元奴隷がゆくIS奇譚   作:ark.knight

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互いに

俺は鈴に呼び出され学校の屋上へと来ていた。真剣な表情で対応されたもので、きっと重要なことだろう。早速屋上に行くと鈴がいた

 

「呼び出して悪かったわね」

 

「いやいい。それよりも話があると聞いたんだが」

 

「なんとなく分かるでしょ?あんたと一夏の事よ」

 

一夏の事か。確かにあいつの正義感はいいのだが、押しつけがましいのはいただけない。何が悪いかを見極めねばそれは正義とは程遠いと思う

 

「いやね、おせっかいなのは知ってるけどあたしは全てを知りたいの。なんで一夏があそこまであんたを嫌うかを」

 

「わかった。だが一夏の考えは知らないから、そこは鈴が勝手に想像してくれ」

 

俺と一夏、そしてセシリアの間に何が起きたかを事細かに順を追って説明した。この問題の発端となったクラス代表の立候補の時、セシリアと戦い何を伝えようとしたか、そしてセシリアが謝罪し突っ撥ねたこと、一夏が食って掛かる様になったかを説明する。その最中はずっと鈴は考えながら話を聞いていた

 

「というわけだ」

 

 

「なるほどね、確かに一夏やセシリアが悪いわ。でもあんたも悪いところはあるわ」

 

「なら教えてくれないか?」

 

俺からは何か悪いようには思えない。もしあるとしたらなんだ?第三者の視点で聞いて初めて分かる事だとしたらなんだ?

 

「確かにあんたにされた、言われたことは最低よ。人としての全てを否定する発言は誰にだって許されないわ。でもあんたは一夏に事の全てを話さなかった。だから一夏もただ否定するしかなかったと思うわ」

 

「ならなぜ聞きに来ない?否定するだけ否定しそのまま流れていったぞ」

 

何も聞かずにただ否定するしかしてこなかった。それで今のような状態になったともいえる。まぁこれは俺にも言えることだが、それでも歩みを止めてしまったからこういう風になった

 

「あれでも一夏は正義感が強くて思い込みが激しいからね。自分が悪いと思ってないと思う」

 

「そうか。まぁ、今日の事で俺にも非があることが分かったからいずれ謝罪することにする」

 

そういえばそうだ。伝わっていることを前提として話していた節がある。今度からは注意するとしよう。そうすれば今回みたいな事は無くなるだろう

 

「今の時期はやめておいてね。もし代表戦に響くかもしれないじゃない」

 

「わかった、そうするとしよう」

 

「それにしてもあれね。あんたと言い一夏と言い不器用ね」

 

「うるせえよ。今に始まったことじゃない」

 

あいつらにちゃんと感謝の言葉を言えない俺は不器用を通り越して失礼という言葉がお似合いだろう。やっぱり俺はあいつらに甘えてばっかりだな

 

「そういえばあんた一夏と戦ったのよね?戦ってみてどうだった?」

 

「そうだな・・・」

 

一夏の戦い方を思い出そうにも『雪片弐型』という剣1本しかなく、ISの初心者ということしか浮かばない。そういえば俺のIS<M.M.>で写し取ったはずだから再現は可能か?腰につけている懐中時計の蓋を開けてみると英数字の2、5のところが黒文字で無くなっていた。2が黒枠に白文字、5の方は青文字になっていた

 

「まだ初心者だとは思う。だが今頃円華の手解きを受けていると思うから、わからん」

 

「円華が一夏にどんな仕込みをするか分からないってことね」

 

「そういうことになるな。クラスでも忌み嫌われている俺が言うのだからそうだろう」

 

なんとも自虐的だろう。嫌われているからと言って自分自身をこういうのはおかしい気もするが実際そうなのだから仕方ないだろう

 

「さて、そろそろあたし用事があるからまた今度ね」

 

「機会があったらな」

 

鈴は屋上から出ていくのを見た後、俺は唯一人屋上で考えに耽っていた。本当に俺が悪かったのだろうか?全て話して本当に解決するのだろうか。考えようにも一夏の考えを知らない。一から考え直すしかないようだ

 

 

 

夜、夕飯を食べ星を眺めに寮の屋上に出ていた。ここは明かりが少なく星を見るのには最適だ。昔から空を眺め何時しか星を眺めるようになった。ただ綺麗というわけで見ている訳ではない。今は別れてしまった親父と母さんと一緒に天体観測に行ったことがきっかけだ。あの時は本当に感動した。夜空を彩る星々が宝石のように輝いて見えた。それまでの生活では録に見ることができなかった。だからか余計にハマってしまった

 

「いつかまた親父と母さんに会いてぇな」

 

会えなくなってしまった親父と母さん。昔みたいに一緒に過ごしたい、しかし重要人保護プログラムのせいで二度と会えるかどうかわからなくなってしまった

 

「ホント一夏ったらなによ!」

 

そんなことを考えていると屋上と寮を隔てる扉が開き鈴の声が聞こえる。その声には今日、話したような元気な声ではなく泣いているかのような声だった。適当なベンチに座っている俺の事を見て鈴は同じベンチに座ってくる

 

「・・・」

 

「・・・」

 

互いに無言になるがすすり泣く声が聞こえてくる。先ほどの声からして一夏と何かあった事は感じられた。しかし、無理に聞こうとするのは少し違うような気がしたためそのままにしてやった

 

「何か聞くことはないの?」

 

「聞いて欲しかったのか」

 

女子とは本当に何を考えているか分からない。聞いて欲しいのであれば素直に聞いてと言って欲しいのだが察しろということみたいだ。理不尽極まりない

 

「なら聞くが何があった。一夏と何かあったみたいだが」

 

そういうと鈴は愚痴っぽく話し出した。鈴が一夏の幼馴染で、つい2年前に中国に帰る時に回りくどい告白をし、再会し一夏にそのことを聞いたら告白を勘違いしていたらしい。昔からそういうところがあるというのも聞いた

 

「これって酷くない!?」

 

「今日の放課後に鈴が言っていたように、お前も不器用だな」

 

暈して告白したそうだが伝えるならストレートに伝えた方が伝わる。それが悲しい結果になったとしてもだ

 

「うっさいわよ!もしストレートに伝えるとするじゃない?それでも一夏は勘違いするの」

 

「・・・」

 

俺は唖然とするしかなかった。回りくどく伝えてもダメ、かといってストレートに伝えてもダメ。難攻不落の要塞なのか朴念仁なのか、はたまた考えたくもない結論に至るか。そのどれかは俺の知る由ではない

 

「ああもう!考えるだけムカついてくる!」

 

「落ち着け。お前の言葉を借りるようであれだがお前も悪いだろ」

 

今日、鈴に言われたことが正しいなら全てを話さなかったことが原因だ。ならば鈴も何かを言えた義理では無いと思う

 

「ならどうしろって言うのよ!」

 

「俺からはどうしろとは言えん。諦めるか一夏の考えを改めさせる、もしくはそのままにするか、だ」

 

「だったらやってやろうじゃない!一夏の考えを変えさせてやるんだから!」

 

ここに来たときとは、うって変わってやる気になったようで屋上から出ていった。どうしてあそこまで一夏にああできるのだろう。これはたらればでしかないが、もしあの誘拐が無ければ一夏の立ち位置にいたのは俺かも知れなかった。もしそうでなくても一緒に遊んでたりはしたと思う。なぜあの時の誘拐は俺を狙ったのか知らない。なんの目的でああしたのかは知らない。だが、あれが全ての要因で変わってしまった。環境も関係も何もかもが変わった。もう過去には戻ることはできないにしろ、本来あるべきの姿には戻りたいと思う。その為にもまずは一夏の誤解を解かなければならない

 

「どうしたものか」

 

1人寂しく呟いた言葉は誰にも聞こえない。人がいないのだから仕方ないことだろうが、いずれは話すことになるだろう。そう思いながら自分の部屋に戻ることにした

 

 




今回もお読みいただきありがとうございます

投稿が遅くなって申し訳ございませんでした!

リアル事情とか作業スピードの低下等が重なりこうなってしまいました
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