深淵とはなんだろうか。暗くて何も見えないし、寒くて身体が動かないという感じだろうか。俺が落ちた後、どうなったかは知らないが撃墜できたんだろう。というかしてもらわないと困る。あれだけ余裕に感じて話していたんだからやれたはずだ。そもそも俺が落ちたのだって無防備にしていたのが原因だ。今、俺の身体がどんな状況かなんて分からない。もしかしたら今こうして考えていることも死後の世界での話かもしれない
『そんなはずないじゃない。
どこかで聞いたことのあるような無いような声が聞こえる。ただ瞼が重くて開かないので姿は見えない
「何言ってんだ?」
『現状の報告だよ。まぁ、痛みは本来共有されるけど今は肩代わりしてるって感じ。上には
少しずつぼんやりとしてくる思考はただ言葉として受け止めてはいるものの内容までは完全に把握してくれなかった
「そうか」
『素っ気ないね。あぁ、そういうことか。意識はあるけどぼんやりしてるんだったね。
「あー・・・悪い。何言ってんのか聞こえなくなってきたわ」
『あらら、仕方ないね。積もり積もるストレスはどうしようも無かったし、福音も外部からの影響でどうしようも無かった。
俺には何をしゃべってるのかは分からない。ノイズや雑音にしか聞こえない
『仕方ないね、少し疲れたろう?だったら眠るといいよ』
なぜだろう、急に眠気が襲ってきた。寒いところで寝ると死ぬって言うがまさにそんな感じなんだろう。このまま死んでいくのか。あいつらに礼の1つもしてやれないまま
『その間、身体を借りるけどさ』
不吉な言葉は聞こえず、そのまま何もかもが沈んでいく錯覚にさせられやがて、何も聞こえなくなり感じなくなった
『でもその前にやることがあるね。さてちょっかいでも掛けに行きますか』
一夏サイド
俺は
「えっと・・・君、ここがどこだかわかる?」
「ここはISの深層世界、ISの操縦者が来るべき時に問答をしてその人を試す場所」
「試すって・・・何を試すんだよ?」
「力を欲しますか?」
試すっていうから何かと戦うのかと思ったけどそう言うことじゃないのか。いや、問答って言ってたしそういうのは無いか
「んー・・・難しいことを聞くなぁ。でも友達を、いや仲間を守る為かな」
「仲間を・・・」
「世の中って結構色々戦わなきゃいけないだろ?単純な腕力だけじゃなくて、色んなことでさ。そう言う時に、ほら、不条理なことってあるだろ。道理の無い暴力って結構多いぜ。そういうのから、できるだけ仲間を助けたいと思う。この世界で一緒に戦う、仲間を」
『織斑一夏、君が一番言っちゃあいけない台詞ナンバーワンのものが聞けて片腹痛いよ!』
俺の後方から聞いたことのある声が聞こえてくる。七実の声だ。あの時、俺と箒を庇って堕ちたあいつの声だ。ただ少し違和感を感じる。柔らかく暖かいそんな声だった。俺は後ろを振り返るとそこには大きな布を適当に服にしたようなものを着ていた
「どういう意味だよ!」
『意味も何も無く、純然たる事実だよ?不条理?道理の無い暴力?それは君がしてきたことなんじゃないかな。
「分からないって・・・お前こそ何も感じなかったのかよ!?」
『あくまで
さっきから七実の一人称が異様なまでに崩壊している。俺が知っているのだと俺で統一してたはずだが前にも似たような事があったな。その時も今みたいに一人称が崩れていた
『それにしたって君が尋常じゃない程に馬鹿だってことは思ったよ。いつもいつも迷惑を掛けられるわ、殴られるわでもうやってられないよ。口は達者だけどそれだけ。結局は何もしないんだよ』
「俺はシャルロットの傍にいてちゃんと守ってた!それに七実だって同じだろ!」
そう、七実はシャルロットの一件では何もしてなかった。それこそ七実も言えた義理じゃない
『なーんにも知らないんだ。上辺だけで上っ面で心も満たない言葉は
「いい加減にしろよ七実、今はこんなことしてる場合じゃないって分かってるだろっ!」
『そりゃ分かっててやってるよ。でもね、これは言っておかなきゃいけないんだ。
「なんで俺たちなんだよ!?
『それもあるさ。でも撃墜される原因を作ったのは君達2人なんだよ。この言葉の意味と重さをちゃんと理解した上で
そういうと七実の身体は塵となって消えていった。本当に何がしたくてここに来たんだろうか。まだ
簪サイド
「これだけやってまだなの!?」
「もう少しだけ持ちこたえてくださいまし!こっちも大変ですのよ!」
いくら攻撃を与えようともSEは削れているが機動力は落ちることなく光の弾丸を撒き散らしている
「いくらなんでも速過ぎる!私が殿を務めるから、みんなは一旦撤退しろ!」
『その必要は無いよ、むしろこのまま包囲して攻撃してくれてるとありがたいな。
「ここに来て新たな敵か!」
『あらら、警戒されちゃったか。でも今はそんなことに興味無くてね、
「もしかして・・・七実?」
『うん、そうだよ。
七実のISは
「相棒!生きていたんだな!」
『あはは、ごめんねラウラちゃん。さて話は後にして、
そういって七実は
『斬りかかった後に聞くけど、降伏してくれないかな?』
『La-』
『今は無駄だったね。んじゃ鏡の本質を見せてあげるよ。
七実はラウラが予想していたことを知っていた。なんで知っていたのかは後で聞こう。七実のISのウイングスラスターから
『逃げ場を無くされちゃたまったもんじゃないよね、零落白夜発動』
「あれは一夏の
みんなによる攻撃のせいで逃げ場が無くなってしまった
『一度見てしまったものは効かないよ。あらよっと!』
「La!?」
光の弾丸を見事に躱し、逆に光の弾丸を当て、また一閃、二閃と入れていた。センサーで分かるように
「La!」
『だから効かないんだってば、バッシュからのとどめっ!』
もう片方のウイングスラスターを破壊して顔面に剣の柄で殴ってちょうどSEが0となる。最後の攻撃が柄ってどうなの?
『これにて
「これで倒したのよね?」
『無事、撃墜完了ってね。一夏君を捜索するもよしこのまま帰るもよし。
「あたしは一夏を捜索するわ。円華もそうするんでしょ?」
「うん、私もそうするよ。セシリアは?」
「わたくしも捜索いたしますわ。シャルロットさんはどうなさいますの?」
「僕は帰るよ。七実にも言いたいことがあるし、一足先に怒られることにするよ」
すっかり忘れてたけど無断で出撃してたんだった。嫌になるなぁ
「教官に怒られるのはいつぶりだろうか」
『
七実は俵のように女性を担ぎ、ゆっくりと旅館へと向かっていく。それを追いかけるように私とシャルロット、ラウラも七実に続いていった
『そういえばこの状態で話すのはラウラちゃん以外は初めてだったね』
「七実の話し方、変」
「まさかと思うが
『大正解!簪ちゃんやシャルロットちゃんには分からないと思うけど、簡単に説明しとくよ。陰陽みたいな関係だよ。基本的には
全くもって違うけど、これも七実の一面ということらしい。二重人格?
「うんいつもと違うね。僕も今の七実は知らないよ」
『知ってるとしたら1組の生徒に教師陣かな。大半は忘れちゃってると思うけど、具体的な話だとセシリアちゃんとのいざこざの時かな。鈴ちゃんは知ってるか分からないけど2人は知らなくて当然だね。全くあれも面倒な事を任されたものだよ。
「そこは誇っちゃいけないと思うよ!?」
ツッコむところはそこじゃないように思う。自称引きこもりを自負している七実の別人格が出る羽目になったのか。それほどの何かを抱えてしまったの?
『そういえば誰でもいいんだけどさ、この人担いで貰えないかな?』
「なぜだ?別に相棒が運べばいいではないか?」
『えっとね、装甲が壊れてたりしてて不安定だったりするからというのと、全身の感覚が無くなってきてるからうっかり落としかねないんだよ』
そんな状態で出てきて
「肩貸す・・・シャルロットも」
「うん、分かったよ」
『あはは、ありがとね3人とも。もう少しで到着するけど迅速な救護をしてもらわなきゃね。そもそもの話虚偽報告が無ければ
「思いっきりやるといいよ・・・下手したら死んでたかもしれないし」
この場合、相手はアメリカとイスラエルのどっちになるんだろうか。それでも勝てる見込みはあると思う。こんな会話をしていると旅館付近の岩場に到着した。そこには織斑先生と山田先生、それと担架やら医療器具を持った人が何人かが待ち構えていた。七実を除いた私達はISを量子化させ横に整列した
「よく戻ったと言いたいところだが勝手に出撃するとはな」
『それよりも先にこの人と
「・・・わかった。鏡野はISを量子化させて担架上に乗ってくれ。ラウラはその女性も乗せてやってくれ」
ラウラは指示通りに女性を担架に乗せるが、七実はISを解除することなくその場で膝をついていた
「どうしたの七実?」
『あまり見て欲しくないんだけど仕方ないか。かなり痛いのを我慢してるんだよね』
七実がISを量子化すると辺り一面に生暖かい赤黒い液体が流れ出した。私やシャルロットの顔にもかかってしまった。七実はその液体の中に倒れる。所々焼け爛れていたり骨が折れていたりしていた
「七実!?」
揺さぶりかけても反応は返ってこない。脈を測ろうともとても弱い
「先生!七実が!」
「ああ、分かっている。山田先生は七実についていってくれ。何が何でも鏡野の救助を最優先で行ってくれ」
「分かりました!」
先生たちは七実を担架の上に乗せて旅館の方に走っていった。七実が
「安心しろ更識、もう鏡野は助かったも同然だ」
「私も七実のところに行ってもいいですか!」
「後でな。今は貴様らを説教だ。残りのやつらにも同様でやるつもりだ。覚悟しろよ?」
「だが、よく
「実際、相棒が来なければジリ貧でした。でもSEなどではこちらの総量の方が多いため勝てる見込みはありました」
「だね、僕ももうあの手の相手はごめんだよ」
「とりあえず指令室に行ってろ。私はここで残りの奴らを待っている」
私達はこの場から離れ、指令室へと向かっていった。これで本当に終わりなのかな?
今回もお読みいただきありがとうございます
次回で臨海学校編は終了となります。それに伴い、一旦リクエストを終了するつもりです
1人1つとか言っていないので誰でも複数いいですよ?(採用できるかどうかは分かりませんが)