STRIKE THE BLOOD -転生した魔王-   作:verfall

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第四神祖

 「いるんだって」

 

 「何が?」

 

 「第四神祖だよ」

 

 「第四神祖?」

 

 「そう。不死にして不滅、一切の血族同胞持たず、支配を望まず、ただ災厄の化身たる十二の眷属を従え、人の血を啜り、殺戮し、破壊する。世界の理から外れた冷酷非情な吸血鬼……」

 

 通り過ぎた二人組の男たちが話している会話が聞こえてくる。

 ありふれた都市伝説のような、噂話。

 しかし、ここではそう珍しいことでもないのだ。

 

 ―― 吸血鬼がいることなんて

 

 「なあ、古城。第四神祖だってよ!どんな奴だろうな?」

 

 俺は、今聞こえてきた話にでた『第四神祖』の話題に切り替える。

 俺の問いに笑うが、先ほどとはどこか硬さを感じる。

 

 「あぁ?どうだろうな……」

 

 「男かな?女かな?女だったら口説いちゃうかも!」

 

 「はは……。やばいんだろ?そいつ、止めといたほうがいいぜ」

 

 「そうか……。まあ、女かどうかもわからないしな。それに」

 

 「ん?どうした?」

 

 「会えるかどうかもわからないしな」

 

 「………そうだな」

 

 そんな話をしながら、いつもと変わらない道を古城と歩く。

 この普通の(・・・)日常が崩れるのもそう遠くない話だった。

 

 

 

 「なんで、俺はこんなに追試受けなきゃなんねーんだろうな」

 

 「そりゃ、古城が授業もテストもサボったからだな」

 

 「ちっ、あの担任。俺が体質的に朝は辛いってわかってるくせに……」

 

 「吸血鬼でもあるまいし、朝が弱い体質って」

 

 俺の突っ込みに帰した呟きを浅葱に聞かれ、笑って突っ込まれる。

 古城も自分のふりを悟ったのか、顔を一瞬ひきつらせた。

 

 「そろそろバイトだから」

 

 時計を確認した浅葱がそう言って立ち上がる。

 それに続くように、基樹も立ち上がる。

 基樹は、浅葱に一教科だけある追試を教えてもらいに来たようで浅葱がいないなら意味ないと思ったみたいだ。

 

 「おーい、俺も成績いいんだぞー」

 

 「お前はな……」

 

 「なんだよ?」

 

 「スパルタだから」

 

 基樹は俺に教えられるのは嫌なようだ。

 言葉、態度、顔すべてで俺を物語っている。

 そんなに厳しくしたはずじゃないんだがな……。

 

 「だよなぁ!俺も、もうそろそろ逃げたいんだが―」

 

 「逃げたら、連れ戻すが?」

 

 「まあ、そのおかげで大丈夫そうなんだけどな」

 

 「うむ。崇めさせてやる」

 

 古城も同様のようだ。……解せぬ。

 

 「じゃあな」

 

 基樹は、笑いながらそう言って店を出て行った。

 

 「どうする古城?」

 

 「俺らも帰るか……」

 

 「帰りの電車賃は?」

 

 「あるわけねーだろ。玲音は(・・・)?」

 

 俺の名前は深江(ふかえ)玲音(れのん)

 転生してきた、元魔王だ。

 

 「俺はタダ飯が食えるって誘われたからな。持ってくるわけないしょ」

 

 「金あるくせに人にたかるなよ」

 

 「お金は大事だよ?」

 

 「………」

 

 古城は気づいてなさそうだな。

 横目でこちらを見ている者を確認する。

 どうやらうちの中学の少女のようだ。見たことはないが。

 

 「ん?……もしかして、尾行(つけ)られてないか?」

 

 「やっと気づいたか。遅いぞ古城」

 

 「玲音がおかしんだよ」

 

 「で?」

 

 「で?って、なんだよ」

 

 「どうするよ?」

 

 「まずは、歩くか」

 

 「ういうい」

 

 しばらく歩くが、どうやら俺らを尾行(つけ)ているのは、確実らしい。

 それにしても下手だな。

 相手を気にしすぎだよ。視線を向けすぎると、それだけでも気づかれるよ。

 

 「とりあえず、あのゲームセンターに入ろう」

 

 「おけおけ~」

 

 「なあ、もしかしなくても飽きたのか?」

 

 「当ったり~」

 

 だってそうじゃん。どうせ、古城のお客ですよ。

 どうせ、第四神祖のことでしょうに。

 俺、尾行(つけ)られ損じゃん。

 

 「はあ、もう少し我慢してくれ」

 

 「はぁ~い」

 

 「はあ……、なんでこんなのと逃げてんだ俺」

 

 

 

 自動ドアを潜るとそこは電子機器の世界。

 ゲームがあたり一面にびっしりと!

 

 「さて、何しようか古城?」

 

 「いきなり、回復するのな」

 

 「よし、あの車のゲームだ。負けたほうが、今日の夜のデザート!アイスを買う」

 

 「わーたよ」

 

 その後、5回やったが全勝した。

 

 「ふはは、こんなものよ」

 

 「マジ強すぎるぞ」

 

 「まだいるようだな」

 

 「あ?何が……ってそうだった」

 

 古城はどうやら忘れてたみたいだ。

 まあ、これだけ待ち構えているってことは帰ってもらう作戦は無理だな。

 なら

 

 「突撃あるのみだな」

 

 「え?おい、嘘だろ!?」

 

 そう言いながらも前を歩く俺についてくる。

 少女が立つ手前の自動ドアが開く。

 少女も、出てくるのを見ると、臨戦態勢ととった。

 

 「第四神祖!」

 

 俺は、その少女の横を通り過ぎていく。

 やはり、古城が目的だったらしく何も言ってこない。

 

 「おい、玲音!」

 

 「ちょっ?あ、暁古城!」

 

 「呼ばれてるぞ~」

 

 「はあ、それ人違いだから」

 

 「え?人違い?え、え……?」

 

 おい古城さんや、女の子がお困りですよ。

 もそっと気を使ってやりなさいな。

 

 「いいのか?」

 

 「ああ、あーいうのはめんどくせーからな」

 

 「なるなる。それあるよねぇー」

 

 「はあ、適当すぎだろ」

 

 「早く帰って、凪沙(なぎさ)ちゃんのご飯が食べたい」

 

 「凪沙は渡さねーぞ!!」

 

 「あー、はいはい。シスコン乙乙」

 

 「おい!聞けっての!?昔からだな」

 

 軽口を躱しながら歩き、外に出て少しすると後ろからチャラチャラした感じの声が聞こえてきた。

 どうやらナンパのようだ。

 ナンパされる人も災難だなー。

 

 「おい、玲音!さっきの子ナンパされてんだけど」

 

 「うーん……?大丈夫でしょ」

 

 「いやいやいや」

 

 「お高くとまってんじゃねぇ!」

 

 古城でない男の声が聞こえたので振り返ると、そこには同じく振り返る古城の後ろ姿と、スカートをめくりあげた男、少女を抑えているチャラ男、そしてパンツをさらけ出した少女がいた。

 

 「(わか)(いかづち)っ ――!」

 

 瞬殺だった。いや、男たちは死んでなかったが。

 それにしてもさっきの技も、奇麗だった。

 いやぁ、やはり前世と変わらず戦う美少女ってのに弱いな、俺は。

 

 「なあ、やばくないか」

 

 「ああ、やばい可愛いな」

 

 「いや、そうじゃなくて。って、えぇ!?」

 

 「しかし、まだ幼いか?いや、あれでも中学生……いける!」

 

 「って、マジやばいって!?」

 

 古城はいきなり走り出し、今にもチャラ男を貫きそうだった槍を殴り、逸らした。

 古城だけにやらせるのは可哀そうだな。

 俺もいくとするか。

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