろうとするケン太
「まったく士の奴一人で勝手に帰りやがって、一人さびしく仕事してる俺を素で忘れてたんじゃなかろうか」
「「ん?」」
ぶつくさ文句を言ってた二人が偶然にも校門で出会ったのだった。
「そっか、正義の味方か、その夢俺もわかるよケン太君」
「分かってくれますか小野寺さん!!」
「ユウスケでいいよ、弱きを守り強さを挫く、そんな姿はカッコイイよね」
「はい!!そりゃあもう!!」
理解者を得られケン太は興奮気味に話しかける、そしてかなり盛り上がりながら会話は進んでいき気がついた頃には日が落ちかけていた。
「やっばい!!もうこんな時間だ、ごめんなさい急いで帰らなきゃ!!」
「本当だ……そうだ送って行くよ、ちょっとまってて」
そう言ってユウスケは自分の愛機であるバイク、トライチェイサー押してきて後ろにケン太を乗せたのだった。ケン太はヒーローの様なバイクをみてさらにテンションが上がり上機嫌で家に帰るのだった。
「ただいまぁ~」
「お帰りユウスケ~どうだったぁ、よ・う・む・い・ん、は」
キバーラが光写真館に帰ってきたユウスケに語りかける。
「ちょっと疲れたかな……というか士!!置いてくなんて酷いぞ!!」
ちょっと強めに士に問いかけるユウスケであったが、士はそんなユウスケの事など気にせずに話しかける。
「ああ、ユウスケ今日受け持ったクラスでちょっと気になる奴がいてな」
「気になる奴?」
「そうだ、このノートの中にある落書き見たいなヒーローの絵に近い格好をしている奴がいた」
「これに書いてある奴か?」
「1-Aにいる広野ケン太って奴がいかにも手作りっていうスーツで授業に乱入してな」
その言葉を聞きユウスケは驚く、先ほどまで話していた少年が重要人物であるかもしれなかったからだ、そして夏海も置いてきぼりをくらった後に、町を歩き情報を集めていてその話もされた。
「じゃあこの世界には、ライダーも怪人もいないってことなの?夏海ちゃん」
「はい、聞いた限りじゃ、シンケンジャーの時の様なライダーと別の脅威も無いようなんです」
「じゃあどうすればいいんだろう……」
「まぁしばらくは、仲額中学校の教員をしているしか無いな、手掛かりはこれだけなんだからな」
そう言って士は手に持っていた写真を机にばらまく、この世界でもいつものように首から下げている、トイカメラを使い写真を撮っていたのだが、いつものごとくピンボケの写真のようだ。
「ここも俺の事を拒絶しているらしい」
少々残念そうに話す士であった。
だが脅威は段々と忍び寄ってくる、ディケイドの行く先には障害が待ち受けているのだから。