・・・正直もう耐えられなくなってきた。以前の俺だったら暴力を受けきることができたけど今の俺の体は幼すぎる。それ故に身体が悲鳴を上げてきているし胴体は痣だらけでろくに見せられないものになってきてる
「ねぇ~ななみん、一緒に帰ろ~」
「・・・あぁ」
正直あんな家に帰りたくない。でも帰らなければもっと面倒なことになるけど帰っても面倒なことになるのが目に見えて分かるのが嫌になってきた
「簪ちゃんに本音ちゃん、七実君一緒に帰りましょう!」
「あ、お姉ちゃんに虚ちゃん!」
面倒な奴第2号こと刀奈が俺らの教室の前で手を振って待っていた。後ろに苦労人こと虚を連れてな。虚も大変だな俺だったらこんなに面倒な奴とあまり関わりたくない・・・関わってしまったのは間違いだったか?
「ど、どうも」
「お姉ちゃんだ~!」
本音はランドセルを背負うと俺の手を引き教室の外にいた刀奈と虚のところに向かうけどどうして俺の手を引くんだよ
「あ、待ってよ本音!」
簪もランドセルを背負って教室を出る。てか俺はランドセル持ってきてないんだけどよ
「放せ、荷物を持ってくる」
「あ~ごめんねななみん」
やれやれ移動するのも面倒だけど持っていかないともっと面倒になるしな。俺はランドセルを背負うことなく片方の帯を肩にかけて4人の事を見向きもせず追い抜くと簪が俺の手を取って引き留めた
「待ってよ七実君」
「・・・なんだ?」
「今日は一緒に帰ろ?」
ここは2択、一緒に帰らなくて無理やり一緒に帰る羽目になる。もう1つは一緒に帰る・・・これ1択だ。ならどうするか
「おっと、逃げようったってそうはいかないよ!」
「放せ」
刀奈は俺の右腕に抱きついてくる。俺が逃げようとしてるのを見越してこういう行動を取ったのか?
「な、なら私も!」
「邪魔なんだが」
簪も刀奈が俺の腕に抱きつくのを見て抱き着いてくるが非常に動きづらいんだが
「動きづらいから放せ」
「「放したら先に帰るよね?」」
ご名答、正直お前らと一緒に帰らずにさっさとあの公園でシャイニィと戯れたいのだが。あぁ唯一の癒しよ、今日は行けないかもしれない
「・・・はぁ」
「大変ですね七実君も」
「お互い様だ」
「「はぁ・・・」」
こいつも刀奈や本音に振り回されてるんだろうな。2人して首を傾げてこっちを見てるけどだいたいお前らのせいで俺や虚が大変なんだぞ?
「早く帰ろうよ!」
「なら放せ。歩きづらい」
「「ダメ!」」
もうやだこの姉妹息合いすぎなんですけど。仕方ないから今日はおとなしくこいつらに従うか
「わかった。逃げないから放せ」
「んーダメ?」
「簪ちゃんと同じ意見かな」
俺は逃げた。しかし拘束されて逃げ出せない・・・もう詰みなんだからさっさと帰るか
「はぁ・・・ならさっさと帰るか」
「うん!」
俺はおとなしく腕に抱き着かれながら帰ることにしたが道中で男女関係なしに視線が俺に集中してきたのは言うまででもないが中には俺に殺意を向ける輩がいたのが俺にはどうでもいい。たまにこちらをちらちらとみてくる簪が愛らしいと思ったのは心の中にしまっていこう
虚サイド
私は刀奈ちゃんに連れられて簪ちゃんと本音のいる教室に行きましたけど今日も七実君は大変な目に遭ってしまっています。私もいつも刀奈ちゃんや本音に振り回されることが多いので七実君の心境は分かりますよ。私たちはそんな彼と一緒に下校していますが相変わらず刀奈ちゃんと簪ちゃんに腕に抱き着かれて歩きづらそうにしています
「七実君のお家ってどこなの?私行ってみたいんだけどいい?」
「・・・来るな」
「えーいいじゃない。簪ちゃんと本音ちゃんも行きたいわよね」
「「うん!」」
「面倒だから来るな」
このやり取りも何回目か忘れましたがそれ相応にやっていますが彼はいつも決まって拒否します。彼の家には見せられない物でもあるのでしょうか?
「虚ちゃんも行ってみたいよね?」
「え、私ですか?」
確かに行ってみたいと思いますけど七実君が嫌だと言っていますけど私も行ってみたいです
「おいお前、ここで何してるのよ」
目の前に私服姿の成人女性が現れると七実君は歩いていた足を止める。七実君が震えだしてくると何もしていないのにも関わらずその女性は七実君に平手打ちをする
「な!?」
「さっさと家に帰ってすることしなさい」
「すみませんでした」
思わず抱きしめていた手を解いてしまう刀奈ちゃんと簪ちゃん。すると七実君は私たちを置いて走り去っていく
「まったく
「なんであんなことしたんですか!?」
「あら可愛い子ね。あんな
信じられない。自分の子供をそんな風に物みたく扱って七実君がかわいそうです!でも私たちが何か言おうとする前にその女性がどこかに行ってしまう
「ななみん・・・」
「何よあれ、七実君を物扱いなんて!」
もしかしたら七実君はこうなることが分かってたから先に帰ろうとしてたの?だとしたら私達にも責任があります
「今日は帰ろ?」
「・・・そうね」
私たちは重い空気の中で家に帰ることにした。七実君はどうなってしまうのでしょうか?
簪サイド
私たちは家に帰ってそれぞれの部屋に戻るなりベッドの上に寝そべるとどこか気が重く感じた。理由は七実君の事でいままでどんな生活を強いられているのかが気になって仕方ない。日常的にあんなことをされてるならそれは大変なことだ。かなりの時間ベッドの上で蹲っていると本音が部屋の中に入ってくる
「遊びに来たよ~かんちゃん」
「あ、本音」
私達更識家と布仏家は大人の事情で一緒の屋敷で住むことになっている。ちなみに本音は私の隣の部屋だ
「どうしたのかんちゃん?何か元気ないけど~」
「七実君のことでちょっとね。あんなことされるのを見ちゃったから」
もし彼がいつもあんな目に遭っているなら助けたい。友達としてそして私がかっこいいと思う人がそんな目にあってほしくない
「んーお父さんに聞いてみる~?」
「本音のお父さんに?」
「そうだよ~お父さんなら何か分かるんじゃないかな~?」
お父さん達は仕事で忙しいけどなんだかんだで私たちの話を聞いてくれてくれるしお願いも聞いてくれる。けどこんなこと言っちゃってもいいのかな?
「そろそろ夕ご飯だから~その時でも言ってみたら~?」
「・・・そうしてみる」
もうそんな時間になってたんだ。私も夕ご飯の用意をしなくちゃ
「先に行ってるね本音」
「私もいく~!」
私は台所に行きお母さんが作るご飯の用意をしているとお姉ちゃんと虚ちゃんも用意を手伝ってくれて早く用意が終わるとお父さんや本音と虚ちゃんのお父さんもやってきて家族全員で夕ご飯を食べてるとふとテレビからニュースが流れてくる
『本日、○○公園で何者かによって背中に大きな傷を負った少年が意識不明の重体で病院に搬送されました。なおその少年の身体には多くの痣があり日常的に暴力を受けたとみて・・・』
「物騒な事件だな、家庭内暴力でも受けていたのか?」
・・・なんだろうこのニュースが嫌な予感がする。まさかだけどこの事件に七実君が巻き込まれていないよね
「ね~お父さん、今日ね~ななみんが~」
「本音、今日もその話か。今は食事中だから静かに「家庭内暴力を受けてるかもね~」何?」
本音のお父さんは何かと子供好きでよく時間を見つけては私達や近所の子供と遊ぶのをよく見かける。そのくらい子供好きな人だ
「今日ね~帰る時にたぶんだけどお母さんらしき人がビンタしてななみんを物扱いしたんだよ~!」
「それは許せん!楯無様しばらくその少年の情報を集めてもよろしいでしょうか」
「お前の子供好きは今に始まったことじゃないからな。私がどう言おうが無視してまでもするつもりなのだろう?」
「ええ、そのつもりです」
「わ、私からもお願いします!七実君は私の友達なんです!」
さっきのニュースが的中してないことを祈っているけど今日のあの出来事を見てるとたぶん暴力を受けていたと思う。だったら彼には助かってほしい
「わかったよ簪ちゃん。明日から情報を探していくよ」
「ありがとうございます!」
「それで簪、その七実君と友達になったとしか聞いていなかったから分からないんだがどんな人なんだ?」
「七実君はいつも窓から外を見ていて私達とも目を合わせないし言葉を発しない時もあるし話せたと思ったら一言しか喋らない人」
「それだけ聞いていたら凄い失礼な子供だな。もしかしてその七実とやらが好きになったのではないよな?」
「え!?」
お父さんの話を聞いてこころなしか自分の顔が熱くなってくるけどどうしてなのかはわからない。お父さんはこんな私を見て鬼みたいな顔になるしお姉ちゃんもにこやかな笑顔をしてるけどどこか怖い。ましてや本音と本音と虚ちゃんのお父さんも微笑ましくこっちを見てる、うぅ恥ずかしい///
「そんな失礼な奴に簪はやらん!」
「簪ちゃんは私たちのものよ!」
「・・・そんなことを言うお父さんとお姉ちゃんは嫌い」
「「え・・・」」
もう知らない、そんなことを言うお姉ちゃんとお父さんは知らない。私は夕ご飯を食べ終わると食器を片付けて自分の部屋に戻ることにした