元奴隷がゆくIS奇譚   作:ark.knight

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晴れる瞬間、介入の始まり

本日は学年別タッグトーナメント戦、当日だ。出場する選手ごとで控室が用意されている。なんと豪勢なんだろうか。それはともかく、今は既に控室で待機させられている状態だ

 

「鏡野七実、作戦は叩き込んであるか?」

 

「この程度どうということは無い。やるべきことはやる」

 

「ふん・・・私の相棒を自称するだけの事はあるな。私とて、この程度で音を上げられては困る」

 

相変わらず上から目線なのはどうかと思うが、それはラウラの特徴なんだから仕方ない

 

「・・・鏡野七実、1つ相談してもいいだろうか」

 

「あ?」

 

ラウラの方に視線を向けると天井を見上げ、何かに怯えているように見えた

 

「つい先日、教官と話したんだ。なぜドイツに残らなかったのか、とな」

 

軍に戻ってきて欲しいという話なんだろう。俺自体、興味の無かった話だが第2回モンド・グロッソを棄権した後にドイツへ行った、だったか?

 

「その時に再び言われたのだ。『私には守るべき家族がいる。今はあいつらの為に頑張らねばいけないんでな』とな。どうして教官は、あの織斑一夏を守ろうとするんだ?」

 

俺にはあまりわからないが、本来家族というものはそういうものなんだろう。互いに何かを求めるでも無し、ただただ一緒に歩んでいける存在。それが俺には恨めしく思う。どうして、そこに俺がいられないのか

 

「織斑円華は分からんでもない。だがあいつだけは分からない。あれほど迷惑を掛けているというのに、どうして教官がそこまでしようとしたのかが分からないんだ。鏡野七実、どうしてなんだ?」

 

「俺には分かんねぇよ。でもな、家族ってそんなものなんじゃないのか?迷惑を掛けられようが守ってやりたいと思うのはよ。そこは本人にしかわからんと思う」

 

「・・・やはりそういうことになるか。これこそ分かっているが改めて認識するのは辛いな・・・湿っぽい話になってしまったな、すまない。そろそろ対戦表が発表される時間か」

 

やはりラウラも一夏、織斑家に対して思うところがあるんだろう。もちろん俺にだってある。これが対戦中に響かなきゃいいんだが。控室に置かれているモニターに対戦表が表示された。1つ1つ丁寧に確認していくと俺たちの名前を発見した。同時に対戦相手のペアも判明した

 

「一夏とデュノア・・・初戦があいつらか」

 

「手間が省ける。余計な事を考えなくて済むじゃないか。それでは行くぞ」

 

俺たちは控室を出てピットへ向かっていく。初戦の相手があいつらというのはツイているのかそうじゃないのか、分からないがやるしかない。どちらが悪いというわけでは無いが全力で行かせてもらう

 

 

シャルロットサイド

 

いよいよ学年別タッグトーナメント初戦、なんだけど相手は七実とラウラかぁ。ラウラはドイツの代表候補生だし噂には聞いてるから強いから分かるけど、七実は報告通りだと他人の専用機と同じになって戦うらしい。実力はセシリアを倒せるほどにはあるから慢心はできないね。僕たちは既にアリーナの上空で待機している

 

「それにしても相手があの2人だなんて驚きだよ」

 

「そうだな。恨みは無いけど七実からってことでいいか?」

 

恨みは無いって・・・僕の事で怒ったのはどこに行ったんだろ?一応、更識生徒会長と織斑先生に話は、すんなり通ってなんとかしてもらえる

 

「で、でもラウラのIS<シュヴァルツェア・レーゲン>の持つAIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)も危険だし・・・どうする?」

 

AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)、1対1では無類の強さを誇る慣性停止結界。その他にも遠中近全ての役割を果たせるワイヤーブレードに大型レールカノン、プラズマ手刀・・・あれ、もし七実がラウラのISと同じになって分断された瞬間、負けが確定するね

 

「一夏、どっちから先に倒そうとしても結局は変わらないよ。それよりも大事なのは分断されちゃいけないということ」

 

「なんでだ?」

 

「ラウラのISにはAIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)、慣性停止結界っていう強力な兵装があるの。もし七実のISでラウラのISをコピーしたら手も付けられないし、分断された瞬間に負けが確定するの」

 

「・・・ならラウラからか?こう言っちゃなんだけど七実だって強いけど、つい最近までISに手を出してなかったらしいし後回しにするか?」

 

「多分そっちの方が得策だと思う。近すぎず離れすぎず、それでもってラウラを最優先で倒す」

 

作戦の方針も決まって、少しだけ余裕を持てた気がする。そんな時に対戦相手であるラウラと七実がISを纏ってやってくる。七実の方もラウラと同じISだが上空に来るのではなく地上で壁にもたれ掛かる様にしていた

 

「鏡野七実、貴様はそこで見ていろ。私が出る」

 

「へいへい、俺は見てますよーだ」

 

随分と舐められているのが分かるよ。いくら強力な兵装があるからってそれだけで勝てるとは思わないで欲しい

 

「2対1みたいだな」

 

「僕たちの力を見せてあげよう一夏。その後で七実を・・・ね」

 

会場では七実に対して罵詈雑言が飛んでいる。七実はこんな環境で頑張ってたんだね。試合開始のカウントが始まる。

 

「貴様ら程度、私1人で叩き潰してやろう」

 

「たかが1人で何ができるってんだよ!」

 

試合開始と同時に一夏は瞬時加速(イグニッション・ブースト)で、ラウラ目掛けて雪片弐型を振り上げて行く。しかし、AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)によって身動き1つ取れなくなっている

 

「開始直後の先制攻撃か。分かりやす過ぎるな」

 

「そりゃどうも。以心伝心で何よりだ」

 

「ならば私が次に何をするのかもわかるだろう?」

 

「させないよ」

 

ラウラが一夏にレールカノンを射出する用意に入る。その時を狙って僕は一夏の頭上から飛び出て61口径アサルトカノン「ガルム」を展開し爆裂弾の射撃を浴びせる。それによって一夏を狙った攻撃は空を切った。一夏を縛っていたAIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)は解け、ラウラは急後退していく

 

「逃がさないよ!」

 

後退しながら6つワイヤーブレードを射出していくラウラに対して、僕の得意な戦術「高速切替(ラピット・スイッチ)」を活用し、連装ショットガン「レイン・オブ・サタデイ」とガルムを使い分け、道を切り開く

 

「今だよ!」

 

今度は一夏が僕の頭上を越えてラウラに攻撃を仕掛ける。武器が剣ゆえに読まれやすくAIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)によって止められるが囮なんだ。僕はラウラの背後に回り重機関銃「デザート・フォックス」を展開する射角は斜めにして一夏に当たらない角度で射出すると多少の被弾は与えることができた

 

「ちょろちょろと目障りな・・・」

 

「まだ俺の切り札を使ってないんだぜ?使わせてみろよ!」

 

うん、分かってた。一夏はあれだ。勝ちを目の前にすると暴走するね。仕方ないなー。突撃して見事にAIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)に引っかかり、ワイヤーブレードでSEを削られるのを見て、瞬時加速(イグニッション・ブースト)で接近を仕掛けてちょうど七実に背を向けた

 

「背中ががら空きだよ!」

 

今の僕も七実から見たらがら空きなんだろうけどさ、腕なんか組んじゃって暇そうに見えるよ。背中に腕についてある盾を外し、その下に収納されている69口径のパイルバンカー「灰色の鱗殻(グレー・スケール)」を1発叩き込む

 

「作戦成功だ」

 

「え?」

 

1発叩き込んでラウラの集中力が欠けAIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)が解けて一夏が解放される。だけど僕はもう1発叩き込もうとして躍起になっていたところで動けなかった。ラウラの呟きは僕たちにはありえないものだった。攻撃を食らって作戦成功って・・・

 

「シャル!後ろだ!」

 

一夏の叫びは既に遅く僕の身体は、僕の後方から来ている6つのワイヤーブレードに巻き付けられ地面へと叩きつけられる

 

「きゃぁ!?」

 

「悪いな、しばらく捕まってろ」

 

最初から警戒していたはずだったのにいつの間にか無視していた七実の扱うIS<M.M.>によって、よりによってAIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)で拘束されてしまった

 

「テメェ!卑怯だぞ!?」

 

「戦いに卑怯も糞もあるか。だいたい見ていろと言われただけで戦うなとは一切言われていない」

 

詭弁だと思うけどなー。でも確かにその通りなんだよね。七実が戦う意思が無いのなら、ちゃんと意思表示ぐらいはしそう。だけど、周りからは卑怯だななんだのってバッシングされてるけどね

 

「話は後だ。ラウラこいつは縛っておくから一夏を蹂躙してこい」

 

「言われなくともそのつもりだ!さぁ、かかって来い織斑一夏!貴様の言う切り札がどれ程の物か、この私に見せてみろ!」

 

壁際で拘束されてる僕はどうしようもなかった。何も動かないんだもん。遠くで戦ってる2人を見てるしかなかった。最初から警戒していたはずなのにいつの間にかラウラに集中してたんだから、僕も一夏の事を強く言えないな

 

『おいシャルロット、聞こえるか?』

 

個人間秘匿回線(プライベート・チャネル)で七実からの通信があった。もしやこれはチャンスなのでは?

 

『うん、聞こえるよ』

 

『そうか、なら聞くが楯無と話したんだろ?どうだったか聞いてもいいか?』

 

『・・・拘束を解いてくれたらね』

 

『多少の結末は知っている。証言は取らせてもらった、と聞いたぞ』

 

なーんだ、知ってたなら最初から言ってくれればよかったのに。チャンスなんて無かったんだね

 

『亡命することにしたんだ。会社も家族も地位も全てを断ち切って、こっちに亡命することにした。フランスでの思い出なんて死んだお母さんとの思い出ぐらいしかないし別にいいかなって』

 

『・・・これである程度自由になれたのか。よかったじゃないか』

 

『まぁね。でも専用機とか無くなっちゃうかもしれないし、やり辛いったらありゃしないって』

 

僕のやったことが正しいのかは分からない。でも気になる部分がある。どうして、七実がこの話を振って来たのか。あの時、あれだけ豪語して興味ない風にしていた七実がどうしてこうして気にかけて来るのか

 

『ねぇ1つだけ聞いていい?』

 

『なんだ』

 

『もし間違ってたら失礼なんだけど気になったことが1つだけあるの。どうして更識会長と織斑先生がすんなり了解を出したのか・・・もしかしてだけど七実、何かした?』

 

直接は見えないけどセンサー越しに見る七実の表情は一切変化は無く、無表情に等しいだろう

 

『もし何かをしたとして、それを教えることにはならん』

 

うん、なんとなくだけどこう返ってくるのは知ってたよ。こういう返しをしてくるってことは何かはやってくれたんだろう。ただ目の前で一緒にいてくれるんじゃなくて、知らない間に事の解決を図ってくれたんだろう

 

『そっか』

 

『さてそろそろ一夏のSEも切れて試合終了が見えるが・・・シャルロットはどうする?』

 

遠くで戦っている2人を見てみると一夏は燃費が悪いけど威力は抜群に高い単一使用能力(ワンオフ・アビリティ)、零落白夜を使用してるけどラウラに至ってはAIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)すら使っていない。舐めプ状態だ

 

『その時は素直に降参かな』

 

『そうか』

 

もうすぐこの試合も終わる。どこで選択を間違えたのかな?ラウラがヘイトを溜めたところ?標的をラウラに絞ったところ?でもいろんな状況でも結局は似たような結果になったように思える。さすが軍人なんだろうか

 

 

 

???サイド

 

全くもって面白くない。織斑千冬の弟じゃなくてもう一方の男性IS操縦者を屠って欲しかった。この選択は、候補生としては正しいものかもしれないけど、今の世の中的には正しくない。ISは女性だけが使用を許される神聖なる力。それを穢したあいつらを叩きのめす。それに見合うだけの過剰な力があるのだから公開してほしいわ。こんな公衆の面前で大々的な惨殺ショーを開幕して欲しいわ

 

「仕方ないわね。あまり使いたくなかったのだけれど」

 

私の手には、あるシステムを強制的に稼働させるパネルがある。これを使ってしまえばドイツ軍の人材が()()1人減るけど仕方ないわ。これも仕事の内。それに彼女、ラウラ・ボーデヴィッヒは造られた存在、遺伝子強化試験体(アドヴァンスド)なんだから複製が効くわ。ならばこの決断は酷く正しいものだ。これも私達女性が今まで虐げられていた過去を思えば致し方のない犠牲なんだから

 

「これを以て私達の復讐が始まるわ」

 

さぁ、手始めにそこの野郎共をブチ殺してちょうだい。パネルを操作し、後はEnterキーを押してしまえば始まる。私達の復讐がね

 

 




今回もお読みいただきありがとうございます

深夜テンションで後半を作ったのでグダグダ・誤字脱字が大量だと思います。ご指摘していただけると非常に嬉しいです
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