WING-MAN×DECADE 蘇れ異次元ストーリー    作:ブライ

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五話

あおいは上手く逃げ切り、士と海東との戦闘も回避され、一応は丸く収まったのだが、ポドリアルスペースが解除されたせいで、とばっちりを食らった人間が一人。

 

 

 

 

「待ちなさい広野君!!」

 

 

「ちょ、超変身!!!」

 

 

姿をドラゴンフォームへと変えて、素早く角に走り、一瞬視線を横切り自慢の跳躍力を持って逃亡を図る。

 

 

 

クウガの状態であたりを警戒していたユウスケが、松岡先生に見つかったのだ。

 

学校でこんな格好をする人間が彼以外に誰が居るというのか、しかも先日ウイングマンを没収したばかりだと言うのに、もう新しいのを用意して来たのか、そう判断した松岡先生は決して悪くない。

 

 

ユウスケだって決して悪くない、強いて言えば運が悪かったと言うところか。

 

 

「まったく……逃げ足は速いんだから」

 

 

上手く逃亡に成功し、自身の能力の使い勝手の良さを再認識した瞬間であったが、勘違いした一般人から逃げると言う方法だったため、感謝はしたが若干モヤモヤしたユウスケであった。

 

 

辺りに人が居ないことを確認し変身を解除する。

 

 

「こんなところに居たか」

 

 

急に声をかけられ、少し驚いてしまったが、そこにいたのは士だった。

 

 

「なんだ士か、驚かせるなよ」

 

 

「お前の驚きはどうでもいいから帰るぞ、今すぐにだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃその今朝お前を襲ったっていう、女の子の父親に会ったんだな」

 

 

士はユウスケの返事を肯定する、先ほどあおいが逃げた後に、自分の前に現れた一人の男がいた。

 

その男はあおいの父と名乗り、軽く自分たちのしたことを謝罪すると、話し合いの場を求めてきたのだ。

 

本来であれば敵かもしれない男との会談など、あまりする気は起きないが、あおいの行動と言葉を見る限りは、少なくとも悪には見えない。

 

しかもこちらも持っている情報は殆どないに等しい、なので光写真館の場所を教え、ユウスケを連れて行くので待っているように話したのだった。

 

 

 

「しかし珍しいな、士が積極的に人の話しを聞こうとするなんて」

 

「確かにな……さて鬼が出るか蛇が出るか」

 

 

 

 

 

光写真館に到着し中に入ろうとすると、目の前の空間に穴が開き、中から人が現れる。

 

 

それは先ほど別れた少女、あおいであった。

 

ユウスケは士に眼で「この子が?」と尋ね、士は頷く。

 

少し気まずい空気が流れるが、とっとと入れ、と言い放ち三人は一緒に店の中に入って行った。

 

 

 

 

 

中には見慣れない人物がテーブルに座っており、ユウスケが、あの人か?と尋ねると二人は肯定する。

 

 

 

その男は年は40代後半くらいで控え目に言っても、渋く良い男だった。栄次郎の出すコーヒーの香り、店の雰囲気も交わり、そこはドラマのシーンでも見ているようだった。

 

まぁその男がきているシャツに、おとっつぁん、と書かれていたり、ここが写真館でなければの話なのだが。

 

 

「マスターこのコーヒー美味しいね、今まで飲んだどのコーヒーよりも美味しいよ」

 

 

ふっ、と少し笑みを浮かべた後に気づいたのか、こちら側に振り向き。

 

 

「やぁ今のカッコ良かっただろ、いやぁトレンディというのは……」

 

 

「何やってるのよお父さん!!」

 

 

放って置けば寸隙が始まりそうだったので、あおいは止めに入る。ぶっちゃけた話し、この最後のセリフさえなければ、ダンディーなオジサンで通せたのだろうが、何とも空気をぶち壊す人である。

 

 

「まぁまぁあおい、なんというのかカッコイイ人って憧れるだろう?三次元人の趣向はまだまだ分らなくてね、たまたまこの間ドラマを見たんだが……」

 

 

しかし止められてもマイペースを崩さずに、彼は話し続ける。相当な大物なのか、はたまたただのオジサンなのか。

 

いい加減に疲れてきた一同であったので、あおいは強引に話しを終わらせ、会談に入る。

 

 

ここに夏海も加えられる、栄次郎は全員分の飲み物を用意しなきゃね、と言い奥の部屋に入っていく。

 

 

「自己紹介はまだやっていなかったわね、あたしは、あおい、この星とは違う次元に存在するポドリムスからやってきた人間よ」

 

 

「そして私はラーク、あおいの父親で科学者をしている」

 

 

普通ならそんなバカな話しとなるところであろうが、あいにくと自分たちも異世界人、その異世界人プラス、正体不明の男に、古代の超戦士に、笑いのツボを操る女と来たものだ。

 

相手の出身がどうこうで、疑問に思ったりするほどの人間たちではない。

 

 

士たちも簡単な紹介を行い、先ずは何故士を攻撃したのかという話になる。

 

 

「少し長い話になるのだけれど」

 

 

と前置きし、あおいはまず、ウイングマンの事を話し始めた。

ドリムノートから生まれた夢の戦士、それを消してまで自分の命を救ってくれた愛しいヒーローの事を。そして自分たち視点でライエルとの決選が終わって数か月に、ある男がポドリムスにやってきた。

 

 

その男は、ディケイドという驚異が現れ、災厄を招くという事だった。

 

 

流石にいきなり現れた男の言うことを、鵜呑みにはしないが、そんなことを言われては何もしない訳には行かない。なのでちょくちょく三次元にやってきて、異常がないのか調べていた時に、あの行方不明者の事件が起こったのだ。

 

そして起こった直後のタイミングであらわれた謎の建物、これはもしかすると、本当にディケイドがこの世界を破壊しに来たのかも知れない。

 

 

「そう思って、今朝にあなたに会いに行ったの」

 

 

「なるほど……そうだったんですか、でもそれなら急に闘わなくても……」

 

 

「大方こいつが誤解を招くような言い方をしたんじゃないのか?」

 

 

ユウスケの問いに、眉をピクッと動かした士、それを見て、ああやっぱりと思うユウスケと夏海なのであった。

 

 

その後にいくつかの話があり、ディケイドの脅威はなさそうだが、実際に怪人が現れた以上、それは対抗しなければならない問題だとして、会談はまとまりつつあった。

 

 

だが話が終わりかけたこのタイミングで、今まで黙っていた士が口を開く。

 

 

 

「なるほど大体分かった、だが一つ聞きたいことがある」

 

「なに?」

 

「お前の話しを聞く限りじゃ、ドリムノートにウイングマンを取り戻すとでも書けば、元に戻るんじゃないか?」

 

 

そうすれば驚異とも対抗できるのでは、そう言い終わる前にあおいが話す。

 

 

「それはたぶん無理よ、ドリムノートは夢を持っていないと発動しない、ノートを全部使ってまで書いてくれたケン坊の想いに勝てるほどの夢は私は持っていないし、それに……」

 

 

もし元に戻ったら、もう諦めきれなくなるかもしれない。

 

そういう前にあおいは口を閉じた。

 

 

 

夏海とユウスケは何か言いたくないことが、あるのだろうと悟り話を終わらせた。

 

数秒沈黙した後に士が締めの言葉を言う。

 

 

「ふっまぁ俺がやるべきことは分かった、それだけでも収穫だな」

 

 

その言葉にユウスケも反応し答えを返す。

 

 

「ああ、いつものことをするだけだもんな」

 

 

「いつものこと?」

 

 

あおいの疑問に士は答える。自信満々にいつもどおりに。

 

 

「通りすがりにきたこの世界で仲間を作り未来を変える、それだけだ」

 

 

 

 

 

 

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