元奴隷がゆくIS奇譚   作:ark.knight

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リクエスト第2弾、ドイツでの修行準備編です


IS学園発地獄行き、修行行進

 

今現在、燦々と直射日光を浴びながら汗水垂らし地べたに這い蹲っている。砂が口の中に入りじゃりじゃりとしていて気持ち悪く、吐き捨てようにもそんな気力は無い。夏が1番嫌いな季節だというのに暑いのが嫌いだというのにどうしてこういう状況に陥っているのかというと3日前に遡る必要がある

 

 

 

夏の日差しとそれに伴う熱が最も嫌いである俺は基本的に寮の部屋で引き籠っていた。部屋には俺と簪、シャルロットの3人が居着いてぐうたらな毎日(夏休み)を満喫していた。簪やシャルロットは日本の代表候補生ということもあり、時たまこんな糞のように暑い中に外出してIS委員会やら企業へ赴いてはいた。俺も必要最低限ながら買い出しや料理、掃除等々の家事全般を請け負っている。無論、買い出しは夕暮れ時に行くがな

 

「暑い・・・ただいま」

 

「この部屋は最高だね。涼しいし何よりもご飯が待ってるからね。僕、もうお腹ペコペコだよ」

 

今日は珍しく2人が同時にIS委員会の方へ外出していた。その2人が帰ってくるなり一斉にだらけはじめた

 

「おかえりさん。だらける前に風呂なりシャワーでも浴びてこい。沸かしてあるぞ」

 

「ありがと七実・・・最近オカン属性でも付いた?」

 

「馬鹿言うな。お前らがちゃんと働いているというのに俺だけ何もしないのは気が引ける。まぁ、今の俺の仕事はこれだしな」

 

俺は専業主夫かよ。相手は4人もいるけど・・・家が広くなければできそうだ

 

「でも七実の家事スキルには驚かされるよ。僕もそれなりにできると自負してるけど、差が大きすぎるよ」

 

「はいはい、とりあえず冷える前に入って来い。夕飯の準備をしておく、今日は冷製パスタにしてみた」

 

「はーい、それじゃあ入って来ようか」

 

簪とシャルロットが浴場に入るのを見てから準備に取り掛かった。既に料理は作り終えているのだがデザートも用意している。これは後でもいいだろう。豚しゃぶサラダに冷製明太子パスタ、麦茶やらを用意する。疲れているだろうし一応、量もそこそこ作っていた。おかわりぐらいはできるだろう。テーブルに用意し終わり一息ついたところで部屋の扉にノックする音が聞こえた

 

『夕飯時にすみません、山田真耶です』

 

「山田先生ですか。少し待っててください」

 

扉を開けると声がした通りに山田先生がいた

 

「こんばんわ、こんな時間にどうしたんですか?」

 

「実はですね、七実君宛てに招待状が届いていましてお届けに来ました」

 

おかしい、個人宛てに来るのであれば寮のポストに入っているはずだ。先ほど簪とシャルロットが帰ってきた時には何も持っていなかった

 

「ちょっと話しにくい内容なのですが、研修と言いますか修行と言いますか・・・そんな感じの招待状です!」

 

「具体的な内容が一切頭の中に入ってこないのですが、要はどこかに行って何か学んで来いってことですか?」

 

「はい、そうです!」

 

こんな俺でも招待したいと思う輩がいるのか。希少性故に招待と偽っているだけなのかもしれんが

 

「んじゃ、その招待状なんですが見せて貰ってもいいですか?」

 

「はい、これです」

 

大きめの茶封筒が2つ手渡された。1つじゃなかったのか?

 

「1つじゃないんですか?」

 

「今回送られてきた招待状は2つあります。宛先を確認して貰えば分かりますが1つはアメリカ軍からで差出人はナターシャ・ファイルスさんからです」

 

確か銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)を操縦していた人だったか。なんでそんな人が招待するんだか

 

「もう1つなんですが、実はボーデヴィッヒさんから送られてきたものです」

 

「あいつからですか」

 

まさかの人物からの招待状だった。どうして俺に送ってきたのかは知らんがありがたく受け取ることにした

 

「それから明日ですが織斑先生と学園長から話があるとの事で、学園長室に10時に来て欲しいそうです」

 

「10時ですか、基本暇人ですし宿題も全部消化させたんで特別な用事も無いんで行きます」

 

「では、そう伝えさせていただきますね。私はまだお仕事が残っていますのでこれで失礼しますね」

 

「お体にはお気をつけて」

 

山田先生が立ち去るのを見送ってから室内に戻る。手元には2つの封筒があるのだがこれを確認するのはは夕飯を食ってからでもいいだろう。一旦自分の机に封筒を置き、準備を再開する。さてさて、今日も喜んでもらえるといいんだがな

 

夕食も食べ終わりそれぞれ一息ついたところで俺は先ほど山田先生から頂いた封筒の中身を確認することにした。まず最初に確認したのは相棒ことラウラが送ってきた方だ。封を開けてみると中には2枚のチケットと3,4枚の書類が同封されていた

 

「はい、お茶どうぞ。何見てるの?」

 

湯飲みにお茶を淹れて差し入れをしてくれたシャルロットだが素直に受け取ることにしよう

 

「お前らが風呂に入ってる間に山田先生が来てな、ラウラと銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の操縦者であるナターシャ・ファイルスからの招待状らしい」

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)っ・・・」

 

俺たちは銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)にいい思い出が一切ない。敵対し撃墜さることになった原因となった存在にいい思い出がある方がおかしいか。顔を歪めたシャルロットの表情も納得のものである

 

「俺にとってはどうでもいいことだが向こうはそうもいかないらしい。貸しを作ったままにしているのも気が引けるんじゃないのか?」

 

「それだけならいいんだけど・・・ちなみにラウラのはどうなの?」

 

「これから見るところだ」

 

書類に手を伸ばし見てみるが1週間体験として訓練の参加をしてみないかとの事。現状、俺に足りないものなんて分かりきっている。それを補うためにも丁度いい機会かもしれない。面倒かもしれないが俺は俺で確固たる力を手に入れなければならないだろう。それこそ簪達と対等に並び立つには、いつまでも守られるわけにはいかない。その為にはもってこいの時間だ

 

「ドイツに行くの?」

 

「俺は行くぞ。というよりも行かなきゃいけない理由が出来た」

 

「その理由・・・聞かせて」

 

いつの間にか俺の後ろでこっそりと書類に目を通していた簪がいた。少々恥ずかしくもあるが言うしかないだろう

 

「簪はなんとなく分かるかもしれんが、IS学園(ここ)に来る前までは貧弱そのものだった。身体が動かせなければそんなもの当たり前だ。いつもお前たちに頼ってただ日常を過ごしていた。だが今ではそうはいかない。IS学園(ここ)は謂わば非日常。常にどんなことが起きるかもわからん。現に1学期での生活が物語っている。今まで通りにいかないのなら俺自身が覚悟を持って、力をつけなきゃいけない」

 

「そっか・・・頑張ってね」

 

「それにな、お前らとこうして関係を結んでしまった以上、俺が弱味になるわけにはいかない。ある種の覚悟として受け取ってくれ」

 

「七実・・・」

 

俺としても足手まといなのは勘弁だ。だったら力をつけるまで、あくまで自衛としての力を欲する。最強なんて望みはしない。某流浪人では無いが手が届く人達(簪達)と一緒に居たいがための力が欲しいに過ぎない

 

「僕も協力するよ。簪も一緒にどう?」

 

「う、うん。毎日とは言えないけどできる限りの協力はさせて」

 

1人で出来ることなんて数が限られている。簪達も協力してくれるのは非常にありがたい申し出だ。断るなんてことはしない

 

「・・・ありがとな。さてと、明日はお前らは予定は入ってないんだったよな?」

 

「そうだね、明日は無いけどそこからは毎日入れ替わりで企業だとかに顔出しがあるかな」

 

「ならもう一人ぐらい頼めそうな人探すか」

 

開始の日取りは翌週の月曜から日曜までの間で行われる。付け焼刃程度でしかないがしないよりかはマシだろう。とりあえず両方の書類に目を通した後にシャワーを浴び、明日に備えることにした

 

翌日、俺は指定された時間通りに学園長室に到着していた。相当のことが無ければ生徒はここに来ることも無いし、入ることなんて無いだろう。なんだかんだ2回目だが多少は落ち着いている。3回ノックすると中から男性の声、轡木十蔵さんと思われる声で入室許可を頂いたので入ることにした。学園長室には織斑先生に轡木十蔵学園長の2人が座っているソファの対面に誘導された

 

「とりあえずおはようございます」

 

「うむ、おはよう」

 

「おはようございます。夏休みはどうお過ごしかな?」

 

「帰る場所も無いんで寮で毎日家事でもしてますよ。相部屋が代表候補生なんで家事全般はキッチリと俺がこなしています」

 

「専業主婦か。もっと学生みたく自由にしたらどうなんだ?」

 

「あいつらが疲れて帰ってくるってのに俺だけ何もしてないのは嫌なんで、俺の今の仕事みたいなものです」

 

母さんから聞かされた話だが子供は遊ぶのが仕事だ、だそうだ。今では子供と大人の中間地点。遊ぶのもいいがそれ以外にも手を出すべきだ。たまたま俺の場合は家事だっただけだ。なぜか織斑先生が遠い目をしていたのは気にするべきだろうか

 

「それよりもここに俺を呼んだ理由は何ですか?」

 

「そうでしたそうでした。まずは銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)での一件の話が纏まったのでその話からしましょう」

 

どうやらあの時の話が纏まったらしい。アメリカとイスラエルの両国には軍事的、経済的な処罰が下されるとの事。別に戦争に発展するとかそういう話では無く、ISコアを2,3個没収され、正式に出撃命令が出された3人には謝礼として額は知らないが払われるということらしい。ただ学生の身ということもあり全額は知らされないらしい。一夏や箒は親権を持った人が近くにいるため即支給されるらしい。俺はIS学園を出ることになったら全額受け取ることになったが極一部をつかうことが出来るとの事だが何十万という額が使えるみたいだ

 

「学生の内から金銭感覚がおかしくなってはいけませんから、私個人で預かることにしました。それでよろしいですか?」

 

「構いません。今貰えるか、後で貰えるかの違いしかないんで言うことは無いですよ」

 

「ではそうします。後は織斑先生からの話ですのでどうぞ」

 

「分かりました。それじゃあ鏡野、昨日山田君が封筒を2つ渡しに来たと思うが中身は見たか?」

 

「とりあえずは両方見ました。ドイツとアメリカからの招待状の事ですよね」

 

昨日渡された2つの書類を渡されたが1つだけ難しいところが存在した。それは開催の時期がほぼ被ってしまっていることだ。なのでどちらかを選択しなければならない

 

「ああ、私も昨日はここにはいなかったので知らなかったのだが開催日がぶつかっている。そこでだ、鏡野はどうする?」

 

「ドイツで」

 

即答してしまったが特段驚かれるようなことは無く、織斑先生は平然としていた。それどころか予感していたようにも思えてしまった

 

「なんだ、もう決めていたのか」

 

「言っちゃあ悪いですけど行くならドイツ一択です。あんなことがあったのにどうしてアメリカに行かなきゃいけないんですか?」

 

送られてきた書類には親善だとか和解のためだとか記載されていたが、あんなことがあった直後でそんなことが書かれてても信用できない。それにドイツにはラウラがいるがアメリカには知っている人なんて誰もいない。厳密に言えば向こうは知っていて俺は全く知らないなんていう状態だ。余計に行くのが躊躇われるというもの

 

「お前の言い分もちゃんと分かる。だがそう言ってやるな、向こうは本当にそういう気持ちなのかもしれんぞ」

 

「まぁ、そん時はそん時です」

 

そもそもの話だが、謝罪の文章やら送ってきていない時点で怪しいとしか思えないのは俺だけだろうか

 

「それではボーデヴィッヒには伝えておくとしよう。あと何か質問はあるか?」

 

「質問じゃないんですけど1つお願いしてもいいですか?」

 

「ほう・・・なんだ?」

 

織斑先生は太腿の上に置いていた手を上げて腕を組み、凛とした表情のまま俺に目を向けてくる。その表情は普段見ているものでもあるがどこか決意のようなものを感じた。俺の気のせいだろうか

 

「今回のドイツ行きに当たって鍛えたいのですが手伝っては貰えませんか」

 

「構わんぞ、むしろ大歓迎だ。そういえば聞き忘れたがどうしてドイツに行くことにした?失礼だが以前の鏡野であれば断りそうなものだが」

 

織斑先生の思っているのは正しい。以前の俺なら絶対と言える程、面倒だの疲れるだの言って断っていただろう。だがそうもいかない理由が出来てしまったのだ

 

「以前の俺なら実際に断っていたと思いますよ。でももうそんな甘ったれたことが言えないんです」

 

「・・・続けてくれ」

 

2人の俺を見る目がかなり厳しい目になっていた。話の内容が内容だからだろう

 

「IS学園に来て約3か月、色んな事が起きました。1組のクラス代表から臨海学校まで文字通り色んなことが起きました。その度に大変な思いをしてきました。なので自分を鍛えて力をつけることが出来たら少しは改善できるのでは、と思ったというのと既に求めていた日常から非日常に変わってしまったんだなと思ってしまったからです」

 

普段から起きることなんて無い生活に触れてしまったせいで既に普通ではない日常に変化してしまった。ならばこれは非日常と言わずしてなんと言えよう

 

「非日常か・・・」

 

「これから日常に変わるかもしれませんが、今までの生活とは大きくかけ離れているので何とも言い辛い状況なんですよ」

 

「そうでしょうな。鏡野君もさぞ大変だったでしょう。こちら側の配慮も遠く及ばずにすみません」

 

運営側としても大変なところだろう。何せ今は女尊男卑の世の中でたかだか貴重な要員だとしても少数でしかないのだ。多数には勝てないのだ。これは当然運営にも俺にも当てはまるのだ

 

「別に気にしませんよ。えっと轡木学園長も大変なのは重々承知ですし」

 

「子供が大人に気を使うものじゃありません、なんて言えればよかったのですが1学期はなんとも言えませんでしたからね。2学期からは改善していくことを更識生徒会長と協議させていただきました」

 

2学期から改善してくれるのはありがたい話だ。しかし改善したとしても裏ではどこかで恨んでは何かしてくる輩がいないとは限らない。そこはどうなのかは俺が知る由は無い

 

「そうですか、よろしくお願いします」

 

「ええ、お任せください。織斑先生はどうですか?」

 

「こちらも引き受けます。よし、昼食を食べてから動きやすい格好でグラウンドに来るように。1時から開始だ、いいな?」

 

「了解です」

 

「では私はやることができましたのでここで失礼します」

 

どこかやる気に満ちた表情で織斑先生は先に学園長室を出ていった。いやそこまで全力を出さなくてもいいんですよ?

 

「さてお話はここまでです。何か質問はありますか?」

 

「いえ今のところは思いつかないです。それではまたいつか」

 

俺も学園長室を出ていき、早めに昼食を取ることにした。これから動くのに腹の中に物を入れた状態でやるとか自殺行為でしかないからな

 

 

 

話は冒頭に戻るのだが、今の体力を計るためにひたすらに校庭を走らされた。1周が幾らかは知らんが500mと仮定しよう。1周半すら走れたかどうかも分からん。それぐらいで力尽きてしまい地面に転がっていたそこそこ大きな石に躓き大きく転んでしまったのだ

 

「大丈夫!?」

 

転んでしまったことで心配したのか駆け寄って来てくれた。なんとも見っとも無いところを見せてしまった

 

「悪いが口の中に砂が入った。水か何か持ってないか?」

 

「はいこれ・・・あと怪我ない?」

 

ボトルを手渡ししてくる簪から受け取り、急いで口の中の洗浄を行った。まだ口の中が気持ち悪い

 

「念のために下にISスーツ着てるから何ともない」

 

「まったく・・・これほどまで体力がないとはな。いや、鏡野の過去を思えば致し方ないが・・・しばらくは体力の増強にするか。一旦休憩にするぞ、今のままでは効率が悪いだろうしな。10分後にまた開始するぞ」

 

覚悟を決めた以上は甘ったれたことは言えない。もうやるしかない、守る為にも対等でいるためにもやらなきゃいけないんだから

 

 




今回もお読みいただきありがとうございます

ななみん決意の巻でした。次回はドイツからスタートです



どうでもいい余談

FGOでフレンド申請していただいた皆様ありがとうございました。皆様の鯖に比べて弱いかもしれませんがちゃんと育てていきます・・・リップが欲しいんじゃぁ・・・

基本的に

全、メルト 剣、嫁王か剣スロット 弓、エウリュアレ 槍、エリちゃん 騎、ドレイク
術、玉藻かニトクリス 殺、エミヤ 狂、アステリか茶々、べオ

の構成となっております。
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